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1日(金)-----------------------------------------------------------------------------------
10月になった。あと少しで、またひとつ歳を取る。
御贔屓韓流女優ペ・ドゥナ主演「空気人形」観る。都会のおとぎ話、てかんぢだな。もっとファンタジィかと思ってたら、結構エグいシーンもあるし。予想以上にペ・ドゥナが良い。そしてエロい!。全裸Sexシーン満載なのだが、さういふ行為より、ストーリィの中で見せる演技のエロさが素晴らしい。ラスト近く、ちょいと衝撃の展開で、恋人に息を吹き込もうとするシーンなぞ、今まで最もエロかった映画「ナインハーフ」を上回るエロティック&グロさ。
勿論、人形に扮した全編で見せる、妙に生命力のない演技も見事。豪華脇役陣の存在感も素晴らしい。今まで日本になかったタイプの映画。かなり辛口の映画評などでも絶賛されてゐたのが分かる。うん、オモロかった。
2日(土)-----------------------------------------------------------------------------------
PICOのアイドル的存在、ロゥミステルの鍵盤奏者アサミちゃんが、留学(ニュージーランド)の為にしばらく日本を離れる。のの、壮行会ライヴ。アサミちゃん自身が企画して、ミュージシャンを集め、みたいな。お客さんは満員。アサミちゃんの人気を物語る。本人参加のロゥミステルの演奏は勿論、師匠のツンちゃん(彼女はジェムベ叩きでもある)とのジェムベ・デュオ、ふじたよーこチャンのバラフォン叩き語り、など良い演目が続く。
ワシらはしーシュで参加。餞として「あじさい」を唄った。個人的には「旅人のお守り」として、ターコイズのペンダントをプレゼント。アサミちゃん、向こうに行っても、どーか元気でね。
リーダーのユミプも東京に飛び出し、Dr&Vo不在のまま、残った二人でづっと活動して来たロゥミステルだが、アサミちゃんも旅立ち、遂にパイグひとりになる(笑)。女性は時として驚くほどの行動力を見せる。それに比ぶれば、仕事だの生き様だのに囚われて、男は足取りが重いね。
個人的には、この日パイグが唄った「さんぽ」といふ唄が、とても良かった。彼も進んでゐる。
3日(日)-----------------------------------------------------------------------------------
ゆんべは結構遅くまでマッコリ(韓国酒)をごぶごぶ呑んでゐたが、朝イチから仕事。来週行なわれる、生徒の大発表会の為のリハに壱日付き合う。かういふカン詰め仕事の良い所は、壱日カネを使わずに済む事だ。
夕方までリハ。ワシはそのままリハはしご。やはり来週行なう「企画:舞」のリハに行く。ジャズダンスの平賀育未ちゃんが、ワシの「Dance」に素晴らしい振りをつけてくれてゐる。とても良い。映画を観てゐるやうだ。タップの伊藤良磨も、こっちが「もうえぇだろう?」と思ふくらいの入り方で、何度も何度も即興パタンを練習。良いイベントになりさうだ。お客さんいっぱい来てほしいな。
昨日今日とたいへん忙しかったが、おかげで塞ぎがちだった気分が、だいぶ上向きになった。ホサれやうが無視られやうが、演り続けて良いんだ、よな?、と思ふ。
4日(月)----------------------------------------------------------------------------------
女房が風邪でダウン。完全にワシの風邪が伝染ってしまったな。すまねぇ。
フとした事からYou tubeで聖飢魔IIのライヴVを見る。すげぇ格好良い。いや、彼らの演奏技術や音楽性の高さは、今までもちゃんと認識してゐたつもりだったが、それどころではなかったのね。メンバーそれぞれのプロ意識の高さ。デーモン閣下の「ぢつは善い人」オーラも全開。1999年12月31日のラストに演奏された「El Dorado」なんぞ、圧巻の演奏だ。全ての必然が、ちゃんと「聖飢魔II」といふ鋳型に流れ込んでゐて、安定してゐる。ワシの認識を超えた、素晴らしいロックバンドだったのだな。
ちなみに聖飢魔IIのベーシスト、ゼノン石川和尚は、ワシと同じく「地下室の会」のメンバー。まだお会いした事はないが・・・・。
夜、この木曜日の為のフタコブリコズのリハ。なんと今回は壱曲リコがベースを弾く、らしひ(笑)。勿論ツインベ−ス。これはオモロい。このユニットも、最近なんかイロモノめいて来たが、イロモノは実力が伴ってなかったら、ただのイタい人達なので、そこはキチンと演りますよぅ。
5日(火)----------------------------------------------------------------------------------
しーシュのリハ。ワシのソロ曲をふたつ、しーシュ用にアレンジ。近々発表しませうか。
