8月


1日(月)-----------------------------------------------------------------

8月になった。ぬ〜・・・である。

此所数年は8月6日の朝、広島平和公園に赴き、その時刻をそこで迎え、黙祷す、といふのが通例だったが、今年は8/6は北海道にゐるな。北の大地から、祈りを捧げやう。

2日(火)----------------------------------------------------------------

北海道ツアーすぐ後の、最後の居酒屋椎修の為のリハを、突貫で入れる。しーなさん夏風邪。ふたりして声の出ない歌謡デュオ。情けなや。

ホンマにこれで最後になるんやろか?の居酒屋椎修。思へば5年間、よくやって来た。認知され、評価を受け、それこそ全国から好事家が訪ねて来てくれ、まだ『行ってみたい』と云ってくれる人は沢山ゐた。自らの思惑と違う所であっさりと終わりを迎えてしまふのが、なんかまぁ人生の無情を感じさせはする。

まぁ、最後かもしれない居酒屋椎修。ビシっと決めやう。

その後、ぱんぱかトリオのリハに突入。これもツアー後すぐに本番。カワちゃん「縦べぇ」を弾いて欲しさうではあるが、現場を選ぶので・・・。しかるにまぁウッド専門の人とか、ホンマによぅ仕事してらっさるよなぁ、と思ふ。慣れればさういふもんなのだらうけど・・・。

3日(水)-----------------------------------------------------------------

インストラクター、なんぞといふ仕事をしてると、『別れ馴れ』してしまふ。

この仕事、典型的に自分の周りを他人が過ぎ去って行く、といふタイプのモノで、その「一期一会」感こそが、この仕事のキモであるとも思ふ。どんなに気心知れあい、息が合ふ人との間にも、やがて必ず「別れ」は訪れるものだ、といふ感覚が、わりと当たり前になって来る。これまでの職歴で、どれほど多くの人々がワシの前を通り過ぎて行っただらうか?。

きっと人生もさういふもんなのだ。


2週目

4日(木)しーシュ夏の北海道ツアー初日:札幌8jo-----------------------------------------------------------------

しーシュ北海道ツアー初日。

生徒や仲間に『明日から北海道だ』と云ふと、何故か『どーやって行くのか?』と問はれる。飛行機に決まっとるぢゃないか、とは思ふが、まぁウチが『18切符で旅する中年デュオ』と知られるやうになったから、だらう。

まぁ飛行機で2時間。 たったの2時間!。嘘のやうに我らは北の大地にゐた。

大通公園といふ所で、大規模なビアガーデンが展開されてゐて、これがたいへん素晴らしい雰囲気。思はず吸い込まれる我ら。

ビールも美味いのだが、見渡して感じる限りない解放感にナゴむ。老いも若きも昼下がり(だいたい昼の12時にオープン)の日射しの中、ビール片手に話しを弾ませ、下品な騒ぎもなく、ぢつにナゴやかな「場」を楽しんでゐる。あとで聞けば、北海道の短い夏を、みなホンマに楽しみにしてゐて、この期間を目一杯謳歌するのださうな。 加えて道民のおおらかな気質が、このなんともフリーダムな磁場を作り出してゐるのだらう。

人々を眺めてゐるだけでも楽しかった。

さて、けふはツアー初日。意外にも「バラ売り」だ。 札幌市在住の素晴らしいフレットレスベーシスト戸谷肇さんに企画して頂いた三人三様のソロ合戦。

ワシ的には6月の宇部市以来のソロだったが、楽しんで演れた。もぅ「定番化」してしまったし、正直いまは今以上にソロのオリジナル・レパートリーを増やすつもりはない。 今あるものを演り続ける覚悟は出来た。 そんなライヴだった。

久しぶりに見たしーなさんのソロもよかった。 トタニさんの空間系ベースソロも、相変わらず素晴らしい。お客さんは多くはなかったが、皆さん楽しんで聴かれてゐる。ただ、最近のお客さんは、気に入った出演者を「撮影」する事に夢中になられるので、ウケてはゐても拍手が来ない、などといふシチュエーションも多い。

ので、最後のアンコール曲は『撮影の手を止めてぢっくり聴いてくれ』のやうな事を、ちゃんと云った。ぞ。

5日(金)しーシュ夏の北海道ツアー二日目:小樽へ(オフ)-----------------------------------------------------------------

