寝覚月の壱

参加してゐるバンドの数が減ったので、日常的な基礎練習以外の練習をしなくなりました。で、これではイカン、と思い、火曜日がソロライヴだといふ事もあり、1人でスタヂオに入ったワケよ。

これが煮詰まる。

バンドってのはメンバー同士が言ってみれば観客でもあるワケで。そこそこ緊張もするしテンションも上がる。だから個人練習とかとは根本的に全く違うんですな。これがソロの場合、いくら本番を想定した練習をやっても、ウチでやってる基本練習の域を出ない。『機械を操作する練習』と割り切ってもアカン。逆にどんどんロウになっちゃうんだな。みんなどーしてんだろ?。

で、ライヴです。今回はいつもお世話になってるLive cafe JIVEのキュートなPAオペレーターきむらあやこ嬢の企画によるもので、基本的に彼女が聴きたいバンドを集めたライヴといふことらしい。

対バンはクールでヒップなAKI cool.com。もう1〜2コ出るんかと思ってたら、ワシらふた組だけぢゃった。

AKI cool、メンバーはそれぞれ良く知ってる人達ですが、ちゃんとした対バンをやるのは初めてでした。フルメンバー揃うと8人くらいになるらしいが、この日はピアノトリオ+DJといふ編成。あいか〜らずオサレでクールなジャズファンクを演ってくれよりますな。

後発のワシがソロで。大きな声でようしゃべるおっさん組がゐたので気にはなったのですが、まぁ集中してやれました。やっぱり練習より格段にイイんですよ。発想が拡がるってのかね。演りながら次への展開が生まれてくる、ってかんぢ。

この日もリハの時に、ディレイ使って遊びで日本民謡やってたら、きむらあやこが『それイイですね』って云うんで急遽本番でもやったんですわ。ところが始めてみるとエンディングを決めてない事に気付いてね(こんなんばっかりぢゃ)。ど−やって終わるかなんて考えて弾いてるんぢゃないんだけど、なんか興が乗って来て津軽三味線風のインプロヴィゼーションに繋がっていきました。これがひとり練習では出て来ないのね。やっぱり観客と対峙する緊張感が必要なのですわ。

考えてみればさうやって完成した曲てのも多いのだな。

しかしさういうスタイルの演り方って、自由だって云えば聞こえはいいけど、自分では結構テキトーな事やってるな、って気もしてくるんですな。勿論、本番で展開を生み出す為には日頃の訓練が必要ですけどね。全部おんなじやうなものになっちゃう危険も常に孕んでゐるし。

まぁ、ゆっくり取り組んで答を見つけて行くしかないですね。


寝覚月の弐

月曜日、久しぶりに映画館にゆく。「ドラゴンヘッド」。原作の漫画は『闇』といふモノをテーマにした、実に深い作品で、ワシがこれまで読んだ中では「風の谷のナウシカ」に次ぐ傑作だった。ので、あんまり期待しないで見る事にする。日本映画では原作より映画が面白かったためしがないので・・・(ナウシカ〜は珍しく傑作だったが、それでもコミックスの全容からすれば、あの映画はうわすべりだと思ふ。)。

まぁその通りのモノでした。怖れてゐた主演の津魔武器なにがしと松田聖子の娘砂揶嫁は思ったほど悪くはなかったが、途中チョイ役で出てた不治奇直人寝頭人波知が最悪。藤木はさておき、根津さんは結構好きな俳優なんだが。いちばん光ってたのが最ッ初に気が狂う男の子の役者。それにあれぢゃぁ「ドラゴンヘッド」てのが何なのか分かんねぇよ。それにしても、金かかってるわりにオモシロないてのは日本映画って抜けられんねぇ。

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水曜日、千鶴伽広島公演のサポート。千鶴伽さんとは昨年秋に共演する予定だったのだが、ワシが例の事故を起こしてしまい、流れてしまってゐた。一年越しの約束を果たせた訳でんな。千鶴伽さんは福岡出身東京在住のミュージシャン。いかにも九州女!といふ感じのけっこうな美人。セルフマネージメントにより全国を唄旅で回ってゐる、まぁ「でらしね同志」とも言える人である。楽しみにしてゐた共演。

