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1日(月)-----------------------------------------------------------------------------
今、「旅芸人のいた風景」といふ書を読んでゐて、これがたいへん面白い。
これによればもともと「香具師(やし)」と云ふのは「香具=薬」を売る人らの事で、「やくし(薬師)」から来た言葉なのではないか?と云ふ事だ。で、薬事法が制定され、一般人が薬を扱う事が出来なくなり、いわゆる民間療法薬のたぐいを売る為に興業(見せ物)など開くやうになり、それが嵩じて、だんだん「怪しげなモノを客寄せで売る人」の事を指すやうになったのだ、とか。
てぇことは、才能あるやつにくっついて品物(CD)を売ろうと画策するうさん臭い輩を「ヤシ」と呼ぶのは、あながち間違いではないのだね。
作家宮本輝のエッセイの中に、幼少期の筆者が、流れの香具師が売る『力道粉末』なるものを服用し、嘔吐と下痢に苦しむ様が描かれてゐるが、さういや昔の縁日には、大抵このテのヒトらがゐたよなぁ、と思ひ出す。「ガマの油売り」とかね。『絶対あげなモン買うンぢゃないよ!』とか親に云はれてたっけな。
2日(火)-----------------------------------------------------------------------------
最近、近所の白い年寄り猫が、ワシのバイクの荷台を気に入って、いつも寝てゐる。折角気持ち良く寝てるンだから、と放っといてやったら、『あ、この人間は怒らないやうだ』と思ったらしく、近付いても起きなくなった。ワシがバイクに乗らうと思ふ時にかぎって寝てやがる。まぁえぇけど、頼むからシートに爪だけは立てんといてくれや。
夜、珍しいヒトから仕事の依頼。いつもやってるベーシストの都合が合わぬから、といふことでおハチが回って来た。ブルースだねぇ。フレットレスしか弾かぬよ、と云ふ条件で引き受ける。
3日(水)-----------------------------------------------------------------------------
名曲「スターダスト」の弾き語りに、いよいよ本気で取り組んでみやう、と思ふ。ベースで変にならないコードを探り、唄との対比を計る。素晴らしいメロディ。必然性の固まりのやうな曲だ。この名曲の魅力を損なわずに演れるだらうか?。お披露目は、まぁ、年末くらいかな?。2時間ぐらい夢中になってやってました。
沢尻ナニガシ、といふ女優が騒動を起こしてゐる。なんでも映画の舞台挨拶の現場で仏頂面をさらして無言を決め込んだとか。で、その事は本人の想像を越えて波紋を呼び、まぁ、結局干されやうとしてゐる訳だ。業界の恐ろしさを知らん、といふか、まぁ無知で愚かなコドモなんだらうねぇ。役になり切ってるのを見てる分には、美人だし演技も上手いし、悪くない女優だと思ふのだがね。
昔広島にも、なんかのコンテストで賞を獲ったとかいふ、恐ろしく生意気な唄うたいの女子高生が居ったなぁ。初対面から5分で同じ空気を吸ってるのもイヤになった憶えがある。アレもまぁ無知で愚かなコドモそのものだった。生意気なのはまぁ良いにしても、無礼なのは、ねぇ。あいつどうしてんだろ?。あれでもどっかで売れてたりしてね。そらまぁ人間性と音楽は関係ないからねぇ。
4日(木)-----------------------------------------------------------------------------
ソロのインスト曲・・・まぁつまりベースのソロ曲が結構溜まった(6曲ある)ので、いちをう忘れんやうに録っておこう、とMTRを出したら動かぬ。あれ?壊れたのか?。こないだ生徒の演奏を録音した時は普通に動いたのだが。しかし、まぁ、このデヂタルMTRも、結局あっと云ふ間に時代遅れになったシロモノだ。
民生のデヂタル録音機が出回りはじめた頃、これでソロアルバムを創らん!と思ひ、当時付き合いのあった楽器屋に相談したところ、『これからはこれが主流になる』とZIPドライヴのやつを薦められ、買ってしまった。それから3年もせぬうちにパソコンが爆発的に普及し、ハードディスク・レコーディングが飛躍的に進化した。今や、ノートパソコン1台あれば(まぁ周辺機器も要るけど)、録音からCD焼きまで簡単にできる。ZIPなどもう何処にも存在せん。
かういふ事があるから、ワシは新しいものに積極的な興味が持てぬのだ。このMTRもさっさと捨てちまおうかな。
5日(金)-----------------------------------------------------------------------------
