2月


1週目

2月1日(木)------------------------------------------------------------------------------------------------------------

『1月は去ぬる』といふが、今年の1月は、まぁ代行レッスンだのあったせいか、えらく長く感じたな。てな訳でけふから2月だ。2月は珍しく1本しかライヴがない。そのぶんレコーディングに力を注ぐかね。

ビデヲを処分して行くにあたって見直してゐるが、1990年のバンドコンテストのVが出て来た。こてこてのアマチュアだが、あんまり変わってないな、ワシ。てゆーかあんまり写ってないし。昔から『ギターみたいに弾くヤツ』と云はれてゐたし、自分でもさう思ってゐたが、今見たら意外なほどキチっとしたベースラインを弾いてゐるね。

それにしてもオモロイのは他のバンド。当時、男のファッションが信じられんくらい画一的で、しかもこれがダサいのなんの。女性は女性でみ〜〜んな聖子カットだし。でも当時はこれが「イケてた」訳よ。つくづくファッションなんざ一過性のもんだな、と思ふ。

2日(金)---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

専門学校、学期末最後の授業。来年度からは授業のコマ数も増え、結構大変になるだらうな。将来的に、なんかどっかの大学の客員教授ぐらいにはなれんものかな?などと身勝手な事を考えてゐる。90分、ライヴの経験談やらツアーの話をして終わる、とか。さういう教授(笑)。

昼から「自主トレ」に入る。春のツアー、といふか今年の基本的な演目、の準備。2年ぐらい大体同じやうなラインナップで演って来たのだが、一新、とまではいかんまでも、ちょいと新しくしたい。貧乏な劇団は大体一つのシナリオを2〜3年かそれ以上演り続けるらしいから、まぁワシもそれぐらいの周期かね?。新曲をふたつと旧曲のアレンジ違い、カヴァーをふたつラインナップに加える。これと人気曲を合わせると、大体1時間は演れるラインナップとなる。

私立中学を受験するガキの数が過去最高となった、とのニュゥス。いかにまぁ公立が期待されてないか、を物語る話だが、しかしこやつらって、勉強したい訳ぢゃなくて、とりあへずイイ学校入ってたら後々イイから、ぐらいの発想しかない訳でしょ?。哀れな人達である。


2週目

3日(土)------------------------------------------------------------------------------------------------------------

けふは色々とやることある。まづは昼過ぎ、時間調整で早まった代行のレッスンを一人だけ。その後すぐにアクターズに行き、女の子ユニットの監督。引き続き少年のチームも見る事になってゐたが、風邪ひき者続出でキャンセルとなり、大量に時間があまった。夕方までヒマを潰し、普通のレッスンをした。こちらも休み多し。

色々とやる事の多かった壱日だが、週例のしーなとシュウのリハはお休みだったので、久しぶりに土曜の夜ウチにゐて、「世界ふしぎ発見」を見た。

4日(日)-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

アニータさん、といふのが来日してゐる。いや、彼女はスターでもなんでもなく、青森かどっかのエラい人(服役中)が彼女にホレて県民がおさめた血税を何億やら貢いだ、といふ、まぁたいへん困った人なのであるが、なんか自国では超有名人になってゐるらしひ。案外『阿呆な日本人から金をせしめた』って事で英雄なのかもしれんが。

ワシは外国から出稼ぎに来た女の子がホステスをしてゐる店で、バンドマンとして働いてゐた事がある。その時、彼女らホステスさんから色々と話を聞いた。みんながみんな母国では大変な苦労をしてゐる。学生になるのを諦めて出稼ぎに来てゐる娘もゐる。日本に来たからと云って大した金を稼げる訳ではない。なんのかんのとピンハネされ、自国に仕送りをして、手元に残るのはわずかなものだ。それでも、彼女らが日本で稼ぐ金が、故郷の家族を支えてゐる、といふ。日本の同世代の女の子が(当時)バブルに浮かれ騒いでゐたのと比ぶれば、大変な人生だ。

年齢もサバを読み、ホンマは自国にダンナも子供もゐる、とワシらには教えてくれる彼女らが、金さえ払えば彼女らに何をしても良い、と思ってゐる阿呆な日本の中年男ども(これも大抵は妻子持ちだった)から金を巻き上げたとして、ワシは責める気にはなれん。そんな阿呆な男どもなど、どんどん騙してどんどん貢がせてやれ!とすら思ってゐた。

