8月

帰ってからの日々 ツアー記

5日(火)-----------------------------------------------------------------------------

昨夜、まぁ女房とツアー終了記念に乾杯した。ビールと焼酎。つまみはツアーで行った各地の名産品。それほど呑んだ憶えはないのだが、朝は見事にムカムカが残っており、起き上がった瞬間吐きさうになった。ん〜胃が疲れてゐるのかね?。それでも、まぁ久々の広島の朝なので、走った。

ツアー終了でしばしゆっくり、といふ訳には行かず、まだまだワシの旅は続くのである。けふのところはしーシュのリハ。音出しはそこそこにして、こないだの、悲惨だったカミンでのライヴと、素晴らしかったPICOでのライヴを振り返りながら、ワシらはデュオとしてどう在るべきか、を語り合う貴重な時間。

考えるまでもなく、ピアノと唄、ベースと唄のデュオで、ある程度の実力者同士が、『普通に』演れば上手く行かぬ訳がない。おかしげな事になる方がオカシイ訳で、我々が目指してゐるのは、さういふ場所ではない。多分、我々は別の次元に足を踏み出さうとしてゐるのだ。これからがデュオとしての真価、となる。

その後はレッスン。自分が、人間としても音楽家としても、まだまだなモノだとしっかり意識しておれば、自然に他者に対してジェントルになれるのだ。旅はそれを教えてくれる。ヴァーチャルな世界で何を成そうが意味はない。今治へ向かふフェリーの中で仲良くなった徒歩旅行中の親子(いづれアップするツアー日記を参照の事)の、その佇まいが、なんとリアルだったことか。

6日(水)----------------------------------------------------------------------------

けふはまたまた呉。こないだの野村君のユニットの第弐段である。なかなかに忙しい日常だ。昼過ぎに家を出て湾岸道路をのんびり走って・・・と考えてゐたが、ハと気付くと13時を過ぎてゐて、慌てて家を飛び出る。またけふに限って大型トラックの交通量が多く、路が混んでゐる。がぁぁ!ケータイも忘れてる!。遅刻の連絡も出来ん!。

しかしまぁなんとか5分程度の遅刻で済んだ。まだ搬入をしてゐるメンバーもゐて、助かった。いや、いかんですね。

こないだは3管+3リズム、といふ編成だったが、けふは4管+ギター+3リズム。リズム隊の3人はこないだと同じメンバーなので、違和感なく出来るこたぁ出来るが、さすがに4管ともなると音がデカい。ドラムのサトシ君がそれに負けじと叩きまくるもんだから、久々に耳がキーンて云ふ(笑)。この編成ならばおのずとベースの役割はシムプルになって来る訳で、まぁ最年長に相応しい役割だな。シブくビートを出して皆をまとめる。かういふ役割も好き。

けふも楽しい演奏だった。良い仕事を回してくれる野村君に感謝。

帰りはピアノの鳥岡香里ちゃんに足を頼まれたので、広島の市街地まで送って行く。いつ、どういふきっかけでインド音楽に惹かれたのか?とか訊かれて、色々と答える。かういふ時に(特に相手が若い娘さんだと)、どーしてもウレ気に要らぬ事まで喋ってしまふ傾向があるのに、気を付けたいと思ふのだ。

7日(木)-----------------------------------------------------------------------------

けふはいよいよ、あの大好きなバンドSuara sanaのヴォーカリスト(てゆーかホーメィ歌手)岡山守治くんとのライヴだ。仕掛人は呉でRazzを主宰するリュウくん。またまた呉繋がり(笑)。会場はヲルガン座。ちゃんと出演するのは、初めて。ここは独特の雰囲気があり、ステージ上の壁に、鹿の首の剥製がデンと飾ってあったりす。

会場入りして守治くんと挨拶。リュウくんからビデヲを見せてもらったらしく、けふのライヴを楽しみにしてゐた、と云ふ。いや〜こちらこそ楽しみだ。

早速、なんかリハがてら演ってみる?て話しになり、音を出すともうホレ。お互い「えせニック」といふ言葉を気に入ってゐて、さういふアプローチが共通するから、なんか当たり前のやうに、ヤバいくらいの世界が広がった。今まで色んなこのテの人と演ったけど、感覚的に一番近い、と云ふか同じやうな主観を感じる。あんまりやり過ぎん方が良いだらう、と早々にリハは切り上げ、本番も完全な即興で演ることにす。

