2011夏江戸旅

22日(金)---------------------------------------------------上京

専門学校で夏休み前最後の授業を3コマしてから一旦帰宅。最終準備をして広島を18時発の新幹線に乗る。しーなさんは午前中に上京済みで、今頃すでに壱本ライヴをやってるハズだが、ワシは「後追いの前乗り」といふヤツで、のんびり駅弁なぞ喰ひながら。

今回のツアーは、しーなさんの出身校東京支部同窓会、にかこつけてのモノ。所謂ゲストといふことで、宿泊と移動の面倒を全部見て頂ける事になった。こは大変ありがたい。指定の駅に着き、予約してあるといふホテルまで歩いてゐると、中年男性に「シュウさん!」と呼び掛けられ、しかし斯様な場所でワシに声をかける男性など居るはずもなく、まぁ人違いだらう、とそのまま通り過ぎた。したら、その方こそ、今回の企画者のひとり、しーなさんの高校の同級生のTさんであった。近くをタクシーで通りがかったところ偶然ワシを発見したらしひ。

案内して頂き、ホテルに着。仕事を終えて来たしーなさんとも合流。まづは「無事合流」に軽く乾杯。

23日(土)----------------------------------------------------------------椎名まさ子と執事フライデー/ホテル・ニューオータニ

さて、その同窓会@ホテル・ニューオータニ。「ス・・ストゥハ・・・」のアレだ(笑)。

しーなさんの出た高校は、所謂「名門校」で、卒業生、特に東京にゐる人達はみな、それぞれひとかどの成功者たち。OBの中には政財界の重要人物もゐて、同窓会、と云へども規模はデカいしSPもゐる。その中でのワシは完全に独り「他所もの」であり、ちょりん、と居場所のないかんぢがたいへん心地良い。懐かしい友人との再会や打ち合せに忙しいしーなさんを後目に、ぶらぶらと散歩したりす。しかし、会場入り口で弐度ほどSPに止められてしまったのには参った。

その華々しい同窓会の舞台で演奏。カヴァー中心に演ったが、結果的にオリジナルが一番評判良かったらしひ。

終演後は勿論、会の始まる前から、同窓生から盛んに声をかけられるしーなさんを見て、あぁこの人はホンマに「愛されてゐた」人なのだな、と思ふ。超メヂャーの売れっ子タレント、とかいふならいざ知らず、まぁ云ってみれば地方都市の職業シンガーでしかないしーなさんを、しかし同窓生の皆さんが、本気で聴き、本当に感動し、親身にバックアップする姿は、なかなか感動的な光景だった。

良かったねしーなさん。

華やかな同窓会は終わり、まぁ当然二次会にも繰り出すしーなさんと別れ、ワシは下北沢へキキオン+リズマ・クノムバスのリハに。2008年メキシコはバハでのライヴ以来の5人キキオンである。あれから3年の間に、それぞれ色んな事があった。その思ひを噛み締めながら、5時間もリハが続く(苦笑)。十時さん(vo)が『ベースが変わりましたね』と云ふ。ム・・・変わったかもしれんですね。それが「良き変化」であれば良いのだが・・・。

相変わらず癖の強いキキオンの楽曲に苦戦しながら23時までリハ。

24日(日)---------------------------------------------------しーなとシュウ/屋形船

けふは昨年に引き続き、友人ミュージシャン角辻順子ちゃんの誕生日を祝う「屋形船ライヴ」に出演。昨年はソロで出席したが、今年はしーなとシュウ、として参加。

順子ちゃんのダンナは、ワシの兄弟分バンドBARAKAのドラマーであり、下北のライヴバァBlue moonのマスターでもある平石正樹アニキ。長髪に甚平姿の正樹さんと、坊主頭に浴衣姿のワシで都営地下鉄に乗る。雑多ファッションの東京においても、流石に注目を集めてゐるワシらであった(笑)。

