7月


1週目


1日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

谷川俊太郎、と云へば、スヌーピィ好きだったワシには、詩人といふより翻訳者として馴染みが深いのだが、最近、フとした事で、「朝のリレー」といふ詩を知った。

カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている

ニューヨークの少女が ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は 柱頭を染める朝陽にウィンクする

この地球では いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ

経度から経度へと

そうしていわば交替で地球を守る

眠る前のひととき耳をすますと どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ            谷川俊太郎「朝のリレー」

すごいな。表現とはかういふ事なのではないかね?。

こないだから宮沢賢治、高村光太郎、と詩人のエピソードが続いてゐるが、詩人、てホンマにすごいね。「コンタクト」て映画で、宇宙の果ての姿を見た主人公が、その美しさを言葉に出来ず「私なんかより詩人が来るべきだったのよ」と云ふシーンがある。なんか「うん」と思ふ。まぁ中には禄でもない詩人もゐるけど・・・・。

2日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

いつの間にか7月になってゐて、お江戸のツアーもこの月末からだ。すぐ来るぞ。

てな訳で、色んな人に案内を出す作業。一斉送信ではちょいとアレなので、一応相手に応じて全文きちんと書く。なかなか骨の折れる作業。ワシは詩人ではないが、美文には心掛けたいと思ふ。

しーシュのリハ。「雨音はショパンの調べ/アイ・ライク・ショパン」をカヴァーしてみるか、と演ってみたが、なんかヘン。うーむ・・・なにが変なのだらうか?。そもそもこの曲って、なにが良くてあんなに売れたンだらう?。確かに印象に残る楽曲ではあるのだが・・・・。日本語詞はユーミンだが、原曲(ガゼボ)の詞はほとんど意味のない言葉の羅列なんださうだよ。ふ〜〜ん。

明日明後日と大阪に遊びに行くので、冷蔵庫の中を片付けるかんぢの料理。豚三枚肉、キャベツ、もやし、椎茸、韮、をラー油で炒めてしをこせう。隠し味にレモン汁を少々。ホンマはキムチの素があれば云ふ事はないのだが。激貧学生時代の定番料理だったな。


2週目

3日(土)----------------------------------------------------------------------------------

女房と長距離バスで大阪に遊びに行く。久々に音楽とまったく関係のない旅。

いつもライヴに来てくれる友人達と、天王寺動物園の前で待ち合わせる。当初、動物園散策などしながら串カツでも・・・といふ話だったのだが、結構な雨が降ってゐるので、潔く直で串カツへ(笑)。年齢性別職業バラバラな8人で、てんでに話ししながら串カツ&どて焼き&ビール。みんな良く喰ひ良く呑み良く語る。ワシは、皆から「師匠」と呼ばれる(しかし職業不明)Hさんと奈良につひて語り合ってゐた。

途中、何故かやたらとメンチを切ってくる外国人集団と、好戦的交流をしたりしながら、まぁ飲みも呑んだり。レシートが1mくらいになった。串カツは美味だったが、流石にラードの揚げ物は最近のワシの胃にはヘヴィだ。結局この日は夜中まで、結構な胃痛に悩まされてしまった。なさけない内臓である。聞けば米油で揚げた串カツがあるらしく、それは最高に良い、とか。次回はそれだな。

プロ・カメラマンのAさんの提案で、夏の終わりくらいに、ワシのライヴ付きの納涼会をやらぬか?と云ふ話し。ちょうどツアー中、滋賀と大阪の間が壱日空いてゐる。音が出せる環境であれば、ワシは連日でも全然構わぬので、是非やらう!と。

呑み出したのが15時、と早かったので、21時には解散。心斎橋のホテルに引き上げたが、胃痛。ぬ〜〜〜む。

4日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

胃痛は夜中に収束。朝飯はホテル付属のハンバーガーショップでチリドッグ。けふはバスの発車時間までの間なにするべ?といふ話だったが、昨日行けなかった天王寺動物園に行くことにした。けふは晴れてゐるので。

天王寺、は通天閣のお膝元。ワシは大阪のこの辺りに来るのは初めてで、そのディープな混沌がたいへん楽しい。ジャンジャン横丁など、インドのチャンドニーチョウクを思はせる猥雑感。昼前だといふのに立ち呑み屋は満員で、早くも酔って道で寝てゐるおっさんが数人。元気な呼び込みの声。うぅむアジアだなぁ、と思ふ。これは良い。