その本番。まづ守治くんが30分ほどソロ。ホーメィ、口琴などを駆使するパフォーマンスも素晴らしいが、ラストに唄ってくれた「もぐら」といふオリジナル曲が秀逸。

これにアンサーする形で、2ndのワシのソロでは、久々に「アリバダ」を唄う。『もぐら』に対しての『ウミガメ』だ。続く「きみはたれか」では守治くんに口琴で参加してもらふ。意外なハマり方をして素晴らしい仕上がり。それ以後は即興。守治くんの純正率ギターとホーメィ+ワシのフレットレスとえせニックヴォイス。すんげぇオモロい。なんか何でも出来る気がす。最前列にゐた二人の女の子が、渦のやうにづ〜〜〜〜っと身体を揺らしてゐる。完璧に寝てしまってゐる人も居た。なんと嬉しや。

いや〜〜〜〜、オモロいライヴだった。誰かレビュウ書いてくれんかね?。

主催のリュウ君に感謝。引き合わせてくれてホンマにありがとう。

なにがきっかけだったかは憶えておらぬが、Suara sana といふバンドを知り、気に入り、聴きまくってゐるうちに、なんか知り合いの知り合いから輪が広がり、初めて彼等を聴いて1年もせぬうちに、そのバンドのメンバーと共演が出来るやうになる、と云ふ不思議。この輪の中に自分がゐる事の幸運を、感謝したい。

守治くんと握手を交わし、近いうちの再会と共演を誓いあった。一緒にツアーで回れたりしたら良いな。

8日(金)-----------------------------------------------------------------------------

昨日の朝とか、ぢつはちょいと調子が悪かったのだが、けふは大丈夫。ライヴで「癒された」やうだ。あんまりそのテの事を書いたり云ったりするのは好きぢゃないが、まぁ、あんだけ倍音を浴びれば、身体には何がしかの効能はあらうな。

オフクロの退院が決まり、最後の見舞いに行く。退院して自分でマメにリハビリを続けりゃ良いが、ウチの女性陣は、かういふ事にホンマ根気がないからねぇ・・・。まぁひとまづは良かった。

女子高生の姪っ娘が来てゐて、うーむコイツももう大学受験か、と思ふ。よく勉強ができる娘らしひので、進学にはなんの問題もないやうだ。東京に出て云々カンヌンと夢を語ってるやうだが、ウチの一族は、なんやかんや云ふても、最終的には世間常識からはみ出る事の出来ない人達なので、コイツも最終的にはフツ〜の娘になるンだらうな、と思ふ。


2週目

9日(土)-----------------------------------------------------------------------------

けふは名古屋から、てらしましんご君がやって来てしーシュと対バンす。

しんご君はワシが初めて行った名古屋で、バーテンをしてゐた青年。アレアが好き、といふ共通項から話が弾み、ついに今年の春のしーシュ名古屋遠征で、共演が実現した。ヨーロッパの民族音楽の影響を感じさせる独特の楽曲とギター。そこに低く枯れた歌声で日本語が乗る。少なくとも広島では、居ないタイプのミュージシャン。

会場に着くとしんご君、もう来てゐて、すぐにセッティング&リハ。滞りなく進み、大幅に時間が余る。しんご君のリクエストに応えて、お好み焼きを喰ひに行く。ワシも久々に「外」でお好み焼きを喰った。

さて、本番。ワシらがまづ2曲演り、しんご君を紹介して場を譲る。しんご君は新作CDからのナンバーを中心に、約40分のステージ。ワシらのお客さんに、しんご君がどう映るか興味あったのだが、皆さん見事にストライクだったやうで、ワシも嬉しい。彼は終演後、だいぶ質問攻めに遭ってゐた。

後続のワシらは、ワシの新作「ゆほびか」のナンバー、つまり新曲をちりばめた、割とワシの「独弾」の色合いの強いライヴ。合作は合作の良さもあるが、ウチはかういふ『それぞれのソロにもう片方が色を添える』てかんぢに演る方が、ウチららしい色が出せるんかもなぁ。

