歌声一座「ハゲしいなとシュウ」新春ツアー2011

1月8日(土)-----------------------------------------------------------------------------------

新春ツアー壱日目

ゆんべ遅くに広島を出発した夜行バスで名古屋に着く。7時ちょい過ぎ。一般社会人にしてもまだ早い時間だ。けふは豊橋まで行って、そこから「座長」HAGE富安さんにピックアップしてもらふ予定。ただそれはあくまでもライヴ会場入りの時間を目指して、の話し。さすがにこの時間に行ってもねぇ、と云ふ事で、喫茶店で朝食を済ませたら、ネットカフェで3時間ほど休憩。

予定通り昼過ぎの名鉄線で豊橋へ向かひ、HAGEさんと合流。豊橋新名物「カレーうどん」なんぞ食しつつ、浜名湖をぐるっと廻って、けふの会場WATTSへ。

ここは富安さんが拠点にして月イチ企画を行なってゐるハコ。夏には全国各地から旅のミュージシャンが集まる「うなみかん祭り」の会場となってゐる場所だ。こ・れ・が・湖畔に立つ絶景のロケーションのライヴハウスだった。ステージ背後にグアッと夕景の浜名湖が浮かび、ハレーションを起こしたやうに風景が霞む様は、まさに「絵のやうな」。しーなさんをモデルにして何枚か写真を撮る。

さて、そんな場所でのライヴである。決して交通の便が良いとは云ひ難いとこにも関わらず、在浜の友人知人音楽好きの常連、ライヴの体裁がつく程にはお客さんも集まってくれた。富安さんのアイディアで、けふはしーシュの二人それぞれのソロも演る。考えてみたら富安さんは、ワシらの事をほとんど知らぬのだ。個人的にも浜松は初めての場所。その挨拶も兼ねて、ワシは「夜明けの海ごっこ」を、しーなさんは「ねじまき鳥」を。

富安さんのソロは勿論、しーシュのステージも良いかんぢに盛り上がった。ラストは富安さんがチョイスした曲を3人で自由に膨らませて演る。これが面白かった。思ひがけず、ソロで個性を、しーシュで芸術性を、トリオでは主役を引き立てる演奏を、とワシにもしーなさんにも、全部の面で音楽的満足を与えてくれるライヴとなったのだ。良いライヴだった。良いショウだった。

店の弐階、倉庫のやうな部屋に3人で雑魚寝。富安さんの「居候(いそうろう)、It's so lonely」といふ唄がハマる。この日のかんぢで、ワシはなんとなく「音楽一座」といふイメェヂが出来上がり、以後、そのやうな感覚で旅を続ける事になった。

9日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

弐日目

けふは「バラ売り」日。ワシはソロで、名古屋はボトムライン「うたうたい」といふイベントに参加。しーなさんと富さんは、やはり名古屋のストレガといふ店に出演す。ワシはデカいイベントの為、入り時間が早く、ひとり先に浜松を出発。出発前の調査で、ここらに「天竜浜名湖鉄道」といふ、たいへん良いかんぢの路線がある事を知った。これは「乗り鉄」としては素通りはできまい。

場所の関係上、全線制覇、といふ訳には行かなんだが、浜名湖沿いを往く鄙びた単線の叙情は、大いにワシを満足させてくれよった。

さて名古屋。けふの主催者といふか主役、りとるびれっじの谷口幸至朗さんと、夏ぶりの再会。このイベントは、元々のニッチとしては、幸至朗さんの誕生日を祝う、といふモノ。そこに全国からイカシた旅の音楽仲間が集まるのだ。このデカいライヴハウスがいっぱいになるのである。谷口幸至朗、すごいヒトである。

けふのワシは個人枠としてソロで2曲。それから幸至朗さんのWetbackにベースとして参加。の出演。バンドやユニットに拘束されぬ限り「御自由に」なので、面識のある先輩後輩達との再会を楽しみつつ、ホンマに1人で終始自由に過ごさせてもらった。

ライヴは「りぶさん」といふ、前に松坂で出会ったホンマに素晴らしくカッコ良くハッピーな3人組、に続いてソロ。「らのえてぃあ」と「夜明けの海ごっこ」を演る。かなりウケてひと安心。その後Wetbackのメンバーとして4曲。イベントにしては長時間ステージに出てられて嬉しい。

自分の出番が終わった後は、ちょいと失礼してしーなさんと富さんのライヴを見にストレガへ。けふは「ハゲとズサンナのムード歌謡ショウ」ださうで(笑)、それぞれのソロやデュオを演るらしひ。初めての場所でしーなさんがどんなソロを演るか聴いておきたかったのだが、残念ながら時間切れでボトムラインに戻る。まぁ行けただけでも・・・。