ケータイのCMかなんかで、「ターケタケタテナカタケ・・・」と女性のボル(口タブラ)が使われてゐるのがあって、最初見た時、おぉ!、と思ってゐたのだが、やはり巷でもちょっと話題になってゐたやうだ。
で、なんか色々検索してたら、こんなん出て来ましたよ。Rimpa sivaってぇ女の子で、12歳の時の映像だってさ。インドのミュージシャンが化け物揃いなのは知ってるけど、これは・・・・。タブラの修行って、あのボルを1回聴いて憶えないと、即破門になっちゃうんだって。別のタブラ奏者が、20分の曲を1回聴いただけで憶えた、といふ逸話もある。どういふ回路が働いてンだらうね?。
インドでは、音楽家は間違いなく音楽家の子供で、『高校生の時、音楽に目覚めてタブラを始めました』なんてぇ事は、ない。この娘の親も高名なタブラ奏者である。かの巨匠ザキール・フセインは「あなたは何歳の時からタブラを始めたのですか?」といふ質問に、「生まれた日に父親(アラ・ラカ、といふ超巨匠)が私の耳もとで『ターケタケタケナカティンナー・・・』と云った、と聞いてます。つまり私は生まれたその日からタブラ奏者なのです」と答えてゐた。
ハナシになりませんな。
6日(土)-----------------------------------------------------------------------------
来週の営業演奏のリハに遅刻して行く。ラフなものかと思ひきや、びっちし書き込んである譜面を渡され、おののく。しかも衣装の指定まである。どうやら思ってゐたよりキチンとした仕事のやうだ。演奏の内容も、やたらとritやaccelやフェルマータの多いややこしいモノ。ぐは〜〜〜久々ぢゃ、かういふ仕事は。まぁこれって集中力の訓練にもなるから、タマにやるには良い仕事なのだよ。
夜は、旅のピアニストhajimeくん、の対バンをFar east 〜で務める。ワシとしーなさんはセッションの相手もする。この即興セッションはすごかった。まるで打ち合わせをしたかのやうな、いや、まるで既成の曲を演ってゐるかのやうな、奇跡的な即興=インスタント・コンポーズ、だった。素晴らしい。技術云々は関係なく、たまにかういふ素晴らしい事が起きる。いや、すごかった。お客さんは少なかったけど、これ、見れなんだヒトはかなり損したかも。
彼の云ふ処によると、なんかあちこちの旅先でワシの噂は耳にしてゐたらしひ。しかも、ワシがまだ行った事のない場所で、ワシの事を知ってるヒトが居るらしひのだ。へ〜〜〜〜っ。少しづつ蒔いて来た種が、少しづつ芽吹いて来てゐるのかもしれないね。
7日(日)-----------------------------------------------------------------------------
安佐南区民文化会館、のサロンコンサート、にSoe'sで出演す。ウチから歩いて5分の場所だ。もう今の処に住んで長いし、地元(てゆーか御近所)でナニか演る、といふのも大切かな?と思ひ、出る事にした。Soe'sとしては初めてのフル・メンバーによるライヴとなる。公共機関のサロンコンサートなので、勿論タダ。ギャラも出ぬ。メンバーには申し訳ないな。
これ、今年の始めぐらいからちょこちょこと会館側と会議したりして準備を進めて来たのだが、まづ、会館側に「どんな音楽か」を分かってもらふのに、たいへん苦労した。それは要するに、かういふ処で足を停めてライヴを見るお客さん、にも言えるハナシで、何の関心もないヒトに、何を演ってるのかを、まづアピールせねばならぬよね。考えた末『即興と変拍子の世界』といふライヴタイトルにした。
さて、本番はワシのオリジナルを中心に4曲。1曲「局面即興」とタイトルを付け、お客さんに任意の音をひとつづつ、3人に選んでもらひ、その音だけを使って即興する、といふのを演った。これがなんと「レ」「ファ」「ラ」といふ、結局Dmのワンコードやンけ、といふ事になったのは御愛嬌か?(笑)。でもこの企画は、かなり良いかんぢに観客を引き込めたやうだ、と後から友人が教えてくれた。
サックスとマリンバを生音、2台のベースもアンプの音のみ、で演った。リハの段階ではこれで充分だったが、予想外に沢山入ったお客さんに出音が吸収され、結果的にかなりバランスの悪い演奏になってしまった。それでもアンケートの集計を見る限り、好評意見がもらへたやうだ。『分からない音楽でしたがなぜか楽しかった』とか『確かに乗りにくい音楽でしたが、なぜか身体が動きました』といふ意見があって、たいへん嬉しいワシ。うん、やってよかったSoe's。もっとやらにゃ、ね。
さて、ワシはケツカッチンで別の現場へ。友人の友人、の結婚式の二次会での演奏。をBobby'sで務める。ジャズなどあんまり聴いた事のない人達の前で、それなりにウケたけど、まぁ、パーティーだからね。フルートの進藤先生(ホンマに医者)の計らいで、ソロを演らしてもらってCDが売れたのは良かった。
