おなじみ 梶山シュウによる 独断と偏見に満ちた

しーなとシュウ:セルフカヴァー・アルバム「おかわり」 楽曲解説

          

収録曲:ma-road〜らくだ/月の路/あじさい/紫の狐/歳をとった鰐/みんな月を見てゐる/全7曲

まづ、このアルバムを作るに至った経由をば・・・・。

しーシュはライヴにおいて、わりとまんべんなく新旧のナンバーを取り混ぜて演奏する事がほとんど。なんせ「飽きっぽい」二人なので、新曲や新作が出来たから、と云ってそれに準ずる事ばかり演ってゐては、すぐに厭きてしまふ
(この辺が『二流たる』所以)のです。

で、やっぱりバンドの歴史の中で、その時その時の良い曲をアルバムに入れる訳ですんで、古い曲にも思ひ入れはあります。さういふ曲はまた、ファンの方々も気に入ってくれており、ますますライヴで演らぬ訳には・・・、ともなります。

そんな訳で、既に完売(売り切れ)してゐるしーシュの1st「さぼん玉ホリデイ」、2nd「夢で逢いませう」に収録してゐる曲も、いまだライヴで根強い人気を、ありがたくも頂戴しております。初めてしーシュを聴いたお客様から、終演後の物販コーナーで「○◎の入ったアルバムはどれ?」と訊かれ、『あぁ、それはもぅ完売してゐるんですよ』と云ふ事もしばしば。

これではイカン。

先様に喜ばれる(時おり置いてけぼりにしますが)活動、がしーシュの指針。

聴きたい曲をおウチで聴いて頂けない、では正義のデュオの名が廃る!。

『再発をかければエェやないか』といふ声もあったが、そこは正義のデュオ。

是非、今の我ら・・・、結成13年にわたり、一度も滞る事なく旅とライヴを続けて来た我らの、今の姿、を如実に反影したものでなければ!。

てな訳で、まぁ一番は自分らが「それ」を演りたかった、といふ訳で、旧曲を新アレンジで再録音し、なをかつ長らくライヴでは演ってるけど、録音された事のナイ弐曲、をセレクトし、渾身のレコーディングを敢行しました。思ひ入れのある曲を選び、思ひ入れのある事を演って録りましたので、当然、だいぶ「濃い」です。濃厚です。

色んな意味での13年の活動の結晶。「おかわり」是非、お楽しみ下さい。

では、長い前説におつき合い頂き、ありがとう。以下、楽曲解説です。


M-1:ma-road ヴォイス・インプロヴィゼーション>>新録音

こは、録音がだいぶ進んだ頃になって、しーなさんから『冒頭にナニかみたいなモノを付けたい』との提案があり、それに準じて二人が丸腰でスタヂヲに入り、思ひ付くまま声で遊んだものを、何回か重ねて仕上げたもの。「始まり始まり〜」とか「来たよ来たよ〜」みたいなかんぢを表現してみました。

ぢつは、しーなさんの方から即興的なものに対して提案される事はたいへん珍しく、弐曲目の「駱駝」と並んで、録音時やや体調が悪かったワシは、どことなく「押され気味」でもあります。

雅言葉の「まろうど=客人」と、女性名詞の「ma」、にRoad=道、旅、を引っかけてタイトルとしました。


M-2:駱駝 作詞作曲/椎名まさ子 補作/梶山シュウ>>1st「さぼん玉ホリデイ」収録

トリオだった「ねこのづく」からデュオの「しーなとシュウ」になり、まっ先にループを使ったアレンジが成立した壱曲。ライヴではトップかラストかに使われ、えせニックな曲調、展開の多い構成などから、初期のウチの代表曲でもあります。いまだに「この曲のサビはなん拍子?」と訊かれますが、四拍子ですよ。今回の録音に際し、さらに大胆なアレンジ案がしーなさんから出て、アレやコレや演りました。

要になってゐるのは意外にもギターで、これも特に作り込んだ訳ではなく、直感的に弾いております。

中盤「キャ○ラバン」が導入される部分での、しーなさんがこれまでになくキレており(笑)、聴かせ所でもあります。

地味なのと過激なの、全部で3種類のテンポチェンジが成されてゐるが、これはクリックを設定して実際に演奏したもの。ツギハギはしておりません。この曲に限らず、今作品、ベーシックなピヤノとベースは全部テイク1の壱発録り。どんなもんぢゃい!と云っておきませう。

使用楽器:ピヤノ、電気ベース、ガットギター、ジェムベ、ダラブッカ、ドラムス、各種鳴りもの


M-3:月の路 作詞作曲/梶山シュウ>>新録音。

もともとワシがソロパフォーマンスをする時の壱曲目、として作ったもので、当初はカリンバの独奏からゆるやかにベースに繋がる、と云ふ形で演奏されてゐた。

某舞台での仕事でしーシュで演るに際し、新たにアレンジ。ライヴではやはり壱曲目に演奏される事がほとんどで、壱曲目で演らなんだら演ることはない(笑)。ベースのハーモニクスにピヤノが絡み、ヒッティングによるリズムが後半を盛り上げ、エンディングで挨拶、といふ流れ。