ラストには再びしんご君に登場頂き、3人で『ライオンは寝ている』をレゲエ+沖縄風、にセッション。これがまたオモロい。良いライヴだった。

このまま打ち上げに行っても良いのだが、けふはPICOで『ござしき なげせんライヴの会』といふ、なにやら怪しいイベントが行われてゐる、といふ。折角だからしんご君にも、広島の一番怪しいやつらを紹介したいので、皆で一緒に行く。

果たして会場に着くと、極端に灯りを落とした店内で、シタールの佐久間泰三くんがちょうどアーラープを始めた所だった。しんご君、いきなりのショック!!(笑)。泰三君のラーガに引き続き、皆でセッション。シタール、篠笛、アコギ、ピアノ、電気ベース、ジェムベ、ドゥンドゥン、と云ふ、怪しさ極まれり!みたいなカオス状態。いや〜〜〜〜〜オモロいのなんの。ある意味、Most deep in Hiroshima。これをしんご君に経験してもらへて良かった。ホスト冥利に尽きるね。

終演後、しばらく歓談してゐたが、さういや夕方のお好み焼き以降、なんも喰ってない事に気付き、皆でラーメン喰ひに行く。濃ゆいの2本立ては流石にくたびれたが、気分は最高。しんご君、お疲れさま。明日からは、単にレヂャーの為に博多に行くさうだ。気を付けて、良い旅を。

10日(日)----------------------------------------------------------------------------

昨日のが、しばらく続いてゐた旅の、ひとまづの区切りとなる最後のライヴだった。いや〜でもまだまだ続けたい気分だねぇ。大幅にレッスンを減らしたお陰で、今、年間ライヴ数は平均100本。でもホンマは年間200本以上は行きたい。これを実現する為には、もう全てのレッスンを辞めるしかない。そして、今ワシは、段々さういふ気になって来てゐる。此所1〜2年が転機かと。

夕刻、レッスンに入ってる楽器店の従業員の送別会に行く。久々に会うインストラクター一同。送別会、といふ名目は最初だけで、後は酒飲みの酒盛り。弐軒目のワイン居酒屋で、普通にチーズのセットを頼んだら、割としっかりしたリバロが出て来たので感動。その後は、記憶なし。

11日(月)-----------------------------------------------------------------------------

二日酔い。壱軒目でビールと焼酎ロック、弐軒目で白ワインを何本呑んだっけ?。吐きはせぬが、目を開けてるのもしんどい。まぁけふは仕事ないので、ゆっくり寝てゐる。

夕方「コモド」といふ映画のDVD見る。つまらん。恐ろしい程つまらん。主演のジル・ヘネシーが見たくて手に入れたやうなものだが、それを差し引いても、つまらん。ん〜、この人も出演作品に恵まれんなぁ・・・。かういふ人って、ハリウッドぢゃいくらでも居るんだらうねぇ。

12日(火)-----------------------------------------------------------------------------

ツアーが終わって以降、マトモにベースの練習をしてない事に気付く。ワシは今沢カゲロウ君のやうに、『ツアー中も朝昼晩の練習は欠かさない』といふストイックな人間では、全然ないので、ツアー中は全く練習はせん。んで、ツアー後もせん、のでは結局練習せんのか!?、といふ事で、久しぶりに「練習の為」にスタヂヲに入る。

まぁ当然ながら、指が動きやせん。いくら技術派のプレーヤーではない、とは云へ、これぢゃあイカン。テンポ70くらいの4分音符からはじめ、2時間ぐらいかけて指をほぐすやうにプラクティス。その後ループを使ってのソロ練習も。

その後、ワシは通常通りのレッスンをしたが、他の教室はクローズしたまま。どうやら世間は盆休みになりつつあるやうだ。

13日(水)----------------------------------------------------------------------------

ん〜、なんか秋の気配。づっと33度から下がらんかったウチの居間の温度計が、けふは31度を指してゐる。エアコンのない暮らしをしてると、この2度の違いに情緒を感じる事ができる。快適さは詩的さをも奪う。