本当は此所にもライヴを入れる予定だったのだが、壱転弐転して結局オフに。

三日目のライヴ地である小樽に前入りし、まぁけふの処は観光す。小樽と云へば、「あの」運河が有名だが、ま〜〜〜〜正直ウンザリするくらい人(主に中国からの観光客)が多く、まぁここはさういふ場所だから仕方ないか。

あんまり云ひたくはないけど、ここまで全国津々浦々にチャイニーズが多いと、流石に辟易する。ナショナリズムの強い人間が『乗っ取られる』なんぞと思ふのも、無理はない気がす。しかしバブル期の日本人だって、ほぼ世界中に手を伸ばしてゐた訳だし、多分顰蹙を買ってゐた地域もあるはずだ。だからまぁオアイコっちゃオアイコ。

紳士はフェアなのだ。

6日(土)しーシュ夏の北海道ツアー三日目:小樽A.LIVE-----------------------------------------------------------------

けふのライヴもトタニさんに企画して頂いたもの。

けふは小樽のポップシーンの中心人物 高橋麻衣子さんとの三つ巴で。会場のA.LIVEには、昭和8年生まれといふアップライトピヤノがあり、しーなさんテンション上がる。まぁピヤニストといふは、よほどの身分でない限り自前のピヤノを持ち込む事はない訳で、全国 世界中で数々の店置きピヤノと一期一会を重ねてゐる人達だ。その土地でのピヤノとの出会いには、ワシらには計りしれぬ感慨もあるだらうと思ふ。

けふのトタニさんは、づいぶん前に組んでゐた、と云ふ女性ヴォーカルとのデュオも聴かせてくれた。なんとも不思議な世界観で、オモロかった。麻衣子さんはぱんぱかトリオのカワちゃんとも繋がりがある人らしく、カワちゃんからよろしくを言付かる。日頃はパーカスとのデュオで活動しておられるやうで、そちらの方も見てみたいね。

けふワシが感慨深かったのは、拙曲「ぎやまん」における不思議な符合。

ワシがあの曲を書いた時、ただ単にギヤマン=ガラス、といふ昔の人にとって謎のモノを巡る思ひ、をモティーフにして、港町を舞台にイメージを膨らませた。して、いにしえの港町である小樽を訪れて初めて、ここがガラスの名産地である事を知った。へ〜〜〜、といふ思ひと、まるで唄に呼ばれたかのやうな気持ちで、けふも「ぎやまん」を唄った。

我ながら『ガラスの底で世界が風ににじむ』なんて、よくこんな詩的な唄を書けたな、と思ふのであります。

7日(日)しーシュ夏の北海道ツアー四日目:札幌円山夜想----------------------------------------------------------------

札幌に帰る。

小樽やその近郊に比ぶれば大都会な札幌ではあるが、そこはやはり「北の大地」。町並も広々としてゐて、人の多さもあんまり気にならぬのが良い所。けふはお江戸の友人、下北沢BlueMoonの小店長 角辻順子ちゃんが、地元の友人らと企画してくれたイベント。順子ちゃんとは、お江戸での共演経験は数知れず、だが、他所の地で一緒に演るのは初めて。

けふの会場 円山夜想(まるやまのくたーん、と読む)にも店置きのアップライトピヤノがあり、これでしーなさんは三夜連続で生ピヤノが弾ける、といふ訳だ。ツアー先ではなかなか珍しい事態。当然、嬉しさう。けふはワシもそれを弾く事になってゐるので・・・・。

けふは占冠村からVillageといふ若い兄弟デュオも参戦。フレッシュな演奏と唄で先陣を切ってくれた。次峰の順子ちゃんとは旧知の仲らしく、コラボも交えて三兄妹のやうなかんぢ。ワシは順子ちゃんのステージにも参戦。トリがしーシュだったのだが、この時点で既に30分以上進行が押しており、最初から来てくれてゐるお客さんには、結構な忍耐を強いてゐる。

ワシらはよぅ受けたが、持ち時間も進行も遵守し、きっかり30分で切り上げた。もっと聴きたい、と仰る方もおられたが、けふはイベント。30分でも充分な満足を感じてもらへた自信はある。長いライヴイベントが悪い、とは云はぬが、テンポ良く進まぬイベントは良くない。持ち時間や全体の進行を遵守する、といふのも、アーティストには必要な「資質」なのだ。ライヴが長くなるのは若さゆえ(経験不足)には違いないが、学ぶべきは学んでおいてほしい。