さて乗船。

江戸前の刺身や天麩羅などに舌鼓を打ちつつ、お江戸の川下りの風情など愛でつつ、順子ちゃんの弾き語りからライヴがスタート。和やかなMCの後、紹介を受けていよいよ、しーシュ初屋形船ライヴ。なんつっても「屋形船」なので、充分な音響設備がある訳ではなく、ワシは昨年同様電池駆動のオーディオアンプを借りてった。しーなさんは小型のシンセを持参するかどーかで迷った末に、潔く鍵盤ナシといふスタイルでのライヴにチャレンヂ。結果的に順子ちゃんユニットの鍵盤奏者ちなみんのピアニカをちょいと借りたが、鍵盤ナシしーシュもそこそこイケる事が判明。

色んな事の影響で、参加者数こそ昨年より少なかったが、素晴らしくアットホームな良いイベントとなった。参加者全員が順子ちゃんの誕生日を祝福し、東北の復興を願い、日本の安定と幸せを祈り、江戸の風情と音楽と御馳走を堪能した一夜だった。順子ちゃんおめでとう。参加させてくれてホンマにありがとう。

打ち上げは下北まで帰り、Blue moonでゆったりと。

楽しく飲み過ぎ、途中から訳が分からぬやうになったが、正樹さんととても熱く語り合ってゐた、といふ。

25日(月)---------------------------------------------しーなとシュウ/恵比須天窓スイッチ

けふは素晴らしきシンガーソングライター高満洋子ちゃんのお招きで、のしーシュ。

その前に二日酔いをなんとかせねば・・てかんぢ。ゆんベはやはり飲み過ぎたやうだ。借りたアンプを返しに行く間、弐回も電車を降りて便所に駆け込む、といふ体たらく。東京まで来ていつもと同じ事をやってゐる。莫迦ものである。本来なら40分ぐらいで行き来できるところを、2時間近くかかってようやくミッション終了。けふのライヴ会場へ。

恵比須は天窓スウィッチといふピアノ常設のハコ。ホテル・ニューオータニのある麹町、と云ひ恵比須と云ひ、名前だけ知ってて今まで来た事がない場所だ。オサレで小奇麗な街。駅前の路には街路樹が続き、緑あふるる公園や小学校がある。西荻、吉祥寺、下北では当たり前に見かける壁の落書きが、ひとつもない。吉野屋もない。ラーメン屋もない。コンビニの店員も、とても清楚で感じが良い。ふぅん、かういふ処もあるんだねぇ。

しーなさん曰く『素晴らしいピアノ』といふグランドが鎮座。ピアニスト魂を存分に発揮していただきませう。けふは鍵盤弾き語りの女性シンガーが3組み、といふラインナップ。洋子ちゃんは勿論、もうひとりの一宮頼子さんも、それぞれの個性を持った独特の唄世界を発揮。ワシらもややしーなさんをメインに据えたラインナップで、割とアゲめの演目で攻めてみました。

初めての場所だったが、お客さんにもオーナーさんにもたいへん気に入ってもらひ、また是非来て下さい、と云はれる。しーなさんをメインに据えた事も効を奏し、CDも良く売れた。けふは「執事フライデー」ではなくしーシュのシュウであったが、かういふ時は出しゃばりません(笑)。

友人知人多数観に来てくれてゐたが、鈴木亜紀さんが来てくれてゐて、当然ながらワシは終始デレデレ。お客さんの接待をしーなさんに全任せして、づっと亜紀さんと喋ってゐた。ごめんなさいね。亜紀さん、髪切ってますますカワイイ。

出演者お客さん交えての近場での打ち上げに招待して頂いたのだが、帰りの電車の関係と、明日もまだライヴある身、といふ事でお先に恵比須を辞す。良いライヴだった。

26日(火)-------------------------------------------しーなとシュウ/西荻窪奇聞屋

けふは朋友、炎の打楽器奏者くどうげんたによる企画。2005年頃のツアーでワシもご一緒した、アコルディヲン弾きのオランさんとゲンタさんによる「オラン源」、としーシュ、といふ「デュオ対決」。オランさん久しぶり。相変わらず素朴で奇妙で力強い唄。

会場は、多分ワシの東京ライヴ生活でもっとも多数出演してゐる西荻窪は「奇聞屋」。常設ピアノにゲンタさんの打楽器群が居並ぶと、既にワシの立ち位置はなく、隅っこの方に立って演るしかないのだが、そのキチキチなかんぢも良いのだ。

