11月


1週目

1日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

雨模様。日曜日の雨は好きだな。良いセッションの余韻を胸に、壱日静養。DVD「百万円と苦虫女」「ロード・トゥ・パーディション」「羊達の沈黙」見る。

2日(月)------------------------------------------------------------------------------------

生徒に『センセイの下駄の音が好き』などと云はれ、チョーシこいてづっと下駄履きで通学してゐるが、けふはものすご寒い。もう無理な事はせぬ方が良いな。そもそも非常勤講師雇約書には『服装等に気を使い、下駄履きやサンダル履きなどはせぬやうに』と書いてある。

どーにかベースセロに流用できさうな激安のセロ弦をネットで購入。吃驚するぐらい安かったのでかくや、と思ってゐたが、張ってる最中に小気味よくパンパーン!と2本切れた(笑)。さすが!。

3日(火/祝)------------------------------------------------------------------------------------

恒例となりつつある広島国際平和マラトンへの参加。気温は低く雲は多いが、時折クアッと日が射して来るまぁまぁのマラトン日和。毎年の事ながら会場の県営グランド周辺は一大お祭り騒ぎ。しかしこのイベント、どことなくユルいのが好感が持てる。

膝の大怪我をして以来6年ぶりのエントリィだった去年に比べ、早くから調整が出来てゐた今年は、5Kmを20分で走り切る事が出来た。来年は10Kmかなぁ。

チームを組むでもなく、独りで行って独りで走り、独りで納得して帰って来るこれの、何が楽しいのか?とヒトは思ふかもしれぬが、楽しいのだ。参加者10,000人、といふ群集の中でひとり、てのはナンとも云へず心地よい。

4日(水)---------------------------------------------------------------------------------------

オペラ「カルメン」を見る。な・・・・長い。

これがオペラ、といふものなのか、「ハイライト」と称される部分が何個かあって、まぁ主役のソロであったりするのだが、その部分だけは、やっぱりなんか歌手の世界、になって、物語は「一時中断」ぽいかんぢになるんだね。朗々と歌い上げるテノール(主役)のソロは見事なんだが、その後しばらく拍手が続いて、演技としては「ポーズ」になっちまう、てのがどーも・・・・。『賞賛するための時間』が用意してある訳ね、これは。うーむ・・・・。

まぁそれが「文化」といふものか。海外の人が「能」や「浄瑠璃」や「歌舞伎」や「相撲」を見る時も、やっぱりそんな不可解は感じるんだらうねぇ。

5日(木)--------------------------------------------------------------------------------------

インフルエンザかなにか知らんが、生徒の休みが相次ぐ。

生徒のなかにひとり、生まれてから一度も風邪をひいた事がない、と云ふヤツがゐる。それは明らかにヒトとしておかしい、と思ってゐたが、なんと今年28歳にして初めて風邪のやうなモノに罹患したらしひ。人間に近付いたのか。さういへば最近、理論などを憶えやうとしてゐる。ははー。

東京の某所に、店内に巨大な箱亀が放し飼いになってゐる居酒屋があるといふ。そのエピソードを聞いて、「亀の庭」といふモティーフが浮かんだ。5拍子。

6日(金)--------------------------------------------------------------------------------------

気分がサエないので、久しぶりにタブラ・ビート・サイエンスのDVDを見る。

買った当初は『すげぇ!』と思ふのが精一杯だった。あれから自分なりにインド音楽の子細を調べたりして、なるほど完全な即興だな、と分かるやうになった。現代ビートにも精通してゐるザキール・フセインとカーシュ・カーレィが展開を提示してゐるのに、スルタン・カーン巨匠はイマイチそれが掴めてなかったりして、あからさまに戸惑ってたりして、カワイイ爺さん。

GIGIとビル・ラズウェルが入ってからはもう、ホンマに自分らの演れる事を演りあってるだけ。これって本人達には『なん点』ぐらいの出来なんだらうか?。やっぱすごいユニットだったんだな〜。


2週目

7日(土)----------------------------------------------------------------------------------

朝のロードワーク中、知人がトレッキングに行かんとしてゐる所とばったり。へーアナタはかういふ趣味があったの、などと話す。ヒトは知らない部分こそオモロい。

夜はトリオ・ダ・しーシュ(勝手に命名)のリハ。ミカりん、ほぼ完璧。何が良いってこの娘、臆してないのが素晴らしい。本番を心底楽しみにしてくれてゐるやうで、そはこちらもたいへん嬉しい。良いライヴにしたいものだね。トリオの練習とは別に、新曲もリハ。久々のアゲ系。ワシ独特の唱い回しにしーなさんが苦労してゐる。

