しーシュ+てらしましんご 短パンツアー記

24日(水)広島Flyng kids-----------------------------------------------------------------

ツアー初日。を広島で演る、てかんぢか?。

名古屋の怪男児てらしましんごを迎え、合流、共に流れて名古屋まで、の、まづは壱本目フライングキッズ。ラヂヲの収録を壱本やって来た、との事でワシとは今年の壱月以来。相変わらず飄々とした旅人然が良い。サウンドチェック〜リハを経て、ハラごしらへにトンカツでも、とますゐに行くも定休日。仕方なく適当な居酒屋でメシのやうな前打ち上げのやうな・・・。

ライヴはしーシュからスタート。だいたいこのツアーのメインで演って行く予定のラインナップで纏める。リハの時、『ぎやまん』を聴いたてらしま君が「スゴい」と。ベースラインをループさせながらハモのパートを弾き、さらにテンションのハモりを唄う、と云ふ地味な離れ業を演ってゐる事に気付いてくれて嬉しい。そーなんよなぁ、ほとんど誰にも気付いてもらへてないけど・・・。

お客で来てくれてたメンダーにアサラトで参加してもらったりしながら、まぁ良いかんぢにステージをあっため、てらしまへ。彼の唄もまた新しい境地に向かひつつあるやうだ。あと、此所数年で再挑戦してゐると云ふバンジョーのお手並みも見事。以前のレパートリィもまた違った趣を伺わせ、やはり旅は次の次元へのステップになるのだな、と痛感。

ラストは例によってしーシュ+てらしま、にやはり会場に来てくれてたなにわのてつに参加してもらひ「Dance」と「かがり火」を。Danceはさておき、かなり和風なかがり火がバンジョーとスライドギターによって彩られる異色さ。これは楽しい。さらにアンコールでは「ライオンは寝てゐる」を4人で。

ツアー初日の地元、といふ事では、たいへん良いライヴが出来、滑り出しは上々、といったかんぢである。この調子で行きませう。

さぁ明日からいよいよツアー。まづは京都まで鈍行列車で6時間の旅だ。

25日(木)京都アコシャン----------------------------------------------------------------

まづ横川駅でしーなさんと合流。18切符で京都に出発。

青春18切符につひて知らぬ人も多いので説明すると、スタンプ壱押しに付きJR壱日乗り降り自由(ただし在来線のみ)、といふのが5ツセットになってゐる¥11500の切符だ。例えば京都まで6時間かかるのだが、途中大阪で降りてお好み喰ってまた乗って京都に行って、時間の配分ができればその日のうちに帰って来て、といふ事も出来る。スタンプ壱個で!。またこのスタンプは、ひとりに付き壱押し、といふ事も出来て、つまり我々はしーシュで18切符を「共有」することが出来るのだ。¥11500で!。どーだ!。すごいだらう。ミュージシャンが使わぬ手はないのだよ。それにおおいなる誤解として『18歳までしか使えない』と思ってる人も多いやうだが、違う。

電車の中でてらしましんごと合流。ひとりでする18切符の旅は孤独と退屈との戦いだが、3人もゐるとなんちゃ〜ない。楽しい「遠足」のやうなものだ。喋ったりメシ喰ったり寝てたりしてゐるうちに京都に着。そっからも色々乗り換えてけふの会場アコシャンに着。

ちょいと分かりにくい場所にあるが、なんと創業40年を誇る老舗ワインバァださう。ここで本日のホストである徳田建さんにお会いする。ロマンスグレーの髪に、低く落ち着いた声のダンディなおじさまである。建さんの機材と店置きのピアノを使ってのライヴ。レパートリィをアクースティック系で構成し、ユル〜いかんぢで演る。我々のサポーターも来てくれたが、初めてのお客さんにもたいそう喜んで頂き、良いライヴだった。

建さんにも気に入って頂けた様子。『面白いねェ』と云ってもらへて満足。建さんには、その日の宿と食事までお世話になる。

建さんからすれば、我らは初対面の人間で、どんな素性でどんな音楽を演ってるのかも分からんし、ただ、しんご君からの打診のみで我々を受け入れて下さった訳だ。それは建さんがしんご君を信頼してゐるからこそ、の話で、建さんのさういった懐の深さには、ただただ感謝。本当にありがとうございます。

古民家の、たいへん居心地の良い建さんの御自宅で、手料理を振舞って頂きながら、の打ち上げ、といふか団欒。唄と旅についての語らいは深夜まで続いた。時折降る雨の音もいとをかし。

