6月


1週目

1日(月)-----------------------------------------------------------------------------

専門学校を半ドンで終えたら、久々に午後がまるっと空白。買い物を少しだけして帰宅。あとは聴くヒマのなかったCDなどと共に過ごす。タジ・マハールの1971年のライヴ盤「Real thing」。Gu、Ba、Dr、Vo、の他にテューバが4本、てメンバー構成がオモロい。曲もハッピーで良いし、たいへん楽しいライヴ盤だ。タジおぢさんは、ブルーズの人、として知られてゐるが、ワシはこの人のチャンプルー感覚とポップさに強くシンパシィを感ず。この盤みたいにMCまで全部収録されてゐるライヴ盤、といふのは昨今さすがに無くなっちまったなぁ。

壱曲、テューバとドブロのデュオ曲があって、あからさまにミスってるのが楽しい。にしても滅茶苦茶に上手いテューバだな。

マダガスカルのギタリスト、デ・ガリのライヴ。インドのスライドギタリスト、デバシシュ・バタチャルヤ。あと、DVDで映画「ハプニング」。気が付くと外は既に夜。いつの間にか断水になってゐてちょいと焦ったが、女房が帰る頃には復活。

2日(火)-----------------------------------------------------------------------------

専門学校壱年生のひとりが休み。壱年生の分際でこの時期に早々と無断欠席する、とは先が思ひやられる。てゆーか先が見える。アー。

その後、イレギュラーでしーシュの昼リハ。しーなさん調子悪さう。この季節、なんとなーく皆アガれずにゐるみたい。かく云ふワシも、此所ん処どーも気分が沈みがちでイカン。でもまぁ音楽家は音を出す時だけぁビシと決めねばならん。そこが最後の誇りだ。

次の日曜日にヘルパーとして参加する、ナカハラさん主催ロックイベントの事をすっかり忘れてゐた。レッスン後、シェルター69まで慌てて音源を取りに行く。あと4日で7曲コピーせなならん。ヒー。

3日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

しーシュでデイライヴが出来る店を探してゐて、その候補に上がった店にしーなさんと行く。ワシは女房と壱度行った事がある小料理屋だ。店の雰囲気はチリバツだし、食事も美味いし、しーなさんも大層気に入った様子。ただまぁ、すぐに此所で!といふ訳にも行かず、この先色々と検討する必要はありあり。難しいですな。

夜、博多のイカシたデュオSHIBA&TAKEがMACに来てゐるのを見に行く。生ギター弐本のアンサンブルはさらに磨きがかかり、なんか見るたんびにすごい世界になってるな、と思ひながら。それぞれがソロを取れる二人の、これほどのレベルのデュオ、てぢつは仲々ないんだぁね。奇跡的な二人だと思ふ。うらやましぃなぁ。

車で行ってたのと、ちょいと早めに帰らないかん用事もあったので、打ち上げには出ずに挨拶だけして帰った。ぢつはタケの働きのお陰で、7月の終わりに久留米でこの二人と一緒に演れる事になったのだ。今年も良い旅が出来つつある。

4日(木)-----------------------------------------------------------------------------

F楽器店、秋の大発表会企画会議。に参加す。ウーム、でかい企画だ。正直に云へば、そろそろこのテの事からは、手を引きたい気がしてゐるのだが、肝が小さいので、それが出来ずにおるのだ。つまらぬ男だ。

会議への行き帰りで、タジ・マハールとトゥマニ・ジャバティの共作「Kulanjan」を聴く。これが素晴らしい。コラ(アフリカン・ハープ)とドブロのアンサンブルが絶妙である。インドのミュージシャンとコラボしたやつは正直ハズレだったが、タジさん、アフリカ系とは相性が良いらしひ。先述のライヴ盤と云ひ、最近タジさんの音楽が妙に琴線に触れるワシである。

「桃栗」のミキがワシのレッスンに復活。少し楽典ぽい事も勉強したい、と云ふので本屋に付き合い、良さげな書を選んでやる。帰り道、ピアニストの従妹Cにばったり。なんでも最近ヨガをやりはじめた、とか。ウーム、ワシの周りは確実に女性の方がアクティヴやな。負けとるぞ男子!!。

5日(金)-----------------------------------------------------------------------------

生徒に『聴解力テスト』をしてみる。ルートを省いた和音を鳴らし、メヂャーかマイナーか、もしくはルートがなにか、を当てさせる。これぢつは出来ないベーシストが意外に多いのだ。基本的には和音を弾かぬ楽器だから、てのもあるが、そげな事を云ふてはサックスやペットはどーなる?といふハナシな訳で、そはやはりベーシストの努力不足なのだ、と考えてゐる。うむ。