リハ後、呑みに行く。けふはリハの始まりが遅かった事を忘れてゐて、当然、飲みが始まったのも遅いのも忘れてゐて、いつものペェスで飲ってたらいつの間にか4時!!。タクシーの運ちゃんに『オハヤウゴザイマス』と云はれてしまった。

8日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

久々にポール・マッカートニー&ウィングスの「Soily」を聴いた。ウィングスのハードロック面を代表する名曲。ウィングスと云へば耳馴染みの良いポップスしかやらんバンド、と思ってたワシは、中二の時にこれ聴いてたまげた。

当時聞いた話によると、この曲って本国イギリスではNGだったらしひ。で、歌詞を調べてみて『?』と思った。別にヤバい部分などなく、同じ内容のアジが延々と繰り替えされてるだけ。今となってはそのアジ、『我々は土から生まれた土の仲間だ(Soil=土)』といふのが、宗教的にマズかった、てのが分かる。

でも。ポールおじさんって、歌詞に関しては結構テキトーな人だとも聞く。「ぼくの歌詞に意味なんかないよ」と公言した事もある。まぁそれも「深い意味を込めてゐる」といふ意味の裏返し、ととれるんだけど・・・。この曲も意訳がなければとても・・・。

9日(月)------------------------------------------------------------------------------------

なんかスウィッチひとつでフレットレスがフレッテッドになったりするベースがあるさうな。へーっっ!!。考えついた事あるけど、まさかホンマに作っちゃうのが居るとは!。Mikey Guitar だって。ベースだけぢゃなくてギターもあるらしいね。でもこれ、ネックが相当重いんぢゃないか?。

10日(火)------------------------------------------------------------------------------------

久しぶりに漫画本を買った。一部で話題になってゐる「高校球児ザワさん」といふ。高校の野球部に1人だけ女の子(結構可愛い)がゐて、といふ設定だが、その後劇的なドラマもなければ、それに付いての解説ぽいものもなく。ただザワさん、と彼女を取り巻く日常が淡々と描かれてゐるだけの漫画。かういふの好きなのだ。

近い所で云へば、三好銀の「三好さんとこの日曜日」がある。夫婦と猫一匹、が暮らす日常を、やはり何のドラマもなく淡々と描く漫画。ワシは20年ぐらい前に偶然手にとって購入したのだが、折りに触れて何度も読み返してゐる。調べてみるとこれはこの人の唯一の単行本らしひ。一部では「隠れた名作」と云ふ事になってゐるやうだ。

11日(水)---------------------------------------------------------------------------------------

検索エンヂンで「夫」といふ言葉を打ち込むと、「夫 死んでほしい」とか「夫 嫌い」とか「夫 小遣い」とか、ちょっとなかなか穏やかでないものが色々と出て来るんだって。笑えんなぁ、これ。親友(と思ってゐた)に「お前を殺す」宣言をされた事がある身としては、まぁかういふ事もあるだらうな、とは思ふ。

まぁこれも所詮はネットの世界だから、これが総てのナニって訳ぢゃないだらう。あんまり目くじらを立ててもなぁ・・・。だが、ある友人(妻帯者)はこの記事を読んで、すっかり鬱になってしまった、のださう。かーいそうに・・・。

12日(木)--------------------------------------------------------------------------------------

トリオ・ダ・しーシュ、本番。「無国籍らいぶ」と銘打たれたイベントで、前回の東京ツアーで知り合ったシンプル無限大、といふバンドをゲストに、広島からウチと、お馴染みヴィヲロンのフミノちゃん擁するまそほがホスト。別にどのバンドも「無国籍風」を謳ってる訳ではないんだが・・・・。

久しぶりのJIVEにお客さんは満員。まそほに先陣を切ってもらひ、シンプル〜、そしてウチの順番でサクサク進む。

初めて聴いたまそほのサウンドは、たいへん好みの音楽。ギター、ヴィヲロン、ウッドベース、ドラムスの編成で、インストと唄ものが半々。なんかユルいといふか不思議な力のぬけ方で、絶妙にポップ。これはオモロいわ。曲も全員が持ち寄ってゐるらしく、バリエーション豊か。それでゐて共通するユルさがある、といふ。良いバンドだな。