会場には明日の共演者である 10ホール・ハモニカの千葉ともひささん、明日の会場であるFadgeのママ原崎美也子さんも来て下さっており、打ち上げも御一緒。千葉さんとはけふの昼間に、明日の為のリハで御一緒しており、その時から色々とお世話をして下さってゐた。本当にありがとうございます。

8日(月)しーシュ夏の北海道ツアー千秋楽:札幌Fadge-----------------------------------------------------------------

札幌のホームFadge。

千葉さんの導きで、初めて此所を訪れたのが3年前。あれから毎年唄いに来させて頂いてゐる。美也子ママも我らをたいへん気に入ってくださっており、早くから常連さんなどに随分「押して」くれてゐたやうだ。ありがとうございます。

ワシらとしては3回めの「ヤマ」。過去弐回は「顔見せ」みたいな雰囲気もあり、物珍しさも手伝って幸運にも満場となったが、けふはどぅか!?。そろそろこの地、この店での真価を問われる頃合でもある。頑張らねば。

さすがに過去弐回ほどの満場には至らなかったが、けふはリピーターが多く、「まだ次のアルバム出ないの?」といふ声も多数。ちょいと大人しめ、カヴァーなども交えて構成したステージは、よぅウケてホっとす。千葉さんのハープに参加して頂いた数曲も素晴らしく、またまた札幌にて、良いライヴを演り遂げる事ができた。順子ちゃんにも壱曲飛び入りで唄ってもらひ、北海道千秋楽も滞りなく終了。

思へば、初めてこの店に来たのは春先で、まだまだ大粒の雪が降ってゐた。そこで東北へのコネクションやその後の交流の種などを頂いた。奇しくも打ち上げで『その、ここまで旅を続ける原動力はなんですか?』と問われ、よぅはさういふ素晴らしい「出会い」と、それに附随する「縁の円」を求むるから、に他ならぬことを、改めて実感した次第。

さういふ人達の縁を断ち切る事のないやうに、ワシらは良い音楽を、良い唄を作り紡ぎ続けて行かねばならぬ。その努力を怠ってはならぬ。

9日(火)-----------------------------------------------------------------

帰る。

が、安い航空チケットが夜の便しか取れず、半日札幌で待機。当初は札幌ディープスポット巡り、なぞ考へてゐたが、昼飯、のつもりで立ち寄ったビアガーデン(ドイツ式)がこれまた素晴らしく心地よく、『もぅここで良いぢゃん』と合議成立。結局4時間近くを地元の人達とともに、風に吹かれながら、短い夏の日射しを浴びながら、ビール飲みながら、のんびりと過ごした。

この開放的でおぉらかな短い夏の代償として、長く厳しいあの「冬」があるのだねぇ。

夕暮れを追いかけて飛ぶ飛行機の中では、外の景色も見えず、ワシはただひたすらに空港で買ったAERAを読みふけってゐた。心地よい北の大地から一転、まだまだ灼熱の日々続く我が故郷 広島へ。ぬぉ〜〜〜暑い!。

10日(水)-----------------------------------------------------------------

ツアー帰り早速出張レッスン。車の調子が悪いのだが、冷房を切ると、それほどでもない。やはり原因はエヤコンか・・。仕方ないので、窓を全開にして走る。

向原で二人レッスン。帰宅後、いろいろ雑務をこなしてゐると、思ったより時間がなくなり、映画見やうと思ってゐたのだが、断念。もっとヒマな夏になるかと思ひきや、わりと忙しい日々。ワシの場合、DVDで映画を見る時間が取れるかどーか、が閑忙の目安となるやうだ。

夜はぱんぱかトリオのリハ。明日は弐会場を行き来せねばならず、その手段をどーするか、で迷ってゐたが、もぅワシが車を出して行くことにした。すなはち荷物が運べる、と云ふ事であり、それならば、と「縦べぇ」を持って行くことにす。折角このトリオでお茶の水にまで買いに行ったのだし、せめてこのトリオでくらい使わなきゃ、ね。

