雪消月の弐「雪はまだ消えず」

遅ればせながら「千と千尋の神隠し」見ました。

メディアも絶賛してたし、ワシの周りでも見た人はみんな良かったみたいな事を云ってましたが、ワシには全然面白くなかったんですが・・・・。何がそんなにいいのかね?といふかんぢですな。なんかアニ−賞4部門制覇で、アカデミー賞も候補に挙げられてゐますが、これの何を評価してんでせう?。ビデオで見たからかね?。

でもね、これ、自分では結構気になってるんですが、退院してからといふもの、映画を見る集中力がいちぢるしく落ちてる気がしてね。なんか90分だか120分だかに気持ちが入っていかんのですわ。なんや物事に集中できなくなってンのと違うやろか?とか思ったりしてます。ワシは他に何もないんですが、集中力だけはあって、一度見ただけの映画の台詞をよく憶えてるンで有名だった事もあるんですが。

だから千と千尋〜にも感動できなかったのかね?。

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月曜日に友人のイガラシ森川五十嵐進と森川博史人脈図参照)が「すすむとひろし」といふユニットでライヴをやりました。

この人達は2人揃ってワシらの間でも筋金入りの腰の重いヤツらで、仲々自分から動かうとしません。この度ようやく発動しはじめたやうなので、冷やかしてやらう、と出かけました。自分が出演する以外の事で夜の街に出たのはほんたうに久しぶりです。

あんまりリハは重ねてないみたいでしたが、ちゃんとオリジナルをやってて、仲々良かったですよ。スタンダードか何かで茶を濁してたら文句云ってやらうと思ってたんですがネ。2人ともいい曲書くのにね。もっとやりゃぁいいんだよ。

車で出かけたんでお酒が飲めなんだのがナンでしたが、タマにはいいですね、かういうのも。

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専門学校の卒業製作(発表会)がありました。

ワシは下半期ほとんどを入院の為、生徒達に関われずにおったのですが、考えてみればここの生徒達は2年で「卒業」しちゃうんですよねぇ。感慨深いものがありますな。特に、今の2年生は第一期生ですからねぇ。中にはかをりに憧れて「私の夢はオルカ団に入る事」なんて云うのもゐたりして、カワイイやつらです。

まぁ社会に出て、これからほんたうに大変な思いをすることになるんだらうけど、彼らの未来が明るいものでありますやうに。

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見知らぬ人からメールを頂きました。

ワシと同じやうに複雑骨折をされ、本当に治るのか、歩けるやうになるのか不安で、ネット検索しておられたところに、ワシの入院日誌を見つけ、それを読んで元気がでた、と書いておられました。こんなんでもお役に立てて光栄です。

入院してすぐに、東京のくどうげんたさんが便りとともにとある雑誌のコピーを送ってくれました。それは某F-1レーサーが、再起不能とも思われたレース中の大事故から、復帰してまた第一線で活躍するやうになるまでの経験をインタヴ−にまとめたものでした。そのレーサーは療養中は勿論のこと、事故直後の、まだコクピットの中で救助を待ってゐる時から、絶対に復帰してやる!と強烈に考えてゐたさうです。治してやるぞ!と、全てを前向きに考える事の大切さと、それが身体にもらたす、にわかにはちょっと信じられないやうな作用も語られてゐました。

でも、ほんたうにそのとおりなんですな。人間は想像力の生き物だなぁ、と今回つくづく思いました。

「この部分の血が増える、骨が付く」と念じながら飯を喰うだけで、そのとおりになるといふ統計が、医学会でも取り上げられてゐるさうです。月並みな言葉ですが「治る」と信じれば治るのです。実際、ワシと同じやうな怪我で入院してゐても、自分の境遇を愚痴ったり、退院後の生活を心配してばかりの人は、確実に治りが遅かったのです。逆によく眠りよく食べ、よく笑い、ある意味では入院生活をエンヂョイしてゐたワシらの仲間は、次々と良くなって退院していきました。

パワーオブポジティヴシンキング。

まぁアドレナリンだのドーパミンだの、科学的に証明出来るンだらうけど、そんなんより「成せばなる」って考える方がシムプルでいいよね。


雪消月の参「花粉、ぢわぢわと来たり」

TVでゲ−ジツ家クマさんこと篠原勝之と、能楽の小鼓奏者大倉正之助のフリー対談をやってました。

この2人は親友ださうです。クマさんはメディアへの露出の多い人ですが、大倉正之助といふ人は初めて知りました。能楽の小鼓奏者大倉家の何代目かの跡取りとして生まれたにも拘らず、途中ドロップアウトして農家に弟子入りしたり、やがて能の世界に戻ってからも、小鼓のソロ演奏(ワシも知らなんだけど、さういうのは今までなかったらしい)をやったり、ヴァイオリンや電子楽器、ロックバンドなんかともコラボレーションをしたりと、かなりアナーキーな人のやうです。

その放送でも大型バイクに革ジャンといふいでたちで現れ、そのままの姿でクマさんの作品が展示してある吹きッさらしの河原でソロ演奏をしてゐました。寒風吹きすさぶ広場にクマさん独特の無機質なオブジェがそびえ、そこで革ジャン姿のおっさんが小鼓と合いの手の声を響かせてゐる、ってのぁちょっと異様な光景でした。一緒に見てゐた女房とも話したんですが、どこの世界にも異端児といふのはゐるんだなぁ。ワシなんかまだまだだなぁ。

能楽の「合いの手」といふか「掛け声」といふか、あの

おぉゥ!