流石に濃ゆい現場のダブル・ヘッダーは疲れた。
8日(月)-----------------------------------------------------------------------------
7:00起床。ぐぬぅ・・眠い。F楽器店秋の大発表会本番。廿日市のさくらぴあ大ホールに1日カン詰め。「監督」として指導とプロデュースに徹するアクターズスクールの発表会と違い、ここのは、生徒と一緒になって(勿論ビッと指導はするが)楽しむお祭りだ。講師演奏も腕の見せ所。カッコ良く演奏して、大人数で「お疲れッ!」とやる打ち上げは、なかなか悪くないのだ。
珍しく二次会まで行ってラーメンも喰ふ。センセイと話したい女性陣もついて来てくれるのは良いが、結局ワシらは熱い音楽談義となって、女の子そっちのけ。これは申し訳ないね。結局ワシらって、なんやかんや云うても、女より音楽、なんですねぇ。
皆タクシーなどで帰り、ワシは独り、教室の床に、寝袋で寝る。ふぅ、濃ゆい3日間だったねぇ。でも、ホンマの売れっ子って、これどころぢゃないんだらうねぇ。
9日(火)-----------------------------------------------------------------------------
9:00、床で目覚める。いつも教室に泊まった時はさうするやうに、けふも銭湯によって帰る事にす。教室に近くちょいと高めだが綺麗な「ゆらゆら」、ウチに近く古いが石鹸フリーの「ゆらっくす」、のどちらに入って帰るか、で悩む。結果、ゆらっくすに決め、その後、近くでカレーを喰ふ、といふプランまで決める。
心踊らせながら車を向かわせたが、なんとゆらっくすは休み!。やられた!。しかし、意地でも風呂に入りたいので、遠回りをしてみる。此所からは随分遠いが、府中町にある「みくまりっこ」に行ってみやう、と思ひ。んで車を走らせてゐると、昔住んでた家の近くに「ゆ〜ぽっぽ」の案内看板が出てたので、そこに行ってみる。「ゆ〜ぽっぽ」は、石鹸がフリーでないのは残念だが、広々としてゐて、まぁまぁ。サウナ、露天、ジャグジー、と入って、はぁー。
ウチに帰って豆乳を呑んではぁぁああ〜。身も心もリラックスして、あとは夜を待つのみ、と思ってゐたら、けふはしーなとシュウのリハの日だった。ヤバいヤバい、忘れるところだった。2時間かけてレパートリィを浚う練習。ぢつはしーなさんの誕生日に、トイピアノをプレゼントした。これを使って演れる曲などを模索して、今後ツアーなんぞに役立てれば、と思ふ。ワシのチェロは、しばらく練習がなかったうちに、ケースの中で弦が切れており、はぁ〜〜。
年末にかけてしーシュのライヴが何本か入ってゐて、こないだヘンなのを演ってしまったホールコンサートの汚名返上を狙いたい。ね。
10日(水)-----------------------------------------------------------------------------
けふはまるまる休み。リハもレッスンもない。ゆっくり休まん。「わきた」へうどんを喰ひに行き、次のライヴを決める。古本屋によって立ち読み1時間。ウチに帰って珈琲呑んでDVDで「宇宙戦争」見る。典型的「休み」の壱日。
行きつけの美味い珈琲屋さんなぞあれば、この密やかに孤独で楽しい午後を、もう少し美しく彩れるのかもしれんな。捜してみやう。
11日(木)-----------------------------------------------------------------------------
来週、海田の小学校で演る事になってゐるJuju musicのリハに行く。前回は大人数だったが、こたびは予算の関係でPf,Per,Ba,Voの4人編成。しかも男はワシだけ。女性ミュージシャンに偏った意見を持つ訳ではないが、やはり「ここぞ!」と云ふ時のイキ方が、女性は弱い。子供らは割とさういふ処、見抜くからねぇ。まぁそこは男のワシがカヴァーするしかないのだらうな。しかし、帰りがてらリハの録音を聴くと、こりゃベースぐにゃぐにゃ弾き過ぎや。もっとシンポーに行かんかい。
家に帰ったらすぐレッスンへ。『ベースを弾くのが最近あんまり楽しくないんです』といふ生徒がゐて、まぁベースなんてな本来そんなもんだよ、と云ふ。ワシみてぇに独りでライヴまで演ってるならいざ知らず、普通は仲間と一緒に演って初めて楽しい、と思へる楽器だからね。それに、よく云ふんだけど、ベースって、誤解を恐れずに云へば、元々面白くない楽器なのよ(笑)。
前も書いたけど、ワシがもし「単なる」バンドのベース弾き、か、常任のバンド活動をしてないベース弾き、だったとしたら、ワシは恐らく日頃ベースなんぞ練習せんだらうね。多分ギター弾いたりピアノ弾いたり、宅録に凝ったりする、と思ふ。実際昔のワシはさうだったしね。
