ハードルを高く上げて下をくぐれ

5月26日(月)ーーーーーー

久しぶりの月曜日バイト。飲食業界の月曜日は大抵繁忙期そのものだが、けふもその通り。
よく働いた。

けふのその後レッスンが始まるまでの間に、友人であり弾き語りの生徒でもある写真家:江口智子ことモコが参加してゐる展示会に寄ってみた。

モコ本人も在廊。平日の日中といふ事もあって会場はガラガラで、専属の案内人になってもらった(笑)。
自分の写真を審美する視、といふのがどうなのか?、絵画以上に疑惑な私だが、写真といふは光と影の芸術だな、と強く思った次第。

写真がなかった時代の、例えばフェルメールら「写実派」の画家。かれらの偉業は、やはりまぁある種の『神の領域』だったに違いないと思ふ。見たやうにそっくり描く、といふ事の難易度は、現代の我々が想像する以上の難易度だったハズだ。まぁそれが「画力」だと云へばさうなんですけど・・・。

だから写真、てのぁその技術をよりポップに、リーズナブルにしたものなんだと思ふ。

ところで会場の片隅に『スナップ写真をお撮りします』といふコーナーがあって、モコと一緒に撮ってもらった。まぁ「美女」といふ部類に入るモコとの2ショットに、引けをとらん年寄りにならねば、と思って写った。

5月27日(火)ーーーーーー

昨年、しーシュでレコーディングをプロデュースした名古屋の夫婦デュオ TAKTの、完成した音源が届いた。
「Les Quatre Brises(四つの風)」と題された、4人のお孫さんたちへの愛溢るる贈り物。

まぁ何度も書いたが、自分のじぃじばぁばがこれを作り、かういふ形で残してくれた、といふ事の本当の意味を、この孫たちが理解する日が、楽しみで仕方ない。どうかその日まで、この世界が平穏であるやうに、願ってやまない。
我々としても誇りにできる、本当に幸せな企画に参加させていただいた、と思ふ。

だがまぁ、世界・・・、といふか案外身近に、ど〜ぅにも話にならんヤツも多くゐて、「なんでそうなるの?」とゲンナリするやうな展開もあったりする。一喜一憂、これもまた人生なり。

5月28日(水)ーーーーーー

デイヴ・ブルーベックの変拍子アプローチ作品「Time out」を聴いてゐてフと思ひ出した。さうだ!変拍子ジャズと云へばドン・エリスぢゃないか!?と。たしか何枚か持ってたな、とCD棚を捜索。1978年のライヴ盤「ライヴ・イン・インディア」が出てきたので改めて拝聴。

ドン・エリスと云へばビッグバンド編成が有名だが、このライヴは小編成の、しかも電化バンドによるもの。ウェザー・リポートの演奏で有名な「バードランド」にそっくりな曲があって、『これは・・!?』と思ふ。このCDが78年の録音、とあり、ウェザーがバードランドを発表したのは(多分)「ヘヴィーウェザー」の、同じく78年。どっちかがパクった?と思ったが、よぅライナーノーツを読むとその辺の記述が・・・(英語なんでちゃんとは読めんが)。
詳しい話を知ってる人がゐたら、情報カモン。

あと、思ったのぁ、トラムペット(ドン・エリスはペット奏者)ってやっぱりちょいと延々聴くにはツラいなぁ。戦闘心を鼓舞するために使われた楽器、て事もあって、ヒステリックな音色であることは否めず、長いソロは正直キツい。それを思へば、やはりマイルス・デイヴィスはスゴいんだな、と・・。

闘志を鼓舞するものに「ミュートを付ける」事で、定義をひっくり返してマイルス=音色のキャラを決定づけた慧眼は、さすが「帝王・マイルス」といふ名が相応しい気はする。

5月29日(木)ーーーーーー

しーシュ「夜市」直前リハ。

まぁ、しーシュでも・・・だが、この先ベース弾き&歌うたい&シンガーソングライターとしてやってくのに、どの楽器と共に歳をとって行こうかね?といふのを、この頃とくに考へ続けてゐる。アトランシア壱本があればあとは要らん、と思ってゐた頃が嘘のやうに、煩悩に取り憑かれてゐる。

今さら「新しいもの」を入手する選択肢はないので、今あるものをどう使って行こうか?といふ悩みは、裏返せば『要らんものは手放そう』といふ意識だ。ブランキー・ジェット・シティの歌ぢゃないが『僕がこの世界から消え去ったらこのギターは一体誰が』とかいふやつだ。

これは親しい友が次々と鬼籍に入り始めた昨今、たいへんリアルな問題として私の前に聳えてゐる。楽器だけではない。所有してゐる膨大な音源、資料、書籍や日記など、生きてるうちになんとか目処をつけてないと、遺すものに迷惑をかける事になる。まぁ最後に自分が遺る、んなら別にどうだっていいんだが・・・。こればっかりはねぇ。

5月30日(金)薬研堀夜市 第49回『変拍子で歌おう』ーーーーー

割とハードルの高かった今回の「夜市」。いよいよ本番。
セットリスト全てを変拍子(奇数拍子)のナンバーで構成したライヴは、さすがに初めてのことで、まぁそれなりに緊張感と焦燥感はありありで・・。

まぁここんところリハも少なく、ラインナップをあまり弄らず、得意パタンで勝負してきたしーシュにとっては、なかなか良いタイミングのチャレンヂだったのではないか?と思ふ。お客さんにはなかなか得難い体験に付き合ってもらった、といふ気はするが、そこはさすがにしーシュのファン、みんな楽しんでくれたやうで良かった。

いちをう、どんな曲を演り、それがどんな拍子だったか、を書いておこうかね。
(表記基準・分子/分母:3/4=四分の三拍子)

闇夜の国から(カヴァー):4/4+6/8+7/8
亀の庭:5/4
ロマンティック・ラストワルツ:7/8+4/4
いらっさい:5/4+3/4
夕闇を待つ猫:5/8+6/8
遥かなる影(カヴァー):7/4+4/4
イングリッシュマン・イン・NY(カヴァー):11/8+7/8+4/4
夜の木をねぐらに:6/4+4/4+3/4+5/4
微熱の夏:7/8
羽の記憶:5/4
Take 5&6:5/4+6/4
うねり:7/8+4/4
ごっとりさん:6/4+5/4+4/4
ジェラシイ:7/4+4/4
クリヴォ・ホロ:3/4+5/4
歳をとった鰐:4/4+5/4+6/4
来場と、配信を見てくれたお客様、ファンの皆さんに、大感謝。

5月31日(土)ーーーーーー

久しぶりに打ち上げで1時過ぎまで飲み、風呂ン中で寝てしまうぐらいのかんぢから、ちゃんと布団に入ったのが3時ぐらい?。けふは用事もなく、のんびりしやう、と。

とある案件が暗礁に乗り上げ、これはちょっとさすがにナイよ、との決断から、しーシュにとっては悪くない話だったのだが、「降りる」ことにした。その内容をメールにしたため、直接電話し、本人にそれを伝える。

一部の人にありがちな『大事な要件を電話のみで済ませやうとする』事で起きたトラブル。このたびの件に関しても、最初に来た依頼の記録が残ってない、といふところに、すでに問題があるのだ。口頭で説明した後、文書でも確認する。少なくとも私は、これがビジネスの鉄則だと思ってゐる。

そもそも「口約束」といふ言葉があるでしょーが?。あれを良い意味にでも捉えてゐたか?。