2月


1週目

1日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

明日の松山行きに備えてソロのリハ。この時点になっても『なにを演るか』決め倦ねてゐる。まぁ初めて行く所だし、現場の雰囲気見て決めるか。せめて行き帰りの船旅を楽しみたいもんですな。

なんかチャイナの有害スモッグが、偏西風に乗って西日本に攻めて来る、みたいな事になってるやうだな。2010年9月にかの国を訪れた時、急激な経済発展に伴う環境汚染を目の当たりにした。スモッグも凄かったが、飛行機から見下ろした沿岸部、といふかかなり沖合いまでの海洋が、どす赤い色に汚染されてゐたのはショックだった。一体どれだけの汚水を垂れ流せば、あの広大な海があんなに染まるのだ!?。

かつて高度経済成長期の日本もそんなかんぢだったのだらうが、なにせ国がデカい分だけ、汚染の規模もハンパではないのだらう。

マスクも役に立たぬ程微粒子のスモッグなのださう。おぃおぃ、黄砂&花粉だけでも大変なのに、頼むでよ。

2日(土)------------------------------------------------------------------------------------

鎮西(四国)は松山へ出発。しまなみ海道など使ひ、車で行く手もあるが、ここは旅情を優先し瀬戸内海行路---------船旅を選択。はるか太古に某大人数の楽団に属してゐた頃、これに乗って松山へ行った事があるなぁ。あれって確か始発の便で、進むうちに夜が明けてったやうに記憶してゐる。けふは常識的な時間で。

『松山行きフェリーなどガラガラ』と聞いてゐたがさにあらず、結構一杯の客室。それは良いのだが、途中の呉港から乗って来た男の集団が異常にうるさく、旅情半減。やはり男が5人以上集まって行動すると、ロクな事はない。みな海に落ちるがいい。

さて、松山港には今回のライヴホストであるボビー脇田翁が待ってくれてゐる。ボビーズで10年近く一緒に演って来た、この年の離れた友人が生まれ故郷の松山で新しくオープンした「うどんのわきた」でのライヴ。ボビーさん相変わらず元気さう。案内してくれた新店舗は、ほぼ手作りと云ふから驚き。良いライヴで華を添えてあげたいところだ。

陸路でやって来たフリュートの進藤センセイも合流。地元の女性Voのヘルプも含め、あれやこれやと会場設営。広島で演ってきた「うどんとジャズ」の要領で、お客さんはまづ食事。しばらく後にライヴ開始。

まぁ久々と云ふ事もあるし、『ミュージシャン:ボビー脇田』としては全然馴染みのない松山の人々相手は、なかなかシビアな処もあったやうだが、ドラムレスのトリオとしては、まぁまぁのライヴが出来たのではないか?。ワシのソロコーナーではカヴァーとオリジナルを。これも割と好評で迎えられ、安堵す。

終演後、恒例の「まかない」を喰ひながら歓談。オープンして壱年。思ったより営業が軌道に乗らず、苦戦してゐるとか。ウーム、ちょいと分かりにくい場所にあるとは云へ、相変わらず美味いうどん&丼ものだし、これを知らずにゐるのは勿体ないよ。なんか宣伝に役立てぬものかね?。

【住所】愛媛県松山市古三津1-2-35【電話】089−952−7512【営業】11:30〜15:00  17:30〜20:00【定休】火曜日

高架道路下の辺。JR三津浜駅と伊予鉄山西駅の間くらい。青い看板が目印の「うどんのわきた」をよろしく。

3日(日)------------------------------------------------------------------------------------

昨夜はボビーさんと温泉に行き、自宅の離れを貸りて宿とさせて頂いた。朝飯(ごはん、鮭、具沢山の味噌汁、納豆)を御馳走になり、昼前頃には辞去。家主であるボビーさんの姉上には、お土産まで持たせて頂き、本当にお世話になりました。それから先々で「足」として車を動かして下さった進藤センセイ。そして、迎え入れ、少なくないギャラを払ってくれたボビーさん。ありがとうざいます。

斯様に信頼&応援してくれる年長者の心意気に応えるには、やはりワシなりに良い音楽を演って行くしかない。諸先輩方の為にも、うむ。進む。

松山港を夕刻出航の舟に乗る。帰りの舟は騒がしい連中も居らず快適。が、船内の食堂が早々にクローズしちまったのは計算外。空腹を読書で誤魔化しながら広島まで2時間ちょい。夜の海を進む舟もいとをかし。揺れによっては時折「うェ」となるけど、舟で演奏する仕事とかないかねぇ〜。

