秋分(9月23日をピークに前後15日)

中学校時代の友人から突然メールが届きました。

ヤツとは高校卒業後はほとんど会う事もなく、風の噂で「今は広島に居ないらしい」といふ事を知ってる程度でした。

何かの拍子にフとワシの事を思い出し、インターネット検索してみたらオルカ団のサイトを見つけた、といふことで、しばらく名前を見てもピンときませんでしたが、思い出してびっくり。いやぁ懐かしいなぁ。

中学時代、おそらく「全宇宙で一番イヤなガキ」だったワシと、親友付き合いをしてくれてゐた数少ない人間でした。彼もギターをやっててオリジナルの聴かせっこなどもして、ちょっと一緒にバンドやったりもしましたな。ちょいとスカした印象のある男でしたが、ワシは彼のその妙にトボけた感じのする自意識がすごく好きで、『かういう男になりたいなぁ』といつも思ってたものです。

今は結婚して東京に住んでゐるさうで、ワシの写真を見て「髪が薄くなった」とのたまいやがった!。

「あの頃の情熱を今も持ち続けてゐるお前に脱帽する」みたいな事が書いてあって、勇気づけられました。こんなカネにならん事を、この歳になってまで続けて、一体ワシはどーしたいのだらう、とかタマに思う事もありますが、「辞めないでいいんだな」と気付く瞬間ですね。ここ数日で一番嬉しいニュウスでした。

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同じ時期、お世話になってるある人から、やはり連絡があり、「むやみに敵を作りなさンな」といふ意味の事を云われました。まぁさういう事を云われるまでに色々あった訳ですけどね。

ワシは「体制」とか「権威」とか「慣習」とかいふものに対して、過剰に牙を剥くタイプの人間です。人に命令されるのが嫌い、とかさういうんぢゃないんです。ただ「きまりごとだから」といって何の説明もされないものに「No!」と云いたいだけなのです。

先述したヤツとつるんでた時代、ワシは当時の中学生としては異例の『長髪』でした。もちろん校則違反です。ワシは不良にカテゴライズされる少年ではなかったのですが、こればかりは譲りませんでした。「何故長髪がいけないのか?」をちゃんと説明出来るセンセイが居なかったからです。「校則だからだ!」なんて何の説明にもならん。決まった事には従え、なんて冗談ぢゃない。

生活指導でいわゆる『チャリ』の部分を全部刈られ、「これに他の部分を揃えてきなさい」と云われてもそのまま登校しました。

で、ワシは、ほぼそのまんま大人になってしまいました。

誰からも文句云われんだけの仕事をすれば、とんがってゐても認めてもらえるはずだ、と思ってゐたんですが、残念ながら社会といふものはさういうものではないやうです。会社員時代も幹部としょっちゅうモメておりました。ワシが辞める時に社長が云ったのは「まぁキミも早くマトモな人間になりなさい」といふことでした。今はかういう稼業をやってますが、それでもやはり社会のさういう図式ってぇのは少なからず現れる。やんわりと話をつければ良いものを、相手がでかいと無闇に牙を剥き、罵詈雑言を並べ立ててしまう。

上ばかりではないですよ。後輩からも「なんでもっと上手く仕事しないんですか?」みたいな事を云われた事がありますよ。もっとバリバリにやらうと思えば出来る人なのに、って事らしいですが、バリバリやりたくねぇんだからしゃぁないわ。かうしてだんだんと「気難しい孤独なおぢさん」になってくんでショーかねぇ。

でも、お世話になってる人にまで、今回少なからず迷惑をかけ、ご心配をおかけした事は反省します。もう少し「上手な」やり方を勉強します。

9月20日


土、日で宮島は包ヶ浦特設ステージにて友人のシンガーソングライターしすサンと、レゲエ旅人源之助さんを手伝ってきました。

まぁ特設ステージつっても、浜辺の一角にあるちょっとした高台に板を敷いただけのモンでしたがね。海から吹き付ける風と満月が気持ち良くってね。延々ワンコードでレゲエのリフなんか弾いてるとそりゃトリップしまさぁな。浜辺ぢゃ観客も踊り狂ってるし、やっぱりワシは野外って好きだなぁ。