久しぶりに手にした縦べぇであったが、わりとしっかり弾けた。

11日(木/祝)-----------------------------------------------------------------

ぱんぱかトリオ・ダブルヘッダー。

まづは『ぱんぱか納涼大作戦』と銘打った、流しそぅめん付きのライヴ。喰ひもの+ライヴ、と云へばしーシュの得意分野だが、カワちゃんも料理上手。それぞれのアイディアを活かした出し物で、お客さんをお迎えする。ワシは「えせニックだれ」を用意。カワちゃんはちゃんと本物の「竹」を用意して来て、その風流さに、やはりこれだよね、と皆が納得。

げに古来、日本人は『風情で涼を取る』といふ事を追求して来た。風鈴、など最たるもので『音で涼しさを感じる』など、アメリカ人には考へもつかぬ事だらう。流しそぅめんにしたって、ホンマは氷水を張ったタライに入れたそうめんを掬って喰ふ方が冷たいに決まってゐる。それを、たとい水道水であらうが、ちろちろ流しながら喰ふ、その風情を「涼しい」と感ずる感性が、そもそもあったのだ。

けふもお客さんはホンマに楽しんでくれ、まだライヴも演ってないうちから『来年もやりませう』といふ話しが出る(笑)。ライヴの方もなかなかの熱演。3人で演ることにだいぶ馴れて来た3人。もっと「遊べる」やうになればもっと良いと思ふ。ワシは半分以上を縦べぇで弾き、カワちゃんからは『やはりこれが良いです』と御墨付き。

さて、その後くそ猛暑の中を宇品まで移動。バァAMののっちが主催するAKIBIの特別野外版に、やはりぱんぱかトリオで出演。こちらの会場は、宇品港を背にした埠頭の真ん中。またよりによってどピーカンの炎天下で、隠れやうもない場所での長丁場だったらしひ。ワシらは日暮れ頃の出演だったから良いが、こらぁこの中に(?外に、か)壱日居るのは、ワシにはもぅ無理だな。

こちらはAKIBIの特色通り、完全にアマチュアの人達のイベントで、善くも悪くもグダグダ。まぁそれを楽しめる人には良いのだらう。ワシらが演ってる最中に日が沈み、黄昏れて行く中で吹く海風が気持ち良かった。こちらでは全曲う"ぃを子を使った。ぱんぱかトリオではこの弐本で参ろう。

まーぁくったびれたが、楽しい壱日だった。カワちゃんに感謝。

12日(金)-----------------------------------------------------------------

けふも暑き壱日。

居酒屋椎修の買い物と調理、ネット業務などに追われてゐるうちに、けふも映画見る時間取れズ。貧乏ヒマなし。

夜は新しいライヴの拠点になりうるかも、といふお店を視察に。percussion house PICOがクローズし、こたびフライングキッズが使えなくなる、といふ事態を受け、ワシらもいょいょ「新規開拓」を迫られる。さういふ意味では良い機会だった、とも云へる。まぁこの弐店ほど、ミュージシャンへの好条件が成り立つ店も珍しく、そはなかなか難しいだらうな、と。

まぁ色々と演って試してみるしかあるまい。

と云ふ訳で、明日いょいょ 居酒屋椎修、最終回。


3週目

13日(土)-----------------------------------------------------------------

居酒屋椎修 最終回。

ど〜やら本当に最後になってしまひさうな居酒屋椎修。あえて特別な宣伝をせず、普通通りのかんぢで準備。ラストだから大入り満員になるか?、それともラストとてあまり来ないか?・・・どぅなるか分からんかんぢで、最後の開店。

驚いた事に、豊橋、静岡、大阪、福岡、などからのお客さんが駆け付け、また地元ファンも最後の営業を惜しんで駆け付けてくれ、久々の超満員となった。暑いのもあってビールのオーダーもぢゃんぢゃん出て、また料理もぢゃんぢゃん出て、ライヴが始まるまでの2時間で、品切れが続出す、といふ嬉しい悲鳴。ワシも久しぶりにづっと厨房でフライパンを振ってゐるかんぢ。洗い物に廻る人材がおらず、グラスの数が足りなくなる始末。

その満員を受けて、最後の居酒屋ライヴスタート。けふも生ギター生声による「ギター・ら・しーシュ」である。

前回の「ギター・ら〜」はワシが咽をイワしており、唄うのはしーなさんだけ、といふ特別も特別な編成となったが、けふはワシも唄える。よって「ギター・ら〜」では初めて本領発揮のお披露目となった。結果的にこれまでのしーシュのナンバーも、カヴァーものも大変好評で、編成にこだわらぬデュオ、としてまたひとつ次の次元に踏み出せたライヴとなった。