夜、専門学校の生徒達の親睦会に参加。あまりかういふ集いに出ぬ男、と思はれてゐるので珍しがられる。各科の生徒達50人近くが一同に介す。弱いヤツ強いヤツ世話をするヤツ色々。宴が進み、次々と倒れてゆく生徒たち(笑)。しまいには店から「いいかげんにしろ」のやうな事を云はれたらしひ。すいませんね。

ワシもだいぶ酔っ払ったが、同じ方面に帰る生徒と一緒に終電で帰った。ようだ。あんまり憶えてない。なんか外人と喋ってた記憶があるのだが、あれは誰だったんだらうか?。

家に帰ると、しばらく裸で踊ってゐたらしひ。ワシはクサナギかっ。


2週目

6日(土)-----------------------------------------------------------------------------

お久しぶ〜りね、のBobby'sライヴ。何故か岩国への遠征。ボビーさんのデカくてボロいバンを、ワシが運転する事になる。夕立ち、といふよりはスコールのやうな瞬間的豪雨の中、高速道路を西へ走る。怖ぇえ〜〜!!。

会場はダンスホール兼カラオケ場(?)といふ、今どきミラーボールが常時廻ってる、みたいな。ちゃんと「Bobby's ライヴ」と銘打って集客もしてあるらしひ。ありがたい事です。しかし会場に着いてポスターを見ると『えせニックベース弾き語りストの梶山シュウも来る!』みたいな(笑)。このコピーはどうなんですかね?センパイ。

客層は絶妙に散らばってゐる。いつものBobby'sナンバーは別に良いのだが、けふもソロコーナーがあり、ここで何を演るか迷った。いつもは常連の老婦人の方々が、割となんでも喜んで聴いてくれるのだが、アウェイではさうも行かぬ。よし、けふは季節柄これで、と「此岸の朱」を演った。割とザワついてたお客さんがこれで静まり返った。っしゃ、掴んだね。後で、島唄が好きだと云ふ紳士がCDを買ってくれた。「全部が島唄みたいなかんぢって訳ぢゃないんですよ」と付け加えるのも忘れずに。

後半のソロコーナーでは、久々の「ブンガワン・ソロ」。ワシはインドネシア民謡、として演ったのだが、けふの観客世代には、昭和初期に松田トシが唄った歌謡曲、としての認知が高かったらしひ。ワシはそれを知らんかったので、お客さんが一緒に唄ってるのに驚いたのだ。嬉しいハプニングであった。

そんなこんなで、けふは自分のライヴでもないのにCDが良く売れた。

帰り道、何故ボビーさんがヴィブラフォン、などと云ふマニぃ楽器を演ってるのか、などを訊く。後継者などは居らぬのだらうか?。素晴らしい楽器なのに、あまりにかさばる、といふ事もあり、演り手が少ないのは残念だ。

7日(日)-----------------------------------------------------------------------------

けふはナカハラさん繋がりで、花田裕之ユニットでのライヴ。因幡Marくん、ジーザス代田氏、とワシで花田さんのバックを務める。ワシは日本のロックは全く無知。ので、よく分からんかったが、『花田裕之さんと云ふ人と演る』と云ふと、大方の人間が驚いた。すごい人のやうだ。初顔合わせでリハをやる。ナカハラさん、ワシとジーザス代田氏を『広島最強のリズムセクション』と紹介してくれたが、花田さん、あんまり興味無ささう。だいたいそれ嘘だし(笑)。

ライヴはナカハラさんのお店「シェルター69」の参周年記念のイベント。会場のナミキジャンクションには、所縁のミュージシャンやお客さんが詰め掛け、かなりの賑わい。出演者も、アコギの弾き語りから大所帯スカバンドまで多岐に渡る。ほとんどワシの活動とリンクしない人達だが、ナカハラバンドのヘルプとかしてるので、ワシの事を知ってくれてる人は多いみたい。興味深さうなバンドも出てて、ホンマは全部見たかったんだが、これ全部見ながらトリを待ってたら、絶対に耳がやられる、と思ったので、適宜外に出て休憩しながら出番を待つ。

けふはまぁ、完全なロックバンドのベーシスト、に徹した(嘘つけ!といふ声もありさうだが 笑)。Marくん、代田氏とのコンビネーションも上手く行き、そこそこの仕事は出来たんぢゃないか、と思ふ。最後に花田さんがやっと一言、『日頃は一緒に演ってないの?勿体ない』と。好感触だった、と思ふ事にしやう。

打ち上げは、古い友達でもあるヤブキさんとづっと喋ってゐた。料理が出て来るペェスが遅過ぎ。気が付けば3:00。

8日(月)-----------------------------------------------------------------------------