シンプル〜は、前回見受けた時同様、相変わらずドリーミィで幽玄な世界観。

それに引き続き、ウチら。けふは(勝手に)より即興色強く演ってみた。冒頭いきなりヴォイスのソロをやってしーなさんを呆れさせる。そのうちワシの無茶なノリに呼応してしーなさんもイケイケ。ミカりんも初参加とは思えぬ応戦ぶりをみせる。なんせ『こんなかんぢの曲』って演ってみせたのをその通りに演らないワシ(笑)。そこに果敢に食らい付き、よりグルーヴさせる。こらぁ素晴らしいパーカッショニストだ。良い娘見つけたなぁ。

ほぼ満点、の出来のライヴだった。いっぱいのお客さん、どうもありがとう。シンプル〜の皆さんはこの後も旅が続くさうだ。道中の安全と再会を祈って皆で見送り。その後はまそほの連中とお好み焼きで打ち上げ。良いイベントの後でビールも美味い。気分良いついでに家まで歩いて帰ろうとしたが、途中で雨に降られ、やむなくタクシーを拾う。

13日(金)--------------------------------------------------------------------------------------

雨に濡れたせいか、夜半に激しい悪寒。発熱の兆候もある。ヤバいな〜。途切れ途切れに寝て、起きたら割とスッキリ。おや?。しかし、仕事中も何度か身体が熱くなるのを感じる。あー身体が闘ってゐるのだ、と思ふ。

生徒がしばらくタイに行って来るらしひ。『土産は何が良いですか?』と問はれ、仏像、といふと『仏像は国外持ち出し禁止らしいです』とのこと。へー。


3週目

14日(土)------------------------------------------------------------------------------------

ベースセロを、弦が無いので仕方なくHi-Cの5弦アップライトベースとして認知し、少し練習す。もちろんボゥイングのね。

しかしまぁいざボゥを演るとスペースが要るのなんの。セロの弓を使ってるから(かなり長い)、てのもあるが、ちょっとした棚や椅子やゴミ箱までがボゥの動きの妨げになる。自分の周り半径1mぐらいには何も置けん。狭い我が家ではこの空間の占拠は贅沢だ。かういふ所からも「エクスペンシヴな楽器」といふにほひがしてしまふねぇ。

夜は、久々に買ったフォレストのレア・スモークチーズを肴に、ワインを飲む。美味い。

15日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

何度か書いた事あるが、ワシはチーズ+ワインといふ喰ひ合わせをすると、ハラを壊す事が多い。けふもその例外にもれず、朝からハラが下り気味。ハー。

けふは「うどんとジャズ」。メンバーはボビーズのレギュラー3人+フリュートの進藤センセイ、と、サックスにマサミ。手打ちうどん屋わきたを会場にしたこのライヴも、今回で19回目なんだって。へー。相変わらずお客さんはいっぱい。いつものやうに、ワシに黄色い声援をかけてくれる御婦人の集団も。

けふはジャズナンバーが少なかったな。ソロコーナーはあったけど、ワシが唄うレパートリィは1曲だけだった。ので、ベースに専念。コードを見失っておかしげなソロを弾いてしまった。まぁこのシリーズは楽しめりゃ良いや。まかないの丼を頂き、ギャラもらってチャリで帰る。

16日(月)------------------------------------------------------------------------------------

ウチで音楽を聴く時は、大抵ヘッドフォンを使ふ。んで、けふもさうしてゐたら『ぱショっ!』と云って急に音が聴こえなくなった。「おや?」と思って見ると、アンプから白い煙が!。さらにぷ〜〜〜んとプラスティックの焼けるにほひが!!。あぁあぁ火事になる!。慌てて電源を抜き、クールダウン。まぁ何やってももうオダブツなんだがね。久々にアンプが「飛んで」しまったのを見た。

これ、ボビーズの進藤センセイにもらったヤツなんよな。古い物だったがテレヴィにCDにカセットにDVDにと、結構重宝してたのに。アー。

17日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

「ぞ〜〜〜ぉさん ぞ〜〜〜〜ぉさん お〜〜〜はながながいのね」の歌詞を書いた詩人まど・みちおさんが昨日100歳を迎えられたさうだ。初めて知ったのだが、徳山市(現周南市)出身、川崎在住で、今もまだ現役で創作を続けておられる。素晴らしい。