とか

イよーーーーーッ!

てなのも、なかなか真似できませんぜ。

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「ひろしま百景」のオンエアを見た人からのお便りを何通か頂いております。応援ありがとうございます。ただ「またやらんのか?」とワシに訊かれても、これはワシが企画したものではありませんですんで、困ります。

あ、もしナンでしたらTSSテレビ新広島に問い合わせてみては?。そしたら「うむ、アレはなかなか好評だった」といふコトで、またワシに声がかかるかもしれやせんぜ。へっへっへ。


雪消月の四「かろうじて踏み止まれり、花粉症」

仕事が少なくなったもんで、最近よく街をブラつくんですが、さうすると大抵知り合いに会います。こないだなんか歩いてて、いきなり男がタックルしてきたから、結構本気でびっくりしたんだけど、知り合いの若い衆だった。これはまぁ不特定多数に面が割れた、といふのもあるでせうが、やっぱりここがちーさい街だからですね。

メイン通りに面した喫茶店でチャ−でもしてると、1時間くらいの間にひとりふたり知り合いが通りかかるし。

かういうのを「田舎だ」って云う向きもあるでせうが、ワシにはこのくらいの世間の狭さってのぁ心地よいです。田舎上等。別にプライヴェートを脅かされる程のコトでもないし、知られて困るやうなコトはしてないし。こないだも近所のおばさんに「おにいさん、いっつもウチの猫に声かけてるでしょ?」と云われましたよ。ヘー。

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アトランシア・ステルス・カスタム・フレットレスを生涯の伴侶と決め、他の銘記たるベースには目もくれないワシですが、この度、新楽器を入手しました。

いわゆるエレアコ=エレクトリック・アク−スティック・ベースです。

ぢつはこのテの生で鳴らせるタイプのベースは、出はじめからづっと気にしてゐて、でもなかなか良いのがなくて、買っては手離しを繰り返してきたんですが、今回、まぁまぁ満足出来るモノに出会えたンで、またぞろ買う事にしたんですな。

ワシはベースをギターに属するものと考える事にしてから、生で鳴らせるベースの代表であるトコロのウッドベースには、もう興味はありません。あれは全然別の楽器だと思うし、だいいち弾きにくい。運びにくい。かさばる。重い。デカい。だもんで、生でも鳴る「ベースギター」がづっと欲しかったんですね。

世間的にはこのテの楽器はバーチャルなウッドサウンドを追求する方向に進化してるんですが、ワシはその正反対で、いかにギター的な事が出来るかを念頭に楽器を選びます。だから5弦ベースにしても低い方に弦を増やすンぢゃなくて、高い方に増やすんですね。今回のも高い方に弦をプラスした5弦のエレアコベースです。べったべたに弦高を下げて、思いっきりシタールみたいな音が出せるやうにしてあります。へへへ。

難を云えばまだデカいんですな。

ワシは楽器選びのほとんどを機動性にウェイトをおいて考えるんで、できるだけ小さい方がいい。サウンドなんか二の次、とまでは云わんけど、まぁ後回しです。ほんたうは分解して持ち運べて、1分位で組み立てられるベースてのが理想なんですな。もしくはウクレレ並みにちーさくて音がちゃんと拡がるベースとか・・・。絶対ないですけど。

低音楽器てのは機動性といふ点では最初からマイナスポイントとなります。「低い音」を響かせる為には、ある程度デカい共鳴胴が必要だからですね。か、もしくは電気的に音量を増幅させる以外には手は無いんですな。だから多分、生楽器ではウッドベースのあの大きさてのが、低音を増幅させる最小のサイズなのではないかと。昔は建物みたいにデカかったて話ですからね、ベースは。

アレでも沢山の楽器が一緒に鳴ればほとんど聴こえませんからね。

だから、野外で演奏される事が前提の民族音楽に、ベースといふ概念がないものが多いんですな。

でもね、夢なんですよ。ベースの音が出せる生楽器担いで世界中を旅して回って、世界中の民族音楽にベースで参加するの。本来、ない(なくてもいい)部分だからセッションもしやすいんではないかと。今回の買物は、その夢への第一歩かな?。

あ、でもパスポートはづいぶん前に切れてんだぁな。


つぎ