2月


1週目


2月1日(水)------------------------------------------

休みにした。再度故障したアンプを再度修理に出すべく運送屋さんへ。そいからCD屋へ行って長く聴いてないいくつかのCDを買い取ってもらふ。¥4000ちょっと。そのカネでビールを半ダースとマイヤーズを一本と晩飯の材料を買う。やるべき事を全部やってからビデヲでも見やう、と思ってゐたが、やるべき事を全部やったらもう夕方になってゐた。いや〜〜1日ってみぢかいねぇ。

2日(木)---------------------------------------------

久しぶりに頭を剃った。年末年始寒い日が続いたので剃るのをサボってゐるうちに、いつの間にか不愉快な芝生のやうになってゐて、ショウウィンドウに映る自分の姿を見て、それがいかにみすぼらしいか、を知ったのだ。

女房に手伝ってもらってバリカンでざっと刈り、仕上げにT字カミソリでざりざりと剃り上げる。頭のてっぺんにアンテナが立ったやうな清涼感。見た目も若々しくなった、ぞ。しかし襟足の寒さはイカンともし難い。

3日(金)------------------------------------------------

ヴァネッサ・パラディVSエイリアン、といふ映画のタイトルを見かけ、『なんぢゃ?これは』と思ひ調べたらホンマにさういふ映画だった。それがタカノ橋のサロンシネマで演ってるといふ。

ヴァネッサ・パラディ!!

さう、ワシの愛器ヴァネッサの元になったフランスの個性派シンガー&アクトレスである。ワシが入れ込んでゐた10数年前、彼女はまだフレンチロリータの妖精!とか云はれてゐて、その後「Be my baby」でヒットを飛ばし、レニクラと結婚して離婚し、今はジョニー・デップの嫁さんだっけ?。しばらく日本では話題にならなんだけど、もう30代にはなってんだらうか?。

そのヴァネッサと、これまたワシの好きなエイリアン、である。見ぬ訳にはいかんだらうが!。

で、見に行った。

エイリアン、といふのはまぁホンマの意味での「異星人」で、「あの」エイリアンではなかった。まぁ、ね。で、映画の内容たるや、これが凄まじいまでにB級のフランス映画で、なんかどっか知らん物凄く小さなこ汚い田舎の村にエイリアンが攻めて来て、といふ、ある意味マニアには堪らぬシロモノ。

ヴァネッサは村のボスの娘で歌手志望の女の子。湖畔のトレーラーハウスに住んでゐる。主演デヴー作では思い切り良く全裸を披露してくれたが、今回、さういふシーンはなし。結構スプラッタなシーンもあるし、不必要に個性の強いキャストばっかりで、正直、見てて疲れた。ラストもよう分からんオチで、なんだかなぁ、といふかんぢ。だが、全編に流れるヴァネッサの唄、これが、やはり、凄い。

あの色香と猥雑さ!!。あどけなさと気品!!!!。高貴さと下卑さが同居する、あの歌声!。嗚呼、帰ってすぐこれを書いてゐるのだが、感動が伝えられない。見てもらふしかない。映画館で。全編を手の込んだヴァネッサのプロモ・ビデヲだと思っても、あの唄を聴きに¥1800払う価値はある、と思ふ。このワシが帰りに窓口で『サントラか新作か、ここで売ってないのですか?』と訊いたぐらい。自分のベースに彼女の名前を冠してゐることを、間違いではない!と思はせてくれた映画だった。残念ながら今日で終演。


2週目


4日(土)----------------------------------------------

4:00に生徒と特別レッスンを約束してゐたので行くと、すでに待ってゐてぢっとワシを見てゐる。あるとてもいやな予感を抱きつつ、壁に張ってある予定表を見ると『梶山先生特レ3:00〜』と書いてある。激しい絶望感を感じながら自分の手帳を開いても『特レ3:00〜』と書いてある。これはいわゆる「大遅刻」といふやつやね。