で、そのアニータさん、日本に来てもスターのやうに振る舞ってゐるのがうっとぉしぃ。全然美人でも可愛くもなく、ハッキリ云えばブサイクな女性である。ロクでもない役人が、国民の血税を自民党とゼネコンに注ぎ込むも、女に貢ぐも大した違いはないとは思ふが、どーせならもちっと美人に貢ぎゃぁ良かったらうによ・・。

5日(月)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

入院してゐる先輩ベーシストアサキさんへ、二度めのお見舞いに行く。DVDを何枚か差し入れす。どちらかと云へば「太め」の人だったアサキさん、いまはワシより痩せてゐる。術後の経過はだいぶ順調さうである。

ネット無礼、とでも云へばいいのか、例えばファンメールを出しても返事がない、コンタクトをとっても応対無し、さういふ人が意外に多い。ワシは見知らぬ人からのメールにも、きちんと返信するし、その場合も精一杯丁寧な文体に気を付けてゐる。読んで不快にさせない文章を書く自信はある。それに見向きもしてもらえぬでは、もう為すすべはない、よね。

せめて自分は、手違いでもそのやうな事がないやう、気をつけるのだ。

6日(火)-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

専門学校がないので午前中で現実に取り組む。かういふ日も必要なのだ。現実に戻って現実に向き合う。まづ、洗濯。布団を干し、部屋中に掃除機をかける。食器を片付け、ついでにシンクも磨く。イグアナの温室のガラスを磨き、ついでに自分の頭も剃る。全部終わるとお昼。ナイスな午前の使い方だ。

レッスンの後、今月の「In duet's」のリハ。ベースの中野力さんとスタヂオに入る。お互いのオリジナルを3つづつ持ち寄って演る。さすがにチカラさんぐらいのレベルの人と一緒に演ると、話が早い。すぐライヴが出来さうなかんぢ。要は想像力だな、とつくづく思ふ。後で録音したMDを聴いてみると、意外にも音色が似てゐたので笑ってしまった。

夜、この時間帯でリハをしたのはオルカ団以来で、久しぶりに日付けが変わる頃、ウチに帰る。たいへん温い壱日だった。

7日(水)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

年に数回か数年に一度、生徒達が一気に辞めてしまふ事がある。今がその時期らしく、またひとり就職活動を理由に退会を表明す。アー、上向きにならん仕事やな。

で、レッスンの空き時間を練習して過ごすのだが、最近、フレットレスとE-bow(電磁石で弦振動を引き起こす装置)とループを使って『完全調和音』を作る、といふ、まぁ遊びのやうな事を良くやる。1th,5th,8th,12th,16th〜と、まぁメヂャーもマイナーもない、完全な和音のことだ。宇宙的に美しいのだが、フレットの無い楽器か、それ用に調節された楽器でないと絶対に出せない。これが大した音量を出してなくても、ものすごいヴォリゥムになる。ぐぉんぐぉん響き、壁がびりびりと震える。これを作って30分ぐらい鳴らしっぱなしにする。

永遠に(でもないか)重なるパワーコードの響きの中に、ひゅっと旋律が現れるやうな気もする。自然に『オォォゥアァァエェェ〜〜〜!!』なんて叫んでたりする。隣の部屋では「ぱかぱか号」のMIやんがヴォーカルのレッスンをしてゐて、さぞやおびえてゐるだらうな、と思ひつつ

8日(木)---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

ベースと、ワシのもう一つの使用楽器であるところのループ。サンプリング時間最長16分を誇る、しかし現存する一番小さいループマシンRC-2を新たに購入。ちょいとスウィッチにタイムラグがあった前機種より反応がジャストだ。補正器機が必要なのを差し置いても、このサイズならベースのケースに入る!。呑みのついでにぴゃぴゃっと出演するイベントなんかにはもってこいだ。さぁ出演依頼カムオン!。

て、云ってたら、ホンマにクラブイベントへの出演依頼。レッスン帰りにぴゃぴゃっと行って、演りますかね。

9日(金)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

春のツアー、3/27から4/7まで、東京、名古屋、京都、大阪、兵庫、広島、と続く全9ケ所の日程が決定した(やうだ)。割と休みなし、ですな。大丈夫かいな。それから帰って来て多分すぐ、今度は九州〜山口への短い遠征がある。身体はまぁアレですが、経済的にどーなんですかね?ワシ・・・・、といふかんぢ。

