2月

1週目


外伝---------------------------------------------

参った。梶山シュウ、久々の失態である。

と云ふのも、楽曲「此岸の朱」の話である。昨年初夏に完成し、それまでづっと独弾のラストを飾ってゐた「家路」に変わって、新しいエンディングテーマとして、仲々の好評を博してゐるこの曲。作品が出来た時の状況から「彼岸(ひがん/向こう岸)」の反対側、と云ふ意味での「こちらがわの岸辺」を、「此岸(こがん)」と読み、まぁさういふ言葉があるかないかを知らぬまま、結構気に入ってゐたのだが、つい先日、辺見庸の随筆を読んでゐて、此岸、と云ふ言葉が実際にある、事を知ったのだ。それだけなら特に困りはせぬが、しかしなんとそれは『しがん』と読むらしいのだ。

いかん。これでは「微意 裸部度」とか「歯宇餌罵阿」とかみたいに、誰が見ても「これホンマは全然意味なんか分かっとらんだろが?」てなかんぢと同じになってしまう!。まずい。よりによってワシが一番嫌悪するものと同じ土俵に立ってしまう!。

しかし、熟考してみる。もともと「彼岸」も「此岸」も仏教用語で、いわゆる「向こう岸」「とその反対」と云ふ意味よりは、「あっち側の世界/黄泉の国」「こちら側の世界/写し世の国」と云ふ意味合いで使われる。ワシはただ「向こう岸」に対しての「こっち側」と云ふ事を云いたいだけであって、これは現世のラヴソングである。決して死者を偲ぶ歌ではないのだ(そのやうに聞こえる、と云ふ人もゐるが)。

と、云ふ訳で、先程から弁明にならぬ弁明を繰り返す政治家のやうだが、これはある意味開き直って「こがん」と読み、梶山シュウの造語として、単純に「こちら側の岸辺」と捉へて頂く、と云ふことに、今から、する。してください。

2月1日(火)-------------------------------------------

予報通り、朝から結構な雪が降ってゐる。しかも空は重くたれ込め、まだまだ降りさうだ。大丈夫かいな?と思いつつ、車で専門学校へ。授業を進めてゐる間にもぼッぼッ降ってゐるのが見ゆ。授業を終え、CDのラベルデザインの受け口となってもらってゐるかをりの所へ、最終見積もりを出しに行く。腰をイわせて、見るからに調子悪さうなかをりであった。

交通量の多い幹線道路はまだしも、ちょいと裏道に入るともうアカン。路面はつるつる。軽いワシの車は、簡単にハンドルを取られてしまふ。ウチの前で、危うく駐車してある車に突っ込んでしまうところだった。これはダメだ、と結論を出し、夕方からの個人レッスンを休みにした。以前、かういふ状態でレッスンをしてゐて、帰れなくなった事があるのだ。電車で行けぬ事もないが、生徒も危ないし、やめやめ。

2日(水)-----------------------------------------

一面の銀世界。けふは良く晴れてゐる。しかし、滑ってコケるヒトが多いのはかういふ日なのである。以前、歩道橋の階段を、一番上から下まで落ちて行くサラリーマンを目撃した事もある。片足でザーっと2メートルぐらい滑って、何事もなかったやうにそのまますたすた歩いて行くホスト風の兄ちゃんを見た時は笑ってしもうたが。格好良い事を極めんとするのは大変なのだね、と思うた。

3日(木)-----------------------------------------

久しぶりにプールに行く。やはりワシには、ウェイトトレーニングよりこっちの方が本質的に向いてゐるやうだな。800メートルで止めておいたが、身体の方はまだ全然イけた。留学生らしい東南アジア系の兄ちゃんが、海パンを完全に後ろ前に履いてゐたのが笑えた。教えてあげるべきだったかな?。Your swimwear is reverse.でエエのかな?。

その後レッスン。早めに終わったので、これまた久しぶりにKOBAへ行って晩飯を喰ふ。ビール飲みながらカレーを喰ふてゐると、前衛琴の榊さんと、参謀石丸さんがやって来た。カレーで腹一杯になってゐたが、榊さんが『シュウさん、これ食べて』とパスタを分けてくれたので、喰ふ。げーふ。