その後、し〜なとシュウのリハ。曲のアイディアはいっぱい浮かんできて良いのだが、なにか調子が悪い。寒いからだらうか?。

5日(日)----------------------------------------------

新しく乗り換える事になる車を引き取りに行く。長らくお世話になった愛車ぐすたふとも、いよいよけふでお別れだ。新しいのは、まぁ同じやうな軽のバンで、地場産業であるマツダのもの。まだよそよそしく、運転席に乗り込んで「よろしく、のんびり行こう」と云っても黙ったままである。

さて、けふはぱかぱか家族号、といふイベントに出演す。MI、まちゃあき、かをり、といふ、オルカ団最後のメンバーが、久しぶりに人前で演奏する事になる。づっと楽しみにしてゐたが、やはり、なにか調子が悪い。なんや?これは。

ライヴはとても楽しかった。お客さんもいっぱい入って笑いあり、涙あり(?)のアットホゥムなイベントであった。ワシも久々に「なんも考えずにベースを弾く」といふ事に専念できた。体調が悪いぶん、Pieぞうが絶好調で、とてもこの図体から出てゐるとは思えぬ重低音で会場を引き締めてゐた。ソロもよく決まった。いやぁしかし最近づっと独りでストイックな事ばっかり演ってるから、タマにはかういふ事もせなあかんね。MI、まちゃ、かをり、ルーク、リョウ、はっちゃく、ありがとう。

6日(月)----------------------------------------------

さて、イベントも終わり、学校も休みだし、けふは本当にゆっくり骨休めでも、と思ってゐたが、どうにも調子が悪い。試しに熱を計ってみたら7度2分、といふこれまたビミョ〜〜な体温。まぁいいや、と思って医者に行き、薬をもらって来る。後は一日中寝てゐたが、これがまたワシのおかしなアレで、日中は眠れない、といふ癖があるのだ。もともと眠りが浅いたちで、ちっとした物音でも目が醒めてしまったりする事が多い。そんなだからベッドの中にはゐるものの、眠る事もできず、さうかうしてゐるうちに、なんか症状が悪化してきて、女房が帰って来る頃には8度5分まで熱が上がってゐる。

7日(火)-----------------------------------------------

高熱が続いたせいか頭が割れるやうに痛い。これは堪らぬ、とレッスン会場に電話し、けふのレッスンを休講にしてもらふ。このワシが飯を喰ふ気も起きぬほど辛い。夕方前に襲ってきた物凄い悪寒についに耐え切れず、再び医者へ。ベッドから起き上がってみて初めて気付いたが、物凄い事になってゐる。真直ぐに歩けない。なんでもない段差でつまづいたりする。病院に着いて体温を計ると、これが40度を超えてゐる。解熱剤と抗生物質と消炎剤のカクテルを点滴。はーやれやれ、なんやこれは。

8日(水)---------------------------------------------

点滴が効いたのか昨日よりはマシ。だが熱は下がっておらず、8度台をうろうろしてゐる。昨日に引き続きレッスンのキャンセルをお願いして、やはりひたすらぢっとしてゐる。夕方にはなんとか7度に下がり、ぼちぼちおカユなど喰ふ気になる。

9日(木)----------------------------------------------

なんとか平熱に下がった。が、立つとフラフラす。しかし、けふはもうやらねばならぬ事がいっぱいあるので、身体にムチうって起き出すしかない。電車でレッスンへ。ぼーッと身体が熱い。また熱が出てゐるな、と思ふ。生徒と喋ったり実際にレッスンしてゐる時はまだ良いが、空き時間など独りでぢっとしてゐるととても辛い。練習してりゃ気が紛れるか、と思ひ基礎練習をするとリズムマシンが頭に響く。