絶妙に体調がすぐれぬ。まぁライヴだの飲酒だの夜更かしだの飲酒だの続けてるンだからしょうがないか。授業中に便所に吐きに行く、といふ最低センセイをやってしまった。

久々に銭湯に行き、サウナだの薬湯だの入って疲れを取る。後は家に帰って映画鑑賞。ニコラス・ケイジ主演『8mm』。ヒトは誰もが別の顔を持ってゐる、といふ主題。深い。ちなみにウチの女房はニコラス・ケイジの大ファン。

9日(火)-----------------------------------------------------------------------------

この週末、所用で北九州に行くのだが、その方法や滞在など、何も考えてない事に気付く。行きはまぁ鈍行列車で行くとして5時間。滞在は駅近くのカプセルを予約。帰りは新幹線でそのまま授業に直行。わずか10分でプランニング完了。

昨日銭湯で体重を計ったら、ベストウェイトより2キロ多かった。それでなくとも最近、少しファットになった自分を感ず。こはいかん、とちょいと本気でダイエットに取り組む。壱日を4食にして、それぞれの量を減らす。ヂョギングをヲーキングに切り替え、筋トレをピンポイントに絞る。これで夏頃までにはウェイトで2キロ、サイズで3センチのダウンを目標とす。ホンマかいな?。

10日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

朝から性根の入った雨。朝のサンドヰッチの具を野菜だけにして、昼は具なしラーメンを女房と半分こ。レッスン前に野菜の乗ったパンを壱個。晩飯はホッケとしめぢ、豆腐をおかづに茶碗壱杯のご飯。ははは、いつまで続くやら。現在の身体は、だいたい3日〜1週間前の食事で出来てゐる、といふ。ん〜〜〜。

ワシがベースでやろうとしてゐる事は、多分ものすごい的外れな事なのだらう、と思ふ。でもワシが今一番流暢に操る事ができるのはベースなので、そはそれで仕方ない。ちなみに今凝ってゐるのはベースで、スティール・パンやコラ、あるいはマリンバのやうなパーカッシブかつポリリズミックなフレージングを作る事。すでにソロ版「カプチーノ」とかでも演ってゐるが、も少し広がりが出せんものか、と。

11日(木)-----------------------------------------------------------------------------

空から魚が降って来た、といふ、まるで村上春樹の「海辺のカフカ」のストーリィを地で行くやうな謎の事件。奇っ怪そのもののニュウスだが、土地の老婦人は『思わず手を合わせずにはおれなんだ』と語る。素晴らしいね、この感覚。何かよく分からんが、空から降って来たものには、手を合わせる。良いね。『ポジティヴなギヴアップ』と古館が云ってた。古館もタマには良い事を云ふ。

村上春樹、と云へば、話題になってる新作「1Q84」。なんかすごい事になってゐて、予約だけで増刷が間に合わんのださうな。この様子ぢゃあ、まだしばらくは入手出来さうにないなぁ。まぁ腐って行くものでもないし、先の楽しみとして取っておこう。

ア、ちなみにけふの飯。朝:納豆飯壱膳。昼1:食パン壱枚とチーズ。昼2:うどん。夜:さば、浅漬け、飯壱膳。と冷酒2合。よぅ喰うとるやンけ!てか?。

12日(金)-----------------------------------------------------------------------------

他の科の生徒が、先週の飲み会で潰れてしまった事を詫びに来た。仲々殊勝な事である。まぁ良いから次から気をつけてね、のやうな事を云ふ。若い頃には、誰しもブッ潰れてしまふ事もある。それは別に良いのだ。だが中には、人に介抱させといて『酔って何が悪い』などとほざく輩もゐる。こんなヤツは介抱するフリをして、ゴミ溜めにでも突き倒してやれば良い経験あり。しかし、ホンマに酒は魔物にもなり得るのだ。気ぃ付けられ。

最近、桐の下駄を買った。たいへん履き心地よく、気に入ってゐる。左右を日毎に替えながら履くと、背骨の歪みも矯正できる、といふ。さもありなん。ワシは幼少期、ひどい扁平足だったのだが、下駄を履いて治した経歴があるのだ。まぁそげな事を考慮せずとも、からりからりと音を立てながら、夕方の商店街を歩くはたいへん気持ちの良いものだ。

気を付けねばならんのは、場所によってえらいこと滑る所がある、と云ふ事。以前、デパートで見事にすっ転んでしまった事がある。カッパァ〜〜〜ン!!と良い音が響くのだな、これが。だがこのニュー下駄には裏地にゴムが貼ってあるので、安心っ。