本日の演目:月の路/毬藻あります/ペンギンカフェで逢いませう/爪研ぎうた/しゃばだバ/ぎやまん/梅雨の仙人掌/ツアー

26日(金)滋賀ロッキー-------------------------------------------------------------

目がさめると、建さんが朝食の支度をして下さってゐた。シムプルだが手の込んだ優しいメニュウがテーブルに並ぶ。キヲスクの適当な弁当で朝飯にしやう、とか思ってゐたワシらは感動の嵐。その後、駅までワシらを車で送って下さりながら、次回のライヴイベントの会場候補にも案内して頂く。『ここならグランドピアノがあるからしーなも満足出来るだらう』と。

優しく、大らかで、力強い、偉大な大先輩。なにからなにまで本当にありがとうございました。

その感動を胸に、我らはまた東へ。けふは滋賀ロッキー。しんご君の最近の相棒であるケーナ吹き山田さとし氏の助力によるライヴ。市電〜JR〜バスと色々乗り継いで会場を目指すが、バスはどんどん山の中に入って行く。周囲はたんぼと山並だけ。こんな処にライヴハウスなんてあるのかいな?と思ってたら、あった。山小屋風の、てゆーか山小屋の弐階がライヴハウスなのだ。

ワシらが着く寸前に急にエアコンが壊れたとかで、たいへん暑いが、扇風機をフル活用してなんとか演る。

しんご君とさとし氏のデュオはたいへん素晴らしい。無理のない無国籍感、といふか、バンジョーとケーナ、といふあり得ない組み合わせが、まったく違和感なく解け合ってゐる。さとし氏の各種笛は相変わらずお見事の一言に尽きる。吹口系の楽器で循環呼吸出来る人を実際に見たのは初めてだ。こらぁオモロいデュオである。天晴。

ワシらの出来もまぁまぁ。意外なほど多くのサポーターに駆け付けて頂き嬉しい一夜であった。

さとし氏の案で、けふは会場近くの町営バンガローに全員で雑魚寝。コンビニでめいめい好き勝手なメシと酒を買い込んで、コインシャワーで汗を流し、寝巻きに着替えて、打ち上げ宴会。周囲なんkm四方にワシら以外誰も居ない贅沢な空間。元気があればセッションでもしたくなるやうなかんぢだが、ワシらは粛々と呑む。喰ふ。

しんご=バーボンと炭酸でセルフ・ハイボール+豚の角煮。

さとし=角瓶と炭酸でセルフ・ハイボール+乾きもの。

しーな=ビールとチューハイ+豆腐&野菜スティック&ゆで卵。

ワシ=ジャックハイボール×2+コロッケ&チーズ。

本日の演目:月の路/苔の記憶/爪研ぎうた/ぎやまん/刻つむぐ舟/ひつぢは意外と気が荒い/ツアー/かがり火/ライヲンは寝てゐる

27日(土)松阪MAXA-------------------------------------------------------------------------

少々酒が残ってゐるが折角森の中にゐるので、ヨガする。暑い。

日が昇ってみると相当に広い野外施設のやうで、バーベQコーナーやキャンプサイト、ガキが遊べる広場やデートにも使えさうな公園、売店やらもある。ひとりでプラプラしてたら鴨がゐたので、自販機でエサを買って餌やり。楽しい。

さてけふはしんご君達と別れてしーシュで松阪に移動。亀山ローソクで有名な亀山、といふ処までさとし氏の車で送ってもらひ、そこから近鉄線で松阪を目指す。この車がツアーバスのやうでまた楽しい。亀山駅前のすんげぇひなびた食堂で、ついぞ見かけなくなった「カレー粉と塩だけで作った」カツカレー(おばぁちゃんの味!)なぞ食し、我々は電車に。

約壱時間で松阪はマクサに着。このハコを知る誰もが『日本一のライヴハウス』と公言して憚らない素晴らしいお店だ。けふと明日「夏祭り」といふ事で、豪華なライヴは勿論だが、中庭に出店が組まれ、美味さうな屋台が軒を並べてゐる。いいねぇ!。高田エージさん、Wet backりぶさん、など日本中から旅のミュージシャンが集結してゐる。またお客さんにも顔馴染みの人も多く、それぞれ別の街に住む人達なのに、つくづく不思議な縁だなぁ、と思ふ。

けふのワシらはしーシュでひと枠、Wet backに参加してひと枠、と存分に演奏出来るのが嬉しい。夏祭り、なので当然浴衣で演る。どちらかってーとハッピーでブルージィな音楽性の出演者が多い中、ワシらなりのニッチで、まづまづアッピールできた様子。wetbackでのサポートも完璧。マクサオーナーの中山剛さん(本日は焼そば担当で大忙し)もたいそう気に入ってくれており、早くも年内のオファーをもらへた。よぅし、今年中にまた松阪だ!。