なんとか9:00までレッスンして帰宅。食欲、ほとんどなし。しかし懸念してゐたほどには熱は出ておらぬ。しかしよぉ、こんなに日頃健康に気をつけて過ごしてゐるのにこんなんなら、いっその事タバコも酒も飲みあげてクスリもやって毎日徹夜して遊んで運動なんかせずにグータラして昼まで寝てむちゃくちゃな生活して50歳を待たずに死んだ方がえぇのとちがうか?。

いや、かういふ苦痛を愉しめるやうにならぬと立派な「変態」とは云へぬな。ぬ〜〜、真の変態になる、とは難しいものだ

10日(金)----------------------------------------------

ヤフーのオークションで落札したヴァイオリン型ベースが届いた。前から欲しかったんだよな、この型のやつ。本領を必要とされる現場で使えるとは思えぬのだが、まぁ、ある種のシャレやね。ペラッペラに音が軽いんで、案外ソロなんかで使うとエエのかもね。次のぱかぱか号のライヴではこれ使ってみやう。


3週目


10日(土)----------------------------------------------

治ったのか治ってないのか、そもそもこの熱病はなんなのか、分からぬままの週末。熱が7度少し上から下を行ったり来たり。まだ全然本調子ではないが、専門学校の体験教室を引受けてゐたので、頑張って行く。希望者が居らなんだので早々に引き上げた。夕方まで少し寝てからアクターズスクールへ行く。ふらふら。7:00までレッスンして、し〜なとシュウのリハ。こんな状態でリハやって頭に入るのかどーなのか?て所だが、まぁ身体が憶えてくれる方を信じやう。もともとワシは頭より身体なのだ。うたは忘れてもダンスは憶えてゐるものだ。

11日(日)-----------------------------------------------

最近、ミクシィといふやつをやり出して、そっちにもタマに日記を書いてゐたりするのだが、これがどぅしたのかいな?と思ふくらい書けぬ。自分のサイトの日記(これ)なんぞは、むしろ書き過ぎていつも多少の編集を必要とするぐらいなのだが、この、ミクシィの日記は、なぜか全然筆が進まぬ。考えてみれば媒体としてのベクトル、といふものがあって、例えばこの「週刊シュウ」は、皆さんが『来て』、『読んで』くれるが、ミクシィのはワシが『行って』、『書く』のである。たったそれだけの事なのだが、それがワシの筆を重くしてゐるらしい。つくづく思ふに、ワシは『攻める』タイプの人間ではないやうだ。

夜、映画になった「キャシャーン」をTVで見た。友人の映画好き何人かがみな『意外にオモロかった』と云ふてゐたので。確かに現実と空想のせめぎ合いをアニメチックにする事で効果的にした演出や、わざと「わざとらしい」カットの入れ方など、なかなか良く出来てゐる。しかし、えらく観念的な映画に仕上がってゐて、果たしてこれ一般ウケはしたんだらうか?といふ気もせぬでもない。それに、最後の方で宇多田ヒカルの曲が使われてゐて、女房が云った『ものすごい手の込んだ宇多田のビデヲクリップみたい』といふ言葉が、云い得て妙、であった。

12日(月)----------------------------------------------

さぁ、あまりいつまでも寝込んでも居られぬ。起き出して動かねば。久々にプールへ。めまいがするが気にせずに泳ぐ。CD屋に寄ってビル・エバンスのなにか、を買おうとしたがいっぱいありすぎて選び切れない。

あまり良くない事なのだが、ワシは『自分が演ろうとしてゐる事に近いモノを聴きたがる』傾向があって、今、ワシが目指そうとしてゐるのは、歌うやうに弾き弾くやうに歌う、といふヤツで、そのやうな演奏を聴きたがってゐる。ウチに帰ってコルトレーンのビデヲを見たり、シャクティのCDを聴いたりした。

ところが自分の演奏自体は、最近はっきりとスランプの兆候を見せており、練習をしてゐてもノれない。道は険しい。

13日(火)------------------------------------------------

道は険しくとも続くのである。バイオリン・ベースでソロの練習。ショート・スケールなのでピッチがかなり怪しい。やはりこのサイズで正確なイントネーションを求むるなら、フレットレスにするしかないやうである。これをフレットレスにする気がむくむくと起こりはじめる。ヤバい。