動物園は予想に反してかなり大きく、途中から飛ばして見た、といふかんぢ。お目当てのハンザキ、キーウィ、ハイエナ、は隠れてゐてよく見えなんだ。が、ワシの大好きなケープハイラックスが一匹だけゐて、それにはナゴんだ。これって居群生動物ぢゃなかったっけ?。今度は壱日かけて見に来やう、と云ふ。

16時梅田発のバスに乗車。前の席に、行きと同じ男女が乗ってゐた。向こうもさう思ってゐるだらうな。22時チョイ前に広島に着。カップラーメンで仕上げ。良い旅だった。

5日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

はるか太古にラヂヲで偶然聞いた、マ〜〜〜〜メ〜〜〜〜〜〜♪、といふリフが印象的な、『日本に最初に入って来たラテン音楽』といふふれこみの曲。がどーいふものか知りたくてづっと調べてゐたが、遂に発見。「豆売りマンボ」とかテキトなー記憶でゐたが、正確には『南京豆売り』といふ曲だった。歌唱はなんとエノケン(榎本健一)!。

ハバナ出身のモイセス・シモンが、露天商の掛け声から着想を得て、1927年(!)に作詞・作曲した、アフロ・キューバンのスタンダード。ルンバだと思ってゐたが、これは「ソン」らしひ。まぁルンバの父、か。ここらワシはラテンに明るくないので分からんが・・・。

あのザ・ピーナッツも唄ってた(テーマ曲だったらしひ)んだな。で、調べ続けるうちにマイ・ファニー・ヴァレンタインのVなど出て来て、やっぱ実力派デュオだったのだな、と再認識。ちゃんと英語で唄いながらもバタ臭さが皆無。歌謡曲として見事に唄い切ってゐる。素晴らしい。

6日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

石田衣良「池袋ウェストゲートパーク7」読む。もう辞めやう、と思ひつつ文庫版が出てゐるのを見ると買ってしまふ。今回のはまぁまぁオモロいかな?。「泣かそう」といふ意図が見えてゐるのは、ちょいとアレだが。

考えてみたらこれって、1人の人間の記録、とも云へるんだな。ちゃんと時間軸に添ってゐて、最初回の主人公は19歳。ギャングとつるんで仕事もせずに遊んでるフラついた跳ねっ返りのガキ、といふかんぢだったが、回を追うごとに歳もとり、人間的な成長も遂げてゐる。で、結局なんかマトモな良い青年、になりつつあるのが・・・・(苦笑)。

ワシはまだ未見なのだが、北野武監督の最新作「アウトレイジ」は、その点徹底してゐて、描かれるのはとにかくひたすら暴力と悪意。観た人の話によると、全てのキャストに全く共感が持てないのださうだ。なんか疲れさうな映画だな。

7日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

なんかあんまり楽しい事がない日々。まぁ日々の暮らしなぞこんなもんかな?。

ワシはちょっと前まで、割といつもテンションが高い人間だった。思ひ返してみるに「莫迦ではないか?」といふ程の。そのテンションで、知らず知らず傷付けた人も沢山ゐるのだらうな。

8日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

レッスンの空き時間(長い)に、TIPのミミが来た。年末の大仕事の事につひて色々。まぁ要するに、当初考へてゐたTIP Hotel パート2の内容が、思惑と随分違った事になって来て・・・といふ話し。台本を読むと、確かに。しかしまぁ、外注に脚本を依頼したなら、それはそれで仕方ないんと違うか?と。正直、これをこのまま演る、となるとなかなか大変さうな台本だが・・・。結局ミミは3時間近く喋って帰ってった。

その後、HAGE富安さんのライヴを見に行く。

富安さんは、三重県のM'AXAの周年パーティーライヴでお会いした旅の唄うたい。50歳まで商売をしてゐたが、店を畳んで唄旅の生活を始めて5年目とか。自分で運転する車で旅しながら、今回は全部で30個所のツアーだって。良い旅してはるなぁ。

遅れて会場に行くと、ステージ上から「おぉ!」と。ワシらと出会った時のエピソードなどMCに取り混ぜながら、相変わらずのシブい唄声。お客さんは多くはなかったが、アットホームなとても良いライヴだった。ん〜〜〜、みんな流れてゐるねぇ。ワシも見習わねばね。