4日(金)-----------------------------------------

専門学校。昼を跨いで2コマ授業をやり、目の手術の為に、一昨日から入院してゐるオフクロを、女房と見舞いに行く。白内障。最近は白内障の手術など、日帰りでもできる、と云ふ。オフクロも昨日手術して、明日にはもう退院ぢゃげな。水晶体を切り開いて、代わりのレンズを埋め込むのに、ちくりとも痛みを感じぬのださうだ。医学の進歩は凄いものよ。

夜、メンテを終えた愛機ヴァネッサが、長野県は松本市から帰って来た。ノイズが激減。EQノブも取り替えて、ポップな印象。

ライヴもなく、楽器も手元にない1週間は、かくも平坦な日々。


2週目


2月5日(土)--------------------------------

ねこのずくのリハに行く。欲が出ると云ふのか何なのか、アレンジに凝り過ぎの感あり。プログレバンドぢゃないんだから、1曲の中でそんなに展開してたら聴く方が疲れッちまうよ、と云ふハナシをする。まぁそれもアリと云えばアリなのだが・・・。色々とアドヴァイスを求められ、口頭でちゃちゃっとアレンジ案を出す。意外、と云うてはナンだが、椎名さんが変拍子に迅速な対応をする。でもこんなの本番まで憶えてられンのかね?。

中島らもの遺作「酒気帯び車椅子」を購入。昨今は活字への飢えがあるやうで、去年の末頃から、割と早いペェスで読書を敢行してゐる。幸いな事に(実際はそんな事では困るのだが)某仕事のギャラが図書券で払われてゐたので、それを使ってゐる。銭が一銭も無いのに書が買える、と云ふのは、なにか良い。

6日(日)-----------------------------------------

生徒の為のカラオケを作る。打ち込みの出来ぬワシは、1コ1コ楽器をダビングして行く方法を取るしかないのだが、まぁ元来さういふのが好きなので、苦にはならぬ。随分前から、デスク周りを整頓して、スタヂオまでとは云わぬが、も少しシステマティックに仕事が出来るやうにせん、と思うてゐるが、叶わず。

午後からは久しぶりに自宅で「独弾」の練習。大規模なツアーがいよいよ迫りつつある。足元の機材群をいかに簡素化できるか、を考えながらあれこれいぢるが、だうにも気が狂いさうになる。最終的にサンプラー1コで充分、と思わぬ事もないが、やはりこれもあれも、とか考えると結局でかいシステムになってしまふ。

んなこんなで、4時間もやってた割には、実際音を出してたのは1時間半ぐらい。

7日(月)--------------------------------------------

マスメディアがナニカにつけて『今年の花粉は凄まじい!』云々、みたいな事を云うので、『先を先して先を封ずる(?)』ぢゃないが、早めの花粉症対策をせんと耳鼻科に行く。ツラの形が変わるほど酷かった95年と同じくらいかそれ以上飛散する、と云ふハナシなので。医師も同じやうな事を云うておられた。

午後からナカハラヒサロヲバンドのリハ。昼間に集まってみると、つくづくオッサンばかりのバンドである。

譜面が読めるやうになってからといふもの、楽曲に対する記憶力が低下した感があった。読譜力は確かにプロには必須の条件ではあるが、かつて『人間形状記憶合金(喩えとしては適切でないと思ふが)』と謳われたシュウ様としては、曲のメモリィ容量が減って行くのは、よくない。といふ事で、最近このテのバンドでは、極力耳で憶えるやうにしてゐる。

8日(火)-------------------------------------------

専門学校。卒業生にとっては最後の授業。他の科は生徒が号泣したりとかあったやうだが、ワシのクラスは特に感慨も感動もなく、終了。

北九州のテーさんから電話。ワシの「丘にのぼる時」をテーさんのバンドが演ってくれてゐるのだが、だうにもそれはかなりの人気曲となり、今や彼らのバンドには欠かせぬレパートリィだ、と云ふ。で、今度ワシがツアーで行く時のライヴでも演りたいのだが、本家が来るからには、それはだうしたものか、と云ふハナシ。まぁ要するに「曲がカブるかも」と云ふ事だ。ワシとしては自分の曲が、そのやうに自分の手を離れて育ってゐる事は、大いに喜ばしい。是非演ってほしい、と告げ、ワシはテーさんの曲を演ることにする。