仕事帰りに女房と待ち合わせ、近所のチェーン居酒屋に行く。チープな酒とつまみで晩飯代わりとす。タマには良い。独りで来て独りで飲んでゐるビヂネスマン風、も居て、その侘びしさに思わず微笑む。

トリノ、日本勢苦戦中。未だメダル獲得できず。

14日(水)--------------------------------------------------

プールへ。考えてみると、これはワシにとって『アディクト(中毒)』以外の何ものでもなく、それは、端から見る他人が思ふより、はるかに暗く、鬱屈した歓びをワシにもたらしてゐる。ワシはある種の人間が、薬物やアルコールに求むるのと同じものを、身体を動かす、といふ事で代用としてゐるに過ぎない。例えばワシはプールに来ると、ロクに柔軟体操もせず水に入り、泳ぎはじめたらほとんど止まる事なく、1000メートルを20分ぐらいで泳ぎ切る。勿論、誰とも話もしない。駐車場に車を停め、再び出発するまで40分もかからない。これは明らかに「健康に良い」といふ運動の範疇を超えた行為であり、むしろこれまたある種の中毒者が、さうする事によってなにかに繋ぎ止められてゐる、と信じてしまふ事と、なんら変わりはない。

ワシが、定期的に運動をしてゐる割に、あまり健康とは思えぬ日常を送ってゐるのは、さういふ事なのだらう。

仕事までの間、ここ十数年で広島に進出してきた、巨大複合デパァト、の先駆けとなった阿流波唖苦といふ所に行ってみる。服屋と食い物屋ばっかり。書店が入ってないので、ワシにはまっっっっったくもって用のないところであった。かろうじて間に合わせのやうに設えてあるCD屋に入り、なんの魔が差したのかジャコ・パストリアスのソロのライヴを買ってしまった。おおかたの予想通り録音状態が悪く、内容も『どっかで聴いたやうな事をまたやってゐるジャコ』の範疇を出ていないもの。

15日(木)---------------------------------------------------

トリノ五輪、なかなかメダルの話が出ず、大会前にえらいプッシュしてゐたマスコミは蒼くなってゐる事だらう。確かに今大会、日本勢がパっとしない。アイドル並みに祭り上げられたり、スター選手ばりのリップサービスをかましたり、壮行会で寒々しいラップを披露したりする奴がゐたりしたが、肝心の試合でパっとせぬのは痛い。他国での大会だからある程度のホームタウンディシジョンはやむを得ぬ事だとしても、それでもやはり上位に食い込む選手の動きと比べれば、日本勢が劣ってしまってゐるのは一目瞭然である。残念だが仕方ないよね。

グラビア撮影、とかで、テニスのシャラポワが水着になって、なにやら相当に悩ましい事をやってゐた。ヌ〜〜〜!!ワシはどちらかと云ふとヒンギスの方がタイプなのだが、ヌ〜〜〜!!。

16日(金)---------------------------------------------------

久しぶりにシォッッピング、をする為、に街をうろつく。まぁCD買っただけなんですがネ。楽器店でえへくたーを見てゐると店員が寄って来る。あんまり口を出されると煩いので、専門的な質問をしてやると寄って来なくなる。本当に専門知識をしっかり持った店員がゐる楽器店、てのが、今の広島には、残念ながら、ない。

02年に大怪我をして以来、仕事の量をほどほどにし、バンドの数も減らし、どちらかと云へば真っ当な家庭人として生活してきたが、そろそろ、また色々とヤるべきなのかな?と思ひはじめてゐる。良き家庭人であることも大切だが、やはりワシら音楽家は安寧の中に歓びを見い出すばかりではいけない。まづは来週から新しいユニットを始動させる事になる。現在のワシの8番目のプロジェクトとなり、久々に自分がオーガナイザーを勤めるバンドだ。