ケータイのヴォイスメモ機能を使って、結構いっぱい作曲アイディアをストックしてある。聴き直してみると、ほぼ完成してるのとかあって、なんでこれちゃんと作んないのかね?といふかんぢ。ん〜〜〜〜〜〜、詞がね・・・。
ちなみにワシは、結構な頻度で「タイトルから曲を書く」といふ事をやる。ほとんどのコンポーザーが、タイトルは一番最後に決める、らしひのだが、ワシはまづタイトルありき、で作りはじめる事も多い(最近は完成し切れぬのも多いが)。曲名をみぢかい歌詞、と捉える、といふか・・・。ちなみに今タイトルあって未完のもの。「イカ枕」「おかえり」「何処へ行くのだらう」「もぐりの酒場」。タイトルだけのもの(要は全く手付かず)のもの。「めまい」「君の白のシャツ」。
6日(水)-----------------------------------------------------------------------------------
ウチの近所に、しばらく前からタコ焼き屋台が来てゐて、これがなかなか美味い。訊けば、脱サラして夫婦で始めた移動タコ焼き屋だとか。応援したくて、気付いた時は買うやうにしてゐたが、ここ2〜3日姿が見えない。何処かもっと販売効率の良い場所に移られた事を祈ってゐるが。
夜、タップダンスの伊藤良磨少年と「企画:舞」のリハ。他のダンサーが割とワシの音楽に「合わせて」くれてゐるので、良磨だけはワシの方が「合わせる」スタイルで演ることにす。ワシの貧弱な見聞では、タップといふとジャズ、スウィング、といふイメェヂがあったが、昨今はタップも多岐に渡り、色々なスタイルがある。良磨が指定して来るのは、タテ乗り高速リズムだ。ワシの方が必死で着いて行く、と云ふかんぢ(苦笑)。
「ぼくの技術ではまだゆったりしたリズムでは上手くノリが出せない」と云ふ。しっかりした少年である。おぢさんも頑張りますよ。
7日(木)-----------------------------------------------------------------------------------
けふは久しぶりのフタコブリコズ。で、キエレス・マテ:赤木りえ(fl)宮野弘紀(Gu)岡本博文(Gu)の広島公演の前座を務める。
リコがちょいと緊張してゐた(?)やうだが、まぁワシらなりの「仕事」はきっちりこなせて良し。例のリコとのツインベースもまぁまぁの出来。じょんがらベースでもちゃんと笑いを取れたので、ワシの役目は果たせた。何故かシルクロ−ドから帰って以降、えらく楽器が身体に馴染む気がする。丸々壱週間、楽器に触らなかった事が、良い方向に作用してゐるやうだ。ふぅん。
キエレス〜のアクースティックギター×2とフリュート、といふ編成には、ちょいとPAがアレだったが、演奏のレベルの高さで「持って行く」人達なので、それは凄まじい。広島は岡本さんの出身地。ファンのみならず、昔の友達や御両親など多数駆け付けてくれたやうで、「同窓会のやうだ」と岡本さん嬉しそう。爆笑MCが冴え渡り、必然的に演奏にも熱が入る。岡本さん、宮野さんのグルーヴ感抜群のカッティングに、りえさんのフリュートが叫ぶ。素晴らしい演奏。あ”〜〜こんな人達が日本にまだゐるのだ、と思ふ。
良いライヴだった。ん〜〜〜もっと上手くなりたいな。
打ち上げは、やはりお好み焼きだらう。出演者全員でわいわい語りながらネギ焼きなどほぉばるも楽し。キエレス組がシバちゃんと共に弐軒目に流れてったあと、リコズで残ってしばらく呑み喋って、解散。3時だった。チャリで帰る夜道が寒い。
あ、けふはトルファンで買って来たウィグル帽を被って演ったのだが、あまりに似合い過ぎたか、誰からも何の反応もなかった。
8日(金)-----------------------------------------------------------------------------------
スイミンは少ないが、酒の疲れは残ってない。いつもの時間に起きて専門学校へ。ものすごい眠いが頑張って仕事。
生徒が自分で自分をアニメおたくだと云ふ。ワシもおたくとまでは行かぬが、アニメにはそこそこ造詣が深いぞ。こないだも何を血迷ったか「餓霊・零」の諫山黄泉の1/8スケールフィギュアを買ってしまったばかり。そこら辺の事を生徒とぎゃーぎゃー話してハと我に還り、自分の精神年齢の低さにめまいがした。
この、なんでもかんでも自分の知ってる事を披露したい、といふ幼稚な神経は、歳取るにつれて何一つ良い事はないな。もっと色んな事に超然とした年寄りを目指さねば。
なかなか良い鮭の切り身があったので、買う。ムニエールにでもするか。しかし葉もの野菜が高い!。けふ行ったスーパーなど、サニーレタスが¥298!。白菜¥100といふのがあったので行くと、なんと1/4のさらに半分のサイズ!。これは高すぎる。
9日(土)-----------------------------------------------------------------------------------
女房が友人と遊びに出てった。ので珍しく朝からウチにひとり。晴れてゐたらサイクリングに行くつもりだったが、生憎の雨。ん”〜〜〜しょうがない。ラヂヲを聞きながら本読んでたらつい熟読。いつの間にか昼過ぎてゐた。
