2016年 黄金週間ツアー

30日(土)津山音楽祭「音の葉つやま」-----------------------------------------------------------------

さて、本格的に旅が始まる。

例によって早朝の電車に乗り、岡山県は津山を目指す。
けふは昼から本番がスタートするフェスティバル系イベントにて、その会場入りに間に合う為には新幹線を使うしかなく、さうなれば広島〜岡山間なぞホンマにあっちゅう間で、そっから津山線の異常に揺れる電車に乗るもわろし。

音の花つやま、といふイベントで、県内外から優れたミュージシャンが集まり…で、当初は野外での開催を聞いてゐたのだが、なんやかんやあり、結局、築50年の歴史を誇る津山文化会館大ホールで執り行われる事になった。

そこにワシらを導いてくれたのは「だいふく」の石田あかりちゃん。
彼女が是非しーシュを!と奨めてくれたから、津山出身でもないワシらが出れる事になったのである。
会場には、顔見知りの参加者もいて、ワシらだけ異分子、といふかんぢにもならなんだのはよかった。

1000人収容のデカい会場ではあったが、残念ながらPRが追い付いておらなんだやうで、かなり寂しい集客。
かういふデカいイベントを成功に導くのはホンマに難しい。

それに、例によって、自分らの演奏以外はづっと楽屋にこもって自分らの馬鹿世界できゃらきゃらつるんでゐる若者のバンドやらもゐて、こやつらは苦々しかったな。

ワシらガキの頃はかういふのに参加するのぁ「勉強」のつもりでゐたもんだがなぁ・・・。 いかに自分らより年上各上の人達からナニか盗めるか必死だった。

まぁえぇわ

けふのワシらは「巻きのしーシュ」の名に恥じぬ働きだった(笑)
演奏予定表に7曲を書いたワシらに『持ち時間(40分)は厳守で』とやや焦り気味のスタッフ。
大丈夫ですよ、と断言したのだが、よほど心配だったのか、ワシらがステージに立つ直面に『@時までに終わらせてもらへたら・・・』などとまで。

ワシらは7曲をキッチリ35分でシメ、全体の進行もこれで見事なオンタイムに(笑)
『終わらせました』と言ったのは、ちょっと嫌味だったかな、と反省。

1日(日)津山フォーク酒場「たる」-----------------------------------------------------------------

ツアー3日め
けふはそのまま津山に滞在し、もぅ一本。
津山と云へばやはりここ、フォーク酒場「たる」。やはり去年の今頃来て以来か・・・・。

前回は現役女子高生シンガー詩音ちゃんが対バンを務めてくれたが、けふはワシの元弟子朝井ゆうじを擁するポップトリオ「だいふく」が対バン。
鍵盤のミキちゃん産休明け初ライヴ、1年半ぶりのだいふく復活ライヴなんださうな。

リハも本番も、そげなブランクなど感じさせぬ堂々としたパフォーマンスで会場を盛り上げてくれた。

ウチらは昨日とラインナップを換え、しっとりから激しいのまでの品揃え。のっけからお客さんもよく盛り上がり、音響もたいへん演り易く、良いステージが出来たやうだ。
途中、だいふくの3人をステージに上げ、ワシらをバックにビートルズを唄わせる、といふ企画をしたのだが、これがまた最高で、慣れぬながらも見事なハーモニーを聞かせてくれ、会場もヤンヤの喝采。

ワシらにもダブルアンコールまで来て、それは素晴らしい津山の夜だった。

にしても「だいふく」の復活の見事な事よ。他バンドのヘルプやらでぼちぼちステージに立ってゐた唄のあかりちゃんやゆうじはまだしも、ホンマに1年半ぶりのライヴだったと云ふミキちゃんのプレイも安定感抜群。
今回の復活を期にこの3人、また活躍を見せてくれることだらう。