良い週末遠征だった。にしても、うどん&カツ丼美味すぎて喰ひ過ぎ。明日からはダイエットやな(笑)。

4日(月)------------------------------------------------------------------------------------

小林のカシラに勧められて、映画「ライフ・オブ・パイ」観に行く。彼が自身のサイトで絶賛してゐるだけでなく、ぢきぢきにワシにメールまで送って『観て来い』と云ふモノがどれほどのものであるか。

果たして、スゴい映画だったな。多分に宗教的で、一概に『素晴らしい』と云ふにはあまりに多面性があるのだが、これは観ておくべき映画である。壮大な「宇宙への賛歌」と云ふか・・・。トレィラーなどを観る限りでは、ただのヒューマン・ドラマかなんかだらうと思ってゐた。カシラの推薦がなければ、観に行く事もなかったと思ふ。

全体を通して、近代化されたインド音楽が使われてゐて、これもたいへん素晴らしい。エンディングに流れてゐた曲は7拍子だった。さういふ小賢しい事に気付く自分が、少しウザい(笑)。

5日(火)------------------------------------------------------------------------------------

しーシュのリハ。今朝、起きた時、フとアタマに浮かんだアイディアを書き出して、持って行く。これが「月の舟のワルツ」といふ曲になった。

かういふ事をやってゐて、またフと『あるアイディア』が浮かぶ。今年は自分のソロ作品を出そうかな、と何となく思ってゐたが、その『あるアイディア』の方がオモロさうなので、そっちを進める事にしてみる。内容はまだナイショ。・・・つっても、まぁ別にたいした事ではない(苦笑)。

結構色んな事を勉強し直さないかんハズなので、果たしてワシにそれができるかどーか・・・。

6日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

親父の見舞いに行く。立って歩いてゐるので驚く。思ったよりは元気さうで少し安心。だが痩せさらばえて、一気に老け込んだなぁ。

ツイデに実家にも顔を出し、オフクロとアネキにも会う。親父を任せッきりにしてゐる事を詫びる。専門学校が休みの間だけでも「足」として使ってくれて良い、事など伝える。がまぁ、遠くに住んでゐる事もあるし、さういふ事で息子を頼った事がない親なので・・・。

20年くらい前、親父がヘルニアで入院する羽目になった時、ちょうど駆け出しでヒマだったワシがあれこれ用事を手伝ってゐた。したら親父は『お前にはお前の人生があるのだから、そっちを優先せい』と云った。さういふ家族なのだ。

7日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

しーシュ企画、KENBAN THE ROCK。

これは大阪の泉さんからツアー受け入れを打診された際に思ひついた。要するにギターの居らんバンドのイベント。大阪、福岡の混合ユニット「I.I.U.」と、広島が誇る奇天烈無国籍ポップトリオ「オリエンタルボンゴ」。にあとまぁウチらしーシュ。ウチらが「ROCK」かどーかは・・・。寒い平日で、集客や如何に?と思ってゐたが、結構沢山の人が集まってくれた。

トップはオリボン。結成12年目、といふ息の長いバンド。ワシは昔からこのバンドのファンで、しょっちゅうライヴ観に行ってたもんだが、此所数年は何故か疎遠になってゐた。今回満を辞して共演を依頼した所、快く引き受けてくれた。相変わらず、世界中の民族音楽のエッセンスをちりばめた華やかなオリジナルの数々はお見事。ゲストに女性Voもフィーチャーし、やっぱり良いなぁこのバンド。

ふた組めがウチら。ライヴの冒頭で此所数回チャレンヂしてゐるのだが、イントロっつーかなんかリズムのあるフレーズに乗せて、唄のやうなMCのやうな導入をして行くタイプのアレ。アレがどーも上手く行かん。んで「ん"〜〜〜」と思ってゐたのだが、けふフと「甚句」を取り入れてみちゃどーか?と思ひたった。