その後、歌詞造りに入る。「おかえり」の詞が完成。今年の花見の帰り道、なんと哀しいほど平和なのだらう、と思ったかんぢを唄ってみた。もうひとつ「何処へ行くのだらう」は途中までで挫折。テーマが絞り切れず、やり直しだな。良い「絵」は見えてゐるのだが、ね。いつの間にか夕方。
と、まぁ、あんまり「前進」せなんだ壱日だった。
10日(日)-----------------------------------------------------------------------------------
F楽器店、秋の大発表会。大ホールに壱日缶詰め。けふは良い天気。昨日これだけ晴れりゃえぇのによ。
会場入りして、スケヂュールが走りはじめたら、あとはもう最後まで。生徒の世話に講師演奏に、と忙しいが、まぁ楽しんでやる。生徒達も楽しんでゐて良い。講師演奏は毎回腕の見せ所だが、今回は特に目立つ場所なし。まぁそれで「魅せ」れにゃダメなんだがね。まぁ上手く行ったかな?。
打ち上げは在籍生OB関係者含めた大人数で。明日もライヴなので節度を保ちながら呑む。若いのにウザい酔い方をするヤツが増えたなぁ。
二次会も行き、例年通りスタヂヲに泊まって帰るつもりだったが、ちょいとあまりにも寒い。逡巡してた所、ちょうど同じ方面に帰る生徒がシラフだったので、車に載せてってもらふ。明日のライヴの会場が近いので、車と機材は置いて帰り、明日取りに来る事にしやう。ウチに帰り、風呂に入って温まってから、寝る。
11日(月/祝)----------------------------------------------------------------------------------
自分企画「企画:舞」の日。
昨日帰り道、喉がガラガラだったので恐る恐る声を出してみるが、うん、大丈夫。それほど掠れてはおらぬ。万全を期して、珍しく10時くらいまで寝てゐる事にす。
電車に乗って車と機材を引き取りに行き、そのまま会場のTIPに入る。会場の前で東京から帰って来た関本麻須美ちゃんとばったり。やぁ久しぶり、とか云ひつつセッティング&リハ開始。他のダンサー達も集まって来て、それぞれと軽くリハ(本気でやるとバテるので)。結構息つく暇もなくお客さんが入って来て、時間には満員。割と慌ただしく本番が始まった。
まづはマスミちゃんとのデュオで「亀甲問答」。昨年のコンペに出展した作品。それ以来初の再演だが、お客さんがかなり大人しく、引き込みにくいかんぢで、マスミちゃんが大変さうだったな。
続いてタップの伊藤良磨と即興を弐曲。リハほどには本番で上手く息が合わなかった、かな?。もっと彼のソロの場面を作ってやっても良かったかもしれん。
三番手にベリーダンスのNoriちゃんと「あやかし」。今回の出演者中ただひとり「単一種目専門」といふニッチにゐる彼女。そのニッチの強さは流石の一言。出て来た瞬間にがらりと空気を変える。狙い通りの曲相ともマッチして、妖艶な踊りが素晴らしい。
肆番手はジャズダンスの平賀育未。けふのなかで一番「正統派」のダンスで「らのえてぃあ」に絡む。ワシはこれ演るとどーしても音量が上がる。けふはノーマイクで演ったので、その辺のツラさは自分に帰って来るのだ、ね。育未ちゃんは引き続き、良磨を伴ってのデュオで「Dance」にも見事な振りをつけてくれた。
最後にもう一度マスミちゃんと、PVにもなってゐる「夜明けの海ごっこ」。このヴィデヲは彼女の仲間や生徒達の間で、結構評判になってゐるのださう。ソツなく力抜けて良い出来。ラストは生ギター生声で「国境を越えて」。終盤の即興スキャットの部分でけふのダンサー全員が集結してフリーに踊る、といふ展開でフィニッシュへ。この即興部分が思いのほか長く、その間づっと臨界点近くで声を張り上げてゐた。何度か肺が破れさうな瞬間を実感したが、まぁなんとか最後まで。
終始大人しめだったお客さんも、最後には大喝采、で良かった。
昨日のけふで、全編ノーマイクは流石にキツかったが、またこれでひとつハードルを超えれたやうな気もする。マスミちゃん、育未ちゃん、Noriちゃん、良磨くん、ありがとう。そいから裏方で協力してくれた仲間達、ホンマにありがとう。
打ち上げは特になし。マスミちゃんを送って行く道すがら、今回彼女がこれの為だけに広島に帰って来てくれた事を知る。しかも明日は朝イチの新幹線で東京に帰るのだと云ふ。だから実家にも戻らずホテルに泊まるのだとか。てっきり他の用事ツイデに帰広してゐるもんだと思ってゐたワシは、大莫迦ものである。なんとお礼を云へば良いか。
ありがとう。ホンマにありがとう。
12日(火)----------------------------------------------------------------------------------
休日。喉が荒れてゐるが気にせず過ごす。
