2014年春の花粉前線ツアー記

29日(土)千歳烏山TUBO/ 朋郎---------------------------------------------------------------------

夜行バスで早朝に東京入り。楽器につひては何も云はれなんだので安堵。

まづは定宿、吉祥寺は久保田涼子邸に身を寄せ、夕方まで休憩。小田急線にて千歳烏山に向かひ、けふのホスト、江戸前ポップデュオ朋郎(内藤哲郎、武田朋子)と合流。サ店にて打ち合わせ。会場のTUBOに入り、セッティングしてリハして・・・とやってたら、どーやら時計が止まってゐたやうで、気がつけば開場5分前!(笑)。みんな大慌てで準備して、まぁなんとかお客さんをお出迎え。

ライヴは朋郎→ワシら→4人コラボ、と進む。狭くない店に満員のお客さん。朋郎ファンを中心に、ほとんどが初めてウチらを見るお客さん達であったが、反応は充分。たいへん喜んでいただき感謝。和太鼓、篠笛、ピヤノ、ベースによるセッションも大好評で、良い滑り出しを飾れた。

けふのライヴを企画してくれた朋郎のふたりに大感謝。

ちなみに彼らのニゥアルバム「はるばる」のジャケは、ワシらがしーシュの次回作のジャケに思ひ描いてゐたモティーフとそっくりで、「ヤラれた〜!」といふかんぢ。多分、自分達デュオに抱いてゐるイメェヂのやうなものが、ワシらと同じなんだらうねぇ。先を越された事は悔しいが、よ〜し、ならばウチも・・・!、といふ気にさせてくれる朋郎。彼らの友人である事にふさはしぃ中年デュオでありたい、と思ふ。

演目:Dance/亀の庭/みみづく時計/夢見るアンコウ/夜の駱駝/みんな月を見てゐる/苔の記憶。コラボ:アランの丘/砂に泣き/スペイン/星空の渉/ピクニック。

30日(日)下北沢Blue moon/しんごとひでこ、りか&凉--------------------------------------------------------------------

けふはウチらの企画。男女デュオ3組による「遠くて近きは男女の仲」。

さういや昨日の朋朗も男女デュオで、今回お江戸の二日間はすべて男女デュオとの邂逅ツアーだな。会場はワシらの東京ホーム、下北はブルームーン。3組とも紳士淑女の集団にて(笑)、会場入りからリハ、本番に至るまですべて、見事な「On Time」。きっちりリハを済ませ、本番までの間にのんびりと腹ごしらえができる、と云ふ。かうでなくてはイカン。

本番も3組がまんべんなく呼んだお客さんで、補助椅子も出る満員。これまた3組とも見事な熱演で会場大盛り上がり。夫婦デュオ「しんごとひでこ」の進化もとくと拝見できたし、ヴェテラン「りか&涼」の脱力ぶりも相変わらず良い。勢いを受けたワシらも、トリを務めるにふさはしい出来だった、と思ふ。素晴らしいイベントとなった。

しんひで〜は下北初登場。勝手に「親戚の子ら」のやうに思ってるワシらも、彼らの活動場所拡大に、一役買えたなら嬉しい。そしていつも気軽に演らせてくれるブルームーンの正樹&順子夫妻にも大感謝。

!お?!。さういやブルームーンも夫婦経営・・・つまり男女デュオだ。さうか、この日は『男女デュオ4組』による祭典、だったのだな。

演目:月の路/亀の庭/みみづく時計/ペンギンカフェで逢いませう/羽の記憶/砂に泣き/歳をとった鰐/Dance。

31日(月)移動日--------------------------------------------------------------------

けふは名古屋へ移動するだけの壱日。

18切符でのんびりと夕方までかけて名古屋入りし、軽く晩飯喰ってさっさと寝てしまおう、と思ってゐた。その時、しーなさんに御父上逝去の報せが入り、彼女は急ぎ新幹線で帰郷。象徴するかのやうに、今朝からの陽気に桜が咲き乱れ、富士山がくっきりとその全貌を見せてゐた。その桜吹雪のなか、ワシはひとりで名古屋へ。