2日(月)豊橋COTY-----------------------------------------------------------------

けふから中国地方を離れ、中部への旅。

まづは津山駅前発のバスで大阪へ。そっから在来線に乗り換えて豊橋まで。合わせて7時間の移動だ。

豊橋駅前で「座長」富安秀之さんと合流。歌声一座としてjazzspotコティ、ここもまた1年ぶりの出演となる。

しーなさんにとっては、富安さん前線復帰後 初の本格的な共演(富安さんは今年最初のツアーで心不全を発症。緊急入院の前後のステージをワシらが関わった経緯がある)で、再会の嬉しさから舞い上がっておかしげな事をやらかしてゐた(笑)。

富安さん久しぶりの郷里ライヴといふ事もあって会場も満員で、歌声一座初日またえぇ滑り出しとなったやうだ。

慣れてゐるとは云へ、7時間の移動後すぐのライヴは久しぶりで、まぁ正直疲れは否めない。
わりとかういふ行程の無理がこたえるお年頃になって来たワシら。

3日(火)勝川cafe MON-----------------------------------------------------------------

ツアー5日め

ゆんべはいわゆる「商人宿」に雑魚寝泊。
さすがは日本古来流通の中枢を担って来た中部地方。街道沿いにまだかういふ宿が残っていて、古き善き旅人たちの足跡を感ずる事が出来る。

またに歌声一座にふさはしい宿だった(笑)。

豊橋伝統の「菜めし田楽」など頂きつつ、けふは勝川に移動。
しーシュとしてはお初となる喫茶Monでの、文字通り「カフェライヴ」だ。

持ち込み機材を自分たちで設営して演るライヴにもだいぶ慣れたワシら。
スムースに準備&リハも進行し、生憎の雨&強風(この辺りは元々たいへん風の強い地域ださう)の中にも関わらず、時間には満員の会場。

けふは初めてのお客さんも多く、しーシュとしてもなかなか落とせぬ1本だったが、全く気負わず、完全にリラックスした状態で演る事が出来た。

あまりの風の強さに感銘を受け、急遽「風の通り道」をラインナップに加えて構成。しーシュとしても歌声一座としても、初めてのお客さんにアピールするに余りあるライヴだったと思ふ。
ちょっとオサレでひなびたかんぢの商店街としても、そこで確かな地場を固める喫茶Monも、たいへん気に入りました。
またかならず来たい!。

4日(水)名古屋アルマジロ-----------------------------------------------------------------

ゆんべ遅くに犬山に入る。
けふから2日お馴染み「喫茶ふう」に居候だ。

マスター小川さんと深夜の宴会を進めゐる間、ものすごい雨と風の音がしてゐたが、一夜明けた今朝はピーカン。暑い1日となりさうだ。

日中は散歩したり洗濯したり

けふのライヴは名古屋アルマジロにて、富安さんの月例企画のゲストとして。
このマンスリーも、富安さん急病のあれやこれやで3ヶ月ぶりなんださうな。常連客から次々と「大丈夫だった?」「生きてた?」「元気になった?」と声をかけられる富安さんを見るにつけ、皆さん待っておられたのだな、と。

まぁ、ワシらが…、といふ訳ではないけど、此処に富安さんを連れて帰れてよかった、と…。

けふは最初の口上を除けば、しーシュに富安さんが入る、といふスタイルでライヴが進行。
ほぼ全編ステージに立ってゐる、といふかんぢだった。

トリオも3日め。アンサンブルの勘も掴め、ハーモニーもこなれ、力も抜けて、最高のパフォーマンスだった。

個人的にはけふのやうな仕事が、楽器、編成問わずに演れるやうなら、ワシもまだ棄てたモンではないかと・・・(笑)

さうね
こっから先、セロだけでこんだけの事が出来たら・・・、てまぁ云ふておく

5日(木)下呂温泉 木曽屋-----------------------------------------------------------------

けふは下呂温泉 木曽屋さんでのロビーコンサート。
今ツアー中最望の現場(笑)。今年明けすぐの音もダチツアーで立ち寄り、出来るだけ早い再来を願ったここに、思った以上の早さで来れた事が嬉しい。