3週目

13日(土)-----------------------------------------------------------------------------

何年か前の東京ツアー。下北だったか明大前だったか、フと入ったかなりマニぃCDショップでジャケ買いした、Ex-Wise HeadsといふトリオのCDがある。エスニック・ジャズ・ポップス、みたいな音で、あんまり上手くない演奏に好感が持てる。てっきり企画モノのアルバムだと思ってたンだが、調べてみると6枚ぐらいの作品を出してゐた。ベーシストが、アルバム中数曲で、必ずゲンブリを使ってる、てのがオモロい。今ワシこのゲンブリ、て楽器、かなり本気で欲しくなってゐる。

しーシュリハ。新曲あり。また「里子」に預けられる。まぁなんとかしてみませう。

夜は「つつ井食堂」に、初めて晩飯を喰ひに行く。店は近所のおっちゃんらの居酒屋と化してゐる。いいなぁかういふ雰囲気。大将は、ウチの女房を外国人だと思ってゐたらしく、『えらい日本語じょうずなヒトやね』と云ってゐた。

14日(日)-----------------------------------------------------------------------------

北九州に出張。かつてEGGsのメンバーとして、一緒にツアーして廻ったギタリスト野田玉青(タマオ、と読む)と、彼の18年間に渡る恋人だったクミちゃん、の晴れて結婚を祝うパーティー、に出席。双方の友人がいっぱい集まり、二人の門出を祝福した。パーティーはライヴ形式で進み、弾き語りやバンド、ダンスや太極拳も出る。ワシも及ばずながら、お祝いの唄を贈る。

思へば、8年くらい前、タマオから初めてクミちゃんを紹介してもろた時のツアーで、ワシは、当時考えてゐた東京への進出をやめ、自分の脚で知らん街を巡って行かう、と心に決めたのだ。ふたりを見ると、あの時の自分の決意と高揚を思ひ出す。心からのお祝と感謝の気持ちを込めて、「此岸の朱」と「らのえてぃあ」を贈った。おめでとう。ホンマにおめでとう。アンコールをもらったので、ちょいと祝いの主旨とは外れるけど、クミちゃんが好きだと云ふてくれてた「坂に続く道の途中で」も演った。

2001年頃のワシとタマオとクミちゃん

友愛に満ちた感動的なパーティーだった。遠く鈍行列車で5時間揺られて来た甲斐の、十二分にある、素晴らしい会だった。もう一度、おめでとう、タマオ&クミちゃん。

この場でワシは、また色々な人との関わりを得る事も出来たやうだ。特に、元Nowhereの三輪雅也くん(今年に入って、バンドのベーシストからソロのシンガーソングライターへの、天晴れな転進を遂げた)と、ソロで演る、といふ事に付いて色々と語り合えたのは嬉しかった。同い年。ワシも頑張ろう。

北九州駅前の繁華街のど真ん中にある、カプセルに宿を取る。

15日(月)-----------------------------------------------------------------------------

まぁ特に可もなく不可もなし、といふホテルだった。新幹線で帰って、そのまま授業に出ねばならんのだが、駅まで歩いて5分くらいのもんなので、のんびりと片付ける。駅前のファストフードで朝飯。ひかり自由席で1時間もせず広島に着。そのまま学校へ。

昼まで授業をやり、一旦家に帰って飯を喰ひ、映画「ターミネーター4」を見に行く。ん〜〜〜〜〜、期待し過ぎたかな?。カネはかかっとるし悪くない出来なんだが、テキトーな映画、といふかんぢ。なんかしかもまだまだ続きさうだし・・・。まぁバイク型のターミネーター、とかオモロかったけどね。なんやかんや云ふて2回見たし。

16日(火)-----------------------------------------------------------------------------

6月ももう半ばまで過ぎたが、朝夜はまだ肌寒い。例年こんなもんかいな?。過ごしやすいから良いけど・・・。

けふは夜のレッスンを休みとす。専門学校を終えたら後はフリー。昨日北九州、週末には大阪に行くので、余計な出費は避けたい。ので、家で大人しくヴィデヲ見て過ごす。のんびりできる時間があるのは良いが、今月はライヴが少ない。やはり能動的にライヴ打ってかなイカンな、と思ふ。

17日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

けふは終日フリー。天気も良いので登山に行っても良かったのだが、しーシュの新曲をアレンジする事にした。しーなさんの作る上品な曲を、過激な方向に軌道修正するのが、少し快感に思へて来たこの頃。