9日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

朝、別口から昨日の話し(TIP Hotel)がある。それぞれの思惑が交錯してゐる。どーなるんでせうか?。果たしてこの話はホンマにちゃんと進んで行くのだらうか?。

専門学校3コマのち個人練習でスタヂヲに。最近、喉の調子がイマイチで、唄ってて咳き込んだりする事が増えた。帰り、マッコリが呑みたくなったので、酒屋に寄る。珍しくホッピーも売ってゐたので衝動買い。


3週目

10日(土)----------------------------------------------------------------------------------

横川シネマ+ヲルガン座の共同企画「桃色のジャンヌダルク」上映会が、23時からあった。ののオープニングパフォーマンスで出演。牧瀬茜、大槻オサム、とのスーパートリオ(?)3回めのライヴだ。野外(1回目)、カフェ(2回目)、に続くは映画館でのパフォーマンス。広い舞台と会場を目一杯使った演技が出来る。これは茜さんオサムくんには嬉しからう。

なんとなーく衣装の色だけ合わせたかんぢの打ち合わせして、あとは毎度の事ながら完全な即興で。雨の日のこんな時間から演ってお客さん来るんかいな?と思ってたが、割と沢山の人が。このトリオがどーいふ風に受け入れられるのか、ちょいと心配だったが、50分の演技が終了した瞬間に、大きな拍手と歓声。お客さんから賛美の言葉と共に、ミネラル水の差し入れなども頂いたりした。毎回、かなり上手く行ってるトリオだ。『また演らうね!』と3人で誓う。

前弐回は割と「母性」を演じたかんぢの茜さん、今回はオサムくんをいぢめるシーンなどもあり、強い女性、を感じさせる。あ、ジャンヌ・ダルクだから、かな?。ワシは今回はピッチシフター→line6→ディレイ→ループ、といふ接続。わりと曲っぽく演ってみた。展開して行きたくなるのを堪えて、ひたすらリフを繰り返す。唄はナシ。

しかし思ふに、ステージの上で全裸になれる女性、には、何ものも勝てぬな、と思ふ。皮肉な意味ではなく。

その後、0時から上映された「桃色のジャンヌダルク」を最後まで観る。増山麗奈さんといふ女性活動家の記録映画。なかなか興味深い内容でオモロかった。が、2時間弱はちょいと長かったかな?。片付け、撤収して、3時前にようやく帰宅。日頃なら完全に寝てる時間。

11日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

遂に動き始めた年末一大イベント「TIP HOTEL 2」の初回ミーティングに参加。当初予定してゐたキャスト(主役クラス)が「意向が合わぬ」と降番。それを汲んで完成した台本を見て驚愕、ワシがかなりの台詞を喋る事になってゐる!!。大丈夫かいな。台詞合わせ→キャストオーディション→音楽会議、と進み。

ワシは、しーなさんとタッグを組んで劇中音楽を生で担当し、なをかつ幾つかは作曲もせぬといかん事になった。予想してゐた事ではあるが、完全な「音楽監督」である。かなりの大仕事だ。しかしこれは、音楽家を名乗る以上、避けては通れぬハードルだ。それに、ワシはなんつっても「映画音楽(劇伴音楽)が作りたくて音楽を始めた」と云っても良い男である。頑張るしかない。最近、ちょいとクサクサしてゐるので、丁度いい刺激になってくれるだらう。

思へばワシは、なにかこのやうに精神的に低迷した時期に、新しいチャレンヂと巡り会ふ事が多い。今回も多分それなのだらう。人生はワシを放っといてはくれぬやうだ。好むと好まざるとに関わらず、音楽はワシの人生を絡め取ってゐる。大いに結構。「自由」なんて嘘だ。

が、如何に云ふても台詞が多すぎるので、そこは監督にちゃんと上申して台本を書き換へてもらふ事にした。14時から始まって22時まで。ひー流石にくたびれた。

12日(月)-----------------------------------------------------------------------------------

カミン武者修行第弐段。藤井政美デュオの日。こないだもさうだったが、けふも結構な雨。

先週のワシの日誌を読んだマサミが、「南京豆売り」の楽譜を入手してくれやうとしたらしひが、叶わず。入手できた暁にはこのデュオで演らう、と。そのヒナ型と云ふ訳ではないが、けふのマサミはワシが知らんやうな古い時代(1920〜30年代)の曲「アラビアの酋長」とか「聖トーマス病院」とかを持って来てくれた。マサミ的には、ワシと演るときはさういふのが演りたい、んださう。