とりあへずは、ここん処御無沙汰してゐる夜の街へ飲みに出やう。


4週目


18日(土)----------------------------------------------

こないだ入手したビル・フリゼルのCD。これが全編アクースティック感覚溢れる、アメリカン・ルーツミュージック、といふべきもので、一聴しただけでは退屈に思へるが、不思議と耳に残る。アメリカのルーツミュージックと云へばカントリーやブルースを思ひ浮かぶる人がほとんどで、実際にそれも間違いではないのだらうが、ここで聴けるのはさういふお定まりのカントリーミュージック、ではなく、しかし、明らかにカントリーやブルースのフレイヴァーを感じさせる音楽である。

KENSOの初期のアルバムにも、どう聴いてもプログレッシヴ・ロックでありながら、日本民謡を思はせる幾つかのナンバーを聴く事ができる。いづれも自国の文化を正しく見据える眼と、高次元の作曲技術があって初めて成し得る技。ジャポネスクをすぐに三味線や尺八の「サウンド」で語らうとする貧困なポップスとはモノが違う。助詞壱拾弐楽棒やら答偽非出来やら世死駄凶台やらを聴くたびに『ちがうんだよなぁ・・・・』と思ふのである。

夜、し〜なとシュウのリハ。ライヴ前最後のリハとなる。まぁ良い仕上がり。デュオで2ステージを演りきるのは初めて。まぁどーなるか分からんが、やってみればなにか見えるだらう。二人とも気分がクサクサするので、街に飲みに出る。バァに行くと男女5人づつぐらいのものすごい騒がしい集団がゐて、なぜうるさいのか観察してみるに、要するに彼ら彼女らは、オスとメスとして、いかにその集団の中で自分が一番「イケてゐるか」を、アッピールしあってゐるのだ。交尾期の鳥のディスプレイみたいなもんやね。

19日(日)------------------------------------------------

久しぶりに女房と買い物に行き、そのまま惣菜バイキングで昼飯を喰ふ。となりにものすごい太った若い母親がゐて、皿一杯にお代わりしてゐる。太ってゐる事が悪い事だとは思わぬが、アレはちょいと太り過ぎではないか?。

夜、ぱかぱか号のリハをMI宅でやる。彼等が岩国のライヴハウスで一緒に演れるやうに手配してくれたのである。ワシも自分の事ばっかりぢゃなくて、他所の土地で演るときにでも、彼等を連れて行ったりできればよいのだがね。リハ後、いろいろ喋ってゐると、まちゃあきが音楽を始めた頃、ワシはすでにツアーをし始めてゐた、といふことが分かり、改めて彼とワシが16才離れてゐる事を実感す。

夜、車を運転するのが好きである。郊外の静かな通りをゆっくり走りながら、カーステレヲから流るるクリス・レアあたりに耳を傾けたりしてゐると、とても良い気分。

20日(月)--------------------------------------------------

けふは新生オルカ団(と云ふか新ユニット)の初リハをやった。新しいオルカ団のメンバーを募集します、といふ公募を行ったところ、大方の予想通りほとんどレスポンスはなかったのだが、ファンの方々は「オルカ団再結成」のやうに思ってしまったやうだ。ワシとしては新しいユニットが、オルカ団を名乗っても名乗らなくとも、前と同じ音楽性のものをやるつもりは全然なくて、さういふ意味では期待にはお応え出来ませんので、ご了承ください。