長く病床に居られた御父上なので覚悟はしてゐただらうが、しーなさん辛からう。そんな相方に思ひを馳せながら、まぁひとりで名古屋の夜を過ごす。

4月1日(火)名古屋りとるびれっじ/ソロ--------------------------------------------------------------------

連絡を取り合った結果、やはりけふの名古屋はワシひとりで敢行する運びとなった。

急遽ひとり、といふ事にはなったが、もともと名古屋びれっじはワシがひとりで来始めた場所。演奏の内容に関しての問題はなからう。しかし、此所数年はづっとしーシュでの来名にて、しーなさんのファンも多い。しーなさんが出ぬのなら見ぬ、といふ人も居らう。ので、潔く「号外」を出し、けふのがワシのソロになった事を発信する。

来場のお客さんにはひとりづつ口頭で説明し、納得の上で見て頂いた。幸いな事に会場まで来られて『ぢゃあ』と引き返す人は居られなんだので・・・。

しーなさんの御父上にも届けるやうな思ひで、粛々とソロをこなした。マスター幸至朗さんにも数曲手伝ってもらひ、またギターを借りて演ったりもした。満場のお客さんから心のこもった拍手を頂き、近く必ずデュオで「リマッチ」する事を伝える。皆さんホンマにありがとう。

演目:ツアー/君が亡くなって壱年が過ぎた/カプチーノ/夜の駱駝/微熱/バク/山(以上壱部)。サグラダファミリア/あじさい/スマイル/凛/さらば恋人/夜明けの海ごっこ/Dance/らのえてぃあ(以上弐部)。World is not One/千年刻みの日時計/坂に続く道の途中で(以上アンコール)。

2日(水)滋賀八日市太子ホール/オイワカモリ、山田さとし&坂田可織---------------------------------------------------------------------

しーなさんから連絡。けふから戦線に復帰、と。さうか、よし。

彼女はなによりも『音楽で活くる』といふ部分にこだわって走り続けてゐる人間で、その部分こそがぢつはワシらの最も深い絆として認識しあってゐる部分でもある。昨年、ワシが親父の通夜を抜けて仕事に行った時も、まっ先に理解を示し、サポートしてくれたのもしーなさんだ。最悪、昨日含む3日間の中部〜関西の3本をソロで演る覚悟はしてゐたが、彼女の判断を拍手で受け入れやう。先に会場入りして待つ。

そんな思ひが通じたかどーか、滋賀の笛吹き怪人、山田さとしらやオイワカモリの皆さんらと合流してあれこれしてゐたが、ワシが夕方フと表に出てみたら、ちょうどタクシーから降り立ったしーなさんとばったり。おかえり。

けふの会場「太子ホール」は、八日市商店街が経営する他目的ホール。マスター(皆は親しみを込めて『番頭さん』と呼ぶ)の田中さんは、オイワカモリの御三方と深く長い付き合いらしく、場内和やかムード。日頃は町内会のイベントなどにも使われるらしく、ステージも広く、客席もゆったり。よいかんぢだ。

ライヴは手加減なし。先陣のオイワカモリ、次峰のさとし可隣デュオの熱演にも触発され、良いパフォーマンス。しーなさんの御父上にも届いたであらう。

満場のお客さんはもとより、事情を全て知り、けふのライヴを共に盛り上げてくれた、オイワカモリのオイワさん、若ぽん、なおっち。さとしと可織ちゃん。会場の太子ホールマスター田中さん。そして、何より、共に唄う事を心に賭して、山口から戻って来た我が相棒に、大感謝。

演目:ツアー/亀の庭/苔の記憶/Dance/夢見るアンコウ/羽の記憶/砂に泣き/歳をとった鰐。

3日(木)大阪Izumi house 1127/泉尚也ユニット、村治進--------------------------------------------------------------------

けふは大阪の「アニキ」泉尚也さんの経営するスタヂヲで。

けふ泉さんのユニットでドラムスを叩く田中昭宏は、250年前ぐらいの生徒。ワシがインストラクター中堅に差し掛かった頃、中学生の生徒だった。だいぶ前から大阪に出ており、ちゃんと音楽で生計を立ててゐる。何度か見に来てくれたりもしてゐたが、共演するのはけふが初めてだ。その彼が、泉さんのドラマーとは・・・。