甚句とは何ぞや?と問はれれば、日本の伝統的な歌謡の形式。広い意味での「民謡」もこれに含まれる。有名どころは「都々逸」や「相撲甚句」。要するに「こんにちはしーなとシュウです、よぅこそ、集まってくれてありがとう、ゆっくり楽しんでけ」のやうな内容のことを、七五調で歌い上げるのだ。これが『毬藻あります』のイントロに見事にハマった。これならのったりしたリズムに、アドリヴが次々溢れてくる。これは良い。これをウチの売りにしやう。

トリはI.I.U.。技巧派の音楽なのに熱くならない、クールなEL&P、といったかんぢの音楽。テノリオンといふ楽器を使った即興が興味深い。泉さんはYAMAHAのフレットレス壱本で対応。普通このかんぢならベースはスラップごりごり、か歪みでぐにゃぐにゃ、て処だらうが、そこには泉さん。いぶし銀のフレットレスが絡む事で、またひと味違う雰囲気となる。

いや〜〜〜3ユニットともオモロく、たいへん良いイベントに出来たと思ふ。遠く来てくれたI.I.U.のお三方は勿論、対バンを引き受けてくれたオリボンに感謝。

泉さんと朝まで飲むつもりだったが、お三方とも今夜中に福岡目指して出発されるさうで、打ち上げはあっさりと終了。お見送りの後、しーシュだけでもう壱軒流れて飲んで帰った。その店では、なんかものすごいダイナマイトバディの女の子と外人の青年が、今まさにヤリさうな雰囲気すら醸し出してゐたりした。

8日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

以前しーなさんから『居酒屋椎修のホームページがあった方が良い』と云ふ命を受け、『ほな作りまひょか?』と安請け合いしたのが運の尽き。

ぢつはワシ、今このページを動かしてゐる「ページミル」といふ、ごくごく初期型のフリーソフトしか使った事がないのだった。なんせ立ち上げ以降づっとこれ壱本でやって来てゐるのでね。けふは休みだったので、既に利用してゐるクラウドとかで作ってみやうとアレコレ奮闘すも、あと一歩の処でよぅ分からん。

神戸の友人・竹田さん(竹花のベーシスト)からのお勧めで、アレコレいぢり、なんとか半日かけて、よぅやくそれらしきモノが作れた。しーなさんに確認してもらひ、これで良い、と云ふ事になれば発表します。にしても流石にプロ(竹田さんはグラフィックデザイナー)、ワシのやうな者が感覚だけでも使えさうなソフトをすぐ紹介してくれた。ホンマに分かりやすい。感謝。


2週目

9日(土)------------------------------------------------------------------------------------

土曜の朝はたいていFMラヂヲで、ゴンチチの「世界の快適音楽セレクション」を聴きながらアレコレす。ゴンチチはぢつはしーシュが一番目指すニッチにゐる音楽家。マイペースな活動ながら、業界では誰もが認める実力派。多岐に渡るセッション。こだわりの趣味。軽妙な話術。まぁさういふ憧れが嵩じて、ちょいとベクトルは違うけど( テーマを決めて選曲する)「居酒屋椎修」をやり出した、といふコトもある。

この番組、ちょいと捻くれたテーマからの意外な選曲が楽しい。困るのはフと聴いて『いいな!』と思った音源が全部欲しくなってしまふ事だ。この番組で聴いて、その後すぐに尼存をポチとやってしまったこと数知れず。けふも危うくポチりさうになって、グと我慢。

夜は椎名まさ子&フライデー。けふは昼間よぅ練習した割に、本番全然アドリヴが乗らんかったな。なんか久々にこの仕事で集中力を欠いてしまった。いかんナー。

10日(日)------------------------------------------------------------------------------------

けふはしーシュとツンちゃん(Per)で営業。ぢつは昨日までどーいふ運びか分からんかったのだが、どぅもソシアルダンスのパーティーであるらしひ。ツンちゃん『しーシュの曲演りゃエェよ』とか云ってたが、さうは行くまいて(笑)。昨夜慌ててしーなさんと選曲会議を設けたのだ。

んで、その本番。今月一杯でクローズとなってしまふダンススタヂヲのお別れパーティー。所謂「Shall we ダンス?」の世界だ。いつもはCDだけど、最後に生バンドで楽しく踊りませう、といふ企画。踊るのは、日頃から趣味で社交ダンスを楽しんでらっさる紳士御婦人方。それぞれ目一杯めかしこんで、もぅ踊る気マンマンで来られてゐる。