けふ演った、といふか譜面合わせをしたのは「箱庭」と「水の駅」といふ、いづれも7/8拍子の、昔作ったインストゥルメンタル。曲によってはオルカ団のを演ってもいいかな?とは思ってゐる。ここではベースは他に任せて(まぁベースは使うんですが)、ワシは上モノとベースの間の空間を支配する役割、を担当する。この「空間」てのが今のワシのテーマで、空間を打撃音で刻んでしまふドラムスは目下のワシの音楽には邪魔なのだ。今回の募集でも「ドラムスは要らない」と書いたのはさういふ理由からです。まだ、野のものとも山のものともつかぬユニットだが、まぁ気長に演りますわ。今年の冬までに初ライヴが出来ればいいかな?といふかんぢ。

21日(火)--------------------------------------------------

東京の小熊さんからメール。イギリスのFeedback Magazineといふレコード評雑誌に、我々のDVDのレビュウが載ったものの転写を送って下さった。以下がそのCD評。

Quikion are one of my favourite Japanese bands, just because I feel that they are so very different to everything else that I have heard, and are very strong musically. Here they have been joined by Lithuma Qnombus to provide them with a rhythm section so there are two bands onstage, but that still only makes five of them. The bassist Kajiyama Shu is a real star as not only is he an incredible musician with a great touch on his fretless bass, but also he is the only person actually standing and he is really into the music. He may be stuck in the corner but he is moving around and provides the only action to be seen. Everyone else is seated, and lead singer Totki Yukiko accompanies herself on either concertina or harmonium or provides percussion, while Sasaki Emi provides accordion, glockenspiel and percussion whilst Oguma Eiji provides both guitar and bouzouki. The line-up for this show is completed by percussionist Kudoh Genta. The gig appears to have taken place in a small club and the audience are sat very close to the stage, but they are appreciative ミ clapping nicely at the end of the song and being perfectly quiet during each performance. It is hard to describe their music, which is folky and ethnic and very different to what we would normally hear in the west, but I know that I like it. Excellent camerawork and good sound production makes this a good introduction to the band and their music.

よ・・読めねー!!!。

小熊さんによるとワシの事がかなり評価されてゐる、とのこと。さう云へば2行目辺りになんか書いてありますね。英語の読める人はおせーて下さい(笑)。

でも、かういふの見ると、キキオンてホンマに世界的に認められてゐるグループなのだな、と思ふ。この編成でヨーロッパツアーとか出来たら良いなぁ。

22日(水)----------------------------------------------------

最近、寝つきが悪く、明け方近くになっても寝返りばかり打って熟睡できぬ事が多い。寝たら寝たで変な夢ばっかり見るし、だから寝覚めも悪い。早起きだったワシが結構な時間までベッドでうごうごしてゐる、といふ・・・。まぁそんな状況に甘えてゐてはダメなので、泳ぎには行く。いつものやうに1000メートル。しゃきっとする。これはホンマに「依存症」のレベルだな。

23日(木)------------------------------------------------------

めんどくさいので先送りにしてゐた確定申告に、ようやく取りかかりはじめた。これを始めると机の上が領収書と資料の山と化し、しばらくは譜面書きや日記書きが不可能となる。それにワシは数字を長時間見てゐると気が狂ってしまふので、計算は日に30分まで。しかもケタが大きくなると「金額」として認識する事ができなくなる。例えばワシは25万8千6百5十円とかいふモノは「2,5,8,6,5,0,」としかインプットされない。そしてあなたがこれを読んで『あぁシュウさんは算数が苦手なのだ』と思ふ、その100倍は苦手である。

夜、女房と居酒屋デート。これを週に1回か2週に1回かのレヂャーとして定着させやう、と家族会議にて可決。

24日(金)-------------------------------------------------------

し〜なとシュウのライヴ。ディナーショウやイベントには結構出演してきたが、ワンマンでちゃんとしたライヴをやるのは、考えてみれば初めてだな。

デュオ、といふにはあまりに多い機材郡。ベース、エレピアノは勿論、カリンバ、シロフォン、アコーディオン、リコーダー、ウィンドチャイム、ドゥフ、タンバリン、その他小物系打楽器の数々・・・・。こらツアーなんぞやる事になったら大変やな。