チャリで買い物に行く。5キロの米と、2キロのパスタ。にビール2缶と缶詰め2コ。をデイパックに入れてチャリを漕ぐ。ちょっとしたトレーニングやな。ついでにベースと機材もチャリに乗せ、40分漕いでスタヂヲに個人練習へ。けふはループを使った弾き語りを中心に1.5時間リハ。トレーニング&リハ。仕事のない壱日の、模範的な使い方やね。

ちょっと前にBSハイビジョンで放送された『インド 幾千年の音楽の村』といふ番組を、MIやんが録画してくれたのを、見る。『トラディショナル』よりもっとコアな、『民俗』音楽に焦点を当てたドキュメンタリィ。オモロい。見た事もない楽器がいっぱい出て来た。主演、といふか話の中心になる女の子が、知り合いに似てゐる(笑)。

14日(木)-----------------------------------------------------------------------------

夜半、なんか騒々しいな、と目が覚めたら、外はすごい嵐になってゐた。稲光りと雷鳴が明け方まで続き、ほとんど寝られんかったな。

けふも昨日のやうにチャリでソロ練習に行く。途中、20代の頃によく入り浸ってゐたカラオケスナックのママにばったり。当時、一緒に飲み騒いでゐたヤツらの、意外な現状を聞き、ちょいとショック。カタギでないワシが、一番普通の暮らしをしてゐる、といふのは何かの冗談か。みな幸せになってほしいものだが・・・。

リハ中、ツンちゃんから電話。明日からのパーカッション・キャンプの先発隊として、楽器を幾つか輸送して欲しい旨。『明日は何人ぐらい来るの?』と問ふと『分からんのよ』と云ふ主催者ツンちゃん(笑)。天気が崩れさうなのが心配。ぬかるみですっ転んで救急車で運ばれた5年前を思ひ出す。不様な・・・。

リハ後は久しぶりに、ジモカフェで珈琲を呑んで帰った。優雅な生活をしてゐるな、ワシ。


3週目

15日(金)-----------------------------------------------------------------------------

2008年パーカッション・キャンプに行く。昼チョイ前に、愛車「にっち」で、クボっちこと久保直樹(Per)、しーなさんとその娘を拾って、陸路で能美島へ向かふ。が、盆の帰省&観光ラッシュと重なり、渋滞に巻き込まれる。全員昼飯を喰ってなかったので、会場の真道山に到着する頃には、ほぼ飢餓状態。焼そばをガッつき、ビールを煽る。けふのところはそのまま宴会に突入。

夕方、他のキャンプ客も巻き込んでのパーカッション・セッション。さらに宴会。いいかげん酔っ払って、2:00頃にはお開き。和風モーターホームに改造した(畳が敷いてあるんだぞ)にっちの荷台で寝る。

16日(土)-----------------------------------------------------------------------------

二日酔い。ゲロゲロだ。不様である。

昼前あたりから参加者が続々と集まりはじめ、そこかしこで宴会が始まる。ワシは、まぁけふはライヴがあるから、摂生して、ね。少年達のバンドを手伝う約束をしたので、その為のリハやらをこなしつつ、今年初、といふか此所数年行ってなかった海水浴にも行く。少年3人と幼女1人、に女性3人、を引き連れての海水浴、だったので、当然なんとなく責任者、のやうな立場となってしまったが、久々に海で泳げたのは気持ち良かった。

キャンプ場に帰ると、本格的なリハや打ち合わせ。バーベQなど喰ひつつ、20時頃ライヴがスタート。今年のワシはしーシュ、Far east 〜、の他に、少年達のバンド、しーなさんとシバちゃんのユニット、西川夫妻の子供音楽隊、などをサポート。どれも楽しく弾いたが、今回のしーシュは特に白眉の演奏。いっつもこんなかんぢで演れたら良いのにね、と笑う。まぁ、良い時も、悪い時も、こんな事もある。のだ。

全般的に良いライヴの目白押しで、出演者も持ち時間を弁え、24時には全演奏が終了。和やかに打ち上げ。クボっちが作ってくれるお好み焼きなどを喰ひながら、い〜いかんぢに眠くなる。此所数年、明るくなるまで呑み続ける事が多かったが、今回は3時頃にはコックリさんが抑え切れんくなり、それぞれの塒に引き揚げた。

17日(日)----------------------------------------------------------------------------