まぁ「センセイ」がこげな事云うちゃイカンか(笑)。
12日(金)-----------------------------------------------------------------------------
ちょいと日々の計算を誤り、けふ仕事が終わった後、別の教室に置いてあるアンプを、車に積みにいかんければならぬ。が、良い按配に生徒がひとコマ丸々休みやがり、その時間を使って先に済ませる事ができた。その後の生徒らは宿題を全然してやがらなんだので、久々に怒った。いつもへらへらしてゐるセンセイ、と認識されてゐるやうだが、怒ると怖いのだ。ぞ。
明日の営業で着んければならぬ礼服を出して確認してみると、前回あったはずの蝶ネクタイが何処にも見当たらぬ。ん〜〜〜、また間違えて捨ててしまったか?。なんせ1年に1回、着るか着んか、なので。革靴など他所に忘れて帰ること数知れず。確か前もいつの間にか無くなってたんだァな。しかも、この礼服、大学の時の先輩のお下がりなんだァね。「岩永」ってネームが入ってるンだね。まぁ今後、喪服としての礼服も必要になる事が増えるやろし、そろそろ「自前」の礼服買っといても良いのかもね。てゆーか買えよ、ってか?。
明日の営業はまぁ、ヒトに借りて演ることにす。
13日(土)-----------------------------------------------------------------------------
このところ午前早い仕事が相次いでゐる。けふも9:00には現地集合の営業演奏。Y社、といふ高級化粧品で伸し上がった巨大企業の、新工場落成記念式典、のBGM。この為に、このテの仕事には珍しく事前リハをやり、バッチリ準備をした。んが、いざ本番当日になると、打ち合わせが上手く噛み合わず、結局、練習したのの半分も演らんまま終わってしまった。まぁそれでギャラになったのだから、別に文句はないが。
それにしても、と、思ふ。この御時世に躍進してゐる企業の、しかも新社屋の落成式。当然来賓はどっかの企業のおエラいさんばかり。実業家、社長、資産家に銀行頭取。スピィチの内容も、『我が社は』『我が企業は』『我らが戦略は』とまぁ、「攻めのオーラ」が其処此処ににぢみ出てゐて、かういふ場に居ると、正直疲れる。一度、このテのヒトらの丸々壱日を、密着取材でもしてみたい気もす。一体どんな生活をしてらっさるんでせうか?。
14日(日)-----------------------------------------------------------------------------
けふは新しい音楽仲間、琴奏者の木原朋子嬢と打ち合わせ&リハ。まだ具体的な話ではないが、近々ふたりでライヴをやってみませう、といふ運びとなってゐる。その、最初の打ち合わせ。広島唯一の音楽大学、の、ともチャンが使ってる部屋を借りて、やる。この大学、前々から知ってはゐたが、初めて中に入ったよ。おぉ、其処此所からピアノやヴァイオリンやセロの音が聴こえる。まるで青春映画のワンシーンのやうだ。のだめカンタービレのやうだ。
ともチャンと一緒に音を出すのは弐度めになるが、こたび、これ用になんか曲が書きたいな、と思ったので、色んな調弦を試してもらふ。けふはまぁ軽く合わせるだけだし、と思って、ディレイなどの周辺機器は持って行かなんだのだが、セッションが想像以上に面白く、思わずディレイを取りに帰った。とりあへず来年頭ぐらいをメドに、ライヴを打つつもりで考える。ともチャンにSoe'sで弾いてもらふ、てのもオモロさうだな。
しかしアレですね。ワシはかうやって何かの「企み」をしてる時が、一番楽しいね。例えば「ダンスとベース」とか「ベース×2とサックス」とか「シタールとベース」とか、それが何の為になるか、とか全然関係なくて、さういふ事を「実行してゐる」事自体にハイになっちゃうんだね。で、多分そっから先の展望はないんだね。でも、多分それが人生で一番、好きなんだね。
15日(月)-----------------------------------------------------------------------------
Juju music小学校コンサート。5:30に起きて会場入り。まだ暗い。去年このライヴを演ったのも、確かこの時期だったな。
今回は、子供ら全員を相手にしてのヴォイスパフォーマンスは勘弁してもらった。あれってネタ考えるのが結構大変なのよ。そのかわり、和太鼓のチームが一緒に演ってくれるンで、まぁ子供らが飽きることもないだらう。その、巨大な和太鼓などを下ろしたりセットしたり音出ししたりして、本番の時間。