最初はあまりの世界の違いに面喰らってゐたが、演って行くうちに色々分かってくる。このテのダンスは壱拍目を長く取らねば駄目なのだな。ワシらが無意識に演る『裏拍を取る』といふ感覚ではないのだ。それに皆さん、音楽の事に詳しい訳ではないし、当然ダンスも「娯楽」の域を出てはおらず、なんでも踊れる、といふ訳ではない。演りながら「スウィングはNG」「ラテンでも、ボサは良いけどサンバは難しい」「1曲は2分程度」などといろいろ学習しながら、レパートリィをぽんぽん差し換えて行く。

中には素人目で見ても分かるくらい達者に踊る方も居り、さういふ人のステップを見てゐると何処にリズムのポイントを持ってくれば良いかが分かる。よぅし。

こちらも音楽家の威信にかけて『踊らせてみせやう』といふ意欲が高まり、これをこーしたらどーか?とか、あれをこのやうにして、とか、けっこう『燃えて』きた(笑)。かういふ処ワシらはつくづく職人デュオだねぇと。40分演奏20分休憩、を3回、といふ結構ハードな仕事だったのだが、休憩中もづっと作戦会議だった。

結果として『たいへん良い仕事をして頂きました』といふお言葉を頂き、内心ガッツポーズ。これまで何度か同じやうな企画をやったけど、ここまでこちらに寄り添ってもらえた事はなかった、と。しーシュ&ツン「よろず音楽提供ユニット」としての面目躍如たるお仕事でざいした。まぁ楽しかったな。

11日(月)------------------------------------------------------------------------------------

天気が良いので動物園でも行くか、と云ふ話になり、女房とバスに乗って出かける。広島市安佐動物公園。女房はワシがツアーに出てる間に、フラりとひとりで来る事もあるやうで、色々よく知ってゐる。

風は冷たいが日射しは強い中、ヒヒやシマウマやキリンやダチョウやハイラックスやヤマアラシやゾウやサイやワニやトラやカメやライヲンやサルやシフゾウやバクやペリカンやスズメやらを見る。そばも喰ふ。割と遅い時間に行ったので、廻ってゐるうちに閉園時間となり、「クローズして行く動物園」てのを初めて観た。西日の中で壱日の仕事を終えて行く動物園。うん悪くないねぇ。

あーさういやウチら新婚旅行が此所だったんだ、と思った。

12日(火)------------------------------------------------------------------------------------

遅ればせながらウィルコ・ジョンソン・バンドなぞ聴いてゐる。ベースのノーマン・ワット=ロイが素晴らしい。たいへん見苦しいルックスだが(笑)、腕はスゴイ。かういふの見ると「あ、ジャズベも良いな」とか思ふ。同じやうなニッチのトム・ウォーク(故人、ホール&オーツ)、マーク・セナモ(ルネッサンス)らもやっぱりジャズベ。ふーむ。

このバンドのアルバムって、ぢつは大学時代、レコード屋で「手に取る」処まで行ってたんだよねぇ。当時シムプルな3ピースのバンドを聴き漁る傾向にあり、ウィルコの事は全然知らんかったけど、『お、このバンドもトリオやな』と思ったのだ。あの時に買って聴いてたら、その後がちょいと変わってたかもしれんねぇ。ちなみにその時、ウィルコのアルバムの代りに買ったのは、たしかレヴェル42だったよーな気が・・・。

でもこのウィルコ・ジョンソン、膵臓癌に侵されてゐて余命はもぅあとわずか。それでも可能な限りライヴの現場に居たいから、と云ふ理由で延命治療を受ける事を拒否したのださう。今、世界各地でやってるツアーは、すべて「さよならコンサート」といふ名目らしひ。かつての同士、Dr フィールグッドのリー・ブリローがやはり癌宣告を受け、残された人生で、演り残した事をひとつひとつ実現させていった事にダブる。

なんといふ男達であらうか。

13日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

居酒屋椎修のサイトを開設。まだ駆け出しの段階だけど、随時美味しさうな写真とかをアップして行く予定ですんで、チェックしてみてね〜。神戸の竹田さんに教えてもらったフリーソフトが、とてもシムプルで使い易かった。ワシも今のサイトが容量オーヴァーしたら、これを使おう。