福岡から若手のメンバーを二人連れて来られてゐて、そこにワシとホスト役の佐藤さん春秋楽団)がギターで加わり、ワシが東京でやってるやうな即席アンサンブルをリハで完成させる。SaxのFever中島さん、Keyの宮吉英彰さんともに若手ながらジャズの世界を中心に活動されておられるやうで、福岡にはさういう音楽文化がまだちゃんと息づいてゐる、といふことに感銘を受けた。宮吉さんなど本来はドラマーなのだが、必要に迫られてハコで弾いてるうちにキーボードの仕事も来るやうになった、とのこと。

お客さんの数はお世辞にも多いとは云えんかったが、楽しいライヴを演ることができまいした。急遽ベースと唄のデュオも演ったりして。

打上げは、広島を訪れるミュージシャンの間で評判の「中ちゃん」。知ってる人は知ってるか。まぁ鉄板焼フランス料理の店なのだが、インドの屋台並みのチープ&コ汚さ。しかし出される料理の数々のなんと美味な事よ。店内はいっぱいだったので、外に置いてあるテーブルで夜風に吹かれながら焼酎を呑る。夕方まで降った雨も上がり、雲の切れ間から満月が覗き、夜風は蒸した身体に心地いい。いいねぇ〜。

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さういえば。

専業ミュージシャンになるまで、つまり会社員やアルバイターとの掛け持ちで音楽を演ってゐたころは、夜の世界にこそ自分の居場所がある、と思い込んでゐた。ライヴハウスや、クラブや、酒場で仲間と騒いでゐる自分こそ真の姿で、だからこそ昼間は仮の姿できつい仕事も頑張れるんだ、と。

今や女房と呑みに出る事すら珍しい男となりつつある。

タマにかうして夜遊びすると、やっぱり楽しい。夜の街で出会う人々はみんな元気だ。さすがに連日となると身体がもたんトシになってきたが、タマには夜の街に繰り出さんといかんな、と思ふワシなのであった。


寝覚月の参

先週の金曜日から月曜日まで、ほとんどカンヅメで、アクターズスクール広島のコンサートに追われておりました。ようやくそれも終わり、これで少しは楽に・・・と思いきや、来週はオルカのライヴで、それが終わったら今度は楽器店の方のコンサートが待ってゐる。貧乏ヒマなしッ。

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結婚式で演ってきました。ワシ、ミキ、かをりの「新生オルカ団」としての初演奏にして初仕事!。まぁブライダルの仕事てなぁだいたいさうなんだけど、誰も聴いちゃいねー。特に今回のは新郎新婦は音楽好きなのだが、客はさうでもないらしく、全然聴いちゃいねー。ワシはまぁ馴れてるんだけど、かういうのが初めてだったミキは結構ショックを受けてたみたい。でも、しょーがないよ。それがかういう仕事なのだし、逆に言えばあそこで酔客を黙らせられない事が、今の三人の実力なんだから。

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夜遅くに肉を切ってゐたら、包丁の首が「ぼきっ!」と折れてしまった。握りの部分に入ってゐた鉄が錆びて朽ちたみたい。折れた部分が飛んで、危うく手に刺さるところだったんだけど、それより長年使って来た愛用の包丁だったんで、それが「死んで」しまった事の方がショックでしたね。大学生の頃、初めての一人暮らしをはじめた時からの付き合いでね。

ワシは死人に大した感慨を持たんクセに、かういう物への愛着といふものには結構こだわります。包丁供養までする気はないけど、近々景色の綺麗なところに和紙に包んで埋葬してやらう、と思ってゐる。鉄の包丁だからいつか土に還るだらう。刃物埋めるのって、なんか法に触れるんかいね?。