夜は某氏(ジャズ屋さん)から電話。今年は是非パーと演りたい、ついてはちょっとジャムでも演らぬか?といふハナシ。今年のワシはさらなるソロ世界の確立を目指し、またオルカ団も春には(おそらく)復活するだらうから、銭にならぬ状況でジャズを演ってゐる暇などない、と正直に伝える。

9日(水)----------------------------------------------

福岡のJさんから電話があり、3/17の博多ドリームボートでのライヴが決まった。これで春のツアーは博多から東京まで全11本、と云ふ日程となった。自分でブッキングしておいてナンだが、身体持つんかいな?。今のうちに滋養と休養をたっぷりとって体力をつけておかねばな。学校も休みになったことだし、足しげくジムに通うかねぇ。

夜、今回のレコーディングの打ち上げと云ふ名目で、ウチの近所の居酒屋「ちゃぶ家」へ、カズイと飲みに行く。考えてみたら、24年に渡って付き合ってゐるこの男と、差し向いで酒を飲むのは、けふが初めてなのだ。昔は対抗意識と親近感がごちゃまぜになった妙な関係だったやうな気もするが、今やお互い独立した職人として認知しあってゐる。ほとんど全く気を遣わずに済む人間のひとりだ。進む路は微妙に違うが、良い相談役としてこれからも友人であり続けることだらう。四方山のハナシで閉店近くまで飲み、結局カズイはうちに泊まった。

10日(木)-------------------------------------------

結構な二日酔い。ドラムの上チャンと飲む時もさうなのだが、気のおけぬ友人と二人だけで飲むと、つい飲み過ぎる傾向が有るやうだ。カズイを送って行きついでに女房とラーメン屋で昼食。疲れた胃に豚骨スゥプが染み渡る!。

レッスンの空き時間を利用して、独弾の練習。最近ようやくこれの練習でも煮詰まらなくなってきた。

さて、ワシの手元にひとつのMDがあり、これに「イズナキ」と云ふ曲が入ってゐる。これはワシが2002年夏のツアーに出る直前に、誰も居らぬステージで即興演奏をした時の録りっぱなしの音源である。まぁある種のライヴと云えぬこともないか。これが、自分で云うのもナンだがぢつに良く出来てゐる。まるで作曲されたものを演ってゐるやうなのだ。あまりヒトに聴かせた事がないので、真価のほどは分からぬが、だうにかして発表してみたい、とさえ思うてゐる。えへくたーを踏む時のがちゃがちゃ云う音はさて置き、洟を啜る音や、独り言の声なども入ってゐて、ちょいとアレだが、最新の音響技術でさういふモノは消せぬものなのだらうか?。

ちなみにこの曲、その出来に感動したワシが「イズナキ」と云ふタイトルを付けたのち、1〜2回セッションで演奏された事があるが、やはり誕生した時の即興を超えるものは、まだ出来ていない。

11日(金)----------------------------------------

朝、40分歩いてパンを買うて来る。昼から何故か突然、部屋の模様替えを始め、女房も巻き込んでちょっとした引越並みのリフォゥムとなる。永らく無理な姿勢で使うてゐたパソコンも、専用台を買うて来た。ワシの仕事用デスク周りも、少しはシステマティクになった。

夜、NHKで何故か再放送されてゐた紅白歌合戦。「マツケンサンバ」を初めて見た。こんな唄だったのね。しかし詰まらぬ事この上ない番組やな、紅白って・・・。


3週目


2月12日(土)--------------------------------

けふは色々ある。まづねこのづくのリハ。ライヴまで3週間。なんかワシの目から見ると、まだナンも準備出来てないやうな気がするのだが。さういふワシも譜面を忘れる、などしてしまひ、良くない。

マー坊に車で送ってもらひ、アクターズのレッスン。その後バスで中心街にとんぼ返りして、cafe 楽座でナカハラヒサロヲバンドのライヴイベント。大阪からクレイジーホースといふ、ニ−ルヤングのカヴァ−バンドを呼んでの、ロックンパーティー(ナカハラさん曰く)。このバンドは前回我々が大阪に行った、あのどたばたツアーの時、お世話になった人達である。