夜はヲルガン座へライヴを見に行く。博多からSatobon、飛騨高山からよっしー、といふ二人のパフォーマ−が来てゐる。

Satobonは大量のえへくたーを居並べて空間系のアプローチをする、通称「スペースギタリスト」。少し前のワシを思ひ出させるやうなパフォーマンスを見せてくれた。3系統に振り分けられたえへくたーのコントロールも完璧。よっしーはキーボードと笛、を使ったミニマル系のアプローチ。こちらはSatobonに比べると牧歌的な音楽で、キャラクターも相まってポップな印象。

どちらもやっぱり揺るぎないソロの世界を持ってゐるミュージシャンで、演ってる事自体は目新しい事ではないが、やはりブレがない。だから余計なメッセ−ヂ性もない。良いライヴだった。ワシも若い頃はこんな風に迷いがなかったのだらうな、とも思ふ。20代中盤は結果など気にもせなんだ。自分がナニカを成さうとする、その行為そのものに、ハイになってゐたものだ。

そしてかういふ場で、かういふ若い世代のミュージシャン達に、エバるでもなく媚びるでもなく、まぁそこそこに慕われてゐる(と思ふ)今の自分を、まぁ、上出来な中年期、なのではないか、と。

友よ。

18日(木)-----------------------------------------------------------------------------

こないだ1本¥800のジーンズを買ったのだが、これがどうも老人用のものだったらしく、履いてみると異常にダサい。流石にこのダサさはワシにも敷居が高いので、裾をぶった切って半パンにした。これならまぁ、許せる。しかし、やはりかういふモノもデザインで善し悪しが決まるのだな。

月末のイベントで、ダンスのマスミちゃんと演る演目を最終チェックす。こないだのリハで初めてふたり合わせた時は、全部で10分近くあった。イベント時は色々制限があって7分程度しか出来ぬ。ので、要所を残しつつ、カットしていく作業。ケータイメールで確認し合いながら。なんか変なかんぢ(笑)。

なんとか7分弱に収まるサイズに縮め、あとはダンスと合わせて行く作業のみ。来週にはマスミちゃんも帰って来て、多分これにかかりっきりになるな。

19日(金)-----------------------------------------------------------------------------

けふはヲルガン座はogochabakoといふイベントにしーシュで出演。とんち&小林加奈、といふユニットをお迎えするイベントだ。しーなさんもワシもソロや他の形で出た事はあっても、しーシュでのヲルガン座出演は初めて。店置きの生ピアノ(年代物)を使ふ事にして、割と手軽に会場入り。

なんかギャル系の女の子が二人、ステージでセッティングしてゐる。このふたりがとんち&加奈、であった。音源を聴いた限りでは、もっとトライバルなかんぢの女性たちを想像してたが、イメェヂの違いに驚き。まぁそれぞれリハをやり、本番まで待機。ワシの親友Mがやってる居酒屋で、ビール壱本だけで2時間ヒマつぶしさせてもらった。

とんち&加奈の瞑想的なステージに引き続き、ワシら。考えてみれば、久々のしーシュでのライヴだ。ヲルガン座は夜も更けるとあまり大きな音が出せないので、生ピアノの音量に合わせたセッティングとなったが、これが仲々良い。沖縄でライヴをやった時、PA設備の不足をマイナスに捉えてしまった事からの反省で、けふは音量の少なさをプラスに考へ、それが割と上手く行った。ウチは本来、生ピアノ+その音量に合わせたベース、に、生の歌声、でも大丈夫なのだね。

新曲「紫の狐」も交えたナンバーで5曲。大盛況で、アンコールも来たのでもう壱曲プラス。共演のとんち&加奈の二人を含めて、かなりの高評価を頂けたライヴだった。荒い、と云へばまぁ荒い出来だったが。ヲルガン座のイズミさんも、『思ってたより熱い音楽』と。

ぢつは加奈ちゃんの方は、以前Far east loungeで対バンしたアフリカン・ミュージシャン、エピゾ・バングーラと繋がりがあるさうで、これでまたひとつ妙な「縁」が繋がった、と云ふかんぢ。近いうちに再会、そして次は是非共演を、といふ事で終演後も盛り上がる。

良いイベントだった。主催のMちゃん、お疲れ様でした。

そのまま店で打ち上げが始まり、ステージ上では笛吹きヤスヲによる「亀甲縛り講座」が(笑)はじまってゐたが、ワシは明日朝イチのバスで大阪に行かんければならぬので、残念ながら退席。

まぁしーシュも良いユニットになったもんだ。


4週目

20日(土)-----------------------------------------------------------------------------

朝8時発のバスに乗り、女房と共に大阪への旅。珍しく音楽とは全然関係のない、純粋な遊びの旅だ。大阪でライヴをやる度に、欠かさず見に来てくれるイグアナ飼育者仲間との宴会。途中30分の昼飯休憩があるバスだった。格安だし、次回もこれ使おう。