集客を心配してゐたのだが、本番時には文字通り立錐の余地のナイほどの客入り。逆に酸欠が心配なほどの。出演時以外メンバーも中に入れぬ、といふ盛況ぶり。

けふの為に我らが誘った、大阪の「パン野郎」こと、スティールパンの村治進が、ワシら泉さんら双方に絡む見事な仕事ぶりで、改めて彼のスゴさを思ひ知る。ワシらの曲に入るだけでなく、彼の楽曲にも入ったりして、共演を楽しんだ。

その後、全員入り乱れてのセッションも楽しく。よぅ盛り上がりました。ただまぁ、お客さんはホンマに「窮屈」だっただらうな、と。満場のお客さん、ありがとうざいました。

終演後は、泉さん自慢の「bar Izumi house」(スタヂヲの2Fが受付兼バァになってゐて、これが素晴らしい居心地良さ!)にて、出前の料理をつまみつつ。共通の友人、ピヤノ弾き語りの清水明日香ちゃんも来てくれてゐて、楽しく話しの尽きない夜。

演目:月の路/亀の庭/苔の記憶/夢見るアンコウ/砂に泣き/ぎやまん。セッション:スペイン/リトルウィング。

4日(金)移動日--------------------------------------------------------------------

さぁいよいよ、しーシュ初めての北の大地----北海道へ!

いろいろ(しーなさんが)調べた結果、今回は関西空港からのアクセスがもっとも安上がり、と云ふ事で、それに合わせて昨日までお江戸から南下して来る行程を組み立てた。ので、東京から大阪まで来てまた北海道へ引き返す、てのも、別にオカシクはないのであります。

関空・・・200年前にインドへ行った時に使って以来だ。もぅどんな風にして行ったのかなぞ、ナニひとつ憶えておらず、へぇーこんなかんぢだったのか、と。国際線スタッフのガサツな応対に数々の辛い思ひをしたワシには、この国内線のアテンドがサービス過剰にすら思へる。これなら楽器を預けても大丈夫だらう。安心して搭乗し、一路北海道へ。

千歳空港からは電車。さっそく窓の外に拡がる雄大な風景に圧倒される。札幌市内で明日のライヴのホスト、ハモニカ吹きの千葉智寿さんと合流。打ち合せも兼ねた宴会。千葉さんオススメの小料理屋で、北海ならではの美味料理を頂く。明日の会場、ファッジにも顔を出し、けっこうベロベロになるまで呑んぢったぃ。

5日(土)北海道 札幌fudge/千葉智寿---------------------------------------------------------------------

さぁいよいよ、しーシュ初札幌ワンマン。

初めての地でいきなりワンマン、てのも無謀な話だが、今回は千葉さんのお力も借り、あえて挑んだ。さぁどーなるか、と思ってゐたが、蓋を空けてみるとぎちぎちの満場。補助椅子も足りなくなるほどの満員御礼。千葉さんや、ファッジのママ美也子さんが、かなり力を入れて宣伝を拡げてくれてゐたのだ。なんとお礼を申して良いやら・・・。良いライヴを演って恩義に応えるのみ。

初の地ではあったが、ワシらのファンも各地から訪ね来てくれており、ホンマにリラックスして演奏に集中できた。昨日のうちに会場に来て、音場の加減を確かめてゐたのもよかったのかもしれぬ。素晴らしく演りやすく、思ひ返しても、今ツアーでいちばん気持ち良く唄えたライヴだった。千葉さんのハモニカに入って頂いた数曲も珠玉の出来栄。広報に尽力してくれた方々の恩義に報いるライヴができたやうで嬉しい。

打ち上げもこれまた『The 北海道』といふかんぢの各種料理を振舞って頂き、感謝感激。また近いうちに必ず来たい!と思った札幌の夜であった。皆さん、本当にありがとう。

演目:Dance/亀の庭/苔の記憶/夜の駱駝/あじさい/みみづく時計(以上第壱部)。ぎやまん/サイドカーに犬を乗せて/ペンギンカフェで逢いませう/夢見るアンコウ/ハイギョ/砂に泣き/みんな月を見てゐる(以上第弐部)。ツアー/歳をとった鰐(アンコール)。