ゲンタさんのたっての希望で、デュオ相手の組み替え、すなはち「オランとシュウ」「ゲンタとシュウ」「しーなとオラン」、そしてゲンタさんがなにより強くこれを求めたであらう「しーなとゲンタ」も演る。この企画が決まったかなり早いうちから、出演者の間で曲データのやり取りがあったが、前過ぎて自分がなにセレクトしたか忘れてゐる(苦笑)。

東京には何人も素晴らしいアコルディヲン弾きが居られるが、その中でもグルーヴ感が特に素晴らしいのがオランさん。ギターのカッティングに匹敵するビートの切れ味。また作る唄がこれまた素晴らしく、けふの演目の中の「オセロ」といふ曲など、思はずしーなさんと顔を見合わせて深く頷き合うほどの素晴らしさ。しーシュでカヴァーさせて頂くやうお願いする。

オラン源もしーシュも、デュオ組み替えも、そして最後の全員セッションも、たいへん素晴らしく盛り上がり、良いライヴだった。けふのしーシュは、敢えて「全曲東京初お披露目ナンバー」で演った。流石に伸び伸びと演れた、といふかんぢではないが、常連ファンからも御墨付きいただく。演ってよかった。

ウチはこの日も浴衣で演奏。結局、しーシュでの演目は全て浴衣で演った。良いなこれ。衣装一杯持ってくより効率が良い。なんつっても畳めばぺったんこになるしねぇ。今後もこんなかんぢで。

27日(水)--------------------------------------------リハ

しーなさん帰る。しーシュと云へどもなかなか二人で来て二人で帰る、といふ事にならぬなぁ、とは思ふ。まぁそこはバラ売りができる強み、と、「個」と云ふものを尊重出来るデュオだからこそ、の誇り、としやう。品川駅で、気をつけて帰ってね、と見送り。ワシはキキオンリハの為、ふたたび下北沢へ。

けふは今滞在中唯一ライヴの無い日。ライヴはないがリハはある。ライヴは長くても2時間とかその辺だが、リハは4時間とか5時間とか。ので、正直リハの方が疲労が蓄積した手指にはヘヴィだ。けふはまぁその辺チカラを抜いて演った。そのせいか、大変スムースな良いリハとなった。ベースラインになかなかオッケーの出なかった難曲も完成。

ところで、ワシは下北沢といふ処にたいへん弱く、毎回来るが毎回迷ふ。

似たやうな通りが多い割に路がまっすぐでないから、だらうが、あれ?と思ったらもう違う路を歩いてゐたりす。一昨日のリハでスタヂヲまでの往路を迷い、迷った分だけ復路はスムースに見つけた。で、けふは往路がスムースに行ったので、『よしこれはもう憶えた』と思ってゐたのだが、帰り道、気が付いたら見た事のない横丁にゐた。なんぢゃこりゃあ?。どーいふ街なのよ?。

夜も遅くなると看板の照明を消すから、余計に分からんのだ。おまけに酔っ払いを追い越そうとして、おかしげな溝に脚を取られて足首グキ言わしてしまふし・・・。『痛いもんか』みたいな顔で立ち去るワシは・・・

28日(木)-------------------------------------------ソロ/下北沢Blue moon

けふは今ツアー唯一のソロの演目。最近のツアーではユニット編成4ツに対してソロが壱本、ぐらいの比率。これも新鮮な気持ちで演れるので、悪くない。

さすがにけふは迷わない下北沢はBlue moon。店の前でけふの対バンじぶこんの辻くんにばったり。こないだもさうだったが、東京を歩いてゐて「シュウさん」と声かけられる、てのが不思議で、ピンと来ない。じぶこんのお二人とは春ツアーぶりだ。ぢつは8月末に浜松でも御一緒することが決まってゐて、なんとなく「ベース弾かせてもらおうかな」と思ってゐたら、もうパンフにワシの名前が刷ってあった(笑)。けふもそんなかんぢで『じぶこん+シュウ』で演らせてもらふ事にす。