前フリで広島の若手のバンドが出た。轟音のビートをバックに、なんか完全にイっちゃってる系の女の子のVoが、気が狂ったみたいに絶叫してゐる、と云ふバンド。かなり怖かった。

続いてクレイジー〜。大阪で見た時はアクースティック編成だったが、けふは6人編成のロックバンド。ワシはニ−ルヤングを全く知らぬので、どうなのか良く分からぬが、それ系の人達はウケてたから、良く似てたのかね?。しかし、前述のバンドもさうだったが、音がでかいのナンの。こら耳やられるな、と思い、途中から耳栓して見る。丁度良い。結局、耳栓したままナカハラバンド演る。

毎回さうなのだが、このバンドはリハの意味があんまりない。みんな決めた事を憶えとらんのだ。ワシは仕事のせいで、当日のリハに参加せなんだのだが、訊けば結構ボロボロだった、とか。本多君(Gu)に『シュウさん頼りにしてますよ』と云はれる。ヌ〜〜〜さう云われてもねぇ。まぁその通り、やはり完璧に全曲弾き切ったのは、リハに出てないワシだけだった様子。やれやれ。まぁ自分のバンドぢゃないから別に良いんだけどね。出演者が多いンで、実質お客さんがどれだけ居たのか分からぬが、全体的にはハートヲ−ミングな良いイベントでしたよ。

打ち上げは名店「大しょうちゅう」にて牡蠣鍋。クレイジー〜の皆さん、ステージ中もバーボンのストレートを水みたいに呑んでたが、ここでも呑む呑む。聞きしに優る酒豪バンドである。例の怖かったバンドのベースの人と色々喋ったが、明日が早いので、一足先に失礼した。

13日(日)--------------------------------------

教会の主日礼拝へ。けふは此所で「証(あかし)」といふのをやる。証とは、クリスチャンとして日々生きる上で、心に留める神様との繋がり、みたいなものをみんなの前で喋る行事で、教会員である以上、必ず順番が廻ってくる。たまたまけふがワシの日だった。日頃そんな事を意識してない不良信者であるワシには酷な課題である。ライヴの翌日でもあるし、キャンセルさせて頂く事も考えたが、日頃不真面目な分、かういふ時ぐらいしゃっとしやう、と思ってお受けした。

「信仰と誇り」といふ大雑把なテェマを掲げて、もごもごと10分ぐらい喋った。まぁテェマさえあればそこそこの事が喋れるのは、ワシの数少ない特技だな。ワシがこの教会で洗礼を受けて25年。建物自体はそのかなり前から建ってゐて、相当に老朽化してゐる。現在、2度目となる大改修工事を施行するプランが10年がかりで進行しつつある。

帰宅、昼飯。春のツアー先各所にフライヤ−等を発送する作業をする。何を勘違いしてゐたのか、もう送ったもの、と思ってゐた先方オーガナイザーから、『早く送れ!』と云ふ連絡があった。ヒエー、あっと云ふ間に夕方。午後はソロの練習に充てるつもりだったのだが、結局、けふ1日ベースに触る事すら出来なんだ。アー、やっぱり有能なマネーヂャ−が要るなぁ。

裕福な資産家の子供かなんかでカネには困ってないんでギャラは要らぬけどヒマなのでなんかオモロイ仕事をしたがってる会計士の免許かなんか持ってて冗談が通じてスタイル良くてヘソ出しとメガネの似合う美女のマネーヂャ−募集。

14日(月)----------------------------------------

専門学校が春休みに入ったので、休み。一日を効率良く、有意義に使わん。

まづ、ヲ−キング&ヨガで身体を目覚めさせ、とりあへずベースの基礎練を1時間。郵便局に行き、昨日作り上げた資料を各地へ発送。その足でプールへ行き、1キロ泳ぐ。ちょっとキツかった。こないだの海パンを後ろ前に履いてゐたタイ人(らしき)兄ちゃんが居る。けふはちゃんと履いてゐる。佐貫うどんを食した後、印刷会社へ寄り、CDジャケットの最終校正。これだけ済んで午後3:30。せねばならぬ事を早めに終えた後で、後の時間は余暇として嗜む、と云ふのがワシ流。けふは話題になった巨大ショッピングモォルに行ってみる。台屋悶怒シティ粗霊油といふ。敷地が広過ぎて駐車場への入り口が分からぬ。駐車場から店内への入り口が分からぬ。内部もデカ過ぎて、何処に何があるのか分からぬ。