レッスンの帰りに、明日明後日の遠征で使う機材のチェックをしに、しーなさんとこに寄る。本格的機材を自分等で組みながらの遠征は、今回が初めて。これが上手く行けば、近隣への遠征がさらに拡大出来るよー、てな事で。まづウチの「にっち」にごちゃごちゃ積んである要らん荷物をなんとかせなイカンな。

しーなさんの娘からヴァレンタインのチョコを貰った。くれた人の世代では、恐らくこれまでで最年少、ではないか?。ありがとね。。


2週目

14日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

レッスンを終えた足で、にっちに機材を積み込み、そのまま萩へ向けて出発す。当初、ぜんぶ下路を使ふ予定でゐたが、ぢつは明日は昼夜弐回公演。けふのうちに萩に入っておくのも、それに備えてのこと。さういふ身としては、日付けが変わるまでのロングドライヴは、如何に云ふてもキツい。それにあまりに遅くなっても、今夜の投宿先とさせて頂く陽だまりガーデン・オーナー山縣さんにも申し訳ない。さういふかんぢで、半分ほど高速を利用。このショートカットのお陰で、23時頃、萩市は陽だまりガーデンに到着。

ぢつは今回のライヴが決定した時点で、昼の部に間に合う為には朝5時くらいに広島を出んといかんな、みたいに思ってゐて、前入りさせてもらっては?と云ふ事で山縣さんに相談した所、快く「おいで」と云って頂き、甘える事にしたのだ。

お店はクローズしてゐたが、山縣さんはたまたま訪れた旧友と呑んでおられ、そこに厚かましくも合流。ひとまづは無事到着した事に乾杯。早くも次回の萩遠征に繋がりさうな話などで盛り上がり、結局1時ぐらいまで呑む(笑)。ロフトに雑魚寝。樹の薫りに心安らぐ。

15日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

萩:藍場川の家、しーシュワンマン昼夜弐回公演。ここは旧家の庭園を改装した、たいへん素晴らしい景観がウリのギャラリー&カフェ。主催はオーナーの室田さん。すでに昼夜弐公演ともソールドアウトださうで、こらぁエェのを演らなイカンね、と。その言葉通り、開演時間には、50人は入る会場が満席。昼の部は年齢層高め。本番前、選曲会議をやり直し、急遽その場で詩を書いたりして臨む。

ちょいと大人しめのお客さんで、ウケてないのかな?とも思ったが、終わってみるとかなりの高評価。『どんなのか分からなかったのでけふはひとりで来たけど、これなら自信持って友達も誘えるから、是非また来て下さい』と云って帰られる方多数。本番前に、ちょこっと歩いた町の情景を歌詞に盛り込んだカヴァー「スマイル」に、室田さんがたいへん感動して下さり、殴り書きの歌詞カードをプレゼントす。

その後3時間待機の後、夜の部。待機の間はオヤツ喰ったり昼寝したり・・・。

昼の部で、ちょいと音像が掴みにくかった問題もクリアされ、夜の部はさらに素晴らしいライヴとなった。大幅に選曲をし直し、結局弐公演であまり曲がカブらなかった、といふかんぢ。昼の部より若年層とはいへ、やはりお客さんはやや大人しめ。総じてジェントリィな客層なのだ。会場の隅々にまで音が沁み入って行くのが分かるライヴだった。我々も満足。

けふのライヴの、なにより素晴らしかった事は、ライヴ運営そのものが「コラボ」だった事。前回ワシらが萩に来た時は、陽だまりガーデンでライヴをした。素晴らしいライヴだった。その時お客として来られてゐたのが、けふの室田さん。『次回はウチでも演って』と云はれ、とんとん拍子にそれが実現した。さういふ場合、陽だまりガーデンと藍場川の家との間に、変な確執が生まれてはワシらも心苦しい。ぢつはさういふケースも少なくないのだ。

が、さにあらず、この日ふたつの店は「共同で」ライヴを運営してくれたのである。日頃お酒を出さぬ藍場川〜に、陽だまり〜から出張バァ、といふ形でのコラボが実現し、タッグを組んだ両店の連繋は完璧。ぢつにスムースな運営が成し遂げられた。打ち上げで杯を交わしあう室田さんと山縣さんの姿に、感動&感謝の雨霰!。双方のお店の宣伝に一役買えたのならば、ワシらも本当に嬉しい。素晴らしいイベントだった。