DVD「アドベンチャー・ファミリー」観る。1976年作品。アレルギー性の喘息に苦しむ娘の為に、お父さん奮起して一家で大自然の中に引っ越すぞ!みたいな物語。動物好き自然好きのコドモだったワシが観たのは11歳のとき。この映画のサントラ(初めて買ったレコードだ)がきっかけで、ワシは「音楽家になりたい」と思ふやうになった。音楽を聴くだけで、映画の風景が脳裏に甦るなんて、なんて素晴らしいのだらう、と。
さういふ記念樹的な映画な訳だが、今見ると結構いろいろと無茶苦茶な(苦笑)。だいたい、昨日まで大都会で暮らしてた一家が、一番近い隣家と40Km離れてるやうなロッキーの山ン中にいきなり住居を移す、なんて自殺行為だし。
それでも四季折々のロッキーの大自然の美しさを収めたシーンはやはり素晴らしい。今となってはサントラもかなりチャチぃのだが、まぁ・・・・。そいから娘役のホリー・ホルムズはやっぱりカワイイ。その弐点は記憶違いではなかったな。
13日(水)-----------------------------------------------------------------------------------
喉の調子悪い。
年末の大舞台「TIP HOTEL Vol2」の音楽部リハがいよいよ本格化。楽団主要メンバーはワシ(弦)、しーなさん(鍵盤)、宮本かおり(打)の3人。結局ワシはこの舞台の為に新曲4、アレンジ2、歌詞1、ジングル3、を書き下ろした。やれば出来るもんだ。まだ譜面を追うのが精一杯の段階だが、これで全体像が見えた気がす。12月23日の本番までには、全曲暗譜せねばならぬ。結構大変やぞ。
しかしこのテの「長期的な仕事」てのは、かなり早いうちからリハの日程が抑えられるから、急なスケヂュールに対応出来ぬのがオモロない。突然オファーのあるライヴなどに出演出来ぬことも多いのだ。だからやはりシビアな見方をするなら、かういふ仕事を引き受けるには、見合った報酬と、それなりの覚悟が要るなぁ。
14日(木)-----------------------------------------------------------------------------------
昨日のリハとその後の呑み+風邪、で、完全に喉が潰れてしまった。何年かに壱度ある、あのしゃーしゃー云ふ音だけ出る状態。医者に行き、注射壱本打ってもらひ、昼過ぎまで寝てゐるが、こげな日に限ってヴォイスのレッスンが3人もある。休みたかったが、不手際で生徒の連絡先を知らず。仕方ないのでしゃーしゃー云ひながらレッスンする。
スタヂヲにJASRACのモノが来てゐて、ワシの楽曲につひてあれこれ尋ねやがる。こいつら何時いつ何処どこでワシがライヴを演ったか、を調べてやがる。諜報部かこいつら。スタヂヲにも法外な金額を請求して来たやうだ。ヤクザかこいつら。ホンマにろくでもないヤツらである。
15日(金)-----------------------------------------------------------------------------------
夜中に咳が止まらず、昨日より更に喉が潰れた。まるで言語にならぬ。が、レッスンを休む訳には行かず、筆談&ボディランゲージで授業。物わかりの良い生徒達で助かる。
夜はTIP HOTELの台本読み合わせ。少しの台詞しかない、とは云へ(本業は音楽監督だから)、この1ヶ月ほど自分なりに練習はしてきた。が、けふのこの喉ではどうにもならん。別の人格のやうだった。それでもまぁ演出家には『ハマってきた』と云ってもらへて、助かる。ちょっと喋ると咳が出るのがウザい。薬を呑むも効かず。
ある線からたいへん嬉しい仕事の依頼。実現すれば、この後の人生の新しい局面が開けるかも、とすら思へる。それぐらいのオファー。捨てる神あれば拾う神あり、である。色々と悩みは尽きぬが、前を向いて進んで行こう。
しかし喉が辛い。
16日(土)-----------------------------------------------------------------------------------
喉の調子は相変わらず最悪だが、けふもTIP Hotelのリハーサル。14時から21時までぶっ続けの。昨日のリハは「読み合わせ」のみで、演奏の出番なしだったが、けふは演技もしィの演奏もしィの、で、しかしこれの方が我々(音楽家)には楽だ。演奏、が息抜きになる。
にしても演出壌 晴彦氏の、的確な注釈に応じる俳優陣の咀嚼力、適応力の凄さよ。喉が云々などと云って力を抜いてゐては、同じ舞台を作るものとして名折れ。咳き込みながらも、唄い、歌唱の指導。孤独な作業によって創られた楽曲が、出演者によって彩られ、「唄」へと昇華して行く光景は、作曲家冥利に尽きるなぁ。いや、打ち込みで作曲をする人達には、此所までの「絵」が見える、ってことなのか。ん”〜〜〜〜。
相当に力の入ったリハを終え、ワシ、しーなさん、壌さん、ミミの4人は、来月の朗読ライヴの会場下見に。照明や音響につひてアレコレ。一応納得して、その後4人で飯&飲み。鉄板焼の「修竜」にて広島名物などを。壌さん、牡蠣が安いのにたまげてゐる。
壱日でこれだけの事をやれば、気分的には高揚してゐるのだらうが、如何せん体調が悪く、しんどい。いやしかしこれを楽しめねば、立派な変態とは云へぬ、と。まぁ。