ボトムラインでは、トリの「ウシャコダ」による狂乱のお祭りライヴが繰り広げられており、会場は大盛り上がり。Voの藤井康一さんのスッ飛びぶりは相変わらず見事だ。ラスト、幸至朗さんを囲んで出演者全員で唄う「Stand by me」では、ワシも高田エージ&中山剛両アニキと肩を組んで絶唱しまくった。いやー楽しい。素晴らしいライヴだ。

打ち上げはりとるびれっじにて。出演者観客入り乱れての満員。ワシは名古屋で馴染みの人達と、隅っこの方で静かに語りながら飲む。途中、ライヴを終えて合流してきたしーなさんの方が、はるかに自然に皆に溶け込んでゐる。ウームやはり社交的側面はこの人に任せた方が良いな、と改めて思った。

名古屋の定宿、カプセルのアペゼに泊。けふ出演したミュージシャンの半分ぐらいが、ここに泊まったやうだ(笑)。

10日(月)----------------------------------------------------------------------------------

参日目

けふは、名古屋の朋友、鎌田麻実と清本りつ子によるデュオ「Asa-lee」の新作レコーディングに参加す。旅の間に、かういふ仕事が入るのは、なかなか良い。壱曲ほどアレンジ含めて全面的にコラボレーション。完璧!ではないが、まぁ仲々の満足行くテイクが出たところで終了。後は彼女らに任せやう。

この後、名古屋にもう壱泊宿を取り、麻実らと打ち上げ兼ねて大須観音の丸焼き鳥でも喰ひに行ければ良かったのだが、ワシは今夜も旅の空。先に行ってるはずの座長としーなさんを追っかけて、京都まで行かんければならぬ。味噌煮込みうどんだけ喰って新幹線に乗る。

途中でしーなさんから「京都は寒いぞ」といふメールのあった通りに、京都に着くと雪が降ってゐる。はひゃぁ〜!寒い!これが京都の冬か。全国津々浦々、何処に行っても阿呆丸出しの、新成人と云ふ新生児(さういや成人式だ)どもで溢れる京都市内を歩き、会場の先斗町Room335へ。おぉこの場所は!?。

数年前、Soe'sでツアーした折りにこの辺りに来た事があり、この先斗通りをパイグと歩きながら、「何故このやうなかんぢの良い場所をお前と(男二人で)歩かねばならぬのだ?」と、パイグにとっては言いがかり以外の何でもない文句を云ったものだ。あとでしーなさんを誘って歩いてみやう。

けふはこないだより更に「3人ショウ」を打ち出す構成で。京都は富さんに深い関わりを持つ人が多く、それにちなんだ曲も3人レパートリィに加わる。リハでパっと聴きだけで本番が演れる、てのぁ、まぁしーシュの「音職人」としての面目躍如、だな(笑)。

本番前、予定通りしーなさんを誘って先斗町通りを歩く。ここを女性と歩く、といふ3年越しの夢を実現させて満足。しかしちょいと表通りに出たら、似合わぬスーツを着た新生児たちがあちこちで喧嘩だの大騒ぎだのをしておって、ウザい。

さて本番。関西にはワシらしーシュにも縁りの深い人も多く、沢山の友人知人駆け付けてくれて、賑やかで暖かいライヴとなった。最前列でちーさい女の子が、しーなさんの真似をしてテーブルを「弾いて」ゐたのが最高だったな。会場を巻き込んでの合唱。我らの3声ハーモニィももう完璧で、これはもう一座を名乗るしかあるまい、といふかんぢ。ラストは富さんがワシらに任せてくれ、広島以外でも2回めのお披露目となる「おかえり」を演る。

良いライヴだった。

けふは富さんのユニット「てるてる家族」の在京メンバーである、ハ−ピストのあらいなおこさん宅に居候。ここが音楽仲間のゲストハウスのやうな家らしく、宿泊者がサインを残す「宿帳」まである。暖かい水炊き鍋やつまみなども振舞って頂き、感謝多謝。去年から京都に出てきたPAオペレーターのきむらあやこも合流して、わいわいと飲み喰ひの宴。素晴らしい京都の夜である。

座長富安さんは、見かけに寄らず酒を壱滴も飲まない。さういふ人から見ると、ワシら二人ともよぅ飲むタイプなのだらうな。

弐階のふた部屋に布団を敷き詰め、あやこも交えて全員で雑魚寝。

11日(火)----------------------------------------------------------------------------------

肆日目

あやこはゆんべ結構酔っ払ってゐたが、ちゃんと8時に起きて帰ってった。

さて昼ぐらいまでウダウダ喋ってたワシらは、なおこさんのお勧めの和定食屋さんへ。4種の天麩羅、刺身、煮物2点、和え物2点、にご飯お代わり可、で¥1000!。素晴らしい!。最近小食なワシだが、流石にこれはお代わりしました。