巨大すぎると物事は本質を失ってしまうものだな。

15日(火)--------------------------------------------

雨。午前中、色々とCDを聴く。このところ所謂「ジャケ買い」でいっぱいCDを入手してゐて、どれも結構当たりなのである。ベースのソロアルバムばかり5〜6枚。アンビエントなのからファンキーなのまで色々。つくづく思ふに、ベースのソロといふスタイルが、マイノリティだけで語られてゐるうちはまだまだダメだな。もっといっぱい出てくればいいと思ふ。

午後早いうちから教室に入り、ソロの練習。MDを録りっぱなしにしておく。かうすると後で作曲のアイディアが膨らんだりするのだ。そのお陰か、此所数回の練習で、なんか結構次々と新曲が出来てゐる。けふ形になったのは、先日TVで見た、ヒメウミガメの集団産卵「アリバダ」にインスパイアされた曲。久々に『歌い上げる』タイプの。次の日曜日のソロで早速演ってみやうかな。

16日(水)----------------------------------------------

バイクがもう随分前から動かなくなってゐて、自賠責も切れてゐる。バイク屋さんに電話して、ぴゅっと取りに来てもらへばイイだけのハナシなのだが、季節はまだ寒いし、ついでにこのまま春が来るまで寝かせておかうか?とも思ふも、バイクがあったら便利だな、と感じる時もあり、悩んでゐる。確定申告を少しだけやる。ワシは4桁以上の数字を長時間相手にしてゐると、気が狂ってしまふので、すぐやめる。

けふ、某仕事先から不吉な事を伝える電話があった。それによると、今年はチぃとばかり貧乏になってしまうやもしれぬ、といふ。あやぁ!此所数年安定した仕事量だったのだが・・・。あんまり仕事が増え過ぎるのも嫌だが、全く無いってぇのはチと困る。いや、しかし真面目にヤバいかも。でも、まぁせうがないね。「自由業」とはさういふコトだ。

17日(木)----------------------------------------------

講師を努めてゐるジモ・ミュージックスクールで、音楽関係のフリーマーケットが、この週末に行なわれる。ギターやドラムセット等、思いのほか沢山の楽器群が出品されて、盛り上がってゐる。ので、ワシもなにか出品するべ、と考えてみたが、これが意外と、ない。最初はえへくたーの類いを出さん、と思ってゐたが、よぅく考えてみると、結構手放せぬものばかりだった。考えた末、えへくたーは止めて、いっぱいある教則ビデヲを売りに出す事にした。興味ある人は2/19、20の両日、ジモへ来たれ。結構掘り出し物とかあるかもよ。

先日、ちょいとセコい方法で、フラットワウンドの弦をかなり安く大量に入手した。フラット弦は、沢山出廻ってゐるラウンド弦に比べてかなり割高なので、かういふコトがあると嬉しい。昨年秋口にフラット弦に転向してから、もうすっかりハマってしまひ、手持ちのベース全てをフラット弦に張り替えた。へへへ、ますます異端だな。

夜は、久しぶりにオルカのリハ。顔を合わすのは忘年会以来、一緒に音を出すのは04年10月以来だ。旧い曲を思い出したり、新しい曲のイメェジをリピートしたりする。またこれでソロ活動の合間に2ケ月に1本ぐらいでオルカを入れて行けるやうになれば、良いライヴライフが訪れるであらう。

夜の街は良い。ワシは決してナイトライフをエンヂョーイするタイプの人間ではないのだが、それでもやはり夜の街を歩くと、なにか良い。繁華街には繁華街の、オフィス街にはオフィス街の、夜通し営業するリストランテや珈琲ショップなどにも、やはりそれなりの夜の顔がある。けだるく、官能的な顔だ。ワシは朝の散歩が好きだが、夜にはまた違ったパワァを感じて、好きである。