前回は音もダチメンバー6人による賑やかしぃキャラバンだったが、こたびは歌声一座3人のみの小隊。
下呂までの素晴らしい山並みの中を、車で駆け抜けるもまた楽しい。

下呂に着いて機材をセッティングしたら、まづ温泉。旅館中のあちこちにワシらのポスターが貼ってあり、嬉しい。

黄金週間内とは云へ、けふは繁忙期のなか日ださうで、泊まり客も少なめ、と女将さん。

しかし開演時間には、泊まりの方々はじめ遠方からも見に来てくれたお客さんで、会場はほぼ満員。
3人でそれぞれソロを交えたりした1時間のステージ。ワシが急遽決めた昭和歌謡や、しーなさんのシャンソン、座長のスタンダードなど、臨機応変なライヴは、初めてのお客さんにもアピール十分だったハズ。

しーシュのCDも結構売れて、旅館からの評判も上々。

再来を望んだ甲斐がある、素晴らしい仕事だった。

前にも書いたがこの木曽屋さん、造りはデカいがたいへんアットホームな宿で、女将さんはじめ従業員の方々も気さくで話しやすく、こんな人たちに気に入って頂ければそれだけでもぅ大満足、なかんぢの旅館だ。

こたびも『是非また演りませう』と言って下さり、こちらこそまた強く強く再来を望んでいたい。
ありがとうざいました

6日(金)中津川付知 三尾邸-----------------------------------------------------------------

旅の8日め。

けふでしーなさんは戦線離脱。先に広島に帰り、ワシはしーシュのシュウではなく、富安&シュウ=残業ブラザーズのシュウとなる。

木曽屋さんにて昼までゆっくりさせて頂き、しーなさんを下呂駅まで送る。
しーなさんは「ワイドビューひだ」といふ電車に乗るさうな。こはワシが今一番乗ってみたいヤツ。飛騨〜名古屋間の山並みを縫って走る車窓はさぞや美しい事であらう。いいぃなぁ〜〜〜!

さて残業ブラザーズは中津川へ。中津川つっても、だいぶ山ン中の付知(つけち)といふ処。
けふのライヴ会場はなんと「民家」である。
中津川で45年の歴史を誇る老舗バンド「土着民」の三尾信彦さんが、自宅内に建築したプライベートスタヂヲ。
文字通りのホームコンサートである。

これが素晴らしい。

この地に住む、音楽を愛する人たちが集うコミュニティみたいなかんぢで、ホンマに家庭に呼ばれて歌ってるやうなかんぢだった。

聞けば、ワシの歌旅師匠 豊田勇造さんとも繋がりある方々らしく、ツイこないだ勇造さん来られたさうで、けふのフライヤを見て「シュウちゃんや」とたいへん喜んでゐたさう。ワシもさういふニアミスは嬉しい。

ライヴも文字通りアットホームに(笑)盛り上がり、興味深く素晴らしい夜は更けたのであった。

終演後は当然、その場が打ち上げ会場に。
持ち寄りの料理や酒がばんばん回って来て、早々に撃沈するワシ。

7日(土)長野県飯田スペースTAMA-----------------------------------------------------------------

旅の9日め。

三尾さんに近場の温泉に連れていってもらひ、汗を流す我ら。まぁ富安さんは、ちょいと知られた温泉好き。一緒に行動してゐると温泉に詳しくなります。三尾さんには、その後昼飯まで御馳走になり、感謝しきれぬもてなしを頂いた。

さて、ワシらはそっから「山越え」。まぁこの辺、と云へば「日本の尾根」である。2000m級の山々が連なる中を、車は快調に走る。運転を交代しながら、長野県は飯田まで。「ホンマにこんな所に?」と云ふやうな場所に、けふの会場speace TAMAがある。「こんな所に?」と云ふやうな、立派なライヴハウスだ。

けふはライヴハウスらしく、対バン形式。地元飯田のミュージシャンがふた組、一緒に出てくれた。中でも、明らかにワシよりひと回り上世代のG.G.B.といふフォークトリオの唄は、なかなかに絶品だった。 ウチらの出来も上々。音が良いので、マイクを上手く使ったハーモニィも自由自在。演っててたいへん気持ち良かった。