満腹になったワシらは、西へ出発。この旅の中で一番移動距離の長い、京都〜広島の旅。3人で交代しながら寝ながら、思ったより全然早く現地に着。ワシ個人的には7年ぶりになる福山市神辺はハイダウェイ。何度か出演してゐるが、どれもバンドのベース弾きとして、だったので、マスターのTOKUさん、名前を聞いてもピンと来なかったらしひ。店に着いて顔を見るなり『あぁ!あぁ!』と(笑)。

けふのライヴは完全に対バンスタイル。この町の富さんのファンが駆け付けて、てんでにパーカッションなどで参加しながら、ライヴを楽しんでゐる。もともとアメリカン〜ル−ツ音楽系のお店なので、しーシュの音楽性には戸惑ってゐたやうだけど、まぁ良いかんぢに演れた。久々に「夜の駱駝」を演って好評。自分で云ふのもナンだけど良い曲である。ラストはやはり3人で。大いに盛り上がりアンコール。

座長からの提案で、昨日京都で演った「おかえり」を3人でハモる。これがまた大成功で、流石座長!てなかんぢ(笑)。アカペラグループにも成れるのではないか?ワシら。

終演後はお客さんも一緒につまみを囲んで、飲む。良いかんぢ。春秋楽団時代のワシを知ってる人が、けっこう沢山ゐて驚く。まぁハイダウェイも2回来たし、尾道だの福山だの、よく行ってたからなぁ・・・。「もっと太った人の印象があったんですが」と云はれる。はい、今より10kg重かったです(苦笑)。顔なんかパンパンでした。

さういや昨日はなおこさんからも春秋楽団の名前が出た。宴会中の会話で、『広島って云へば春秋楽団ってバンド知ってますよ』『ワシ、そこに居ましたよ』『えぇぇ〜!?』てな話しだったのだ。九州で対バンだったらしひ。いや〜〜、旅は異なもの味なもの、である。

美味しい味噌汁鍋など戴き、TOKUさんのお祖母さんの家の弐階に宿を借りる。神辺の夜はしんしんと冷え、ファンヒータを全開にしても15度。コタツの周りに布団を敷き詰め、それぞれ足を突っ込んで放射状に寝る、といふ。

居候、Not so lonely、である。

12日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

伍日目 千秋楽。

我らの本拠地広島だ。みんな寒さで目が覚めたので、早めに出発。下路を使って3時間ぐらい。昼には広島に着き、ワシとしーなさんは一旦自宅に戻り、衣装などを揃えてまた会場入りする事に。座長にはその間スーパー銭湯で休憩して頂こう。

つつ井食堂で飯を喰ったりしたら、ここに来て疲れが出てきたのか(出るわな)、ものすごい眠くなってきた。が、頑張って入り時間にフライング・キッズへ。スタッフとして協力してくれる友人知人、早くから駆け付けてくれて嬉しい。開演時間には椅子が足らぬ程の満席。ツアーの〆を地元満席に出来て良かった。

けふはワシらが「ホスト」として富安秀行を迎える、といふ形。座長ソロ、しーなさんとのデュオ、しーシュ、トリオ、と進む。もうすっかり馴染んだ3人でのレパートリィ「居候」「月、青くして」「Moon bow」も、このままレコーディング出来さうなクゥオリティだ。演りながら『嗚呼、楽しかったなぁ』と思ふ。Moon bowのサビなんてづーっとリフレインしてゐたい、と本気で思ふ。今年の初ツアー初音だしで、これが演れた事がとても幸せだ。

最後はやっぱり「おかえり」で大団円。本当に楽しかったツアーが終わった。

打ち上げは富さんの希望で牡蠣&お好み焼き。広島の名物バンド「カッポレ」のメンバーも交えて楽しく飲み喰ひ。みんな若いのにシブいの知ってるなぁ。今年はみんな揃って浜名湖へ演奏しに行こう!とか云って盛り上がる。

座長!お疲れ様でした&ありがとうざいました。ライヴをする、旅をする、といふ事の本質を魅せてもらったやうな気がします。一緒に旅して、一緒に音が出せて、一緒に唄えて、本当に幸せでした。

しーなさん。貴女には、連続5日間といふ行程も、居候の旅といふ事も初めての経験でしたね。我らデュオの音楽的本質も見つけられたやうな気がする。これを糧に、また今後も良い音の旅を続けて行きませう。

そして各地で会った「魂の兄弟」たち。富さん流に云ふと「音もダチ」。本当にありがとう。この旅の続く先に、またあなた達との邂逅がありますやうに!。

どんなに遠く 離れてゐても
おんなじ月の 光を浴びて
思ひ出す顔は いつも笑ってる
あの日の月が 照らしてくれる

いつでも良いよ
ぼくは此処に居るよ
いつでも おいないなぁ
ぼくは此所で唄うよ

月の光で 七色のMoon Bow                  高田エージ「MOON BOW」

ツアー写真集