かういふ事をやって行かう、と決めた2002年頃、ホンマに月イチで小さいツアーをこなしてゐた。あの時の、なんか自分が完全に「解き放たれて」ゐるやうに思った感覚は、今もよく憶えてゐる。それを考えれば、今はまぁ慣れたせいもあるだらうが、あんまりうきうきした感じにはならん。人間って厄介だね。


3週目

10日(土)------------------------------------------------------------------------------------------------------------

朝9:00からSoe'sのリハ。けふはマサミの曲を練習す。さすがにこの時間だと指が動かんねぇ。帰り際マサミが『あと2〜3曲作ってくれ』との事。さうだね。偶然なのだが7拍子の曲ばっかりなので、違うのも欲しいね。でもこの編成なら、フツーの曲をカヴァーするだけでオモロいものになりさうなんだな。

昼からはツンちゃんに誘われ、チャリティコンサートに出演。某所福祉施設にて障害者のパーカッションチームと共演だ。目玉は河野康弘さん、といふジャズピアニストの方との即興セッション。この河野さん、全国のピアノがあるところなら何処にでも駆け付けて演奏する、といふかなりデラシネな事をやっておられる、デラシネの大先輩、みたいな人。今も長い旅の途中らしい。「ホームレスみたいなモンですよ」と笑ふ。この日も譜面も何もない完全な即興のセッションだったが、「旅」に裏打ちされた懐の深さで、ぢつに良い演奏となった。いいなぁ河野さん。

旅するにあたって、何となくワシは『もっと急がねば』みたいに感じてゐて、しかしこの河野さんのやうな人と接すると、まだまだゆっくりと、なんぼでも種を蒔けばいいんだな、と思へる。河野さんの音が、さう云うてゐる。脱帽であった。

もっと一緒に演ってゐたかったのだが、なんとも殺生な事に、ワシはケツカッチンにて、途中退席。Tssまで行き、先週に引き続き、女の子のユニットの監督。さらにアクターズのレッスン。

夜はしーなとシュウのプリプロ録り。けふは「歳をとった鰐」をワシの唄ヴァージョンで録る。これは、デュオとしてのアルバムならばシュウの唄も入れるべき、といふ椎名さんの意見からこうなった。ライヴでは今まで通り、椎名さんがヴォーカルを取る。ワシは、ベース、唄、パーカス、コーラス、全てテイク1でオッケー!。どーだ?!これがプロフェッショナルといふものよ。

11日(日)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

広島大学跡地にて、恒例の『千田わっしょい祭り』に出演。まづは身体を温める為に、パーカッション軍団に参加してジェムベを叩き狂う。3曲ほど演奏。続いて専門学校の生徒だった、竹田ちはるのバックをツンちゃんと務める。初めての共演だったが、終演後、「是非このユニットで演ってほしい」といふ仕事が舞い込む。やったねちはる、初仕事ゲットだぜ。

その後Far east lounge で演奏。新曲や旧曲の新アレンジなどもあり、仲々オモロかった。Far east〜、もっとライヴやろーよ。ソロも演ってこれも好評。終演後、中学校の先生、といふ方が声をかけてくれ、「たいへん素晴らしかった」との言葉を頂く。何となく、4弦ベース1本でなんでも演る、といふ事にふっきれてきた感あり。

2:30といふ中途半端な時間に終わり、ワシは夕方から他の仕事が入ってゐたので、家に帰る訳にも行かず、仕方ないので海辺の駐車場に車を停めて3時間ヒマを潰す。メシを喰ったり、本を読んだり、散歩したり、なんかデラシネをやってるやうないい気分だった。愛車をモーターホームに改造したい気持ちが、またぶり返して来た。自分独り車を転がして全国を唄って廻る、といふのは、絶対に一度はやってみたい夢なのである。

夕方からまたTssでレッスン。アー、昨日今日はさすがに疲れたな。

12日(月)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

朝、いつものやうにヲーキングをしたが、明らかに疲れが全然抜けておらず、朝飯を喰ったらすぐ眠くなる。コタツに入ってうたた寝。結局一日中眠かった。

13日(火)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

しーなとシュウ、レコーディング作業本格化。これまではワシが自分のMTRで録ってゐたが、けふからはロジックで、ホンマにPCに録って行く。本日は『水母の夢』から。ワシのアイディアで、鍵盤系を入れずに弦楽器のみでバックを作る。ループに切り張り、サウンドのパッチワークのやうな録音。これはこれで慣れれば良いのだらうが、ワシのやうにスタヂオの電気を消して、ガーっと『入って』演奏するタイプの人間には戸惑いが多い。まだ修行が足らんなぁ。