さういふ古いのを含めて、オリジナル、いつものレパートリィ、唄ものと交えながら50分ステージを2回。演奏の出来は悪くなかったが、お客さんは二人だった(笑)。でもホンマにありがとうね、あんな雨の中を。

このデュオに、シムプルなパーカスを加えたトリオ編成で、ストリートで演ってみたい、とマサミ。ワシの音がどうにかなれば実現は可能だ。バッテリー式のアンプ、どぅでも入手するかね。ストリートかァ、10代の頃は結構やった。懐かしいな。今演ったらどんな印象なんだらうな?。

13日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

大雨。乾かぬ洗濯物をランドリィの乾燥機に頼る。せねばならぬデスクワークが久々に満載。リストを揚げ、壱個づつシステマティックに片付けて行く。まづはお江戸セッション用のコピーを壱曲。そいから生徒用の楽譜を壱枚書く。で、舞台TIP HOTELの作曲。主人公が唄うメイン曲。おおまかに完成。トラックを作る訳ではないので、まづはこれを生演奏で演ってみぬことには・・・。

ははぁ、この手間か。この手間を惜しむあまり、昨今は「作曲家」の業務に「音源製作」も含まれるやうになってしまったのだ。ん”〜〜〜〜〜。

夜、名古屋のてらしましんご君から電話。夏のツアーの事につひての相談だったが、なにやら興が乗ったのか30分以上長々と話す。てらしま君、どーやら飲みながら話してるらしく、会話の間に涼しげな氷の音が聞こえる。ので、負けじとワシもマッコリ・オンザロックを作り、飲みながら話す。男同士の長電話なんぞ数百年ぶりか。

14日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

昨夜半から雷を伴った雨がかなり酷い事になって来てゐたが、けふも。仕事に出る時に、ウチの前の放水路が決壊寸前まで水位が上がってるのをみて愕然。太田川も当然すごい事になってゐる。専門学校もJRが停まってしまったせいか生徒がほとんど居ない状態。さうかうしてるうちに女房から『駐車場が水没してる!』と連絡。まぁ出来る事は無いのだが、ひとまづ帰ってみる。が!、放水路決壊による道路封鎖で、ウチはおろか、長束(ワシの住んでる地区ね)に近付く事も出来ぬ状態。ありゃりゃこりゃホンマに大変だ。

途中に車を停めて水の中を歩き、いちをう女房に避難の準備をしておくやう伝えて、また仕事へ(笑)。

どうやら満潮と重なってしまって、の事だったらしひ。夜には水も引き、普通に家に帰れた。ウチは中弐階の壱階なので、なんとか浸水は免れた。自然災害はほんまにどーしやうもないねぇ。全国ニュースで流れたらしく、遠方の友人から安否を気遣う電話がある。心配してくれてありがとう。

15日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

朝、洗濯機が壊れた。これはまだ20代の頃、当時一緒にバンドを演ってゐたギタリストのガールフレンドが、ホンの一瞬だけ一人暮らしをした時に買ったのを、格安で譲ってもらったモノ。それから約20年、4回の引っ越しを経てけふまで、まぁよく頑張ってくれた。元は充分に取れました。ありがとう。新しいのを買いに行ったんだが、安いねぇ最近は。

仕事の空き時間に東京のセッション用の曲をふたつコピー。結構ややこしかった。生徒に、自分の唄のマズさを理解させる為に録音したのだが、一緒に唄ってるワシの唄が、生徒にシノゴノ云へないレベルである事が判明。ヤベぇ、最近唄の練習してるヒマがないから、相当ヘタになってゐる。

レッスンの合間に、しーなさん企画「オンナふたり夏の宵」といふライヴを見に行く。ヲルガン座。大阪の朋友泉尚也さんの秘蔵っ娘(?)である、高満洋子ちゃんを迎えてのデュオ・イベント。洋子ちゃんは、大阪から東京に出て1年。キレーなファルセットが印象的な正統派ピアノ弾き語りスト。レッスンに戻らんといかんかったので、全部見れなかったのが残念。けふはしーなさんのソロが特によかったな。

仕事場に戻ってまたレッスン。すぐヲルガン座に取って返し、アンコールを見て、打ち上げにも参加。けふのは、しーなさんが初めて自力で他所のミュージシャンを呼んだ企画だったのださうな。良いね、さういふの。みんなひとり、旅するのだ。遠く。