演目はいろいろな協議の結果、一部に割とポップなもの、二部でちょいとマニぃもの、を振り分ける形にした。

本番はお客さんもたくさん入って、プレイも絶好調。ウチらにしてはトークも弾み、いいかんぢでファーストセットが終了。音響スタッフからも『これまでで一番良い』と絶賛を受ける。ただワシはヴォイスのソロをやった時に激しいめまいに襲われ、一瞬倒れさうになる、といふアクシデントを引き起こしてしまった。

そして「マニぃ」のを狙ったセカンドセット。これはし〜なとシュウの、といふよりワシのマニアックさが悪い方向に向かってしまった典型の形となり、最後まで上滑り、といふか、流れを掴み切れぬまま終わってしまった。少し心残り、なかんぢのライヴとなってしまった。

打ち上げでも、スタッフと共に「なぜさうだったか?」を議論する。選曲がマニアックすぎた、とか、即興が長過ぎた、とか色々意見はあったが、ワシにしてみれば原因ははっきりしてゐる。ワシが集中できなかったから、だ。どんなにマニアックな事を演っても、それが音楽的に優れておれば、オーディエンスには真意が伝わるはずなのだ。さういふ意味で、珍しくステージ上で『迷って』しまった自分を、今回は反省するしかない。ましてや日頃「ソロ」を身上としてゐる男が、相方まで迷いに引き込んでしまった事は、「空間パフォーマー」失格である。たった二人のユニットなのだからひとりが調子悪いのは、10人編成バンドの5人が調子悪いのに匹敵する。それを肝に命じよ、シュウ。

良い共演相手、音響スタッフに恵まれたワシは、幸せなミュージシャンに違いない。


5週目


25日(土)----------------------------------------------

ライヴ明け。5:00頃寝たが、9:00には起きる。何故かと云ふとヴァネッサがリペアから帰ってくるからだ。昨日宇部市のプロビジョン・ギターから『発送しました』と連絡が入ったので、ぢっと待ってゐる。そして、来た。ほぼ1ヶ月ぶりの愛器との再会。指板が磨きあげられ、新品のやうになってゐる。デッドポイントも解消。以前より弾き易くなってゐる。素晴らしい。下準備から実際のリペア、後の処理から発送に至るまで、懇切丁寧に仕事がすすめられた今回のリペア。プロフェッショナルの気骨を感じる。プロビジョン・ギター、素晴らしい会社だ。

夜、仕事がハネたあと、ワシと女房と椎名さんの3人で四川料理『火鍋』を喰ひに行く。とても美味しい。ここのウェイトレスのネイティヴなチャイニーズの女性は、みな美しく、プロポーションにも優れ、ジーパンのシリなども『クッ!』と上がってゐてとても素晴らしいのだが、さういふヒップハングのジーンズの上から盛大にガードルなどを露出させてしまってゐるあたり、とても大陸的だ。

26日(日)----------------------------------------------

けふはMIとまちゃのぱかぱか号、と一緒に岩国に遠征に行く。ワシはぱかぱかでベースを弾くだけでなく、ソロも演らせてもらへる。彼等が取りはからってくれて実現した企画である。3人で車に乗って約1時間の旅。駐車場から会場まで歩く道で、なにやらギターを弾きながら歩いてゐるウニのやうにつんつんと尖った髪型をした青年に話し掛けられ、しばらく一緒に歩く。長髪(まちゃ)スキンヘッド(ワシ)ギター弾くウニ頭青年、と女性、といふ、もしも道で出会ったら即座に回れ右をして関わらぬやうにしたい謎の集団と化してしまった。

会場の岩国Rockcountryは1階がカフェで地階がライヴハウス。本格的な食事も出来るしライヴも聴ける、といふ仲々「近所に一軒欲しい」店。MIやんが岩国で仕事をする時のなじみの店だと云ふ。『MIさんがライヴをするらしい』と云ふ事で色めき立ってゐる。彼女はこの街ではちょっとした名士のやうだ。