大阪駅からすぐの処のホテルにチェックインして、宴会場(これまた近い)へ。ヴィップルームを借り切って、まだ日も高いうちからの豪華なパーティー。まぁ阿呆話ばっかりなのだが、楽しい。珍しく失神者が出た(笑)。

二次会はビアホールへ。鶏一匹の丸焼き、てのがあって、当然注文。美味い。終わる頃になってもう一匹来たので、それも喰ふ。ぐーふ。ビール、ワイン、ヰスキー、と大チャンポンしてしまったが、けふは割とシラフ。この大阪メンバーは、全員、終電までには帰る、といふ特徴があり、どんなに遅くまでやっても12時過ぎには終わる、てのも良い。またねー、とか云ひながら皆を見送り、我々はホテルへ。

ホテルに帰ったらTVでジューダス・プリーストのライヴをやってゐた。ぐーふ、とか云ひながら見て、寝る。

21日(日)-----------------------------------------------------------------------------

マットが固いのかなんなのか、異常に寝にくひベッドだった。ので、寝不足。

あれだけ痛飲した割には二日酔いはなし。喉はガラガラ。これはまぁホテル泊には仕方ない。けふはもう用事はないのだが、夕方発のバスまでに時間があるので、梅田観光。大阪なのに何故か蕎麦を喰ひ、空中庭園で肛門を開き(ワシは高所恐怖症)、地上173mでビールを呑み、降りて、中津の古い家並みを散策して廻る。歩き疲れたので、豪勢なホテルのロビーで客を装って休憩。

夕方のバスで広島へ。SAは何処も家族連れやらで満杯。さてはETC割り引きに釣られたな。食券売り場に長蛇の列。みんな道路公団に踊らされてゐる、と思ふ。

22時過ぎにようやく広島に着。帰りの電車に友人ギタリストMがゐた。向こうも旅帰りださうで。出会った瞬間から皮肉の投げ合ひを始める二人に、女房は爆笑。

良い旅だった。良い宴会だった。良い人々だった。だが、やはり疲れた43歳。

22日(月)-----------------------------------------------------------------------------

サロンシネマに、ミッキー・ローク主演「レスラー」を見に行く。

一時は栄光を極めたが、その後歳をとり、ある意味順調な(黄昏の)人生、を生くる現役レスラー。妻にも娘にも去られ、スーパーでバイトをしながら、それでもリングに立ち続ける男。怪我もする。心臓もヤバい。だが、悲愴感や使命感といふより、「他の選択肢のなさ」でレスラーを続ける人生。

なぁんか、他人事に思えねぇ映画だなぁ。

物販会場に椅子と机をセッティングし、自分のヴィデヲとかを並べる姿。イヤイヤながらスーパーの惣菜コーナーに立ち、それでもなんとか楽しさうに客相手をする姿。リングで使う小物を、仲間(敵)のレスラーとデパートに買いに行く姿。トレーニングよりも、白髪染めや日焼けに精を出し、往年の姿を維持しやうとする姿。微笑ましくも切ない人生。はぁ〜〜〜〜〜!!。なんかねぇ・・・。いや、良い映画だったけど。

主人公が想ひを寄せる、気立ての良いストリッパーを演じるマリサ・トメイが良い。1964年生まれ、てことぁワシより年上ぢゃんか。すんげー可愛い。

23日(火)-----------------------------------------------------------------------------

東京から、マスミちゃんこと関本麻須美嬢が帰って来て、けふから怒濤のリハ週間だ。五日市のTipスタヂヲを借り、メールと音源、DVDのやり取りでそれぞれが組み上げたパフォーマンスを、いよいよ二人で練って行く。が、えへくたーを壱個忘れて来てゐる事が発覚。アー。

車の中を物色すると、ひとまづ代用できさうなセットがあったので、けふはそれで演る。サイズとタイミングの確認を中心に、気付けば2時間ぶっ続けでリハってゐた。

帰り、マスミちゃんを自宅まで送りながら、軽くメシに誘ふも丁重に断られ、ひとりコンビニの蕎麦を食す。

24日(水)---------------------------------------------------------------------------- 

けふは昼から。午前中からマスミちゃんを迎えに行くが、けふはギターを忘れる。アー!!。マスミちゃんもスパッツを忘れる。「忘れ物チーム」とツッコミ合ふ。「ミッシング・リンク」とかってチーム名にするか?(笑)。