17日(日)-----------------------------------------------------------------------------------
けふも昨日と同じスケヂュールでリハ。昨日より更に厳しいダメ出しが乱れ飛ぶ稽古場。
緊張感張り詰めた中で、いきなりミミが台本にないHappy birthdayを唄いはじめ、一瞬ナニが起こったか?!と思ふが、これは「ミス・サプライズ」の異名を取る彼女の演出。なんとワシ以外の全員による誕生日サプライズだった!。カメラマンのChokkenさんまで巻き込んでの演出だったらしひ。ヤラレましたねぇ。照れ照れのワシにケーキと花束が渡され、一気に場がなごむ。みんなありがとう。素敵な45歳の誕生日だ。
が、稽古はシビアにその後も続き、けふは22時までかけて全シーンでの音楽をまとめる。さらにあと参曲ジングルが必要な事が発覚。おーしまた作らなきゃ、な。まぁ初めての「音楽監督」にしては、ちゃんとした仕事がやれてゐる、のではないか、と思ふ。
家に帰ると女房からの誕生日プレゼントはヰスキィの詰め合わせ。嬉しさのあまり、喉には良くないのだらうが早速マイヤーズ・ラムの封を切り、ストレートでちびッと。ん〜〜〜〜美味い。友人にこれでアル中になった男がひとり居たなぁ。板前の仕事をしながら、これを・・・こんなキツいのを一晩で一瓶イっちゃうのださうな。あいつ、生きてんのかな?。
かうしてわたしは45歳になった。
18日(月)----------------------------------------------------------------------------------
うち続く咳。
どーも「咳喘息」といふモノに症状が似てゐる、といふ事で、それなら通常の薬が効かぬ訳だ。で棚を探ってみると、数年前に似た症状が出た時に処方されたステロイドが出て来た。ので、それを使ってみる。効きゃ良いのだが。
夜、NHKで富山の五箇山ら辺の暮らしをやってゐる。あぁこの辺があの「合掌造り」の土地なのだ、と知る。五箇山と云へば「こきりこ節」だ。ん〜八尋洋一アニキにも云はれたのだが、やはりこの場所に行ってみるべき、なのだらうな。それも、音楽家としてでなく、ただの旅人として。なぁにシルクロードに比ぶれば造作もなき事。行くかね、近々。
久しぶりに女房を連れて晩飯を喰ひに「つつ井食堂」へ。常連客のKさんがゐる。この人仲々の博識なのだが、タマ〜〜に少しデマが入ってゐるのがオモロい。まぁ害のない話なので。
19日(火)----------------------------------------------------------------------------------
Tip Hotel用の作曲に勤しむ。稽古が進み、視覚的なイメェヂが出来上がってゐるせいだらう、あっと云ふ間に3曲完成。清書してFAXで送信。作曲家になったやうな気分(笑)。でもマジで、年末にこの仕事を上手く終えれたら、名刺(持ってないけど)に「作曲家」てぇ肩書きを入れやうかな、と思ふ。
ネットの情報欄に「弾けたらカッコイイ楽器9パタン」とか云ふ記事が。によると、1位:ギター、2位:ピアノ、3位:ドラム、4位:ヴァイオリン、5位:セロ、6位:サックス、7位:トラムペット、8位:和太鼓、9位:ターンテーブル、ぢゃげな。
まぁよくもこんな阿呆な統計を取ったものよ、と思ふが、なかなか興味深い結果とも云へるな。「ベース」が圏内に入ってないのはまァ分かるとして、9位のターンテーブルって「楽器」かよ?。個人的には2位の「ピアノ」って意外。まぁこの統計結果ってなんの信憑性もないけど、ね。
20日(水)-----------------------------------------------------------------------------------
山から降りて来たクマによる被害が多発してゐるやうだ。自然界のバランスが崩れて来た結果の事だらう。ツキノワグマはいちをう日本全土に棲息してゐるから、どこで出たって不思議はない。個人的には、ウチの周りに現れて、そこら辺で夕方になるとびゃーびゃー騒いで遊び回ってる糞餓鬼どもをちょっと齧ってくれでもしたら、褒美の餌でもやりたい所だ。
でもそんな事すっと射殺されちまう訳だから、熊の方が可哀想だな。でもマジで、音楽聴いてられんくらいうるさいのよ餓鬼どもが。
音楽、と云へばループマシンを使って音楽をする人の事を、昨今「ルーパー」と呼ぶらしひ。それの世界大会かなんかがあるらしく、その映像など見る。フ〜む、確かに皆上手いけど、ルーピングのアイディアだけなら、ワシの使い方のが勝ってるやうな気がするなぁ。みんなループ以外のえへくたの使い方が上手い、と思ふ。
まぁワシは「ルーパー」を名乗るつもりはないけどね。「弾き語りスト」でいぃです。
21日(木)-----------------------------------------------------------------------------------