しーなさんは高校時代(!)の後輩に偶然会い、興奮気味。ワシも安芸吉田でのライヴで中学時代の級友に再会したやうに、旅と音楽はこんな幸せなハプニングを連れて来る。

16日(土)------------------------------------------------------------------------------------

室田さんの御自宅(なん部屋あるんですか?といふやうなものすごいお屋敷)に泊めて頂き、朝飯まで御馳走になる。陽だまりガーデンまで挨拶に行ってから・・・と思って出発準備してゐたら山縣さんが来られ、両名に見送られながら長門へ出発。本当にお世話になりました。

さて長門(旧油谷町)はワシにはお馴染みの場所。過去帳を調べてみたら、2002年を皮切りにほぼ毎年、多い時は弐回以上訪れてゐる。しーシュで来るやうになって弐回目。今回はワシらのワンマンである。荒れ模様の天気の中、本州最西北端、長門市は向津具(むかつく)半島「パタ屋」に到着。オーナーは「ヒナ兄」こと嶋田日直男アニキ。約壱年ぶりの再会。

この地に住むパーカス奏者、スクーターズのナオエと、下関からタマオ(Gu)もやって来た。けふは本来ウチとスクーターズの弐枚看板、といふ事だったのだが、諸事情で来れなくなった北九州のテーさんの代わりに、けふは彼らとも良きものを!。な訳で突貫リハ。

して、本番。ほぼ満席のお客さんを相手に、45分×2ステージ。しっかりと演り切った。前半はしーシュのみ、後半は、まづワシのソロ→ナオエとワシのデュオ→しーなさん入ってトリオ→タマオ入ってクァルテット、と進行。この進行も「当たり」で、会場ヤンヤの喝采。昨日に引き続き素晴らしいライヴとなった。

CDは聴いてくれてゐるのだらうが、初めて合わせるウチらのややこしい曲を、流石の対応力でこなしてくれたタマオとナオエに感謝。急場コーラスまで参加してくれたナオエは云ふまでもなく、コード譜すら書かずに『頼む』だけでお願いした(苦笑)タマオのバッキングセンスはホンマにピカいち。すごいねぇ。いつかまたスクーターズとしても、一緒に演りたいな。

老若男女、みなさん『本当に楽しかった』と云って帰ってゆかれ、ワシらも本懐。二日続けて素晴らしいライヴが出来て、ワシらも幸せである。

17日(日)------------------------------------------------------------------------------------

パタ屋の別棟コテージに宿泊。美味い朝飯も頂く。次のライヴも依頼され、早速5月に再来が決定。長門(油谷)に来はじめて10年ちょい。まだまだこれからも、この好ましい町との付き合いは、続いて行けさうである。嬉しい。

ヒナ兄、ナオエ達に見送られながら長門を出発。けふは帰るだけなので、のんびりゆっくり東へ走る。さすがに移動含めた2日間で3ステージは疲労感強し。ので、途中何処にも寄らず、まっすぐ広島へ。機材を下ろし、家に帰ったのは18時頃。週末ぶりに会う女房と、まぁお疲れさまビールで乾杯。

またひとつ旅が終わった。

18日(月)------------------------------------------------------------------------------------

再入院した親父の見舞いと、オフクロの足になるために実家へ。半日付き合ふ。

19日(火)------------------------------------------------------------------------------------

唄うたいカワムラことカワちゃんのライヴを、しーシュでサポートする「ぱんぱかトリオ」のリハ。

フとこないだから、メイプル指板のフレットレス「白子」の事が気になってゐた。折角作ってもらったのにあんまり使ってないのもナンだしな、と思ひ、使ふことにす。プレシジョン・タイプなのでややゴツゴツした音だが、カーペンターズだってプレベだし、まぁ合うんチャウか?みたいなかんぢで。演ってみるとこれがかなりイイ。よぅし。

カワちゃん、相変わらずあっちこっち旅してゐて良い。リハ終了後、移動の時に楽器をどーするか、など、マニアックな話が盛り上がった。夜にリハをしたんは久しぶりである。ハラ減るなぁ〜。