車の窓を全部閉め、寝袋に入って寝て、ちょうど良いくらいの気温。過ごし易い夜だった。キャンプ最後の半日。今回は食事班として働かなんだ事を思ひ出し、最後に有り合わせの材料でパスタを作る。にんにく、タマネギ、韓国唐辛子、イカの塩辛、生トマト、を使った、命名「ワイルド・アラビアータ」。好評。

初めてこのキャンプに参加した13年前には、最終日に処分するゴミの量(2t車一台分くらいあった)にたまげたものだが、此所数年、マイ箸マイ食器持参、をテーマに掲げ、驚異的にゴミが減ってゐる。たいへん良い事だ。昼過ぎにはきっちり片づけを終え、解散。来年また此所で。

毎年恒例(にしたい)、皆のアイドル鍵盤弾きアサミちゃんを家まで送りつつ、やはり陸路で帰る。家に帰って女房が作ってくれた冷やし中華を喰ひ、夜まで寝る。晩飯は宅配ピザにして、ワインと一緒に喰ひ、また寝る。

皆さん、今年もお疲れ様でした。

18日(月)-----------------------------------------------------------------------------

今回のパーカッション・キャンプでは、ギターレンジャー---所謂シバちゃん一派の若い衆(6〜7人ゐる)が、会場の設営、撤収、料理、掃除、などに大活躍であった。あぁいふ風に多数の若い人間を動かす統率力や牽引力は、ワシに一番欠けてゐる部分で、こはやはり自分の、人間としての魅力、完成度の低さを認識せしむる。いよいよ、自分の人生も考え処に来てゐる、と思ふ。

そんな思ひを反影してか、あの夢----知らない街で交通手段を捜してウロウロする(夢判断で『現状打破の方法を認識しつつ実行できない気の弱さの現れ』とされる)夢を見た。しかし、この夢自体は嫌いではない。

19日(火)-----------------------------------------------------------------------------

幕努奈留度の「ジューシーチキン赤とうがらし」のCMに、なかなか魅力的な女性が出演してゐる。が、ワシのかういふ美的感覚は、時折誰にも理解して貰えぬ事があり、女房に『この女性どーかね?』と訊ねてみた。すると『うん、可愛いんぢゃない?』との答え。高橋京子さん、といふ人らしひ。

けふは年末に行われる、大規模な舞台プロジェクトの出演者顔合わせ。役者、踊り手、音楽家が集って台本やらの確認。ミュージシャンは皆顔見知り、て云ふのもアレな友達ばっかり。ワシらはSoe'sでの参加。なんか思ってゐたのとは違う方向で、しかも思ってゐたよりデカい話に巻き込まれてゐる感あり。ワシは台詞もある。大丈夫かいな。

20日(水)----------------------------------------------------------------------------

しばらく中断してゐた「ゆほびか」のミックスダウン。かうしてまとめて聴くと、マイナーキィの曲ばっかりやな。全7曲中5曲がマイナー。にしてはあまり暗い印象はない、と思ふ。眠くなるのは相変わらずだが。あやこは「『車の運転中は聴くな』とか但し書きを付けた方が良い」とマジに云ふ。う〜む。

なんか気分的に暗くなってしまひがちのは、季節の変わり目のせいだらうか?。気が付けばあからさまに涼しくなって来つつある。秋は大好きな季節なのだが。

音楽学校の新方針などを聞き、いよいよワシの人生の考え所、をさらに感ずる。これまでの人生にも、節目は何度かあったが、40を過ぎてからの節目は、なかなか重いね。しかし、いづれしっかり決断は出さねば。

21日(木)-----------------------------------------------------------------------------

「ゆほびか」ミックス最終段階。作品作る時はいつもさうだが、ホンマにえぇのか?といふ思ひとの戦い。これでまぁ、いちをう完成。プレスを何処に出して、印刷は何処で、とか云ふ話し。時間が余ったので、あやこと昼飯を喰ひに行く。今まで在りさうで無かった2ショットだな。豚の生姜焼き定食が美味かった。