人気曲「ぎやまん」では場内大合唱となり、まるでクゥイーンのやうだ、と自分らで感動。5年間の活動を締めくくるにふさはしい、良いライヴだった。けふのかんぢで行けば、生音で演る限り、苦情はまったく問題ないやうで、ならば「さういふ店」として使えないでもないのではないか、と云ふ気がす。店主マミコさんからも「このかんぢで『吟』のライヴなんてどーですか?」と云って頂き、それならそれでアリかな、とも思ふ。

ライヴと関係ない所での騒音苦情から、結局は閉店に追い込まれてしまひさうなフライングキッズ。しかも、直接の原因を作った数名からは、まだ正式な謝罪を受けてない、といふ。結局さういふ無責任さが、今回のトラブルを生じさせてしまった訳で、考へれば考へるほど、なんとも残念すぎる。

思ひは色々あれど、ひとまづ居酒屋椎修、暖簾を下ろすことにします。

手探りで始めた企画が、認知され、評価され、しーシュと云へば居酒屋、と出張もさせてもらふやうになり・・・。そのぶん負担は少なくはなかったけど、楽しんでやり続ける事が出来た企画だった。料理の腕も上がったと思ふ(笑)。

5年間の御愛顧に、心より感謝申し上げます。また何処かで、この暖簾とともに、お会いしませう。居酒屋椎修、これにて閉店。

14日(日)----------------------------------------------------------------

盆のお務め。女房方の実家へ里帰り。

昨日の疲労と酒が色濃く残ってゐるが、いつもの「ディープ瀬戸内」にて、まったりと盆の午後を過ごさせて頂いた。尾道市内でバァをやってゐる義弟に会えるのを楽しみにしてゐたが、今年は店が休めぬさうで、欠席。元気でやってるやうでよろしいが・・・。

色々と料理やお酒を出して頂いたが、やはりもぅ流石にあんまり喰へないなぁ。50歳だもんね・・・。

15日(月)-----------------------------------------------------------------

けふはワシの実家の方へ。

オフクロ、アネキ、姪っこ、3人の女性で暮らしてゐるこの家だが、暑さによる体調不良で、みんな参ってしまってゐるらしひ。オフクロなど、すっかり愚痴っぽくなってしまって・・・。

いつまでも音楽を演り続け、そのことにポジティヴに向き合う為に、いまを考へねばならないな、と強く思った。幾許かのカネを持ち、技術を失わず、プラス健康でゐること。その為にこっから先の10年を使おうと思ふ。

16日(火)-----------------------------------------------------------------

まだけふまでは盆休みの企業もあり、街や道路がやや静か。

ワシはレッスン。チャリで30分くらいかけて「出勤」するのだが、この行程で感じる風や空気が、心なしかやや弛んで来た気がするやうな気がす。気のせいかもしれんが・・。

いつぞやだったか、8月の中盤から後半にかけて旅をした事があり、日中はその暑さにヤラれても〜〜どぅでも良いやうなかんぢだったが、ある日の打ち上げあと、外に出てフと風が心なしか涼やかな気配を漂わせてゐることに気付いた。あれは、旅の途中で季節が変わる、といふのをはっきり体感した数少ないエクスペリエンスであった。まぁタマタマかもしれんがね。

晩に、6月に閉店した御贔屓酒場MACのオーナー、マックさんこと河野政則さんが病院で亡くなられた、と知らせが入った。けっこう前に喉頭癌と診断され、しかし治療を受ける事をせず、その流れの中に身をおいておられた。店を閉めたのも、さういふ部分もあっての事だったらう。しかしまだまだ元気だったし、ライヴの予定もあった。もぅ少しは大丈夫、と思ってゐたが、2〜3日前に急変したさうだ。

ここ数年は友人知人のライヴ会場やお店に、フラと顔を出すことが多かった。まるで友の軌跡をひとつひとつ確認してゐるやうだった。いや、まさにさうだったのだらう。流れの中に身を置き、取り巻く友たちの動静を見守り、長年愛された店を閉め、すべてにカタをつけ、逝ってしまわれた。カッコいいねマックさん。