もうひとりの対バンオムネル・オーコン氏もベースの弾き語り。が、彼の場合は自作の重厚なバックトラックを使ったもの。に生ベースと唄を重ねるスタイル。まだ始めたばかり、ださうだが堂々の立ち振舞いでスピリチュアルな唄を聞かせてくれる。本業はヨガの先生なのださう。なるほど体軸が据わってゐて、立ち姿の美しさが素晴らしい(男性です)。

じぶこんのネオ・トライバルな楽曲にベーシストとして参加した後、梶山シュウとしてソロを。じぶこん、オーコンとの出会いに心込めて「ツアー」を唄う。お客さんから「鉄道乗りの唄ですね」といふ感想を頂く。わはは、分かりますか?。けふも良いソロが出来た。

お客さんも満員で、良いライヴだった。

じぶこんとは先述したやうに、8月末の浜松でも一緒に演る。またそれとは別に、彼らは壮大な日本縦断ツアーの計画も立ててゐて、そこにはワシも含まれてゐるらしひ。それぞれが旅先で繋がった点と点を結んで、北から南へ流れて行くのださうだ。おぉ〜!そは望むところよ。演りませうぞこの身朽ちるまで。

けふはじぶこんの車に乗せてもらって帰った。ので迷わなんだ、ぞ。

29日(金)-------------------------------------------キキオン+リズマ・クノムバス/代々木Zear the Zoo

お江戸千秋楽。弐度もリハを演ったキキオン+リズマ・クノムバス@代々木。

会場入りが14時、とえらく早い。代々木駅は吉祥寺から総武線で壱本。なので楽勝、と思ってゐたら、どーも乗ったのが総武線ではなかった模様。同じホームに違う路線の電車が来る、といふ感覚が、広島人にはないねぇ。

代々木駅前で十時さんに「シュウさん」と声かけられる。街角で名前を呼ばれるのが3回もあったツアー(笑)。

けふのライヴは恐ろしく音楽性の違う3組の出演。よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜く聴くと、ふかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぃところでの「プログレ」ていふ括りなのかな、と解釈する事もできるが・・・てなかんぢ。それぞれレベルは相当に高く、スタイルは違えども見ててたいへん楽しい。

しかし、代々木、といふ街からして若者の街であり、他出演者もだいぶ若いやうで、客層もかなり若め。割とラウドなバンド二つのあとのキキオン、は正直なところどーだったのだらうか?。本番もやはり3年ぶりと云ふ事でさすがに堅さがあった。それなりに良い演奏は出来たと思ふが、やはり頻繁にこの5人で演ってゐた時ほどの高揚感にまでは到れなかったのが惜しかった。それでも復活キキオンの第一歩に貢献できたのなら嬉しい。

終電の時間ぐらいまで、久々にみんなで呑む。十時さんなにやら悩みが深いやうで、色々と相談を受けた。真剣に音楽に向き合ってゐれば、誰もが必ず一度は覗く悩みの淵。軽く、次回はちょいとデュオでも演ってみますか?、と云ふと『約束ですよ』とのお答え。っしゃ次回春のお江戸は「とときとシュウ」演るよ。

かくして、夏のお江戸全演目終了。

満員の総武線にアコルディヲンの佐々木絵美さんと一緒に乗って帰った。

30日(土)---------------------------------------------------帰広

鞄が重くなるのが嫌なので、重い荷物を広島に宅急便で送る事にす。宿主のりょーこに頼んで安い運送屋に持ってってもらふ。

ワシは身軽にベースとお土産だけ持って、昼過ぎの新幹線に乗る。運良く東京から広島まで、隣には誰も座ること無く、ゆったりと帰って来ることが出来た。

壱週間ぶりの広島。

ただいま

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東京に来はじめて9年めだ。その原点にゲンタさんがゐて、広島での現段階の最終ポイントにしーなさんがゐて、それが今回繋がった。今年春の旅で繋がったじぶこんと、新しいおーこん氏。ゲンタさんに次いで共演歴の多い順子ちゃんと、そのダンナで兄貴分の正樹さん。6年ぶりのオランさん。メキシコに一緒に行ったキキオン。宿主のりょーこにしたって、はじめは友人の友人でしかなかったのだ。

ん〜〜〜〜〜〜〜〜、人生と云ふはホンマに不思議だ。

みんな、愛してるよぅ!


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