だがまぁ、場所が場所だけに集客はだいぶ厳しい。音響も良くて演り易いだけに、もっと沢山の人を集められたら良いな、とは思ふも、この場所にお客さんを呼ぶのは、割と至難の技、ではなからうか?。いつかしーシュがここに50人くらいのお客さんを呼べるやうになれたらよいのだが・・・といふかんぢである。

一昨日の木曽屋さんから、ワシら明らかに「喰ひ疲れ」をしており、この日の打ち上げでは、ちょいと控えた。昼間暑く夜寒い、といふ日々が続いてもゐて、やや体調が下降気味でもあり、ちょいと身体が熱い。野菜とか、さう云ったものだけをつまみに酒を呑んだ。

が、どーやらこれが間違いだったやうだ。

8日(日)郡上和良-----------------------------------------------------------------

旅の10日め。

ライヴ会場横のログハウスを借りて泊まったのだが、起き抜けに天井が回ってゐたので、これはヤバい、と。そんなに量を呑んだ訳ではないので、こは「目眩」だ。富安さんに事情を伝え、しばらく寝てゐる事にす。だが、ログハウスに色々な者たち-----さえずる小鳥や山鳩、ブンブン唸る大型の甲虫や蜂などがひっきりなしに訪ねて来やがり、オチオチ寝てもおれぬ。

まぁそれでも昼くらいまで横になってゐたら、だいぶマシになって来た。よぅし、と気を取り直し、ツアー最終日の地、郡上市は和良へ向かう。

この旅は、中部地方一円を巡った訳だが、所謂メヂャーな場所はほとんどなく、何処も初めて地名を聴くやうな場所ばかり。けふの「和良」もさう。聞いた事がない、と云ふやうな処なので、当然ここもすンごい山の中である。蛍と鮎の里、なんださうな。けふの主催者 加藤信司さんはこの地で、まぁ「町おこし」のやうな仕事をしてゐる。ライヴ会場も「公民館」みたいなかんぢ。ナンとも良いかんぢの処だ。

田植えの時期でもあり、また偶然にも複数の参加予定者にアクシデントがあったさうで、ここも集客はやや控えめだった。だが正直、一歩外に出れば、文字通り『鼻をつままれても分からぬ』やうな闇夜を、よくこれだけの人が・・・といふかんぢではあった。残業ブラザース最後のステージも、滞りなくよき唄声とハーモニィを聴かせ切れたやうに思ふ。

富安さん、さすがに長旅の疲れも出たやうで、珍しく打ち上げの途中に撃沈。かわりにワシは昨日とうって変わって元気であり、主催の加藤さん、リストランテ・シェフのAくん、と遅くまで焼酎を酌み交わしながら、何故か映画談義に盛り上がった。

あとひと月もすると、この辺一帯、まさに目を疑うやうな蛍の乱舞(CGよりスゴい、とか)が見れるさうで、それがどんだけスゴいか、を皆が語ってくれる。是非、次はそんな季節に来てみたいものだ。田舎暮し、を手放しに素晴らしい、と云ふほどワシは無知でも無学でもないつもりだが、ここはたしかに素晴らしいところだ。

9日(月)-----------------------------------------------------------------

旅の終わり。

朝は加藤さんに案内してもらひ、あちこちに。こんな山ン中の過疎地にも、ちゃんと喫茶店があって、そこがちゃんと賑わう「憩いの場」になってゐる、と云ふのが、さすがは喫茶店文化の愛知県!といふ思ひ。なんで広島はこれが出来ないのかねぇ・・・。

この和良には、秋にしーシュで来る事になってゐる。その約束を加藤さんと交わし、ワシらは帰りの旅へ。

富安さんに犬山駅まで送ってもらひ、そっから名古屋へ。在来線で帰るべきかどーか、一瞬悩みもしたが、まぁ無駄に疲れる必要もあるまい、と今回は無理せず新幹線で。ワシは今回の旅に、京極夏彦の『嗤う伊右衛門』を帯同してづっと読んでゐたが、広島に着くまでの間に読了す、といふ理想的な。

2週間ぶりの広島だ。