チャリで市内まで走り、パソコンのサプライ用品など買ひ、秋ツアーのバスチケットを予約す。今回は広島〜大阪〜名古屋〜広島を全部バスで移動。バっちゃん、だな。

夜は11月のアロンソ(メキシコで出会ったベース弾き)来日ツアー広島ライヴ、の打ち合わせで、久々にシェルター69へ。ナカハラさん、相変わらずえぇ味を出してゐる。パスタを喰ひ、ビール呑んで、久々にもっと話がしたかったのだが、オッサンの集団がセッションを始めやがったので、帰った。

22日(金)-----------------------------------------------------------------------------

精神的な疲れが肉体に及んできたか、または夏の疲れが今頃出て来たのか、起き抜けから既に疲れてゐる。なんかぐったり。なんぢゃ?この倦怠感は。

けふは、広島駅裏の音楽喫茶「ムシカ」に、箏のトモちゃんが出る、といふので、行く。盲導犬普及運動のチャリティコンサート。ワシが座った席の前には、大きな黒のレトリィバァがお仕事中であった。犬用の雨合羽のやうなものを着てゐて、可愛い。

さて、コンサート。考えてみればワシは、一緒にバンドをやりながら、「木原朋子」のちゃんとした箏の独演を聴くのは、これが初めて。40分の時間枠で、古典と現代曲と洋楽、のラインナップを聴かせてくれた。う〜む。なんか、マサミと云ひパイグと云ひトモちゃんと云ひ、ワシは凄い演奏家達と一緒に演ってゐるのだな、と痛感。ワシなどがリーダーをやってゐて良いのだらうか?てなかんぢ。

やっぱり、それぐらい『箏曲奏者』としての木原朋子、は素晴らしかった。いや〜、惚れ直しましたです。

その後、けふのコンサートの発起人でもあるピアニストが演奏したのだが、箏、といふ超純正律の楽器演奏を聴いた後のピアノの独奏は、かなりしんどかった。改めて、この便利な鍵盤楽器の「不粋さ」を見せつけられてしまった、といふかんぢ。其処に気付く自分を、めんどくさいなぁ、とも。


4週目

23日(土)-----------------------------------------------------------------------------

「ゆほびか」のジャケットにつひての相談のため、文華堂(株)を訪ねる。此所は22歳のワシが、ホンの9ヶ月だけ、人生で唯一のサラリーマン時代を過ごさせてもらった印刷会社。今までの作品のジャケットは、全部此処に発注してゐる。てめぇの身勝手でさっさと辞めたにしては、まぁよい関係が続いてゐる、と云っても良いのだらう。

来週半ばまでに見積もりを出してもらふやうにして、あとはCDの発注。こちらは、当初CDーRの大量コピー、といふ形で話を進めてゐたが、正式にプレスした方が安くつく事が判明。う〜む、世の仕組みはよう分からん。

その後、しーシュのリハ。更にその後、女房がナニカで当選した食事券を使って、ウチら夫婦と佐伯夫婦で飲み会。かつて4人でLサイズピッツァ5枚を喰ったメンバーで、美味しいモツ鍋をつつく。串カツとかタコの刺身とかも美味かった。へ〜、かういふ食事券って、応募してりゃ当たるもんなんだね。

その後、PICOに流れてカシラ、ツンちゃん、クボっちと合流。来週末の安芸高田市への遠征の打ち合はせ、といふ事だったが、ワシの予想通り『まぁイキフンで』といふ事に落ち着く。何事も「決定」できないバンドである。

24日(日)----------------------------------------------------------------------------

さはやかに晴れてゐる。日射しは強いが風が涼しく、明らかに新しい季節の到来を思はしむるな。良い天気だ。

昨日、ツンちゃんから急遽誘われた仕事で、老人ホーム「菜の華」で演奏。作業所の太鼓部隊と一緒に弾くだけかと思ひきや、唄もあった。ちょいと二日酔い気味だが、「こきりこ節」と「花」を唄う。

作業所の従業員で、Mちゃんといふ神楽笛を吹く女の子がゐて、この娘が『え〜即興なんて出来ませんよ!』といふのを、『神楽も即興みたいなもんぢゃろ?』とムチャを云ふて無理矢理参加させる。これがどーして仲々。舞台度胸がある、てのか、肝の座った素晴らしい笛の音を聴かせてくれた。神楽笛+電気ベース+ジェムベ隊。素晴らしい。