ちなみにこの唄の歌詞、仲良し親子のストーリィではなく、鼻が長いとからかわれる子供に『おかぁさんも同じだよ』と諭し、皆あるがままを受け入れて前向きに生きやう、と云ふ唄なのださう。ちょいと目からウロコ、の話ではある。

ミュージシャンとして、「何歳まで現役を続け(られ)るか」につひて仲間内で語る事が増えたが、どうだらう。100歳まで、と漠然と思ひはするが、現役で活動出来る肉体と精神力、なによりモティベ−ションを、ワシの場合だとあと56年キープし続ける、てのは、まぁ簡単な事ではない。だがまぁ、それが目標、て訳ではないが、そこを目指してゐたい、とは思ふ。こないだ若い人らに『シュウさんは100歳で100曲ライヴ演ってアンコールが終わって、そこで死ぬんです!』と云はれた(笑)。さうなりたいもんだね。

ちなみに現役ミュージシャン(パフォーマ−として)の最高齢は、ハワイのウクレレ・マスタービル・タピア翁。なんと御歳101歳で今年初来日!。すげぇ〜〜〜!脱帽!。

18日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

古い雑誌や記録を読んでゐて、「お」と思って確認してみると、それが大体1992年のものである事が多い。印象深い記憶もその近辺に集中してゐる。どうやらワシにとって1992年、といふ年代がなにかのマイルストーンになってゐるやうだ。27歳。

何が起こった年か調べてみるが、特には。あくまで個人的なナニかがあるのだらう。

世界史、特にヨーロッパ史で、ソ連崩壊の翌月である1992年以後を「現代」とする見方がある(wikipediaより)。へ〜〜〜〜。就職氷河期元年がこの年。なるほど。当時のヒット曲など、知らん曲の方が多い。この時期、既にメヂャーには興味を失ってゐた模様。ア、尾崎豊が死んだ年のやうだな。

個人的な日記(発表用ではなく)によると、「さう云へば今月は○◎(当時のバイト)をやってない」といふ記述がある。どうやらこの辺ぐらいからワシは、バイトをせずになんとか音楽だけで喰って行けるやうになった様子だ。ふぅん。感慨深いね。

19日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

ジモ・ミュージックに行くと、今沢のカゲロウ氏のフライヤが山積みになってゐた。正直、こんな所にまで来るのか?(笑)と思った。あいかーらず日々のほとんどをツアーで過ごしてゐるやうだ。今もまだ朝練、昼練、夜練、て演ってんだろか?。大したもんだ。

けふはナニか、やろうと思った事がすべて裏目に出る、みたいな壱日だった。タマにかういふ日がある。大いに気分がささくれ、終始イライラしてるかんぢ。人にあたらないやうにするだけで精一杯。あー、いかんねぇ。

20日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

女房が「ゑびす講」といふ商売繁盛のお祭りに行って、縁起物の熊手を買って来てくれた。女房によるとこれを買うやうになって以降、ワシのツアーが盛んになった、と云ふ。ツアーそのものは、別に儲かる話ではないが、女房がそのやうに思ってくれてゐる事は嬉しい。

来年も既に幾つかのツアーが決まってゐる。まだまだ旅しなきゃ、ね。

その女房と、付き合いはじめた頃の話を酒飲みながら。ワシらが当時出演した、おそらく生涯最後の「コンテスト」のパンフを、まだ女房が持ってゐて、懐かしむ。当時広島でオリジナルのレゲエなんぞやってる奴はまだおらず、それでも結構自信を持って挑戦したコンテストに3位だって、結構フテくされたもんだった(笑)。

同じ出演者の中には、あの山崎まさよしもゐた。『変わった声で唄うヤツだな』と思ったのを憶えてゐる。これに出てた人らって、みんな今なにしてんだらう?。


4週目

21日(土)------------------------------------------------------------------------------------

ずいぶん長い間してないやうに思ふ「ソロの練習」をす。唄のピッチとか、結構丁寧にチェックしたりして。唄い出しはまぁまぁだが、2番あたりから微妙にピッチがフラつく事が多いのが判明。うーむヘタだ。