だいぶ咳が収まって来て、声もだいぶ出るやうになった。ので、久々に唄の稽古。低いキィのから始めて、段々普通のに。本調子ではないが、ちょうどえぇかんぢに嗄れてゐて、憂歌団の木村さんの声が太くなったやう。これが続くならそれはそれで・・。「夜明けの海ごっこ」とかハマるなぁ。
生徒が激減して、なんと6時半に仕事が終わってしまふ、といふ体たらく。イカンなぁこんな事では。でも今足掻いてもしょうがないので、せめて安くて美味い晩飯を作る事に力を注ぐ。
ベースと歌の生徒募集中。
22日(金)-----------------------------------------------------------------------------------
20代の終わり頃、ワシは世にも珍しい「ダブルネック・ベース」のオーナーだった。
フレットレスとフレット付きのダブルネックだ。ジョナス・エルボーグに影響を受けて友人の楽器屋に製作してもらひ、一時期はよく使ってゐた。藤井政美とジャズ歌手のバックを演ってたのも、これだった。取り回しが難しい事を除けば、良い楽器だった、と思ふ。なんつっても見た目のインパクトは絶大だった。
何故使わなくなったか、と云ふとこれはひとえに「フレット付きが要らなくなった」からに尽きる。当初は『フレット付きでコード弾いて、フレットレスでメロディ弾いて』とか考へ、実際そのやうにしてゐたが、フレットレスを完全に弾きこなせるやうになると、その「弾き換え」すらロスに感じはじめたのだ。読者諸兄御存知のやうに、今のワシはフレットレスでコードも弾くし、スラップもする。
これはもうヴァネッサ壱本で充分だな、と思ひ始めた頃から、づっとスタヂヲの隅で眠り、そのうちピックアップやペグなど、パーツを採集する「鉱山」のやうな存在になってゐた。専門学校の生徒がひとり興味を持ったので「要るか?」と訊くと「要る」と云ふ。ので譲ることにした。もう残骸だけどね。嬉しさうに持って帰って行く生徒。まぁ修理して弾いてもらへるなら、ベースも喜ぶだらう。達者で暮らせよ。
23日(土)-----------------------------------------------------------------------------------
大幅リハの日。まづ昼過ぎからしーシュのリハ。壱曲を何度も繰り返し演る、といふ我々には割と珍しいリハを1時間半ちょっと。遅めの昼飯休憩を挟んでから、今度はTIP Hotel Bandのリハ。台本の流れに添って、何度も譜面を確認しながら通す。局面局面でノリを合わせる練習も。終わってみると、結局13時から18時半までびっちしリハ。疲れたけど、バンドを演り始めた頃のかんぢを思ひ出す。悪くない。
パーカスの宮本カオリちゃん、見込んだだけの働きをしてくれて嬉しい。当初、半分くらいの参加、といふ事だったシンセの倉田かおりチャンも、結局はほぼ全曲でサポートしてもらふ事になった。しーなさんの働きは云はずもがな。良いメンバーだ。我ながら人選に間違いは無かったやうである。
その後、交流会、といふ事でカオリちゃんを誘って食事へ。色々と話をしながら居酒屋メニューをつつく。その後バッキー守岡の『ボノボ』に行き、来週の営業の資料をもらいつつワイン呑む。さらにPICOに流れ、仕事の案件。けふはあちこちでイベントが行なわれてゐるやうで、友人知人のミュージシャンにいっぱい会った。みんな打ち上げに行く途中か帰る途中で、いぃかんぢに仕上がりかけてゐる、のがオモロい。
しーなさん曰く「祭り囃子を遠くに聴きながら」。うん、上手い事を云ふ。
24日(日)-----------------------------------------------------------------------------------
雨の日曜日。ネットで注文したCDや観てないDVDが結構たまってゐるので、さういふ壱日にしたい所だが、さうも行かず。まづは友人らが出てゐると云ふ、なんかのアートフェスティバルのやうなモノを観に行く。
街なかのビルの4Fがまるまる空いてゐるのを使って、音楽やら絵画やらオブヂェやら。ワシが会場に着いた時はちょうど、以前一緒に演ったギターの井本裕介くんがソロ・パフォーマンス中だった。相変わらずオモロい。ディレイ使ってぐにゃぐにゃ演ってゐるが、前衛でなくポップなのが良い。その後、やはり友人のメンダー率いるJAMa-zが出て来てセッションしてゐた。このユニットのザキくんも、オモロいギタリストだ。
その後、ライヴペイントの藤堂信行と松崎純一のデュオも観る。松崎くんはづっと昔に何度か共演した事のある即興パフォーマ−。会うのは200年ぶりくらいか。もともと絶叫ヴォイスを専門としてゐたが、サックスも併用するやうになり、まぁ現代版の阿部薫のやうになってNYへ行ってしまった。長らく向こうで活動してゐたらしひが、今年広島に帰って来た。循環呼吸を使って延々音を出し続けるスタイルは相変わらず。
全体的にかなりユルいイベントのやうだったが、若い連中がかういふ先鋭的な企画に精を出してゐるのは良い。おぢさんも頑張っていかねばね。