昨年のこれは、もう1曲終わった時から子供らが興味津々。拍手も大きいし、さかんに声も飛んで来てゐた。立って踊り出す子もゐたりしたが、今回の学校は生徒らがぢっと座って見てゐる。お喋りの声もしないが、拍手も仲々起こらない。云へば「ノリが悪い」のだ。何が違うのだらう?と考えて、気付いた。センセイがただ立って見てゐるだけなのだ。前の学校は、とかくセンセイが大声で一緒に唄い、踊ってくれてゐた。ここは各教師が生徒のぐるりを取り巻いて、ただ黙って見てゐる。両校とも、多分、日頃からさういふ学校なのだらう。
どっちが良いとか悪いとかぢゃなくて、センセイのやり方で、こんなに違うんだね。と思った。子供は大人の「云うことを聞く」んぢゃなくて、「見て学んで」るんだね。
16日(火)-----------------------------------------------------------------------------
今枝、と名乗る弁護士から「求釈明書」なるものが届いた。光市母子殺害の事件弁護にて、さういふモノが有ると初めて知り、弁護士懲戒請求、なるものを申し立てたところ。この今枝、その対象弁護士である。
その内容は、まぁワシが何を根拠に、あの莫迦臭い欺瞞に満ちた大弁護団に対して懲戒を申し出てゐるのか、どういふ調査の上でそれを請求したかを述べよ、といふ意向の、まぁマイルドな脅迫状である。大時代的であり、根本的な文章力が欠如した文面なので、理解するのに時間がかかったが、まぁ要約すれば
『おい、コラお前、平民ふぜいが我ら弁護士様に対して辞めろだの云々云うからにゃ、お前のその言動に根拠はあるんだらうな?。あるなら覚悟せぇやコラ』
と云ふモノだ。
ごちゃごちゃ書かれてゐるが、ムカついたのは最後のこの壱文。
本件懲戒請求申し立てを成す時点で、弁護士に対する懲戒請求を成すことがそのように重大な法律行為であることを理解した上で成したか否か?。理解していなかったと云うのであれば、その具体的理由を挙げられたい。また、現時点で理解したか否か。すべてを理解した上でなお懲戒請求を維持する、といふことであれば、それに伴う手続き上の負担とその責任を引き受けたものと理解して良いか否か? 以上。
これは上の赤字で書かれた文面を、ただ論理的に書いただけの文面(しかも文章力低い)の、まさに「マイルドな脅迫状」であると捉えるが如何に?。
して、このワシの住所、どこから入手したものか?。ワシが懲戒請求を送付したのは「広島弁護士会」であって、今枝本人にではない。これは漏えいした個人情報を、今枝(まこと法律事務所、だってさ)が安易に個人利用してゐる、といふ事の証明になる、と思うが如何に?。
かういふモノをいち弁護士が、一般市民に送りつけて来る、と云ふ事だけで、追加の懲戒請求を申し立てる理由となると思うが如何に?。
まぁ彼等はプロなんだから、これが脅迫状になり得ないだけの手はずは取ってゐるとは思うがね。
調べてみるとこの今枝、映画「ジュラシック・パーク」で恐竜脱走パニックの原因を創った、デブのコンピュータ・プログラマーに瓜二つの甘味デブ。なんかホンマに腹が立って来た。
17日(水)-----------------------------------------------------------------------------
7:30起床。晴れ。ヲーキング&ストレッチ&ヂョギング。納豆飯で朝食。ベースの練習。少し作曲。昼飯は焼そば。久々にオフクロに電話。映画「サウスバウンド」を見に行く。『オカシイと思ったら闘え。孤独を恐れるな。理解者は必ず居る』。家に戻ってザバダックのビデヲ見る。女房から加湿器のプレゼント。夜はお気に入り「ちゃぶ家」で食事。身長169センチ、体重ちょっと太って62キロ。今年に入って長いツアーが2回。ヘルニア持ちだが、大病なく、まづまづの健康体。金持ちではないが、喰ふに困ることは、今の処なし。
かうしてわたしは42歳になった。
18日(木)-----------------------------------------------------------------------------
42歳の朝。まぁいつものやうにヲーキングとストレッチとヂョギングと・・・。
ジャン・サスポータス、といふコンテンポラリィのダンサーが、『若い頃はバイクに愛犬を乗せてフランス中を旅したものさ』と云ったのを受けて、最近また良くバイクに乗ってゐる。今のが廃車になったらもうバイク辞めやうか、とか思ってゐたが、やはりこの魅力は捨てがたいな。なんせもう25年も乗ってるからねぇ。
夜、たまたま見てゐたTVに「ギャル曽根」といふ大食いで有名なタレントが出てゐた。その場で5キロのカレーをペロリと平らげてゐた。しかも、ものすご美味さうに。ちょっとホレてしまったかも知れん。
19日(金)-----------------------------------------------------------------------------