20日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

「白子」を使ふ事にしたので、これに張ってある古くてブっとい弦を、細くてライトなブラックナイロン弦に換えてみた。う〜む、部屋弾きぢゃあ細かい事は分からんので、ライヴで使ってみるしかないなぁ。明日のカシラとのデュオで使ってみやう。弾き心地は悪くない。

まぁけふは壱日、この白子に手をなぢませる、てかんぢの。

21日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

そのカシラとのライヴ。ホンマに久しぶりのデュオ。ツンちゃんを入れたトリオになり、Far east loungeを名乗りはじめたのが多分2001年頃。ので、まんまデュオで演るライヴは10年以上ぶり、になるな。リハを演ってゐると、あの頃の「あのかんぢ」が蘇って来て、えぇかんぢ。ブラックナイロンの白子もバッチしだ。

Far east〜とカブってるレパートリィもあるが、このデュオでは基本的に、カシラはウクレレは弾かずギターのみに専念する。その分エッヂの立った音楽が中心となり、デュオ編成ながらサウンドは結構激しかったりもする。「ネイキッド・ブルース」と銘打ってはゐるけど、実際はそれほど「ブルーズ」を意識してはおらん、のは多分カシラも同じだらう。

ワシがメインの唄を取る場面もないので、水割りを呑みながら(笑)より自由にベースを唄わせる。白子は、これ以上ないほどのハマり具合で鳴りまくる。こりゃあえぇ楽器になったわ!。カシラの唄も、昔演ってた頃より格段に「唄力」が付いてゐる。その二人のコンビネーションも、まぁ伊達に30年以上も付き合ってないねぇ、といふ鉄壁のデュオだったな。終始、リラックスした中にも緊張感があり、良いライヴだった。お客の入りも上々。結局、アンコールも含めて20曲、演った。

また演りたいねぇ、このデュオ。それこそ、お好み焼き屋さんとかでも演れんかな?。

22日(金)-----------------------------------------------------------------------------------

昨日、広島FMのKさんから連絡があり、「ある計画」のプレゼンをしーシュでやってみる事になる。もしかしたらもしかするかも、なので、そこが上手く行くと楽しい事になる・・・。←よく分からんでしょ?(笑)。

だが、このちーさな街で仕事をして行くには、「友人の領域を汚さない」といふ配慮もたいへん必要なので、そこは難しい。まぁ、そんな事気にもせずに、他人の領域を荒らしまくってる人もゐるけどね・・・。

夜はオリエンタルホテル・ソロ。けふは常連Hさん御家族はじめ数人の友人が見に来てくれ、金曜の夜、といふこともあって賑やか。そして割としっかり聴いてくれるお客さま。京都から来て偶然聴いた、といふ紳士から絶賛を受け、たいへん良い声をしておられる、と。いつか是非ナニカ依頼したい、と名刺を交換しあった。ありがとうざいます。

この歳になって、よぅやく「唄うたい」としても認知されて来たやうで、それは嬉しい。


3週目

23日(土)------------------------------------------------------------------------------------

そろそろ花粉がヤバいので朝の散歩を控えやうかな、といふかんぢ。今年はなんつってもチャイナのヤバい物質もたくさん飛来して来てゐるし・・・。。さういや此処数日、フツーに洟をかむだけで血が出たりす。やれやれ。

久々にピッツァが喰いたくなった。宅配ピッツァなぞ頼むとバカ高くてつまらぬので、スーパーに売ってゐる「家庭用」のピッツァを買って帰り、アレンジして喰ふ。これだとLサイズでも壱枚¥500もせぬ。日本はピッツァの値が高過ぎると思ふ。

メキシコでライヴした時、ケータリングでピッツァが出た。直径が自動車のタイヤぐらいあったやうに記憶してゐる。ひとバンドあたり3枚くらいあった。半分くらいワシが喰ったやうな気がする。

けふは市販のピッツァにさらにチーズを追加しまくって、もはやチーズを喰ふかんぢ。もちろん赤ワイン付き。正しい週末の家庭の飯。さういや久々に土曜の夜ウチにゐる。

24日(日)------------------------------------------------------------------------------------

珍しく日曜の昼にしーシュのリハをす。
古い曲を思ひ出して演ってみるか、と2ndに入ってゐる「眠るとかげ」を。パっと聴きポップでさはやかなのだが、ぢつはたいへん難易度の高い曲で、ウチらの鬼門のひとつ。特にしーなさん(鍵盤奏者)にとって、果てしなく4度で展開して行くコード進行は『訳分からん』らしひ。