けふは衣装合わせ。マスミちゃんは古い着物、ワシは昔の空手着を改造したコステューム。いちいちヴィデヲを回しながら、演っては見て、見てはまた演る。マスミちゃんの強靱で妖艶な姿に比べ、なんとワシの醜き中年そのもの、の佇まひに愕然。肉体的劣等は致し方なき事とは云へ、こはひとえに、ダンスを意識し過ぎてゐるから、だ。『演ってる最中に他人を気にするな』といふのは、いつもワシが他人様に云ふことである。そこに自分が陥ってゐた。

浄瑠璃において、太夫と人形師は、特に呼吸の合わせなどせぬらしひ。それぞれが研ぎすます一瞬一瞬の空気が融合して、あの空間芸術が生まれるのださうだ。それだ。

で、ワシはワシでいつもライヴでソロ演るやうに演ってみる。一目瞭然。今度は逆に、ワシがマスミちゃんをリードしてゐるかのやうになった。ステージと云ふは、かくもケミストリーなものなのであるねぇ。

けふも気付けば5時間ぶっ続けで演ってた。その後ワシはレッスン。その後、実家に米を恵んでもらひに行く。さらにその後、明日からのリハ会場に、機材一式を預けに行く。ぬ〜、久しぶりにフル活動した壱日。その中で宮崎でのライヴも決まった。これで北九州〜宮崎ルートが完成。また「火の国ツアー」だ。

25日(木)-----------------------------------------------------------------------------

健康保険を納めに行った銀行の職員が、カープのユニフォームを着てゐる。ヘンなの。可愛い娘だったが・・・・。

朝、マスミちゃんから『昨日一昨日と割とリハが良いので、けふは休みにして、お互い充電してはどうか?』と提案がある。さうする。が、ワシは個人的にすこしブラッシュアップしておかねばならん所もあるので、独りでスタヂヲに入る。

桃栗のミキがお好み焼きを驕ってくれる、といふので「広島お好み村」でデートす。ワシはネギ焼き蕎麦入りを喰ったが、ミキが途中で「喰えん」と云ふので彼女の蕎麦肉玉も半分喰ふ。ぐーふ。まだひとコマレッスンが残ってゐたが、ビール一杯呑む。ぐーふ。

斯様に、魅力的な女性達との度重なる邂逅が、何故、独身時代になかったのか。ぬーむ。

26日(金)-----------------------------------------------------------------------------

マイケル・ジャクソンの訃報。晩年の、まるで近代美容整形技術の人体実験のやうな姿から、まぁ長生きは出来ぬだらうな、とは思ってゐたが。ミュージシャンとして好きだった事は一度もないし、むしろ好かぬタイプのアーティストだった。が、やはり「巨星墜つ」の感は否めない。時代はまた移り変わらうとしてゐる。

昨日ぐらいから、下半身が異様にダルい。筋肉疲労や腰痛の類いとはまた違うヘンなかんぢ。それを云ふと女房が「生理ぢゃないの?」と。あぁ、なるほど。

移動多く忙しい壱日。専門学校で3コマ、ジモで1コマ、自宅で1コマとレッスンした後、またジモに帰って「ミッシング・リンク(笑)」のリハ。明日が本番とあってマスミちゃんも気合い充分。明日の演目に関して云へば、マスミちゃんの方が主賓だ。いかに彼女の意に添うやうに音を出すか、がワシのテーマ。演っては録り、見てはまた演る、をひたすら繰り返す。最後頃にはワシ、結構フラフラになった。ぢゃあ明日は楽しく演りませう、とリハ終了。

この壱週間、久しぶりにこんなに魂つめてリハを演った、といふかんぢ。特にけふは、朝からづーっと楽器弾いてゐるな。さすがに身体はキツいが、気分は上空3000フィート(古いか)。さぁ、明日、ワシらの出し物は、どう受け止められるのでせうかー?。


5週目

27日(土)-----------------------------------------------------------------------------

関本麻須美&梶山シュウ、怒濤のリハ週間を越え、いよいよコンテンポラリー・ダンスフェスティバルODOREEL(おどり〜る)本番。ワシらは「亀甲問答」といふのを演ずる事になってゐる。会場はお懐かしや、の広島市青少年センター。久々にフル機材背負ってバスに乗るが、土曜午後の路線バスはぎちぎちの満員。

先に会場入りしてゐたマスミちゃんと合流。彼女、開口一番『振付け全部変えたけど、良い?』と。昨日までは結構オカルト的だったダンスを、コミカルなかんぢにチェンヂした、とのこと。まぁワシは基本的にはこの人のセンスが好きだし、ダンスに関してはそもそもお任せなので、好きに演って、と云ふ。ダンサー、と云ふはかういふものなのか、マスミちゃん一緒にメシ喰ひに行っても、道や店で踊ってたりす。