6日(日)北海道 釧路HOBO--------------------------------------------------------------------

北海道二日めにしてツアー最終日は、さらに北へ!。

当初、札幌のライヴが決まった時、イキオイでけふの釧路を決めた。「となり町」くらいの感覚で思ってゐたのだが、釧路と札幌って特急列車で4時間くらいかかるのださうな。北海道認識の甘さを痛感した。しかしまぁここは「乗り鉄シュウ」。そんなオイシさうな電車に乗らぬ訳には行くまい。てことで、札幌→釧路間スーパー特急おおぞらを早くから予約。

そして電車が走り始めて、改めて自分の北海道認識の甘さを痛感。ホンマにすごい所なのだね北海道って。よく『ジャスコまで110Km』とかいふ看板がネタにされてゐるやうだけど、実際その地に来てみると、そのスケールに納得する。果てしない大地の広がりと、時折見える荒れる海原に、感嘆の声を上げっぱなしのワシでありました。

さて、釧路駅にはカワちゃんが待ってゐた。けふのライヴは「ぱんぱかトリオin釧路」といふ事で、カワちゃんにブッキングしてもらったもの。北海道での唄旅に慣れてゐるカワちゃんは、今回も既に道内で何本か演った最終日。会場のHOBOに入り、適宜セッティング&リハ。

日が暮れて来ると周囲の風景の寂寥感はいや増すばかり。シルクロードを旅した時に見た敦煌の風景に良く似てゐるが、外を歩いてゐる人が圧倒的に少ない。果たしてお客さんは?と訝ったが、これが開演時間には満場。良い音楽を聞かせる店、としてHOBOがあるからこそ、の事だらう。

ぱんぱかもだが、勿論しーシュだけの独立したコーナーもあり。ちょいと音場が作り切れず、ぱんぱかトリオの演奏共に、ちょっっっと不満の残るライヴとなってしまったのは残念。もっと時間をかけて音作りをすべきだった、と反省。しかしお客さんはたいへん喜んでくれ、「また釧路に来てね」との声も多数。ありがとうざいます。

打ち上げはこれまたマスター大河内さんの、北海道メニューの嵐!。ジンギスカンに刺身におにぎりにスパゲティにラーメンに、と胃袋がもう2コぐらい欲しいかんぢの腹一杯状態。大河内さん、スタッフのオレンジちゃん、ホンマにありがとうざいました。

演目:月の路/Dance/苔の記憶/夢見るアンコウ/砂に泣き/歳をとった鰐(以上しーシュ)。グリーンピィスおばぁちゃん/記憶の旅/珈琲一歩/コンパス/満月の夕/瀬戸の夕凪/明日晴れたら/竜王公園/サンシャイン/銀河鉄道(以上ぱんぱかトリオ)。

7日(月)移動日-------------------------------------------------------------------

昨日ホテルに泊まったのだが、チェックインしてみると3人の部屋が並んでゐた事が判明。どーせなら雑魚寝にせぬか?とダメ元で大部屋に換えてもらへるやう交渉した結果、成立。修学旅行のやうに3人布団を並べて、楽しく深夜まで飲み語った。

けふは帰広の壱日。バスで釧路空港→羽田でトランジット→岩国空港→カワちゃん車で各自家へ。終始3人で行動し、バンドのツアーのやうなかんぢで楽しい。飛行機にかかれば日本は狭いもんで、夕方には広島へ。ついさっきまで寒い釧路---日本の北の果てに近い所にゐた事が信じられぬかんぢ。まぁ、広島に帰ってきたのだ。

例年になく長い春のツアーだった。

色々な事があったが、総じて人に救われ、人と深く関わった旅であった。

ライヴは全ての会場で満席。CDも全部売れ、手ぶらで帰って来た。生臭い話だが「金銭的にも」かなり成功したツアーだった。これを次に繋げて行かねば。ライヴに感動し、CDを買ってくれたお客さんが、またワシらのライヴに脚を運んでくれるやう、良い曲を書き、良い旅を続けて行こう。

各地で出会った素晴らしき人々に、感謝。

旅を続けやう

友よ。