それからレッスンに行って、夜はチカラさんとIn Duet'sの最終リハ。なかなかエェかんぢである。

なにか気がつけばえらいバタバタと忙しい日々を送ってゐるが、のらりくらりとそれを楽しんゐる。なんかこの頃、自分がオモロい。

14日(水)----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

こないだ夢の中でメロディを聴き、ガバと起き出して寝惚けた頭でそれをメモっておいた。往々にしてかういふのは、正気になってみるとなんて事ないモノだったりするのだが、今回は、まぁ結構時間はかかったが、珍しくちゃんとした曲になった。大急ぎで歌詞も書き上げる。とりあへず演ってみてアレンジを加えて行く事にしやう。

最近、晩酌にビールを呑むと、それだけで腹が一杯になってしまひ、飯を喰ひ終わると動けぬぐらい苦しい。胃が小さくなってゐるのだらうが、その割には、一時期よりハラが出てゐるやうな気がする。暖冬だ異常気象だと云はれ、実際に平年よりかなり温いのだが、何故かワシひとり、寒い寒いと云うて家の中でもマフラーをしてゐる。外界とのコンセンサスが上手くいってないのだらうか?。

15日(木)-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

けふ、ワシが使おうとしたスタヂオに、先客がゐた。終わるまで待ってたら女子高生のバンドが出て来た。その後スタヂオに入ったら

クサい!

香水臭いとか、女臭い、とかさういふのでなく、純粋にクサいのだ!。またしても汚ギャル!。運動部の男でもここまでクサいだらうか?と思ふぐらいクサい!。吐き気が込み上げるくらいクサい。毎日毎日同じ制服を着さされてゐるのだから、無理ないのかも知れんが、クサい!。辛抱ならンぐらい、クサい!。

女子高生が端から云はれてゐるほど美しいものではない、のは知ってゐるつもりだが、これはなんぼなんでも許せぬ。ワシの生徒にも何人か女子高生ゐたが、少なくとも彼女らがクサかった事はない。今すぐ風呂入れ!お前ら。

16日(金)------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

そろそろ兆候の出て来た花粉症の対策に耳鼻科へ。「来ましたか」と云はれ「来ましたね」と答える。もう慣れたもんで薬を1ヶ月分もらふ。

さぁけふはIn duet'sだ。5:00に会場に入り、サウンドチェックなど。ここでワシのアンプが「イって」しまってゐる事が発覚。仕方ないので、会場据え置きのやつで演ることにす。けふの相方中野チカラさんと、音楽と自分のあり方、なぞを話してゐるうちに本番。会場はほぼ満員。まづはユルくワシのソロ即興から始める。

ソロで、即興〜月の路/春/振り向いたらトゥアタラ(新曲)/凛(新曲)、を演った後、チカラさんを呼んでQas ma-taz/Join us。で前半終了。後半は、音戸の舟歌(チカラソロ)/水の駅/swan/出発/くだぎつね。アンコールが来たので、完全な即興をひとつ。

まぁ相当マニアックな代物だったと思ふが、お客さんは楽しんでくれたやうだ。チカラさんも絶好調で、よいかんぢにハジけてくれた。参加者が楽しんでくれてゐる姿は、ホストとして最高の評価である。ワシとしてはソロの新曲、ループを使わない、しかもアップテンポの曲「振り向いたらトゥアタラ」が成功したのが秀逸。ツアーのレパートリィが増えただけでなく、新しいタイプの曲としてラインナップの重要なニッチとなるだらう。

終電で帰るつもりだったが、約一名酔っ払いが居り、それの世話をしてゐたら終電を乗り過ごし、仕方ないのでPICOに行って、ツンちゃんと少し呑んで帰った。


4週目

17日(土)------------------------------------------------------------------------------------------------------------

盛況だった昨日のライヴの疲れが、思いのほか身体に残ってゐる。まぁそれだけ気合いが入ってゐたのだらう。録音したものを聴いても、如何にテンションが高かったかが分かる。ウッドベース並みの力で弾きまくってゐる。よく弦が切れなんだなぁ。こんなにリキんぢゃイカンなぁ。あぁいふ編成で演るとどーしてもバトルになっちまう。相手の奔流を、柳の枝のやうにさらさら云ふ音に変えて受け流す、てのがワシなりのコラボなのだがねぇ。いやまだ修行が足りませんわ。