18日(金)-----------------------------------------------

いつものジムへ行くが、けふはプールが使えぬ、ときた。ので仕方なく、だうしてもけふは泳ぎたかったので、市営のプールに行く。1キロぐらい泳いだのかね?。帰り、パソコンチェアァ−を買いに行く。帰宅して昼メシ。こないだの室内リホームで出た大型ゴミを処理場に捨てに行く。古本屋で田口ランディの「アンテナ」を¥300で購入。あとはちょいとソロの練習。さすがに疲れたのか、夕方、エバーハルト・ウェーバーを聴きながら寝てしまった。

夜、中野督夫さんのライヴに行く。ギター1本の弾き語りスタイルだが、ギターの表現力を再認識させられたやうなライヴだった。いやぁ上手いなぁ・・・。やっぱりアクースティックギターとは、弾き手次第で凄いコトが出来る楽器なのだ。これぐらいのコトがベース1本で出来たら・・・と思ってしまふワシはやはり異端なのか?。

音楽は素晴らしかったが、観客の雰囲気が、モロに内輪盛り上がりを見せてゐて、さうでない者にはちょいと「引いて」しまう感があった。たとえ旧知の仲でも、ライヴが始まれば、演る側はエンターティナーで、見る方は観客。本人たちが親友だらうが親兄弟だらうが、その線引きは明確にせんといかんよなぁ。ヤジは時に必要なものだと思ふが、内輪ネタの茶々を入れられてもねぇ・・・。まぁさういふ雰囲気を醸し出す演り手側の意図てのもあるんだらうけど、ワシにはちょいとあのテのライヴって、キツい。


4週目


2月19日(土)--------------------------------

けふもねこのづくのリハ。そろそろ(やっと)尻に火がついて来たかんぢ。ほんたうはこの状態をもちっと早く作っておけば良いのだがネ。さすがに此所に来てアレンジ云々のハナシは無くなった。しかしマー坊のパーカスはまだまだ問題山積み。頼んますぜ旦那。

それはさうと、まだオルカ団がツインドラム編成だった頃、一緒にライヴをやった二人組のポップスユニットのキーボードの男の子が、ぢつはマー坊の弟子であった事が判明。その彼は今、東京で音楽製作の会社を立ち上げて、そこそこ成功してゐるらしい。まだ若いのに大したもんだ。才覚のあるやつはなるべくして成功者になるねぇ。休憩時間に椎名さんとそのテのハナシになり、将来的にづっと音楽で(正確には「演奏する事」で)飯を喰ってゆくか、そもそもそれは可能なのかだうか?とか話す。

まぁ、前例がないから分からぬし、みんなそれが不安だから何か他の事をやりはじめるのだらうし、理論武装もするのだらう。こないだカズイと呑んだ時にもさういふ話になったが、やはり40直前にもなれば、考えらぁな。しかしまぁなんにせよ考えるだけでは駄目な訳で、考えたらアクションを起こさねば考えてないのと同じ事で、アクションを起こすのが面倒なワシは、そもそもあんまり考えるタイプではないし、インドで見て来た色んな事を思い出しながら、♪ひーとーはどーこーでいーきーていてもイイんだ〜〜〜♪などと唄う冬の空であった。

20日(日)--------------------------------------

ライヴ。独弾では初めて演るDuck。「風林歌山」といふ、づいぶん長く続いてゐる弾き語り系アーティストのイベント。ちょいとした所縁で、今回ゲスト出演させてもらふ事になった。ギャラの他に食事付き、と云ふありがたいライヴ。同じ広島とは言え、ワシの活動とはほとんどリンクしない界隈のイベントなので、知ってる人はほとんど居らぬ。ある意味、ツアーの雛形と考え、春のツアー用に準備してゐるラインナップで演る。結果、かなり良いライヴが出来た。演目、即興〜月の路/丘にのぼる時/春/Tes de taz;/此岸之朱/タ・ルガシュの空の下で(アンコール)。タ・ルガシュ〜はけふが初演。