しーなとシュウ、『さぼん玉ホリデイ』レコ発ライヴ。だがその前に専門学校の授業3コマと、個人のレッスンをひとコマ。これだけ移動が多いと、やはりバイクは戦力になる。バイクの後ろにえへくたーとか積み込んで会場入り。
ライヴはいつも見に来てくれるヒトを中心に、ほぼ満席。かなり即興部分の多いライヴだったが、後半に行くにつれて拍手が大きくなって行ったのはよろしい。椎名さんは風邪気味、てゆーか風邪で調子悪さうだったが、その代わりにワシは、唄もベースも自分で吃驚するぐらい調子が良くて、まぁさうなると、それほど悪いことにはならんかったのではないか?といふライヴ。
こないだホールコンサートで、えらいこと意思の疎通のとれなんだライヴをやってしまったが、その雪辱は果たせたやうだ。普段は出て来んやうな即興もあって、演ってる方も仲々スリリングでオモロかった。明日もぢつはライヴで、それは野外で、フリーで、といふもの。しーシュで2日連続の出し物を演ると云ふのは初めてで、かういふ事を積み重ねて、バンドとして成長して行くのだ、と思ふ。けふと同じ事を演ってはいかん。しかしクゥオリティを下げてもいかん。自分らが納得する『良い形』をどんどん先へと求めて行く事こそ、大事なのだ。
20日(土)-----------------------------------------------------------------------------
しーなとシュウ二日続きのライヴ。けふは久しぶり新天地アリスガーデン広場での野外。色んなバンドが出るイベントのトリ、がワシら。こ・れ・が・またけふは日中からえらいこと寒い。なんかワシはいつも寒い時に限って、此所に出てゐるやうな気がする。
夕刻、会場に行くと知り合いが出てゐた。そこのバンドのベースの男の子に、「シュウさんの噂はかねがね・・・」と云はれる。悪い噂ぢゃなかったら良いのだが・・・・。
日もとっぷり暮れた頃がワシらの出番。2〜3曲進むうちにヒトが集まってきて、座って聴いてくれる。此所で演ることの良さは、これなのだよ。足を停めて見てくれるヒトの数で、良いか悪いか、そして誰にウケるか、がハッキリと分かる。車椅子のおばぁちゃんと、幼稚園くらいの子供が身体を揺らせながら聴いてくれてゐる。超ミニスカにルーズソックス、といふコギャルの格好をした、しかしあれはコギャルではないな、といふ娘がステージの前を通りながらビっと親指を立ててくれる。うむ、悪くないステージだった。寒いのに見てってくれた人達、ありがとう。
完全にデュオ形式でかういふ場に出るのは、ウチらとしては初めて。昨日もライヴだったし、肩の力も抜けてゐる。こないだのおかしげなホールコンサート以降のライヴが、良いかんぢになって来てゐる。この勢いで沖縄、やね。
21日(日)-----------------------------------------------------------------------------
けふは本来Far east lounge で毎年恒例沼田町のいきいきフェスタに出る予定だったのだが、それが決まるより先に別の営業を引き受けてゐたので、ワシ独り戦線から離脱。別の戦線へと向かふ。は〜。出たかったな、いきいきフェスタ。
そは名物カラオケ喫茶「ぶぎうぎ」の20周年記念パーティーでの演奏。このテの演奏にありがちな、コネクションでミュージシャンを選ぶ、といふのではなく、マスターが好きなミュージシャンを集めて演らせる、といふ、まぁたいへん意義のある音楽家の選び方だと思ふ。んで、集まったのは、ピアノになかにし隆。パーカッションに久保田雅文。サックスに藤井政美。ヴォーカルに野中つたえ。と、ベースがワシ。あんまり有りさうで無い組み合わせに、ワシらも楽しみ。
でその本番だが、これが営業の演奏か?といふぐらい、全員ハイテンションの演りまくり。てゆーか、これはライヴだな。演目はスタンダード中心だったが、演りながらどんどんアレンジが変わる。フリーになったり、レゲエになったり、面白いのなんの。お客さん(100人以上)も、元々音楽好きが溜まる店の常連さん達なので、大喜びの大盛り上がり。終演後、仕事を演った、といふかんぢはなく、ライヴをやり遂げた、といふ気になってゐる。
個人的にはいっぱい間違えた(苦笑)。が、けふのメンバーに混じれて演奏出来た事が嬉しい。かういふ演奏が出来ると、フリーである事の歓びを強く感じる。いきいきフェスタに出れなんだ事のがっかり感は消し飛んだ。願わくばまたこの編成で、クラブかどっかで演りたいもんだね。
22日(月)-----------------------------------------------------------------------------
朋友中野チカラさんに、アクースティックベースを借りる。コントラバスぢゃなくて、ベースギターのアクースティック版の。