しかし、まぁ、あぁいふ無条件で楽しめるライヴもたまにはいいね。冒頭に演ったソロも悪くない。

久しぶりに寒々しい雨の中、レッスンに行ったが、生徒が来ぬ。その後のアクターズでは、久しぶりにフルメンバーが揃い、がちゃがちゃとレッスン。夜は定例のしーなとシュウリハ。ここ数回はアルバムのプリプロ録りで、「らくだ」を演る。ベースに加え、ダルブッカとレクを録ったのだが、我ながら上手ぢゃないの。特にベースのスラップの要領で、親指で叩いたレクは秀逸。

18日(日)-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

ウチの近くの区民会館で、朋友電脳ドラマー(最近はさうでもないか)上チャンこと上野友敬らが、パーカッションアンサンブルでのサロンコンサートをやる、といふのを見に行く。上チャン含む3人のパーカッショニストが、割とトラディショナルなアフリカのリズムを演奏す。同じパーカスでも、ツンちゃんの演り方とはずいぶん違う。ツンちゃんのは、ひとりひとりのソロもたっぷりフィーチャーし、それぞれがソロ楽器のやうな扱いで音楽を作り上げるが、トラディショナルなアフリカンリズム、といふは完全にアンサンブル。なにかが特に突出する事はほとんどない。音もまろやかで、サロンコンサートにはぴったしだ。

会場はほぼ満席だったが、まぁお客はみなそこら辺のふつーの人なので、それほど盛り上がる事はない。しかし、小さな子供達は明らかに踊りたがってゐた。終演後の体験コーナーにはやはり子供の姿が・・・。うぅむ、タイコは子供に強いな。

しかしまぁ、レッスンプロとしては現役なれど、もうずいぶん長い間ライヴの現場からは遠ざかってゐる上チャン。演奏してゐる姿を見たのは何年ぶりだらう?。実際にアフリカに行って、向こうの民間人とセッションしたりしてきた人なのだから、もっと現場に出て、演ってみるべきだとも思ふのだけどなぁ。

19日(月)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

尼存のマーケットプレイス(米国)にて、昨年末かなんかに注文したスティーヴ・スワロウの「So there」がようやく届いた。時間、かかり過ぎぢゃっちゅーに。

さてこの作品、全編に渡って「詩の朗読(勿論英語)」とのコラボレーションになってゐて、当然の事ながら、ワシの語学力では内容を理解する事は不可能。かういふ事があるたびに、英会話を勉強しやうか、と思ふのだが。

しかし、以前入手したVincent Courtoisの、同じやうな詩の朗読とのコラボは、朗読がものすごく音楽的で、内容(フランス語)は勿論分からぬが、全く問題なく楽しめる内容だった。まぁいづれにせよ、言葉が分かればもっと楽しめるんだらうけど。

20日(火)---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

「So there」を聴きながら、確定申告の仕上げをす。昼ちょいと過ぎにアガったので、その勢いをかって掃除、洗濯、米研ぎ、など、もす。

青春18きっぷを買いに行く。JR20周年記念かなんかで安い、といふのを聞いたので。ヌー、期間限定とは云へ¥8000で五日間JR乗り放題、とはオイシイ。しかし、これ相当マニア向きの旅にしか向かぬ、とも聞く。はたして自分がさう成れるか、は旅に出てみぬと分からん。なにせ長い旅になる。しかもライヴを演りながら、の旅、となると、果たして自分にそこまでの根性があるか、といふ話にもなる。なんの、やってみせるさ。さうでないと「デラシネびと」などと自分を語れぬわ。

21日(水)----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

けふは急遽出演を依頼されたライヴパーティー。スミス・フローレンスといふ女性カメラマンの展示会で独弾をす。21:00まで五日市で仕事をして、100キロで車を飛ばして21:30に会場に入る。宝塚会館「SHACK」。ちょうど対バンのBomくんが終わったところだった。

かなり広い会場(レストランだ)の一番奥に、ちょっとしたステージくらいの高さのスペースがあり、まぁステージなんやろな、といふかんぢ。そこで演る。立って演ると会場からは顔が見えなくなる、といふ(笑)。展示会と云ふよりはクラブパーティーみたいな雰囲気。客層は外国人6割日本人4割てなところか。なにを演るかが難しいところだな。