で、唐突だがリック・ダンコなぞ聴いてゐる。この人らのを聴くと、つくづく『ベースのうまいシンガー』だな、と思ふ。多分、自分が弾く楽器なんてナンとも思ってないんだらうな、と。まぁワシはさういふニッチに行きたい訳だ。ちゃんと練習せなアカンね。

22日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

1年以上ぶりに教会の主日礼拝に出席す。ワシは不真面目な信者だが、クリスチャンとして生くる事に、特に疑問はない。考え違いをしてゐる人も多いが、信仰とは幸や得を求むる事ではない。キリストの教えと云ふは『真面目に、謙虚に生きよ』といふ至極単純なもの。ワシもそのやうに生きたい、と願ってゐる。

が、最近「教会」といふ「組織」に属する、といふ事がなんとなく違和感を感ずるやうになって、少し脚が遠のいてゐるのだ。この考えを、一度牧師先生に打ち明けてみたいと思ってゐるのだが。

寒い壱日だった。明日、安芸楽団で寒い地域の寒い時間帯での営業なので、遂に、噂のヒートテック、なるものを購入してみた。一見、ペラペラのTシャーツにしか見えぬが、さてその真価のほどは?。

23日(月/祝)------------------------------------------------------------------------------------

多分、今年最後の安芸楽団の仕事。「10:30三次IC集合」といふ命が来て、愛車にっちを転がして行く。三次あたりは全国的にも有名な霧の名所。けふも仲々荘厳な眺めであった。が、スティーブン・キングの映画「ミスト」を思ひ出し、ちょいとグロい気分にもなった。

さて、車5台に分乗したメンバーが集まり、まづは第一の本番「甲山城祭り」の会場へ。国宝文化財「閣通圓」の境内で演るのださうだ。大丈夫なんでせうか?。会場は、まぁ町内会の寄り合いみたいなかんぢになってて、うどんやぜんざい、タコ焼きなんかも売られてゐる。まぁ普通に「お祭り」だな。

場所の関係で、メンバー8人が横壱列に並ぶ形になり、モニターしにくい事甚だしい。まぁそれでも4曲演奏し、結構好評を得たやうで、CDが結構売れた、とリーダー。撤収して次の会場、備北丘陵公園へ。

ここは随分昔にジャズロックバンドで出た事があるが、今回は公園全体を使ったイルミネーションのタイアップ、といふ事で、全然趣も違う。カップルや家族連れを中心に5000人くらいの観客が見込まれる、とのこと。へー!。ここで18時、19時、20時、それぞれ20分づつを3ステージ。日中は日射しが温かかったが、夜が更けるにつれて寒さが進み、最後頃には2℃やて!。手もかじかむし喉も引き攣る。それでもまぁ身体から湯気を出しながら(さうせぬ訳にはいかん)頑張って演りました。

ここでも好評。嬉しかったのは、この地の名物バァ「すけあくろう」のマスター多賀さんが、噂を聞き付けて見に来てくれてゐた事。昼間、お祭りの境内でタコ焼きを焼いておられたのは、ぢつは多賀さんのお仲間で、尺八奏者なんださう。楽しい繋がりがまたひとつ。

バンドのメンバーとして、唄やベースに対しての賞賛を戴くのは嬉しいが、しかしレギュラーでない事の複雑さを思ふ。「次回も是非!」と云はれて、その「次回」にワシが確実に参加するかどーかが分からん、といふは・・・。

まぁ良い仕事だった。帰りは高速に乗りたくないので、独り下道を走ってのんびり帰る。

ア、ヒートテックは仲々の優れものであった。

24日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

ワシの「夜の駱駝」が気に入ったので唄わせてくれ、といふ問い合わせがある。喜んで、と伝える。

ちょいと前にも「夜明けの海ごっこ」もさう云はれ、歌詞とコード表を進呈した。

あと、こないだ女房がワシの「ツアー」を口ずさんでゐた。これも嬉しい。

MIやんの息子は「歳をとった鰐」で踊るのださうだ。

唄はワシを離れ、旅する。

25日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

またソロ練習。うーむ、なんか演るたんびに唄がヘタになってゐる自分を感じて、どんどんイヤになってくる。酷いな、これ。いや、もともとヘタだったのかな?。それに最近気付いた、てだけの話で。うーむ・・・・。