ワシはこのテのアクベが出始めた時から、買っては売り買っては売りを繰り返し、いまだ「こ・れ・は」といふモノに巡り会ってない。死ぬまでに是非納得行く1本・・・ライヴでも使えて、練習用にもなって、生音でもイケるやつ、を手に入れたいのだが。今、持ってるのは(ホムペの表紙に写ってるやつ)生音は使えるがライヴではあかん。おまけに不必要にデカくて、とてもぢゃないがツアーで持ち歩こう、といふ気にはならん。
チカラさんが持ってるのは、ヤイリ、といふアクースティックギター専門メーカーのモノで、特注するならこの会社かな?とは思ってゐる。が、なんせ弾いてみぬ事には、ね。で、チカラさんが、しばらく貸しても良いよ、と云ってくれたので、お言葉に甘えてしばらく借りる事にした。
早速授業で使ってみたかんぢでは、なかなか。カッタウェイがないのと、19フレット相当(フレットレス)までしかないのが残念だが、流石にヤイリ、音は素晴らしい。このモデルを元に、カッタウェイ有りの24F相当まで、といふオーダーで・・・嗚呼!。
23日(火)----------------------------------------------------------------------------
ジェイコブ・フレッド・ジャズ・オデッセイ、といふ長ったらしい名前のバンドがゐる。所謂アメリカの若手ジャムバンド、に括られてゐる。その中では、かなりジャズ寄りの演奏をする奴らなのだが、此所のリード・マティスといふベース弾きがオモロい。変なアクースティックベースで、ピッチシフター(多分ワーミー・ペダル)を使ってくにゃくにゃとした変な音でソロを取り、曲によっては全編その音しか使ってない、なんてのも、ある。
ワシもよくピッチシフターを使うが、ここまで大胆に『はい!ピッチシフターですYo!』みたいな使い方は、ハッキリ云ってダサいと思ってゐた。が、これ聴くとアリだな、と思ふ。モノは使い方だね、ホンマ。
んで、色々調べてたら、このマティス兄さんが、ベースの弾き語りしてる映像があった。う〜〜む、やはり海の向こうの連中は、これぐらいは当たり前にやってのけるのだ、ね。楽器上手いのは当たり前。その上で個性が光らせて初めて一流なんだ、ね。かういふの見ると、日本のベース弾きって、アタマ固いよ、と思ってしまふ。
24日(水)-----------------------------------------------------------------------------
明日から沖縄に行く。のだが、楽器をどのやうにすれば良いのかづっと悩んでゐて、要するにアレだ。飛行機に持って乗れぬのだ、ベースは。
いつもツアーの時は、ソフトケースをバックパックのやうに背負い、えへくたーと荷物をコロガシに固定して持って歩く、といふ形をとってゐるが、流石に飛行機でそれは出来ぬやうだ。で、ハードケースを調達したのだが、これが如何に云ふてもデカくて重い。これを行った先々で持って歩くのは、ハッキリ云って無理。
色々調べたりヒトに聞いたりしてゐたのだが、『ソフトケースに入れて無理矢理機内持ち込みにする』『絶対に預けてはダメ』『ハードケースなら大丈夫』『すっちーに頼めばOK』『ハードケースが壊された事がある』『あらかじめ云っておけば良い』『ソフトケースを預けても大丈夫』『いや絶対に壊される』『船で行け』などと、ありとあらゆる情報が錯綜し、どうするのが良いのか全く分からなくなってしまった。
ので、悩み抜いた末、結局、もうづっと長い間使ってゐない、レッスンの備品のベースを持ってく事にした。これならミディアムスケールで、ハードケースもそれほど大きくない。万が一壊れても惜しくはない。フレット付き、しかも使い慣れない楽器、といふデメリットはあるが、とにかく今回はこれで行く事にした。
さぁ、どうなるか。
やしがに兄弟 沖縄ツアー:略記/本編はこちらへ
25日-----------------------------------------------------------------------------
やしがに兄弟(小林一彦、久保直樹、椎名まさ子、ワシ)、朝の便で広島を出発。広島空港から1時間半で沖縄は那覇に到着。早い。船に乗り換え、座間味へ。けふはここでリハを兼ねた観光。時が止まったやうな島。楽園とはかくなりや。
26日------------------------------------------------------------------------------
大シケの海を那覇まで帰る。大船酔い。三線プレーヤーコウサカワタルさんと落ち合い、晩飯。けふのライヴは那覇市La Manzana。知り合いが沢山来てくれて、思いのほか良いライヴ。
27日----------------------------------------------------------------------------