自分らの終演後は、他の出演者を見て楽しむ。焼そばも喰ひ、タコ焼きも喰ふ。ホンマに祭りだ。いやー楽しいっ。ツアー中にこげに楽しくて良いのだらうか?。

エージさん、Wet back、りぶさん、は明日の浜松でも一緒になる。それも楽しいね、と。キャラバン・ツアーのやうだ。

本日の演目:月の路/苔の記憶/ぎやまん/ひつぢは意外と気が荒い/負けるな日本人/山/カントリーボーイ

28日(日)浜松WATTS----------------------------------------------------------------------------

マクサが用意してくれたホテルに泊。しかし、食堂でしーなさんと落ち合った時には、朝飯が食へるかどーかも微妙、てなかんぢ。ゆんべは楽しさのあまりハイボールを飲み過ぎて・・・。

まぁそれでもけふはとにかく浜松に向かわねば。JR快速みえ号といふやつで東を目指す。車内はなかなか快適。今年はじめに来た時のルートを辿り、天竜浜名湖鉄道で三ヶ日WATTSへ。ここも昨日けふと夏祭イベント「うなみかんフェスタ」で盛り上がってゐる。昨日に引き続き顔馴染みの人が多く、さらに広島からも何人か出演やサポートに来ており、アウェーと云ふ気が全然せぬ。

日没まで思ひ思ひに過ごし、ワシらしーシュは「トワイライト・タイム」に出演。暮れて行く湖畔の景色をバックに、けふは割とアゲ系で。浴衣で演らう、と云ふ事だったが暑いし、人が多過ぎて着替えるのも一苦労なので、短パンのまま演る。しーなさんの脚線美が一部で話題になってゐた様子(笑)。

しかしおおウケなのに驚く。「ひつぢは意外と〜」なぞ会場大合唱となり、大盛り上がり。広島から来てゐた友人が『ワシらのサポートが要らんくらいだったね』と云ふ。いやー嬉しいなぁ。その後、東京から来たお馴染みじぶこんと、和太鼓と篠笛のデュオ朋朗とも合体してセッション。これもよぅ盛り上がった。さらにワシらは昨日に引き続き名古屋のWetbackにも参加。たっぷり演奏してたっぷり楽しんだ。

高田エージ&りぶさんの感動的なラストから、主催HAGE富安さんのグランドフィナーレでうなみかんフェスタ終了。感動と激動の二日間だった。素晴らしいイベントに二日続けて関われた事を、本当に嬉しく思ふ。

バンドがポシャり、ひとりでツアーを始め、成功したり失敗したり、人を傷付けたり傷つけられたりしながら、思へば、ようやく此所まで来れたなぁ、といふ気がする。

打ち上げはお店の周りで各自好き勝手に。ちゃんと真面目に語り合う打ち上げ。WATTSとなりの一軒家を総借りして布団敷き詰め、男女関係なしに雑魚寝。しかし、元気の良い若者達は朝方まで呑んで騒いで笑ってゐた。

本日の演目:月の路/梅雨の仙人掌/刻つむぐ舟/ぎやまん/ひつぢは意外と気が荒い/細胞の記憶/ぐっと太陽が昇る時/お空の下で/負けるな日本人/山/カントリーボーイ

29日(月)オフ-----------------------------------------------------------------------------------------------------

コテージに宿泊した面子で珈琲を呑み、てんでに解散。それぞれの地に帰って行ったり、次の土地に流れて行ったり。

ワシらは今回唯一のオフ。ワシはフと大平洋が見たくなり、ひとりでブラリ旅に出る事にす。調べてみると近鉄のなんぢゃら線に乗って内海、といふ処まで行くと、そこは知多半島の先っぽらしひ。よぅし。

鄙びた電車に揺られ、乗り換え、乗り換え、夕方近くなって内海に着。海岸、てゆーか陸の端までは歩いて30分ぐらい?。夕暮れに沈みかける大平洋に出た。よぅ考えたらこんな間近で大平洋を見たのは初めてだ。かなり感動的な光景。それ以上に、やはり「大海」の底知れぬ力強さと荒々しさを感じて、すげぇ怖い。昔の人はよくこんな処に舟を漕ぎ出したもんだ、と感心。

1時間近くぼけーと海を見て、適当な温泉に入る。塩泉で良い風呂だったが、同じ湯舟に全身刺青のヤクザがゐた。かういふ処って「刺青お断り」なんぢゃなかったっけな〜?。出来ねぇならそんな看板出さなえぇのにや。

温泉の受付で、居酒屋の弐階が民宿のやうになってゐる、といふ店を聞き、素泊まり予約してもらひさっさと寝る。

さぁ明日は千秋楽。名古屋りとるびれっじだ。

30日(火)名古屋りとるびれっじ-----------------------------------------------------------------------------------------