夜はこれまた久しぶりにバッキ−守岡との営業バンドのリハ。バッキーと一緒に演るのは100年ぶりぐらいか。同い年ながら、日頃ほとんど接点のない友人ミュージシャンのひとり。来週末、広島フードフェスタ、といふイベントに出演用のユニット。鍵盤にリコ、ギターにセイジ、パーカスにカワノッチ、との5人で、良く知ってる歌ものナンバーを。良いねぇかういふのも・・。
1時間半くらいでさくっと終了。昨日の5時間リハとは対極の(笑)。良いかんぢの日々である。
25日(月)----------------------------------------------------------------------------------
午前中で専門学校を終え、午後は「音楽を聴く」時間とす。
色々聴いたが、鈴木亜紀さんの新譜「Blue Black」が良い。ごくごくシムプルな唄ものなのだが、歌詞にぐっと来る。今のワシにはやはり、洋楽の名作や技巧的なインスト音楽よりも、日本語詞の唄ものがしっくり来る。さういふ時期なのだらう。勿論「良い唄もの」に限るけどね。田和列個とかで推薦盤とか云って流れてるヤツなんぞ、皆クソだ。
クソと云へばワシの嫌いな某音楽雑誌。久々に立ち読みしてみたら増々クソである。表紙からして愚例である。雑誌と云ふメディアが力を失った事は分かってゐるが、かうまでミーハー層に購買域を頼まねばならぬ程か。いやしかし内容見ても、編集部のアイディアが枯渇してゐるのは明白。創刊当時は良い雑誌だった。なんやかや云って、ワシはこの雑誌で得た知識も多いので、少し哀しい。
26日(火)----------------------------------------------------------------------------------
急に寒くなったな。もう下駄はやめた方が良いかもしんない。
朋友空城のしう”ぁが今、東京に遠征に行ってゐるやうだ。ヤツの場合、2〜3週間前に東京入りして、ストリートで演ってライヴの客を集める、といふ、その点にこそ主眼を置いてゐる、といふ。まぁ何とも難儀なチャレンヂをしてゐる。夜は街角で唄い、車のなかで寝泊まりして、チラシを作りCDを焼き、銭湯に通い洗濯をし、といふ生活。これで4回目なのださうな。
ブログを読む限りでは、今回の旅はなかなか良い流れになりつつあるやうだ。彼とはお互いに「遠い親友」と呼び合ってゐるが、まぁホンマに遠い所から、ライヴの成功を祈ってゐる。空城のしう”ぁ、旅日記「ストリートで何人呼べるか」はこちら。
ナニカを「上手くやるには」のやうな事を切々と説く人もゐるが、そんな事は重々承知で、しかし「自分にはこのやり方しか出来ない」といふ人もゐて、どちらも人生だ。
27日(水)-----------------------------------------------------------------------------------
インド音楽とブルーズの融合!といふコピーの、ナジマ・アフタール&ガリー・ルーカス「リシュテ 」を購入。下手なエレクトロニクスを入れず、ギターとタブラ、に唄、といふのは良い。が「融合」してるか?と云へば、う〜〜〜む・・・。悪くはないが。
ナジマが唄ってる「ガザル」といふスタイルの歌曲は、ヒンドゥの神々の物語を、人間の恋愛ごとに置き換えてラヴソングにしちゃった、といふもの。もともとヒンドゥの神様は色々と人間臭いのだが、そこをさらに馴染みやすく歌謡曲に仕上げたのは上手い。ナジマに限らず、ガザルの歌手による、インド歌曲に特徴的な絶妙なコブシ回しで唄われるラヴソングは絶品である。インドの音楽番組で見た事があるのだが、いかにもスケベさうな鬚のおっさん(唄は超ウマイ)が唄うガザルの節に、とろけさうな顔して聴き入る若い娘たち、の姿が印象的だった。
ただやっぱりこの節回しをブルーズに、といふのは無理があるなぁ。惜しい!に1点。
28日(木)-----------------------------------------------------------------------------------
専門学校の生徒達が、コンサートのリハをやってるのを見に行く。
ひとり、無謀にもベースの弾き語りにチャレンジし、「らのえてぃあ」を唄うヤツがゐた。ガチガチに緊張してやがったが、CDのヴァージョンを完コピしてる。ループの使い方もまづまづ。まぁ色々とアレだが、その気概や良し、といふことで(笑)。
でも、考へてみたら、ループを使ってベースで弾き語りする人間を、「客として」見たのって初めてかもしんない。ワシってあんなんですか?。
その後、個人レッスンを唄とベースひとコマづつやる。けふの仕事はこれでおしまい。会社勤めの人より早く帰りながら、こんなことで良いのだらうか、と思ふが、まぁ今の所は仕方ない。晩飯の買い物して帰る。
29日(金)-----------------------------------------------------------------------------------
季節外れの大型台風が近付いて来てゐるようだ。