御冥福をお祈りします。

17日(水)-----------------------------------------------------------------

日々やるせなき日常ではあっても、我らがすべきは音楽。そこは間違いない。

しーシュ、年に一回はなんらかの作品を発表する、とのスローガンの元、マキシシングル第三段として「小鉢其の参」の制作に入る。スタヂヲへ向かふ車の中で、エンジニアで友人のカズイから『スタヂヲの冷房が壊れたんぢゃが、どーする?』と打診(笑)。まぁそれでも演るしかあんめぇよ、とレコーディング決行。ワシら全国津々浦々色んな会場でライヴして、色んな環境で演って来た。冷房が効かぬくらいで!。

しかし流石に暑かったので、休み休み演る。今回はライヴで評判の良い弐曲と、書き下ろしに近い新曲を壱曲。プラス既存曲のインスト・ヴァージョンを壱曲、の4曲で構成。まぁまぁすんなり進み、探りながら録っていった新曲も、骨組みまでは完成するかんぢに。もっと時間かけてもえぇんだが、まぁ時間かけたから良いものが出来るとも限らず、イキオイで録ってしまった方が良いケースも多い。

夕方までかけて作業。その後、マックさんの通夜に遅れて出席。もぅワシらが行った時点で式は終わってゐて、帰り途中の友人と数名顔を合わせたが、まだまだどんどん弔問客は後を断たず、改めてマックさんの影響力、人望を感じさせる。既に親族席に安置されてゐた本人に会わせて頂いたが、お気に入りだったピンク色のTシャーツを着て、まるでフと起きて来さうな安らかな顔で眠ってゐた。

さようなら。お疲れでしたマックさん。また会いませうね。

18日(木)-----------------------------------------------------------------

WADAバンド朝練。

ギタリストとして、だいぶマシな仕事ができるやうになって来たこのバンド。おーきな声では云へないが、此所数日、レコーディングの時以外でベースに触っておらぬ。怠惰なベース弾き。良い事だとは思はぬが、そもそも毎日の練習を怠ると致命的!のやうな音楽を演っとるとは思はぬし、しばらくギター弾いて、またベースに戻った時のインスピレーションの方が、音楽の役に立つと思ふし、どーせツアーに出れば、毎日ベースしか弾かん訳だし・・・。

朝練のあと、レッスンまで時間が空いてたので、一旦帰宅。日中はもぅ辛抱たまらんくらい暑く、まぁレッスンには車で行かん、と思ってゐたが、いざ出勤となったら吝嗇が働いて結局またチャリで。けふは起き抜けにヂョギングもしたので、ヂョグ3km+市内までのチャリ×2回、と、無駄に体力を使った壱日だった。

つかれてしまった。

19日(金)-----------------------------------------------------------------

小鉢:其の参レコーディング、仕上げ。

こないだ録ったのを持ち帰り、おのおの聴き比べて意見を出し合い、必要なものを加え、要らんところは削ってゆく。この段になるとワシは、「しーシュのプロデューサー」としての役割も帯びはじめ、しーなさんに出すオーダーも増えて来る。もちろん、自らの録音も気に入らねば削り、また演り直しもす。

今回もやはりエンジニアの旧友カズイの手腕とセンスが冴える。『このやうに注文しやう』と、思ってゐたやうに仕上げてくれてゐる。プレイバックを聴きながら何度も『コレよ!』と絶賛。お陰でわりと早い時間に、全部の録音が終了。あとはワシとカズイの作業となる。

いつにも増して楽しいレコーディングだった。昨日の日誌にもあるやうに、このレコーディングでも、八割くらいはギターを弾いており、全体的にギター要素の強いアルバム、となるだらう。えせニック色は控えめ。ポップな仕上がりです。乞うご期待。

明るいうちから打ち上げ。

良い作業が出来たね、と乾杯。今後も録音物として形にしたい楽曲はまだまだ沢山あり、改めて「年に一回の作品発表」ポリシーは継続して行かうね、と合議。しーシュ現役として活動する限り、身体が、指が動く限り、咽が潰れぬ限り、『作品の発表とツアー』、これを主軸に続けて行かむ。さういふデュオであらむ。


4週目

20日(土)-----------------------------------------------------------------

孤独な営業「吟」@オリエンタルホテル。

これがこの夏くらいから、どーやら方針が変わったやうで、これまではライヴのてぃで演れてゐたもの、が、所謂レストランのBGMのニッチになりつつある。「ライヴ・バー」であったカフェがビュッフェとなり、演奏してゐる脇でスパイシーな煙が上がったりす。以前にも増して、お客さんが「聴かない」方向に傾いてゐる。