しーなさんと合流。りとるびれっじ店主幸至郎さんと女将ヒロミちゃんがランチ営業を終えるのを待ち、4人で大須まで行き、名物丸鳥焼きを喰ふ。もう名古屋に来たら外せないスポットになったな。美味い。4人で大須商店街をブラブラ歩き、買い物したりして、夕方びれっじ入り。二日ぶりのてらしましんごと再合流。対バンのAsa:leeのふたりもやって来た。

感動したのは、びれっじの壁に張ってあった昨日のうなみかんフェスタのポスター。Wetbackとか、お店縁りのミュージシャンの名前に印がつけてあるのは分かるとして、ワシらしーシュの名前にもチェック印が書き込まれてゐる。名古屋出身でもないこんなワシらを、この店は「推して」くれてゐるのだ。なんといふ幸せだらうか。

心して吟ずる。

けふはasa:leeのレコ発も兼ねてゐるらしく、彼女らが呼んでくれたお客さんでびれっじは超満員。

トップはしんご。ワシらと別れた後、さとし氏とのデュオで演ってきたらしく、ツアー最終日のホーム、といふ事でさすがに切れ味鋭く素晴らしいパフォーマンス。去年一緒に廻った時に感じた色んな面でのあと一歩の弱さ、が完全に払拭されてゐる。てらしましんご、化けた!。天晴れだ、てらしま!。

女子会ノリのアサリに続き、トリでしーシュ。あえてMCを控え、粛々と唄い弾く。言葉は要らん。歌詞があればいい。今旅目玉ナンバーの「ツアー」を演ってる時、フと横を見るとしーなさんが涙ぐんでる気がした。あとで指摘したら「そんなハズはない」と叩かれたが(笑)。

満場のお客さんにも充分満足してもらへるライヴだったと思ふ。最後はしーシュ+アサリ+しんごで「Dance」を唄って大団円。素晴らしい夏のツアー、これにて終了!。みんなありがとう。

打ち上げはそのままびれっじで。この壱週間の思ひ出を語りながら静かに呑む。

なんか「目」が全部良い方向に出た、と云ふかんぢの旅だった。音楽も素晴らしく、仲間は楽しく、縁は不思議で、絆は深く、といふ。ツアーやりはじめて結構経つけど、かういふ事ってあんまりないんだなぁ。本当に良いツアーだった。

本日の演目:月の路/苔の記憶/紫の狐/よぅそろ/爪研ぎうた/ツアー/ひつぢは意外と気が荒い/ぎやまん/Dance

31日(水)広島うどんのわきた--------------------------------------------------------------------------

びれっじのヒロミちゃん宅に泊めて頂いたが、前回同様、ここの猫達に夜通し襲われて(笑)ほぼ一睡も出来ず。コヤツらのジャレ付きようは尋常ではない。うつらうつらしたかと思へば頬を「じゃり」とねぶられ、また寝入ったかと思へば足の指を「ぺく」と噛まれ、明け方には腹の上を盛大に駆け抜けて行くし、確かにワシは猫が好きだが、頼むから寝かせてくれぇ!。だがカワイイので許す。ヒロミちゃん、お世話になりました。ありがとう。

さて、本来このツアーのテーマに沿うならば、帰りも18切符使って夜までかけて在来線で、といふ処だが、ワシにミッションが下った。長年愛された「うどんのわきた」が8月一杯で閉店。けふ、ボビーズによる最後の「うどんとジャズ」が行なわれるのだ。ボビーさんは『無理せんでえぇ』と云ふてくれたが、漢(おとこ)ならば帰らぬ訳にはいくまい。ここは潔く新幹線で広島へ。これもツアーだ。

一旦帰宅してアンプと譜面を用意し、タクシーで「わきた」へ。

常連のお客さんを前に、約1時間。最後のうどんジャズを熱演。盛り上がりのうちに終演出来た。大ラス「All of me」の大ラスのキメが、尋常でないくらいピッタリ決まり、逆にそれがなんか「〆」を思はせ、やや切なくなった。

初めてボビーさんに誘われたのが2002年。よくこれだけ演ったなぁ、てゆーか演らせてくれたなぁ、と思ふ。「楽器演奏も完璧で、なをかつ全員が歌えるグループを作りたい」といふボビーさんの夢を体現したバンドだった。営業にも行った。ツアーもした。馴れぬジャズやスタンダードばかりだったが、楽しかった。うどん屋店主の友人、としてのボビーさんとの付き合いも面白かった。

ボビーさんはしばらくのんびり旅なぞして、故郷の松山に帰るのださう。『働けるうちは働くよ』といふファンキーな爺様、ボビー脇田。ホンマにお疲れ様でした&お世話になりました。


写真はこれに