初めて聴く人にも仲々ウケたやうだ。えへくたーも最小限で充分、と云ふ事が判明。ただ、ワンマンの場合に限っては、もう少し長く演る必要があるので、一考の余地はあるな。

タクシーとJRを乗り継ぎ、駐車料金やタクシー代がギャラを上回る事も無く、日付が変わる前に帰宅。

21日(月)--------------------------------------------

ヲ−キング1時間。水泳1キロ。

ビデヲを見る。マイケル・マンリングと云ふベーシストの教則ビデヲ。この人のレコード(!)を持ってゐて、それを聴く限りでは、上手いのだがイマイチやなぁ、とづっと思ってゐて、でも何故か何年かに一回は聴きたくなる。こないだもバンド形態で演ってるビデヲを入手して見てみたのだが、やはりイマイチだった。のに、また今回ビデヲを買ってしまったのは、この度のは彼の「ソロ」演奏に焦点が当てられてゐるからだった。

果たして、見てみたが、笑ってしまった。ボディの中程まで食い込む長い指板。4本の弦全てが、瞬時に自在にチューニングを変えれるシステム(曲中で次々にチューニングを変えながら演奏しやがる!)。ギターみたいに細いゲージの弦。3本のベースをブラ下げての同時演奏。こりゃ立派な変態ベーシストである。さうか、アルバムやセッションでは完全に猫かぶってゐやがったな。イマイチと思いながらも何か惹き付けられてゐたのは、この変態性をワシの本能が嗅ぎとってゐたからに相違ない。大いに気に入ってしまった。

特に理由はないが、此所数日、ケータイの電源をづっと切ってゐる。静かで、とても良い。

22日(火)---------------------------------------------

けふのライヴはワシの企画もの。今年すでに4本目の独弾だ。この春卒業する専門学校の生徒が組んでゐるユニット「MOUSE」に前座を演ってもらふことにした。彼らがリハをやりたいだらうから、会場入りを早めにして、自分のリハもそこそこにしてやったが、コイツら、ものの20分もせぬうちに止めやがった。本番までものすごい時間が空いてしまったよ。

さて程々にお客さんも入り、本番スタート。MOUSEはベースと歌のデュオ。演らうとしてゐる事はオモロイと思ふ。しかし今のまんまではベースだけで伴奏してゐる意味はないな。コードを弾くだけならギターで演ればよい。敢えてベースで演るならもっと考えぬとな。ヴォーカルも、まだかなりピッチが怪しいし、何より未熟な言葉(歌詞)使いが気になった。

だが、かういふ編成で臆面もなく演ってしまふのは、さすが我が弟子、天晴れ!、と思ふ。更に研究を重ねて頑張ってもらいたい。

さて、ワシのソロは、20分に及ぶ「キャメル」を演った前半は良かったが、割と静かめのナンバーを持って来た後半、ステージまで聞こえる大声で喋りまくる流れのサラリーマンの客がゐて、完全に集中力を殺がれてしまった。聴いてもらえぬ事や帰られる事は、悲しいが我慢できる。頑張って『あの人達を引き止めやう!』とも思う。しかし、「邪魔」をされるのは、次元の違う話だ。まぁワシも修行が足りぬと云えばそれまでなのだが、ね。途中、なんも云わずにぢっと睨んでやったらやっと静かになった。しかし、周りがほとんど無音の状態になってゐると云ふのに、怯む事なく大声で喋れるあの神経は一体なんなのだらう。

ちょいと達成感の薄いライヴとなってしまったが、ファンから貴重な意見も。この日、アンコールでベースの完全独奏曲を演ったのだが、ラストにあぁいふ曲を持って来ると、逆にベースがうるさく感じる、といふ。ナルホド。勉強になった。本日の演目。一部:キャメル。二部:月の路/丘にのぼる時/アリバダ(新曲)/タ・ルガシュの空の下で/Tes de taz;/此岸之朱/無題ベース独奏曲(アンコール)。

女房と二人でラーメン屋にて打ち上げ、といふか晩飯。

23日(水)------------------------------------------

けふは岩本さんの企画に出演する予定だったが、キャンセルった。理由は色々あったが、根本的には岩本さん、どうやらワシにオファーを取った事を忘れてゐた模様なのだ。こっちはレッスンも休みにしてたのにや。

完全な休みとなった。水泳1キロ。買い物&料理。買い物してゐる最中、突然『君が亡くなってから1年が経った』といふテーマで曲が出来る。いちをうモティーフを録音しておく。名古屋のライヴ会場に電話して、チャーヂ設定などの確認。インターネットで大阪のホテルを予約。ツアーまでひと月を切った。