授業3コマのちカミンにて、月例の藤井政美とのデュオ。「武者修行」と(個人的に)称して、コード楽器、打楽器の居ないサックスとのアンサンブルの中で、電気ベースでどう立ち回るか、を模索するデュオ。このユニットで伸び伸びと電気ベースを「唄わせる」のが、最終目標。日々の練習の成果が、そろそろ見えて来ても良いはずなのだが・・・。
さういふ意味では、けふのライヴはたいへんスムースに演奏に没頭できた。勿論「完璧!」な訳ではないが、初めてこの二人のライヴでフラストレーションを感じずに演れた気がする。ワシも少しは上手くなってるのかな?。最近、ちょいとナニカ自分の中にふっきれたモノがあり、「自分はソリストでも変態系でも技巧派でも野心家でも何でもなく、ただ音楽において美味しいベースを弾くだけ」との思ひが強い。その思ひから、けふのやうな演奏が出来た、といふのが、何とも不思議だ。次は12月。
その後、来広してゐる石間秀機さん一行の飲みに合流。広島で会うのは3年ぶりだが、この夏の東京でちょっとお会いしてゐるので、久しぶりといふ感じはしない。相変わらず陽気に酒を呑み、饒舌に語る御大。VJの成沢ヒデトモさん、主催のM女史と4人で1:30まで楽しく呑み語る。
奇しくも石間さんが語った「唄う」といふくだりが、けふのワシの思ひとおんなじだった。不思議な符号。さぁ明日はダブルヘッダー!。台風よ、もう壱日待たれよ。
30日(土)-----------------------------------------------------------------------------------
動きの壱日。まづは専門学校の発表会を見に行く。ふたつほどすごく良いバンドがゐたな。奇を衒ってただイタいだけのもゐて、それはイタい。
一旦帰宅し、楽器と機材を持って「広島フードフェスティバル」会場へ。バッキー守岡ウィークエンジャーといふユニットの一員として、リコズで演奏、といふ(笑)。まぁかういふ場所は間違いなくじょんがらベースがウケる、といふので、仰せの通りに。たしかに盛り上がって気持ち良く演奏し、お客さんも楽しんでくれてゐたやうだ。
割とタイトなダブルヘッダーにて、終演後すぐにタクシーで移動。さすが放送局主催イベントだけあり、ケータリングのピザも豪勢だし、撤収はスタッフ任せ、タクシーもチケット配付、と至れり尽せり。エラいひとになった気分。
かくしてタクシーでPICOに乗り込む。石間秀機「景音楽ツアー広島」。3年ぶりのシターラの音色が広島に響くのだ。
昨日お会いした時に、石間さんから「最後は3人で一緒に何か演らう」と云はれ、しーシュのラインナップに組み込んでゐた「月のチャクラ」を演る事にした。石間さんには「E♭のラーガ・ヤマンで」とだけ伝え、軽く演奏を聴いてもらふのみで、あえてリハは無し。うをー!初めて本格的なラーガを弾く人と一緒に演れる!。
最初、客足が懸念されたが、前座でしーシュが演ってるうちに集まりはじめ、やがて一杯に。良かったぁ。心置きなくオープニングアクトを務める。えせニック系のを集めた選曲。良い出来。しーシュ、ここん処、30分1ステージスタイルでは無敗!と云ふかんぢだな。ワシ個人的には、あの喉潰れ風邪から復帰後初の唄ものライヴだったが、どうにか。
そして石間さんがステージに。成沢ヒデトモさんの写し出す抽象的な映像に呼応するやうに、ひとつひとつゆっくり音が紡ぎ出されて行く。テクニックやエモーションを披露するギターではなく、如何にして「唄う」か、を追求したギターが、シターラ。石間さん、前回見たときより更にシターラが身体に馴染んでゐる。楽器と一体化した身体。もうホンマに自分の喉であるかのやうに、弦が唄う、のだ。すごい。石間秀機、66歳。進化し続ける、異端のギター弾き。
全9曲ぐらいがあっと云ふ間に終わった。
そしてしーシュ+石間秀機による「月のチャクラ」。自画自賛に取られても仕方ないが、これがすごかった。ワシの疑似タブラに載せてしーなさんのピアノが彩りを加え、その上でシターラとフレットレスが呼びかけ合う。声は天上まで駆け上がり、陳腐な表現だが、宇宙まで拡がって行くかのやう。これはこのセッションの為に書いた曲だったのだ、とすら思へる、凄絶に美しいジャム。
凄まじい拍手がPICOを包んだ。
なんともすごいライヴが出来たモンだと思ふ。全ての功労者は主催のM女史。この世界のこの仕事の事をなにひとつ知らない所から、熱意だけで石間さんを広島に呼んだ女性。その心意気に応えた石間さんと成沢さん。素晴らしいライヴだった。
打ち上げは5人だけで親密に。ここでも石間さんの人間的な「大きさ」を強く感じる。やはりこの人を「心の師」と仰ぐ事に間違いはなかった、と強く思ふ。かういふ人になりたい、と思ふ。さういふ人が周りに多い、のも嬉しい。石間さん、成沢さん、お疲れ様でした。この後も良い旅を。
そいからMさん、ホンマにお疲れ様。そして、ありがとう。
31日(日)-----------------------------------------------------------------------------------
きゅうじ〜つ。
何もしない。ベースも弾かない。ドアも開けない。ひたすらDVDで映画鑑賞。「敦煌」「アイム・レヂェンド」「地獄の黙示録」。