リハが済み、本番までの間にフと思ひ立ち、近所のデパァトにステージ衣装を買いに行った。鳥獣戯画のプリントのTシャーツがあったので、ちょいと高めだったが買った。昔はかうして本番前の時間にステージ衣装を揃えたりしてゐたな。

さて本番。お店のスタッフが仕切るユニットが二つ出た後、ワシのソロ。岩国で演奏する事自体始めてで、勿論知り合ひも居ない。ベースのソロ演奏だと云ふ事も知らぬ人ばかりである。さぁどーなることやら。演目:こきりこ節/月の路/星の波間に/Tes de taz;/らのえてぃあ/此岸之朱、の6曲。あんまり代りばえのせぬラインナップだが、ソロ自体久しぶりだったので、少々マゴついた場面も2〜3あった。だが、まぁいいかんぢに受け入れてもらへたのではないか?と思ふ。初の試みとして「星の波間に」の間奏でピアニカを吹いてみた。ホンマ云ふとクロマティック・ハーモニカなど吹いたら格好良いのだらうが。

後発のぱかぱか号は例によってどたばた路線で、これがウケるウケる。しまい頃には何を喋ってもお客さんが笑う、みたいな状況になってゐて、ワシらもリラックスして演奏を楽しんだ。MIもまちゃも、とりわけ突出したプレーヤーでないのは事実だが、お客さんの心を掴むナニカを確実に持ってゐる。後期のオルカ団があれほど人気があったのも、ひとえに彼等のこの力のお陰なのだ。終わってみれば1時間も演ってゐた。楽しいライヴだった。

このお店は終演後、お客さんも交えて打ち上げをやらせてくれるシステムとなってゐるやうだ。美味しい料理がタダ。なんでも家族で経営されてゐるらしく、お客さんもフレンドリィで暖かい。素晴らしい。ホンマに「是非、近所に一軒」のお店である。

27日(月)----------------------------------------------

けふはBobby'sのライヴ。ちょいと疲労が溜まってきたのか、首が痛む。ははぁ疲れると痛むのかね・・・。

当初、ドラムスのマナブが出演できない、といふ話を聞いてゐたので、こら結構リズムがシビアーやな、と思ってゐた。が、結局出てくれる事になったらしく、ひと安心。昨日まで東京に居た、とか。相変わらず忙しい男である。ほとんど練習も出来なんだので、本番前、お客さんが入って来る直前までコーラス合わせの確認。

本番は、演りながら飲みながら、といふかんぢで、お客さんのリクエストを募ったりしながらの、ホンマに肩の力の抜けたライヴ。まぁ楽しいライヴでした。お客さんの中に、昨年8月末に出演したキャラバン(バァ)の10周年記念ライヴでワシを見たといふ方が居られ、恐縮してしまった。どこで見られてゐるか分かりませんね。ただ、かういふ人に、いわゆる『ベース談義』をされるのは、ワシはちょっと苦手。ワシは世間的に知られてゐる「上手いベーシスト」てのをほとんど知らんのです。

帰りにラーメン屋に寄ったのだが、家に着いて駐車場に車を入れた時になって、その店にケータイを忘れた!と気付いて慌てて取りに戻る。で、店員さんに『ケータイが落ちてなかったですか?』と訊ねた瞬間、シャーツの胸ポケットに入ってゐる事に気付い

28日(火)-------------------------------------------------

さうか。昨日が日曜日のやうな気がしてゐたけど、けふが火曜日で2月最後の日だな。

情けない事にまた体調が悪くなった。なんか身体がダルいと思ったら、また熱が出てゐる。どうしたんでせうね?これ。いかに云ふてもこれほど抵抗力が低下してゐるのは今までにない経験。週末はまたライヴだし、月末はツアーが始まると云ふに・・・・。 あぁ、ほら色んなところから電話がかかりはじめた!!。


            翌月