録音ではベースは隅に押しやり、ギターでアンサンブルを牽引。しーなさんから『ピヤノ 要らないんぢゃない?』との意見があり、なんとピヤノが入っておりません。ピヤノとベースのデュオなのに!。そのかわり、コーラスをふんだんに使い、そはまるでクゥイーンのやうに・・・。

使用楽器:箱ベース、ガットギター、アコーディヲン、鳴りもの


M-4:あじさい 作詞作曲/梶山シュウ>>2nd「夢で逢いませう」収録。

再録音に関して、いちばん「是非これを」との声が高かった壱曲。ライヴではおなじみ「後家殺しバラード」であります。

もともとは8ビートの軽快な曲だったこれを、2ndアルバム収録に際してしーなさんがバラードにアレンジ。そっちの方ですっかり名が知られ、元のアレンジを知る人は既に少ないか、と。今回はさらにドラマティックにストリングスまで入って!。まるで不久山魔差張るのやうだらう?。

なんちゃない失恋ソングであり、50を過ぎた身でかういふの唄うのもどーよ?と思ふけど、歳とったなりの唄い方ができるやうになったので、まぁそれも良いかな、と思っております。何人かの方がこれをカヴァーで唄ってくれており、女性目線にしたもの、ギターで演奏されたもの、 ベースのみで唄われたもの、あるさうです。感謝!。

使用楽器:ピヤノ、シンセサイザー、電気ベース、ドラムス


M-5:紫の狐 作詞作曲/椎名まさ子 補作/梶山シュウ>>2nd「夢で逢いませう」収録。

しーなさんが曲の骨子を作り、それをワシが「解体」して「再構成」す、といふ『シュウの里子制度』が最初に起用された曲。もともとはくら〜〜いバラードだったのだが、民族リズムを取り入れてこのやうな事に・・・。

アレンジの元になったのは、トルコの有名なマーチ(トルコ行進曲ではない)「ジェッディ・デデン」。まぁぶっちゃけそのまんまだったりするのだが、民族笛「ナイ」の部分をカズーで代用。それらしさは出てゐると思ひます。アルバム中、もっともアクの強い仕上がり。2ndで録った時と比ぶれば、如実に方向性が定まってゐるのではないか?と。持ってる人は続けて聴いてみて。

ぢつは歌詞が素晴らしい、と思ってゐる。ふたりで作ったので、何処までがしーなさんの歌詞だったかは、もぅ忘れたが。

使用楽器:ピヤノ、電気ベース、箱ベース、ガットギター、アコーディヲン、ジェムベ、ダラブッカ、シンバル、カズー


M-6:歳をとった鰐 作詞作曲/梶山シュウ>>1st「さぼん玉ホリデイ」収録。

しーシュ・アホ曲の筆頭的作品。

変拍子、キメ、ツインボーカル進行、とウチらしい聴かせ所が満載で、「亀の庭」と並んでしーシュを代表する壱曲である。初期の頃からライヴのエンディングを飾り続けて来た重要なニッチにあり、ややこしい変拍子だが、既にこれで踊れる、と云ふヒトも僅かながら存在する。

1st収録時は、ピヤノ以外に参加する部分がほとんどなく、「なんかオモロない」と云ってたしーなさんだが、こたびはオルガンにコーラスに、と全面的にフィーチャー。むしろワシを押し気味にハリ切った声と演奏を聴かせてくれてゐる。ラテン・パーカッションを全編でフィーチャーした1stから一気にイメチェン。ドラムス入りのロック・ヴァージョンに仕上がった。さすがに難しく、何度もトライした挙げ句、エンジニアの「魔法」を使ってもらった。ドラムはやはり苦手です。

この曲のやうに、既存の書や絵のタイトルをそのまま使う、といふのは「違法」にあたるのだらうか?と思ふ事はある。

使用楽器:ピヤノ、オルガン、電気ベース、ダラブッカ、ドラムス


M-:みんな月を見てゐる 作詞/梶山シュウ 作曲/リコ 梶山シュウ>>新録音。

しーシュとしては初めて、外部のコンポーザーを起用した壱曲。即興的に出来てゐたサビを、歌詞と共に友人のジャズピヤニストである リコに預け、完成させたもの。しーシュだけでなく、リコとのデュオやソロでも演奏しており、色んなヴァージョンが存在する。さういふ意味では今作品中唯一「自由度の高い」曲に仕上がってゐる。

リコが作ってくれた時点では、もっとあからさまに琉球調であった。演るうちにダークになって行き、こんな仕上がりに・・・。せめてもの琉球感を出す為に三線を入れてみたら、わりとうまくハマった。

歌詞のヒントとしては、いつぞやの「スーパームーン」のおり、SNSにあまたのヒトが月の写真を揚げてゐたのを見てから、「あ〜今この時、みんなさうしてゐるんだ・・・」と思ったのがきっかけ。コワいっちゃコワい世界。

使用楽器:ピヤノ、電気ベース、ジェムベ、ダラブッカ、鳴りもの、三線