入所してゐる御老人達にも喜んでもらへたやうだ。良い仕事してるね、ツンちゃん。

15時くらいには終了。『客には出来るだけ不快な思いをさせるやうに』といふ教育が徹底されてゐる、としか思へない牛丼屋で軽く飯を喰ふ。家に帰って少し昼寝。夕方から、高校時代の友人3人で飲み喰ひする例の恒例のヤツ、に出かける。統合失調症を患ってゐるJの様子が、昨年末に会った時より良くなってゐるやうに思へる。当然嬉しい。でもやはり壱日に壱度はテンカンの発作のやうなものが起こり、倒れたりするんださうだ。

皆、生きてゐる。それだけで充分だ。すっかり涼しい夜風の中を、チャリで切り進む。

25日(月)-----------------------------------------------------------------------------

名著、と聞いてゐて未読だった、広瀬正の『ツィス』が復刊され、集英社文庫から出てゐたので、買う。早死にした、とは聞いてゐたが、47で亡くなってたんだな広瀬正。

「ツィス」は71年の作品。ワシが6歳の時だ。SF小説、といふカテゴリィにはなってゐるが、もとジャズメンだけに、各所で出て来る音や楽器の記述が詳しくてオモロい。難しい事が書いてある割に、文体が軽いせいか読み易い。だが、最近やたらと眠くて、本読んでるとすぐ寝てしまふ。

チャリティ・コンサートに絡んだ事でちょっとした事件。もうクリアにされたやうなので詳しくは書かぬ。だが、無知は罪、なのである。お坊ちゃま育ちなのかどーか知らんが、愚かなのもたいがいにしとかんとね。金が絡むと「若さ故に」では済まされんぜ。てゆーかてめー30歳既婚者だろが?。えぇ歳こいてそんくらい分かれや、てハナシ。バカタレが。お前のヘタなピアノの為に払う金なんか無いわぃ。

26日(火)-----------------------------------------------------------------------------

「ゆほびか」の最終ミックスが上がり、確認の為に色々なハードで聴いてゐる。その都度寝てしまふ。恐るべき催眠アルバムなのかも知れん。てゆーか、かうして聴き返してゐると、収録曲のほとんどのベースラインが2ビート。ありゃりゃ、こりゃ典型的な『ルート+5thベーシスト』だな。

名曲「スターダスト」。以前、これをベース弾き語りで唄った所、『全然ジャズぢゃない』と莫迦にされた事があり、さすがにワシも落ち込んだ。フと思ひたってYou tubeで色々と検索してみた。名曲だけに、恐らく膨大な数のヴァージョンがあるのだらうが、ナッ・キング・コールのヴァージョンなんぞはやはり、『んふ〜ジャズやねぇ』と思はしむる。イヤらしいけどね(笑)。

でも調べてみたら、これってホーギー・カーマイケルの原曲は速いラグタイムだったんださうな。歌詞が出来たのもだいぶ後。ジャズのスローバラードとして唄われるやうになったのは、曲が出来て20年くらい経ってから、らしひ。思い込みはやはり真実を曇らせるのだな。

んで、これ。かのサッチモのスターダスト。最高やね。ワシも、自由に唄う。

*ルート+5thベーシスト:コード展開に影響の出にくい、根音と5度の音を使ったベースライン(と、それを弾くベース奏者)を云ふ。シムプルで堅実なラインゆえに『王道』とされてゐるが、反面、無個性であり、基本知識だけで演奏出来るので、ベースライン造りが下手なベーシストを揶揄してかう呼ぶ事も多い。

27日(水)----------------------------------------------------------------------------

カネにまつわる雑務。郵便局や銀行をチャリで巡って、大量にカネが出て行く。カネにつひて考えた時、ワシの残りの人生は、多分あと伍千万円くらいで充分ぐらいのもんぢゃなかろか?、と思ふ。いや、もっと少なくても良いのかもしれん。安上がりな人生だ。

欲を云えば、これからの老後に、ただ音を出して楽しんだり、やがては独り静かに死を迎える為の、アトリエ兼隠れ家、のやうなものが欲しい。

28日(木)-----------------------------------------------------------------------------