軽いサウンドチェックだけやって、すぐ本番スタート。展示してある写真は、アメリカの原風景みたいなものばかり。それを見ながら即興を練り上げる。そのまま本格的な即興に流れ込むパターンも選択肢としてはあったのだが、いつものやうに「月の路」へ繋いだ。そいからなんの気なしに弾きはじめたイントロが、新曲の「もうえぇわ」に繋がる。ネイティヴ広島弁のこの曲が、意外に会場にウケてゐる。言葉の壁を超えるのだ!。そいから定番「キャメル」「こきりこ節」。これで40分ぐらい演ったので、ここでBomくんを呼んで二人でセッション。

Bomくん、けふはジェムベで応戦。こ・れ・が・かなりヤバいジェムベで、日曜日に見たアフリカ直系のジェムベとも、ツンちゃんのとも全然違うスタイル。掌打よりもむしろ指を使った叩き方で、多分奏法としてはダルブッカやタブラに近いものだらう。これが素晴らしい!。リズムを刻む、といふより空間を細かいビートで埋める、といふかんぢ。ワシにはたいへんツボに来るジェムベだ。これでBomくん、本来はピアニストなのだから恐れ入る。二人で2曲ほど、完全な即興を演奏して終了。

思いがけないほど沢山の人が、素晴らしかった、と云いに来てくれた。ちょこちょこ、この辺の人達にも顔が売れて来てゐるやうだ。種を蒔くのである。ダンサー、絵書き、写真家、デザイナー、終演後も色んな人と色んな話が出来て、久しぶりに夜更かしをしたのであった。

『お名前はしょっちゅう耳にするんですが、あんまり会いませんね』と云はれ、如何に自分が、虫並みに狭いテリトリィでしか行動してないかを再認識す。

22日(木)---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

ワシの好きなベーシスト、コリン・ホッヂキンソンをYou tube で検索したところ、81年のソロのが出て来た。Back Door で活躍してたのが70年代だから、これはホワイトスネイクに加入する少し前の映像、てことになるのか。そして最高なのが、多分一番最近のコリン氏。2006年、ドイツのハイデルベルグの小さなバァかなんかで、ギターのおっさんと二人で「Electric blues duo」と名乗ってシブいブルースを演ってる姿。メヂャーの一線からは退いてしまってゐるが、元気さうで何よりだ。

コレを見て、改めて認識したが、ワシは『ベースの技術で超テクで弾きまくる』ベーシストではなく、『ギターの技術でベースを弾く』ベーシストが好きなんだ。コリン氏しかり、カルロス・ベナベンド氏しかり、スティーヴ・スワロウ氏しかり・・・。

23日(金)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

なんか、おもむろにカデンツアを弾きはじめて、それが段々聴いた事のあるやうな気がして来て、最後には誰もが知ってるスタンダードになる、みたいなソロが弾けんものか、と、ここ数日色んな曲を試してゐる。これってぢつはものすごい技術と歌心を要求されるのだね。幾つか使えさうなアイディアが出て、まぁいつかライヴで演ってみやう。

夜、カシラ、とその嫁さん、椎名さん、バックパッカーK氏とで、「インド料理を喰ふ会」をやる。割と高級めのインド料理屋で、ワシがメニューを見立てて、鶏肉、ラム肉、野菜、魚、ヱビ、とバランス良く喰へるコースを作った。名前忘れたが風船のやうに膨れた揚げパンが美味かった。最近小食なので喰へるかな?と思ってゐたが、インド料理は入るねぇ。いや、楽しい宴であった。

その後PICOになだれ込み、まぁ必然的に打楽器セッションとなり、コンガを叩き狂う。みんなが普通に叩いてるのに7拍子や9拍子をからめてポリリズムにする、と云ふのを演ってゐて、新曲のアイディアが浮かぶ。


5週目

23日(土)------------------------------------------------------------------------------------------------------------

先日、女房が録画してくれた椎名林檎の特集番組を見る。何故かイチローとの対談。唄は新作を3曲ほど。ぢつはワシ個人としては、この人の最近の活動や作品に、それほど積極的な興味を持ってはおらなんだのだが、今度のはかなりオモロさうだ。

昨今ではすっかり珍しくなった、生バンド(しかもフルオーケストラ!)生演奏バックで、映画「さくらん」のサントラを披露。こ・れ・が・すごい。う〜むこのヒトやはりただ者ではないねぇ。何なんでせうか?このリアルなレトロ感は。それと、独特の唄い回しのせいであんまり取り沙汰されてない事なんだが、歌手としての力量も、間違いなく日本ではトップクラスに入るだらう。