ライヴは夜半に終わって、その後はDJタイムだったやうです。明け方までやってたな。

ライヴ派は見に来た連中も演ってた連中もちゃんと寝る人達ですが、DJで踊ってるヤツら=クラブ派の連中は寝ないんですな。朝、起きて海岸に行ってみると、行き倒れの死体みたいにクラバーがあっちこっちでくたばってました。こいつら昼間なにやってんだろ?。

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友達のダンサーが所属してゐるSi-ringといふ女性ダンスチームの初公演に行ってきました。

この集団はダンスと云っても「動作で表現する」といふ主眼を掲げてゐるらしく、所謂コンテンポラリーなダンスとは全然違うものでした。むしろ「舞踏」に近い。とはいっても山海塾や桃源房ほど前衛的なものでもなく、ダンサーが皆若い女性といふ事もあって、ポップな所はポップです。来年中旬の大々的な自主公演に向けて協力者を募ってゐる、とか。もしアレなら音楽とか提供してあげれたらいいな。

友達のコは、可愛かった頃の宮沢りえにチョイ似のべっぴんさんなのですが、他の団員も仲々の美人揃いでございました。

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かをりが所用で滋賀県に行くといふので「鮒寿司」を買ってきてもらいました。

知ってますか?。琵琶湖で穫れるにごろ鮒といふ魚を使った『熟れ寿司(発酵食品)』です。世界で6番目に臭い食い物です。寿司といっても酢飯があるわけぢゃなくて、ごはんを発酵の導き手として使った、まぁ『さかなの漬け物』ですな。くっさいっスよ。

ダメな人は全然駄目ださうで、ちなみにオルカのエンヂェル2人は、開封してない袋のにほひだけでダメでした。昔一度カケラを喰った事があって、そのうんこのやうなにほひに驚きましたが、発酵食品の特徴で、何故か妙に心惹かれ、タマタマ滋賀に行くといふかをりに買ってきてもらった次第です。

マルごとを見るのは初めてで、女房と「これ、どーやって喰うンや?」とか云いながら(ちなみにウチのカミさんはくっさい食い物大好きな人で、熟成チーヅや薫製なんかもバクバク喰います)、包丁で切って、日本酒を飲りながら喰いました。う〜〜ん、クサい!。でも美味い!。

これよりさらに5ツ、クサいものが世界にはあるやうで(小泉武夫教授著『発酵は力なり』参照)、こーなりゃ喰ってみたいなぁ。

前々から興味があるのは、イヌイット(エスキモー)の発酵食品『キビアク』。何かのドキュメンタリィ番組で、故植村直己さんが喰ってたんですが、強力な食いものでね。見た目は『腐った小鳥』そのもの。そのクサさは世界で4番目ださうです(ちなみに1位はスウェーデンのシュルストレミングといふニシンの発酵食品)。これをイヌイットの人達が、なんとも幸せさうな顏して喰うんですよ!。野菜を採れないイヌイットの貴重なビタミン源だとか。美味さう!。んんん喰ってみたい!。

クサさの基準?。小泉教授の著書によると、アラバスターといふ単位で調査できるさうです。なぢみのある所では、これによると納豆の数値が452。クサいといふ鮒寿司でも486ですから大した事ありませんね。ちなみにさっきの話に出たキビアクの数値は1,370。シュルストレミングに至っては8,070ださうです。想像してみてください。

シュルストレミングは残念ながら(?)特別な例を除いて日本で喰う事は出来ません。缶詰が発酵ガスで爆発する怖れがあるので、輸入が禁じられてゐるからです。スウェーデンでは外国人がこれを喰った事を『表彰する』制度があるさうです。

行ってみる?。

9月26日


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