16日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

電池式のベースアンプを捜してあれこれ。まぁさういふ事の為に貯えてゐたカネが、きのうの洗濯機に消えて行ったので・・・・。中野チカラさんも持ってるルービックキューブくらいの大きさの、しかし50Wの出力がある、のが興味あったが、残念ながら電池では駆動せず。ん〜〜〜〜、ホンマに買うべきか?。

専門学校の授業を終え、「プレデターズ」観に行く。期待したほどにはオモロくなかったかな。プレデターがあんまり「活躍」せんからかな?。もっと色んな武器出して闘ってもらひたいな。ひとり「日本のヤクザ」といふ設定の人物が描かれてゐて、これが仲々カッコいい。全身の刺青を光らせながら、日本刀でプレデター相手の一騎討ちに挑み、最後は相打ちで果てる、といふ。

数カ月に一度、刺青を入れたい気分が沸いて来るのだが、墨を背負ってしまふと、まぁ社会的な事は別にどーでも良いが、献血も出来ぬし、骨髄バンクのドナー登録も抹消せねばならぬので(さういふ事のやうだ。感染症防止のため)。たれか救えるチャンスがあるうちは、それを生かしておきたいな、と。

50歳過ぎてドナー条件から外れて、金銭的な余裕があったら、なんか入れるかね?墨。背中一面に弁天様、なんてなかなか憧れるんだがなぁ。痛いか?。


4週目

17日(土)----------------------------------------------------------------------------------

我らがPICO、4周年記念ライヴパーティーの日。内容の詳しい説明が誰からもなく、仲間内で「なんとなく8時ぐらいからぢゃないか?」みたいなかんぢの情報が飛び交う。ツンちゃんに問い合わせても『知らん』と云はれた、とか(爆笑)。店主が「知らん」て・・・。

錯綜した情報を受け、集まりもゆっくり。なんとな〜く集まり、なんとな〜く飲み喰ひし、なんとな〜くワシらがセッティングを始め、ようやくツンちゃんが挨拶。そのままFar east loungeのライヴでパーティーがスタート。ワシはその後も、ピアノのジョセフとのセッション、しーシュ、と出演。なにかけふはものすごくベースが扱いづらく、結局最後までそれを感じ続けてしまった。どーしたんだらう?。

最後はタイコ20人とワシのベースによる大セッションで幕。4周年、おめでとうツンちゃん。聞けば、もう「呑み屋」としての営業はあまり考えず、ライヴハウスおよび貸しスペースとして営業するのださう。ちょいと寂しいが、まぁそれも悪くないか。来れば誰かゐるだらうしね。

ぢつは明日、早くから遠方に行かねばならぬ仕事があったのだが、自然災害で中止となった。ので、心置きなく呑む。『こんなに作ってどーするの?』といふぐらい沢山あったつまみが、あっと云ふ間に無くなる。若者はよく喰ふ。でも、やはり半数近くは顔見ても分からん新顔のコらもゐて、これが4年の経過か、とも思ふ。

3時まで呑んで、ツンちゃんの息子よぅたの車に便乗して帰る。

18日(日)-----------------------------------------------------------------------------------

本来は、東城町まほろばコンサート、といふのに出る予定だったが、先の大雨被害でイベント自体が中止となった。新聞などにもその被害の様子が報じられてゐる。これはイベントどころではない、と云ふ現状。どうか現地の人々に、一刻も早い平穏と復興を。

ひぐらし壱日机に向かひ、TIP HOTELの作曲とアレンジに勤しむ。集中してやってると、外気も暑いが頭の中もヒートしてゐるのが分かる。3時間で3曲の譜面を書き上げた。やれば出来るもんだ。

夜は女房が友達と遊びに出てった。サッカーを観に行ったやうだ。ので、独りの晩餐。これも一興。が、昼の間に作っておいた炊き込み飯が、日中の暑さで早くもイってしまってゐてOh God !。テンション低く落ちて焼そば作って喰ふ。

19日(月/祝)-----------------------------------------------------------------------------------

唄もベースも下手な気がするので、個人練習にスタヂヲ入り。昨今、唄ってて咳が出る事が多い。これが唄いはじめて1時間ぐらいの、しかも中域の音程で唄った時に起こる事が発覚。また発声が変わっちまったのかな?。あ”〜〜〜めんどくさいね。