ベース教室に久しぶりに女の子の新入会。なんかいきなり違う教室に行ってしまったらしく遅刻。その失態を詫びに、わざわざ親子3人でやって来て、これがなかなか微笑ましい、といふかコミカルな家族で、仲の良さを伺わせる。本人も仲々礼儀正しくて良い。かういふ善良な人々に会うと、ホンマにほっとしますな。

2010年の手帳を買う。さっそく2月分ぐらいまで書き込む。ついでに、久々の新刊を。村上春樹「1Q84」。ついに。

26日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

写真家アラーキーこと荒木経惟の特集をTVでやってゐた。「日本人ノ顔」と銘された、各街を訪れそこに住む人々の顔を写す、といふプロジェクトがあり、その広島版。そこに知人、それもたいへん近しい友人が出てゐた。まぁ一般公募だからそんな事があってもオカシクはないのだが、たいへん驚いた。しばらく会ってないが元気さうだ。こんな形で近況を知るたぁ、なんとオモロイ事よ。

にしてもアラーキー。写真を見ても分かるが、インタヴ−などを見ても、いかにこの人が、自分も含めたニンゲンといふモノを好きかを感じる。被写体、としてではなく、個体としての人間を愛し、それに深い興味を持つからこそ、例えばポラロイドやインスタントカメラでも、あんな写真が撮れるのだらう。

27日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

毎年(でもないかな)恒例の「湯治」に。毎年この時期にわりとぽっかり仕事がヒマになるのと、あとまぁタマには贅沢をせねば、といふところで。専門学校がハネたその足でバスに乗る。ホンマは湯平(大分)とか行きたい所だが、近場にも良い温泉があるので、今年は島根県美又温泉郷へ。

今回お世話になったのはホテル美又。今まで泊まった事のあるこのテの温泉旅館の中で、3本の指に入る質素&クラシックさ。全部で5部屋しか無いさうな。作家が缶詰めになるのに使いさうな佇まい。土地で採れる新鮮で素朴な食材を使った料理を楽しみながら、まづはひとフロ。温泉は弱アルカリ泉。傷があると少し沁みる。

28日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

湯治二日目。なぜ無理してでも金曜の夜に逗留するかと云へば、やはり温泉郷の「昼間」を過ごすべきだらう、と思ふから。旅館の朝飯を喰ひ、少し散歩する以外は、ひたすらに風呂。身体が冷えたら入り、温まったら出る、を繰り返すのみ。あとはづっと読書。昼は近所の保養センターみたいなとこで山菜蕎麦。

夜はここの温泉郷の名物、夜神楽。町内会館みたいなところで、逗留客相手の結構本格的な神楽が見れるのだ。狭い舞台だが大蛇も三匹出て来て、見応えは充分。演者も満員の観客もほろ酔いで、おヒネリもばんばん飛ぶ。子供らも大喜びだ。郷土芸能の素晴らしさ。にしても、みんな神楽好きだねぇ。

大いに楽しんで宿に帰る。さらにひとフロ。アー明日はもう引き上げか。もう一晩くらい逗留したいところだねぇ。

29日(日)------------------------------------------------------------------------------------ 

朝飯前に最後の湯治。逗留中は結局他の入浴客と一度も顔を合わせなんだな。世話になった女将に見送られて美又を後にする。バスと電車を乗り継いで、昼過ぎにはウチへ。これで今年最後の贅沢が終わりました。さぁ仕事するよ。

旅行中、注文しておいた鈴木亜紀さんのCDが届いてゐた。うーむやはり良いなぁ。ことさら地名や方言を使ふでもなく、ちゃんと故郷に根付いた感覚を唄う唄、といふか。つらつらと色んな思いを連ねた後、「国を思ふ旅の空」と結ばれる『人のいろいろ』にぐっと来る。ますますファンになりました。

30日(月)------------------------------------------------------------------------------------

社会復帰。専門学校ひとコマのあと、しーシュのリハ。来春発表予定のセカンドアルバムに、書き下ろしの曲を幾つ入れるか協議。ワシらみたいなスタンスの活動において、アルバムの「書き下ろし」にどれだけの意味があるかは分からんが、まぁやってみやう。

夜はりこズのレコーディング。りこのアイディアで、既にトリオで録ってあるやつに「もうひとつのナニか」といふニッチで、ヴォイスやベースなど色々遊ばせていただく。ガラスの向こうでエンジニアのMくんとりこが笑い転げてゐる。まぁ気に入ってもらへたなら良かった。来年2月頃の発表ださうで。


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