さて本番だが、開けてみてあまりのお客さんの少なさに吃驚。600人くらい入る会場らしひのだが、三分の壱も埋まってないんぢゃないか?。コンテンポラリ−ダンスと云ふ物での興業の成立の難しさを痛感。県外からの参加者が多いから仕方ないのかも知れんが・・・。

ワシらは三番手に登場。黒を基調にした舞台に、白い空手着のワシ、赤い襦袢のマスミちゃんが浮かぶ・・・・ハズだったのだが、何故か照明がこちらの指示通りにならず、明るい中で演るハメとなる。おいおい。まぁシノゴノ云はずに演るけどね。

ちょいと素人のやうなミスを出してしまったりしたが、音楽的にはまづまづ。ゆうべ「風呂の中で考えた」と云ふマスミちゃんの新しい振りも、仲々可愛らしくて良かった。あぁ、変えて正解だったかね。

しかし、ナンですね。

ぢつはこのイベント、企画が進むうち、全体通して演技時間を短縮して頂きたひ、と云ふ事になったので、ワシら当初の完成品をだいぶシビアに削った。なのに、他の出演者は妙に長かったりして(10分以上演ってたヒトもゐた)、皆で「痛み分け」ぢゃなかったの?てかんぢ。正直、もう少し長く演りたかったな。

このテの物では初めて打ち上げにも参加。ダンサーの人達と異文化交流。たぁ云へ、ほとんどマスミちゃんと喋ってたな。我々の演目は、なかなか好評だったやうで、回収したアンケートでも、人気ベスト5内には入ってゐた様子。良かった良かった。

28日(日)-----------------------------------------------------------------------------

休憩の日。京都の友人Hさんがダビングしてくれた、大量の映画DVDを見て過ごす。少しはベースでも弾くかな、とか思ったが、めんどくさくなったので、それもやめる。久しぶりに晩飯の支度も女房に任せ、ホンマに壱日、休憩しました。

29日(月)-----------------------------------------------------------------------------

関本麻須美&梶山シュウ2009広島ツアー(?)最後のシメは、友人ミミ(姫石美実)が主宰するスタヂヲTipを借りての、ダンス&音楽コラボ・ライヴだ。ぢつはワシの中では一昨日のイベント出演よりも、けふのライヴの方が重きを置く行事。キアイ入れて行きたいが、なんとまぁよりにもよってものすごい大雨が朝から・・・・・。

マスミちゃんは昨日も別件のリハだったらしく、『私けっこうヘロヘロ』とのこと。結局彼女、今回の帰広期間中、休み無しだったんぢゃないか?。演目を決めてリハ。ライヴハウスでもなく、音響も照明も最低限の物しかないスペースだが、協力を申し出てくれたPAオペのマサヲさんの様々な工夫のお陰で、なんか一昨日のよりエェかんぢ。オモロい事になりさう。

雰囲気があまりに良かったので、この際だから、とPVも撮った。

そして、本番。イベントではカットを余儀なくされた「亀甲問答」フルヴァージョンから。即興を大幅に加え、サイズは倍以上の15分に。ワシも少しばかりダンスに参加したりもす。その後はソロとダンスものを交互に並べながら、の展開。一応、観客参加型、と銘打ってゐたので、そのやうな事も演る。「芸能の誕生」をテーマにした、ワークショップ形式のコール&レスポンス。後でマサヲさんからは『ちょいと難しかったのォ』とクレーム(笑)。

ラストは生ギターをかき鳴らすワシの周りを、お客さんが囲んで踊って、大盛り上がりの大団円。いや〜〜〜オモロいライヴだった。雨の中集まってくれたお客さんからも絶賛の嵐。ミミも『もっと多くの人に見てほしい』と、早速次回公演のオファー。演って良かったね。東京でも演りたいね、これ。

今回、1週間の共同作業を通じて、関本麻須美、といふダンサーのグレードの高さを改めて知った、といふかんぢであった。マスミちゃん、お疲れさま。打ち上げも終え、家まで送り届けた時には、長年の戦友と別れる時のやうな寂しさを感じた。が、まぁそれは多分ワシの方だけだらう(笑)。

30日(火)-----------------------------------------------------------------------------

昨日に引き続き、雨。まぁ梅雨らしい天気だ。2会場でレッスン。久しぶりに古本屋へ。山川健一「ティガーの朝食」¥105。なかなか立派なピーマンがあったので肉詰めを作った。この料理を発明した人はすごい、と思ふ。夜は懸賞で当たったヰスキーでハイボールを作って呑んだ。


翌月