山本精一のエッセイ集「ゆん」を読む。この人こそ、関西〜関東を股にかけ、さらに世界も飄々と飛び回り、アヴァンギャルドからポップスまで、ギター片手に自由に泳ぐ、唯我独尊のひと。エッセイの内容も、完全にパラノイアだが、オモロい。かういふ人間になりたいな。

20日(火)-----------------------------------------------------------------------------------

しーシュのリハ。東京ツアー前は、これで最後のリハになる。ので、きっちりとお浚い。やはりベースが思ふやうに操れない。っかしーな、どーしたんだらう?。

仕事に向かふ車の中で、むか〜しのライヴの録音を聞く。「企画モノ」と称して月イチで変わった組み合わせのライヴをしてゐた頃の。タマタマ聴いたのは、桃栗のミキmichikoをフィーチャーした「企画:姫唄」といふやつだった。多分、2003年とかその辺だな。まだラウンドワウンド弦を張ったフレットレスで、しかもライヴの半分はギターを弾いてゐる。今よりヘタクソだが、迷いはない。・・・・まぁ今も迷ってゐる訳ではないのだが、ね。

にしてもミキの唄声には改めて感心。この当時まだ19かそこらだったと思ふが、東洋的で艶のある見事な唄だ。しかも唄いながら早いテンポの裏打ちパルマ(手拍子)もこなしてゐる。おまけに別嬪のナイスバディ!。ぢつに大きな「原石」だった、と思ふ。今は子育てに大変さうだが、一段落したらまた唄ったら良いのにな。

21日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

シャンソンの大御所石井好子さんが肝不全で亡くなった、といふニュゥス。87歳。

シャンソン、といふものに興味も関心もないが、シャンソンの世界に云はれる『50〜60歳はまだヒヨっこ』といふ考え方は好きだ。唄も人生も80歳を過ぎてようやく花開く、といふ。石井さんは生前のVでも、音楽家として長生きする事の大切さ、を語っておられた。才能は生きる限り磨かれるものなのだから、早く終わらせてはいけない。と。

よく冗談まじりにしーなさんと話すのだが、いづれ皺白髪とヨボ禿になっても「まりも〜ぉ」とか演れたら楽しいね、と。さうね。長生きして、ちゃんと音楽が出来る状況に居なきゃ、ね。こないだ観た映画にも、年寄りのジャズマン二人(二人とも唄う黒人pfと白人baのデュオ)が出てゐて、あれも仲々シブかったな。子供に電話で「避難しろ」と云はれても(パニックものでした)、相棒を指して「アイツひとりじゃスウィングできねぇから置いてはいけねぇよ」とか云ふ台詞とか、ね。

22日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

いやぁしかし暑いな。朝のロードワークの時間(7時頃)で既に30度近いんぢゃないか?。風通しの良い家に住んでるのが救いだな。

猛暑の中をチャリで出かけ、ツアーに必要なバスのチケットなどを購入。計算してみた所、18切符を買ったとしても、通常料金での移動と金額的にあんまり変わらん事が発覚。どーしたものか?。まぁ18切符は全国何処でも買えるから、焦る必要もないか。予約が必要なバスのだけ買っておく。

レッスンの長い空き時間に、またTIPのミミが来て色々。ワシがツアーに出てる間に、もう1人の主役と歌合わせをしてもらっておくやうに段取り。北九州のテーさんから電話。広島と折尾でのスクーターズライヴにつひて色々。オフクロから電話。お盆にある従兄弟の結婚披露宴の内容につひて。善良な人々ではあるが、何故かうも因習(慣習)に捕われてしまふのかねぇ?。

夜、初めて「ロケみつ」といふのを見る。吉本べっぴんランキング二位の稲垣早希。確かにまァ可愛い娘だな。サンガリアのCMに出てるコだね。

23日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

明日からツアーなので、スーツケースを出して色々準備。が、よぅ考えてみると出発は明日の夜だ。まだ焦ってパッキングする必要もないのだった。今回初の試みとして、えへくたーと壱部衣装を、宅急便で送っておいた。今後もかうすると手持ちの荷物が極力減らせる、かも。滞在型ツアーにしか使えぬ手ではあるが・・・。

専門学校も明日から夏休み。最後の授業を終え、置きベースも持って帰る。最後にスタヂヲにちょいと入って、レパートリィなどの最終チェック。喉の調子悪し、うーむ・・・。

かくしてほとんど広島に居ない8月を迎える。力強い夏の到来だ。しかし暑そうだなぁ東京・・・。


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