こは、音楽や芸術その他に造詣の深かった前の支配人が栄転になり、新しい支配人がニッチに収まった為、とか。支配人が変わった、といふ事は聴いてゐたが、一度も現場に顔を見せない理由はそれか・・。まぁ「経営方針が変わった」といふ事なのだ。多分あまり音楽に興味を持っておられん人なのだらう。仕方ない。

かなり演りにくくなるが、まぁ仕事は仕事。逆に云ふと、今よりもっと好き勝手に演ってえぇのでは?、とも思ひ、近々ピヤノのたらし弾き、でもしてみるか、とも思ふ。

21日(日)----------------------------------------------------------------

♪タマの休みの日曜日〜♪。

日中は「セルフ映画祭」。ターミネーター<ジェニシス>、とマッドマックス<怒りのデスロード>観る。いづれもハリウッドパワーにモノを云はせたやうな、圧倒的な火薬の量(笑)。特にマッドマックスの方は、世間がやたら騒いだだけのこたぁある快作。登場人物達のキャラが立ち過ぎてゐて、マックスは脇役的ニッチ(笑)。荷台でづっとギター弾いてる阿呆とか、設定が素晴らしいね。こらぁDVDを買い直さう。

ターミネーター、は遂に「別の時間軸」の話し、となり、こらぁまた続編が出るんやろな、と思ひながら。こちらもシュワちゃんは脇役・・・てゆーかギャグ要員、とすら思へる扱い。新しいサラ・コナー役の女優がカワイイ。ロリ顔で巨乳、といふまぁ日本人向けな・・・・。

夜は「月刊椎名:八月号」を見にふらんす座へ。日曜と云ふ事もあって、ふらんす座は超満員。しーシュのファン層とは全く違うお客さんだが、リピーターが多く、皆さん毎回しーなさんが「今回はナニを演るのか?」といふ事を楽しみに来てゐる、といふかんぢ。安定した集客力には、いつも感心する。

今回も、怪談あり、観客参加(ワシは成りゆきでハモニカ吹いた)あり、のバラエティに富んだ楽しいショウだった。見るたんびにウクレレが上達してゐるね。同時に、しーシュで「音楽のみ」のマンスリー企画をやって、ここまで毎回集客できるか?と云ふ事をフと考へる。まぁしーシュのプロデューサー、としては色々と考へる訳ですよ。

近隣で飯喰おうと思ってゐたのだが、この界隈は日曜日には休業するところが多いやうで、叶わじ。

22日(月)-----------------------------------------------------------------

北海道から帰ってのち、ギターの仕事が多く、レコーディングも七割ギター、その後も営業「吟」、とあり、ベースをほとんど弾いておらぬ事に気付き、慌てて練習。今週末からの遠征では、またあの山内薫上原ユカリ裕 両氏とのコラボもあるのだ!。ヤバいヤバい。練習しとかなきゃ!。

それとスーツケースが壊れたのをどーするか、も悩む。修繕すれば使えぬでもない。「修理セット」を忍ばせて旅立つか新調するか。新調するにしても、なかなか気に入ったのがナイ。昨今キャリーのほぼすべてが「4輪」なのだ。ワシは「2輪」が良い。それがナイ。ん〜〜〜〜〜〜。

23日(火)-----------------------------------------------------------------

スーツケースを見に行く。

ホンマに2輪のヤツがない。お店のおねぃさんに訊ねてみるも、やはり「ナイ」といふ。ん〜〜、4輪は「都市型」の旅に向いてはゐるが、悪路などを往かねばならん場合には不向き。ワシのやうに「スーツケースを持って移動」するタイプの旅人には、絶対2輪が良い。2〜3軒廻ってみたが、やはりナイ。こらぁ特注するしかないのかね?。

楽器もだが、いつもワシは「入れ物」に苦労するケェスが多い。

いつかこの「持ち物に苦労する」といふ旅から脱却する日が来るのだらうか、と思ふ。ローディがゐて、荷物はおろか楽器も人に任せて、自分は身ひとつで移動する。そんな日が・・・。しかし、多分そんな日は来ぬだらうな、との思ひは強い。いや絶対に来ぬ。