その存在自体が、今やすっかり他の女性アーティスト(と呼ばれてゐるただの歌手)とは一線を画してしまってゐる。

24日(日)------------------------------------------------------------------------------------------------------------

我が父、80歳のバースデイを祝う会、を家族でとりおこなふ。和風ダイニング、のやうなリストランテで会食し、オフクロ、アネキ、ワシと女房、で少しづつ金を出し合って、補聴器を買う為の資金をプレゼントす。

食事はたいへん美味であったが、何故か直後に嘔吐が込み上げ、単なる喰ひ過ぎだと思ってゐたが、やがて下痢が始まり、その後一晩中激しい内臓の痙攣に苛まれ続けた。食中毒!?と思ったが、ワシ以外は誰も症状なし。

25日(月)-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

原因不明の内臓痙攣、収束。けふは映画『フラガール』を見に行く。映画好きの友人らが全員口を揃えて「たいへん素晴らしい」と云ってたので。

全然知らなんだが、最近ワシの一番のお気に入りの蒼井優ちゃんが主演だった。こらラッキー!。内容も、友人らが云ふやうに、たいへん素晴らしい映画だった。時代に翻弄される人間の切なさと愚かさ、前向きさと温かさが見事に描かれてゐる。登場人物達のフラダンスも見事。蒼井優ちゃんの演技も最高!。そして何より、昨今の邦画に必ず付いて来て、映画そのものとは全く関係ない所で話題にされ、しかも映画をブチ壊してしまふ、あの耳障りな「タイアップソング」が無いのが、素晴らしい。

音楽はジェイク島袋が担当してゐて、軽やかなウクレレのビートが全編に小気味良いスピード感を与えてゐる。いや、これは金出して映画館で見る価値充分。

26日(火)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

しーなとシュウ、アルバムレコーディングがついに本格的に始動。ポップスグループとは云へ、ややこしい変拍子やテンポチェンジの多いウチは、まづPCにガイドとなる枠組みを作らねばならん。それは、まぁエンジニアさんの仕事。その作業と平行してまづはベース録りから。基本的なベースはアクースティックのやつで録る。電気系統を取っぱらってしまってゐるので、かういふ事でないと使えんのだが、これがぢつにいい音で録れるのだ。それに部分的にエレキベースをかぶせる。

そしてパーカッション。友人K氏から借りたジェムベがたまらん良い音で鳴ってくれる。さらにダルブッカ、パンディロ、タムバリン、スティールパン、と続けて録って行く。12時過ぎから始めて18時過ぎまでぶっ続け。夕方にはさすがに集中力が切れた。が、まぁ納得行くテイクが残せたな。けふの処は椎名さんはほとんど出番なし。しかし、ここ数日で我ながらダルブッカがえらい上手になった気がす。我流だけど。

27日(水)--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

初めて「唄」だけで参加するユニットの音源と譜面をチェックす。6曲中5曲がワシのキーに合わぬ。先方に電話してその旨伝える。『男性のキーに合わせてあるのですが』と云はれる。ヌー。

サロンコンサートに応募した文化センターから連絡がある。「『即興を元にした脱力系音楽』とありますが、これは具体的にどのやうな音楽なのでせうか?」と問はれる。説明しづらい音楽なのだが、決してヤバかったりうるさかったり不快になったりするやうな音楽ではない、といふ事を説明す。「参考にして再検討します」とのこと。興味は持ってくれたやうだ。何故か『どのやうな服装で演奏されますか?』と問はれた。

夜、3月のデュオ企画の為、シタールの佐久間泰三くんとリハに入る。インド音楽の手法に則り、地びたに座って演る。けふの処はシタールとはどういふモノで、ベースとどういふ事がどのやうに出来るか、を探るリハ。驚いたことに泰三くん、他の楽器はやった事がない、といふ。純粋なシタールプレーヤーなのださうだ。「だからコードの事とか分かんないんスよ」と云ふ。ラーガとか、サレガマとか、アラープとか、ジャワリとか、少しでもかじってゐたインド音楽の知識が役に立つ。

彼の話によると、シタールには「流派」のやうなモノがあり、早弾きする派、じっくり唄う派、色々なのださうだ。仲々興味深い人物と知り合えて良かった。


翌月へ