24日(木)------------------------------------------

夜、オルカのリハ。

MIやん欠席にて残りの3人で演る。ので、ギター×2にドラム、といふ編成で演ってみる。これはこれで良いではないか。MIやんが乳飲み子を抱えての・・・と云ふコトなれば、今後かやうな欠員の形でのライヴ決行、といふ可能性だってある訳だ。最近のオルカ団の「ユルさ」は逆に強みとなる。完全生音でのライヴ、楽器持ち替え作戦、など、色々試してみたい企画もいっぱいあるよ。しかしまぁ、洋邦問わず、ライヴシーンの第一線で活動してゐるミュージシャン達は、欠員など屁とも思わず演りきるヤツらが多い。プロフェッショナルである以上、それで当然、とワシは思ふ。

まぁ『不充分なものを演るはプロの恥』と思ふか『欠員ごときで仕事を失うはプロの名折れ』と思ふかは、個人の意見の分かれるとこだらうがね。人生いろいろ。バンドもいろいろ。人間もいろいろであります。

25日(金)-------------------------------------------

ゆんべ帰宅すると、B華堂株式会社からジャケットが上がった、といふ知らせが入ってゐた。ので、朝イチで引き取りに行く。ハーようやっと此所まで漕ぎ着けた。色々あったが、あとは売るしかない。悪友が『(売り切るまでに)何年かかるんかいな?』と云いやがったが、何年かけてでも売り切るしかない。買ってね。

夜は、親父のバースディを祝う食事。78歳。もう充分老人だと思ふが、TVとかで見る100歳超の御長寿などから比べると、まだ若いのか。あと22年生きなきゃ100歳にならぬのだな。あと22年と云えば、ワシも62歳!。ヌ〜〜〜〜ム、年を取ると云ふ事は凄い事なのだ。

相変わらずお互いが好き勝手な事を喋りあってゐる家族。妙な一家である。他所の家庭とかで、3世代に渡って上手くまとまってゐる一族とかもあるやうだが、あれってホンマなのかね?。


最終週


26日(土)--------------------------------

けふもねこのづくのリハ。先週かなりヤバい状態だったマー坊のパーカスが、此所に来てかなり良くなった。場合によってはレパートリィの見直しも考えてゐただけに、とりあへず一安心。が、まだ油断はならぬぞ。さらなる精進を重ねられよ。

椎名さんが、ワシをイメ−ヂした曲を作ってくれてゐる。ユルいんだかせわしないんだか分からぬリズムと、ポップスに無理矢理アラビア音階を合体させたやうなメロディの不思議な曲。仲々にオモロイ。歌詞に関しては複雑である。「他人の印象こそ自分の本質」と云ふが、ふぅん、ワシってかうなのか・・・。

27日(日)-----------------------------------

居間に練習用として置いてあるちっこいベースを、女房が戯れにいぢってゐる。チと2〜3レクチャーしてやると、そこそこの型をしよる。ウチの女房は音楽は全く素人だが、耳が良いのかなんなのか、微妙なアラビア音階のメロディを、勘だけでケータイに打ち込んだり、ワシが1回演っただけの曲を憶えてゐたりする。CDも300枚近く持ってゐる。ワシの生徒でさえ100枚以上のCDを聴いてゐるヤツは、さうは居らず、聴いたメロディを憶える事に苦労するヤツは多い。素養だけで云ふと、かなり侮れぬヒトなのだ、実は。と思ふ。ワシとしては彼女がさういふ方面で目覚めてくれても良いと思うてゐるが、こればっかりは本人の志向だからねぇ。で、今の所、彼女にはさういふ気はサラサラ無ささうに見へる。ヌ〜〜〜。

28日(月)------------------------------------

確定申告、仕上げ。いっぱい書き損じて訂正印だらけになってしまった。歩いて提出に行き、プールに行って30分ほど泳ぐ。

昼、四川ラーメンで昼飯にしてから、ねこのづくの追い込みリハ。ちょっとワシが前に出過ぎてゐるかな?と思ふところが無いでもないが、今回は、ユニット「ネコノズクバザール」としてのライヴだから、まぁ良い事にしやう。クレームは甘んじて受けやうではないか。考えてみれば本番は今週末。


翌月