24日(水)-----------------------------------------------------------------

スーツケース探す。やはり二輪のヤツがない。あっても物凄いハイエンドなやつか、物凄いヘヴィデューティなやつ。まぁづっと使うつもりなら高くても良いんだけどよ。さうなると、せめて今使ってるヤツが、ホンマにバラバラに壊れてしまふまでは使ったらうか、と云ふ気にもならぁな。まだ悩む。吝嗇なワシ。

夜はぱんぱかトリオのリハ。名古屋はストレガでのライヴを想定してのリハ。良いかんぢに演奏が熟れてきたトリオだが、しーシュのツアー内での壱日、なので、残念ながら縦べぇはムリ。せめてう"ぃを子でも持って行ければ良いのだが、それも無理。まぁ今回はカラスで演らせてもらおう。

リハのち、カワちゃんの友人のバースデイに贈る、といふビデヲレター・・といふかミュージックレターを撮る。グランドピヤノの上に三脚を立て、スタヂヲ・ライヴを俯瞰で撮る、といふ形だが、これがなかなかエェ映像になり、これをなんか公開せんか、みたいな話しに・・・。

これです。えぇかんぢですよ。

25日(木)-----------------------------------------------------------------

しーシュのシングル「小鉢:其之参」ミックスダウン。

しーなさん多忙にて、ワシに一任される。まぁワシはしーシュのプロデュー・・(以下略)

エンジニアのカズイとあれこれツツきながら、音を出したり引っ込めたり。カズイも、もぅしーシュを録ってくれるやうになって長いので、だぃたぃワシが望むやうな形をあらかじめ作ってくれておる。ので、そんなに直す所もない。カズイはカズイで、色々やれて楽しいのださう。

今回とくに「サンダル履いて」が秀逸だと思ふ。ちょいとオリエンタルなビートルズ解釈、といふか・・・。

ひとまづマスターが完成。これをオンデマンドで焼き増しまくり、ツアーにて全国にバラ撒いて来ます。乞うご期待!。

26日(金)-----------------------------------------------------------------

こないだミックスダウンの作業をしながら、カズイと色々語った中で、「マルチ・プレーヤー」の話題が出た。

ワシはそれこそカズイと一緒に音楽活動をしてゐた350年ぐらい前に、すでに複数の楽器を演奏する、と云ふ特技があった。そは、ポール・マッカートニィやブライアン・メイが、アルバムん中で色んな楽器を演奏してゐる、といふ事に、やはり憧れがあったのだらう。さういふミュージシャンになりたい、と思ってゐたフシはある。バンド内や仲間内で、演り手が確保しにくいパートは、率先して引き受けた。

んで、やはり「図々しい」のだ。

人によっては、よく其の程度の腕前で人前で演奏するね、といふレベルでも、ワシは躊躇わずにステージで演奏する。出来れば上手く弾きたい、とは思ふが、上手く弾けなくても別にイイや、とも思ふ。そんな事ではヘコたれない。ので、本職のピヤニストやギタリストの前でも、へーきでピヤノやギターを弾く。いや・・・へーき、といふ訳ではないけど・・・。まぁ、図々しい、のだ。

カズイの云ふところによると、最初頃は単に「器用なやっちゃな」と思ったらしひが、やがて「楽器のコツを掴むのが異常に上手い」人間、と気付いたのださうな。へ〜。彼のやうに、日夜色んなミュージシャンの色んな演奏を見聞きしてゐる者からさう云はれると、単純に嬉しい。

しかしまぁワシに云はせるなら、ホンモノのマルチ・プレーヤーといふは、そんな事は遥かに凌駕する境地にゐる。メセニーん処にゐた頃のペドロ・アズナルやリチャード・ボナだってさうだし、今のメセニーグループにゐるヤツ(名前忘れた)など、「ファースト・サークル」の全パートをひとり多重録音で演ってる動画をメセニーが見て、ぢきぢきにスカウトされたのださう。日本人だって、ワシとも交友のある超絶ドラマー、たっぴーこと岩瀬立飛氏など、ピヤノも達人級だ。

そんな人達に比ぶれば、ワシの「マルチ」ぶりなど、児戯にも等しい。でも、複数の楽器を演奏するのは、無条件で楽しい。だからけふもワシは図々しく、ギターを弾き、ピヤノを弾き、ベースを弾き、タイコを叩き、唄を唄うのだ。へへへ。


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