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スポーッ選手とかが首やら足やらに巻いてる「チタンウェア」てのがあるでしょ?元気になるってぇやつ。あれを買った。付けてる人は首、足、手首と付けまくってるし、東急ハンヅとかでは専用のコーナーがあるくらいだし、しかし疑り深いシュウさんはあんまりさういうものの効果は信じてなくて、それでもなんで買ったかってーと、オサレ用でんな。ピアス開けたり、貴金属身に着けたり、なんかこのオヤジは30代も後半になってやたら色気付いて来たやうですな。

チタンて云やぁねぇ、ワシの足の中には15cmくらいのプレートと、合計8本のボルトが入ってンですわ。どちらも純生チタン製!。元気になるんですかねぇ?。

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そぉか、そろそろあの「事故」から1年が経つなぁ。


寝覚月の四

土曜日の夜、電脳ドラマー上野友敬こと上チャンと飲みに出ました。上チャンはあんまり酒に強くはないが、久しぶりといふこともあって結構ホッピーが進む。一軒目が閉店したので、河岸を変えてオサレなバァに行き、やはり友達と食事に来てゐた上チャンの超美人の奥方達と合流する。

かういうオサレなバァでメニュゥも見ずにこ難しい名前のカクテルなんぞ注文したらカックいいのだ、と思ったがさういう風に思ったら何も思い浮かばなくなり、先に上チャンに注文されてしまった。仕方なく「ゴッドファーザーてなんでしたっけ?」と訊いて注文する。美味かったからいいや。

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日曜日の朝、パーカッションのツンちゃんからTelがあり、けふイベントに出んか?とのこと。二日酔いではないが明らかに上チャンと飲んだ酒のせいであらう倦怠感が身体に残ってゐる。が、外は素晴しく良い天気。といふことで出かけました。ベースと簡単なえへくた−だけを鞄に入れてバイクで出陣。日射しはまぶしいが空気はからっとしてゐて気持ち良いっすね。ワシの好きな季節であります。

千田町わっしょいと云って、むかしサイデイラといふバンドを手伝ってゐた時に一度出演したイベント。2〜3年前の噺だけど、あれから月イチで続いてゐるらしいね。大したもんです。フリーマーケットやらが出店してゐる広場の真ん中の、ステージもなんもない所で演りました。これが気持ちいい。観客は家族連れがほとんどで『まぁ聴いてはおらんだらう』と思ってゐたが、結構な拍手をもらって逆に驚いたりしました。

野外イベントの定石、焼そばとたこ焼きも喰いましたぜ。

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『座頭市』を見て来ました。R-15指定。それでもさすがに「世界の北野」作品、久しぶりに観客が沢山入ってる映画館を見たやうな気がする。予告編で「フレディVSヂェイソン(エルム街の悪夢と13日の金曜日)」てのをやってゐた。そこまでやってはもはやギャグのやうな気もするが。それで『恐怖の倍増』とか云われてもねぇ。

座頭市はまぁ面白かったッスよ。

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そしてオルカ団(仮)のライヴでした。いちをう直前になってまとまったやうな感じ。男1人に女二人てのは前と同じ。今回ワシはアク−スティックギター一本で演ります。オルカはギターレスバンドからベースレスバンドへ・・・。とはいへ、えへくたーを色々駆使してベースのやうな音やらも出しますよ。

お客さんの入りはまづまづ。「結構期待してるんですよ」といふ声も多々あり、緊張まではせんがミョ〜なプレッシャーは感じる。結局最後のリハでようやく形が出来上がった、てな具合。ハッキリ云ってあんまり自信がない。さういうこちらの迷い、気後れが伝わったのか、ファーストステージは反応が薄い。それでなくともミキを「見に来た」客と、オルカを「聞きに来た」客とが、妙なノリのズレを生んでゐる。なかばやけくそといふかビールを煽って演ったセカンドステージはノリもよく、反応も大きい。アンコールも来た。

自分達が何をしたいか、ファンは何を求めてゐるか、その妥協点を強く意識せざるを得ないライヴだった。ライヴを演れば何か分かるかもしれん、と思ったが、まだワシには分からん。だが、今後のオルカの指針となった事は確かなやうだ。


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