でも、この曲で初めて「ツインボーカル」を意識して唄を作りはじめたし、さういふ意味でもまぁたいへんウチららしい唄なので、ちゃんと演りたいね、と。

その後、明日の居酒屋椎修の為の買い物に行く。男女で、日曜の夕方、スーパーで、買い物、といふ、様々な憶測を呼びさうな図、ではあった(笑)。

25日(月)------------------------------------------------------------------------------------

その「居酒屋椎修」。
去年の2月にスタートしてハヤ壱年。「3時のあんた」の録音に合わせて滋賀から山田さとし氏に来てもらひ、彼が居酒屋椎修の最初の客だったりした。3日間に渡ってレコーディング&ライヴと行動を共にし、『毎日こんな事やって暮らせたらえぇなぁ』と、3人で強く同意し合った去年の2月が、すでに懐かしい。

月曜日だしナー、と思ひ、あまり過剰な期待はせずにゐたが、さにあらず結構いっぱいのお客さんが来てくれ、またナゴやかに楽しんでくれた。けふの麺類はうどん・だ・えせニック。まぁスウィートチリソースで味付けした焼うどんに過ぎぬものだが、これが完パケ。ぢつは壱食ぶん失敗した(コゲた)のを賄いに回した(笑)ので・・・。
唄うたいカワちゃんも来てくれ、3月のカワムラ&しーシュ:ぱんぱかトリオの宣伝も兼ねて飛び入り出演。会場がさらにナゴむ。

料理もお酒もしっかり出て、まづまづの壱周年。これからも居酒屋椎修をよろしくっス。

26日(火)------------------------------------------------------------------------------------

今期の花粉症対策(耳鼻科)。
年に壱度処方されるブロック薬が身体に合うらしく、此処数年、鼻はあんまり悲惨な事にならずに済んでゐる。そのかわり「目」がヒドい。鼻や喉はマスクである程度防げるが、目はナー・・。この時期になると『目ん玉こぽっと取り出して塩水で洗いたいわぃ!』と詮無い事を云ふワシがゐる。

スタヂヲに入って、壱時間ほど「吟」の練習。
以前は『ベース弾きが気が向いた時に演るギターの弾き語り』といふ趣味的で暢気なニッチの「吟」だったが、オリエンタルホテルにレギュラーで入るやうになって、これは「仕事」になった。
唄うたいとしても認知されて来た事は嬉しいし、現場をこなすうち我ながらクゥオリティも上がってゐる、とは思ふ。
が、その分「楽しさ」がやや希薄になった事は、残念ながら否めない。

まぁ仕方がない。プロで演る、といふのはさういふ事だ。

27日(水)-----------------------------------------------------------------------------------

確定申告に午前を費やす。
フと思ひ立ち、2003年度の申告書を見てみるに、この頃はそれなりに稼いでゐた、といふ事実。まぁほとんど家に居なかったやうな気もするが・・・。日記見ても「2ヶ月ぶりの休み」とか書いてたりす。よぅ働いてゐたやうだ。

さぁ果たしてこれから先、もう壱度あのやうな時代が来るのでせうかー。

夜はカワちゃんのリハ。前回のリハで演った事を憶えてゐたつもりで憶えてなかって申し訳なかった。やはりリハは録音せんといかんなー。

どーしたのか此処数日、左足のアキレス腱に痛みがある。放っとけば治るだらう、と思ってゐたが、日に日に痛みが酷くなって来てゐる。けふもカワちゃんに「脚引きずってますよ」と云はれ気付いた。

28日(木)-----------------------------------------------------------------------------------

アキレス腱の痛みがけっこうシャレにならなくなってゐる。坂道を昇ると特に痛む。ので、やっぱりアキレス腱なのだらうね。今流行りの「腱炎」といふヤツだらうか?。進藤センセイに訊いてみると、やはり「アキレス腱炎」だらう、と。特にナニカした憶えはなく、まぁ考えうる原因、としては「老化」かよ・・・。

あと、けふベースを弾いてる時に左手が攣った。これまでにも、ライヴ終演後や翌日に痛む事はあったが、フツーに弾いてる最中に攣ったのぁ初めての事だ。おぃおぃ、ワシの身体はここまで老いて来たのかよ。


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