昼間は首里城周辺を散策。夜は浦添市スカラベにてライヴ。疲れが出たのか、昨日ほど良い事は出来んかった。ちょいと残念。
28日------------------------------------------------------------------------------
昼間は那覇市内を観光。お土産を買い、三線専門店などを覗く。他のメンバーは残ってもう壱日観光するが、ワシとしーなさんは夕方の飛行機で広島へ。明日から仕事。ひー。
29日(月)-----------------------------------------------------------------------------
朝、起きたら隣に女房が寝てゐる事にびっくり。さうか、帰って来たのだ。
沖縄の旅で、思ってゐる以上に疲れてゐたのか、起き抜けの身体が重い。しかし半端な音楽家に休息はない。けふから普通の日常だ。まづは専門学校へ。
ひとコマ授業の後、銭湯に行ってのんびりしてゐたのだが、帰って来るのを待ってゐたかのやうに(待ってゐたのだが)仕事の打ち合はせのメールが入って来る。風呂の帰りに事務所に寄って譜面を受け取る。11月の仕事の幾つかがキャンセルになった旨、来年のメキシコ・ツアーと、それに附随する春の国内ツアーの件、年末の出演依頼のメールあり。他は200数件の迷惑メール。
30日(火)----------------------------------------------------------------------------
本来なら専門学校だが、作品展(文化祭のやうなもの)のリハーサルで授業はナシ。休みとなる。ゆっくりベースの練習す。ギターでもベースでもない、新しい楽器への欲求が日に日に強まってゐる。もはや後半の人生で、新たな楽器を欲する事などない、と思ってゐたが・・・。
最近は「プログレッシヴ・ロック」といふものには、ほとんど興味が無くなった。元々『ややこしい事を演りたがる男』と云はれるほどには、ややこしい事にもそれほど興味はなくて、変拍子だの骨折系キメだの哲学的歌詞だのは、単にワシの趣向性でしかない。ブルースが好き、だったり、ソウルが好き、だったりする事と、それほどの違いはない、と(ワシは)思ってゐる。
けふもしーなとシュウの新曲を作ってゐて、間奏のところで何やらぐにゃぐにゃしたフレーズが浮かんで来て、譜面にしてみたら6/4、11/8、6/4、3/4、といふ拍子だった。こんなもの「考えて」作れるかっつーの。
31日(水)-----------------------------------------------------------------------------
旅の間に、注文してゐたふたつのCDが届いてゐたのを、聴く。奇しくもふたつとも「ギター・ソロ」の。
ひとつはパオロ・アンジェリ。プリペアド・サルディニアン・ギターといふ楽器を使ってる。サルディニアン・ギターといふのは、元々イタリアはサルデーニャに伝わる大型のギターで、まぁ近代に発生した民族楽器と捉えて良いかと。これに、なんやら訳の分からんエグいほどの改造を施して(アサッテの方向から弦が生えてたりする)、チェロのやうなギターのやうなベースのやうな・・・・、まぁそんなかんぢ。映像がある訳ぢゃないのでどーやってンのか分からんのだけど、クレヂットには「No over dub」とある。
もうひとつは渡辺等さんの12弦フレットレス・ギターのソロ。渡辺さんは、ザバダックやアーディのベーシストとして知られた人だが、マルチプレーヤー。まだ直接お会いした事はないのだが、元弟子が一時期お世話になってゐた事もあり、ぢつは日本のベーシストの中では、この人が一番フェイヴァリットなのだ。
どちらもオモロいのだが、やはり渡辺さんの作品の方に軍配が上がる。てゆーのも、やっぱり、ある方向に『特化した楽器』といふのは、インパクトはデカいのだが、やっぱり「飽きる」のだね。このサルディニアンギター、すごい事を演ってるし、実際に見たらもっと違う印象受けるンだらうけど、CDを聴く限りでは、音がいっぱい鳴り過ぎててうるさい。
その点渡辺さんの方は、フレットレス、といふ特異性はあっても、いちをう普通のギター(オッド・チューニングの曲もあるが)。奏法的にも奇を衒ったものはない。どちらが「音楽として」成立してゐるか?といふ点では、歴然。かつてジョナス・エルボーグが『音楽そのもののアイディアはシムプルであるべきだと思ふ』と云ったインタヴーを読んだ事がある。う〜〜〜ム耳が痛い結論だな。
んな事を考えてみると、そろそろワシだけの新しい楽器をして新たな地平を・・・とか考えてゐる事が、全部4弦のベースで出来るぢゃねぇか、と思ひ、また購買欲がしぼんでゆくんである。嗚呼。