朝、楽器店の講師会議、に久々に出席。帰りの足で文華堂(株)に寄り、ジャケットの最終決定&発注。一旦帰ってラーメンライスを喰って、チャリでレッスンへ。

永らく管理人を務めて来た、ぱかぱか号のまちゃあきの掲示板だが、此所数カ月は本人からも、またファンからも書き込みがない。ので、今月一杯でクローズする事にして、その旨を告知しておいた。したらけふ、まちゃあきから電話。『今までのお礼を云ふておこうと・・・』との事。律儀な青年である。

彼のやうな若い良いミュージシャンに、良い未来があってほしいものだと思ふ。もちろん、ワシらにも。

29日(金)-----------------------------------------------------------------------------

いつから始まったのか憶えてないが、此所ん処日に何度か、顔面神経痛、といふのか、右の目蓋がひくひくと痙攣を起こす。傍目で分かる程のモノではないのだが、ちょいと気になる。

これ、だいぶ昔に経験があるのだが、原因はストレスなのだ。そん時は『多分これがストレスの元だ』といふ事があり、それを解決したら見事に治った。今回はどーなんかな?。ストレス無しっちゃその通りだし、全てがストレスっちゃそれもその通りだし・・・。女房は医者へ行け、と云ふのだが・・・。

秋刀魚を買って帰る。秋の秋刀魚と云へば「焼き」だが、生ゴミをあんまり出したくないので、圧力釜で梅干しと一緒に煮て、骨まで喰ふ。

集中豪雨で被害が出てゐる中部地方。何人かの友人にメールを送り、無事を確認。

30日(土)-----------------------------------------------------------------------------

Far east lounge では久々の遠征、てゆーか、ライヴ自体が久しぶり。の、安芸高田市吉田町へ。

吉田町への行程につひて諸々あったが(ちなみにワシ個人には一切連絡なし(苦笑)、ワシの車で行く事にす。見覚えのある角々を頼りに約2時間。なんか白くてデカいハコものに、煙突のやうなものが斜めに突き刺さってゐる建物があって、それが本日の会場、吉田町文化創造センター「ヤング・イン」。

煙突のやうに見えたものは巨大なオブジェで、見たまんま内部にかけて『突き刺さって』ゐる。聞けば先っぽは東京の方に向いてゐるらしく、これが建てられた20年前、『吉田町から東京へ向けて文化を発信して行こう』といふ謳いだったのださうだ。20年前っちゃバブル時代。ははぁ、なるほど・・・。内部はフラットな小劇場のやうなかんぢで、天井がかなり高く、そこに巨大な円柱が斜めに垂れ下がってゐる様は、仲々シュールでオモロい。

けふワシらのライヴを企画してくれたのは、ここを拠点にバンド活動などをしてゐる有志一同。老朽化して来たこの建物を持て余しはじめた行政から、此所を存続させやうと働きかけてゐる、『実際に活用してゐる人達』だ。かうして月イチで他方面からゲストを招き、ライヴを企画してゐるらしひ。素晴らしい活動だ。

なんでも、近くの花火大会の日程とダブってしまひ、『チケットがあんまり売れてないんよ〜』と仰る。そげなコト我ら気にゃしやせんぜ、と開演してみると、どーしてどーして、仲々のヒト入り。

ライヴはワシのソロから始まり、しーなさん、ツンちゃん、カシラ、と順々にメンバーが加わって行く、と云ふ形で演る。これが功を奏したのか、Far east 史上最高のライヴとなった。お客さんもたいへん盛り上がって良いかんぢ。カシラも絶好調。それぞれの個性が自然に流れを掴んで、奇跡的に融合する瞬間が素晴らしい。手応えを掴んだ時のカシラの決まり文句『ワシらは宇宙1ぢゃ』が出た(笑)。

ア、そーいやワシは出ずっぱりだったんだな。全部で2時間以上に渡る長丁場だったが、全然疲れん。良いライヴてのぁそんなモンだらうな。

夏のシメとしては、これ以上ない程、最高のライヴだった。

31日(日)----------------------------------------------------------------------------

昨日のライヴの打ち上げで、Far east loungeを、どうカテゴライズして良いか分からぬ、といふ話が出た。

ワシら演り手はただ行って演るだけだが、そこでお客さんを呼ぼうとしてゐる人にしてみれば、このジャンル分けといふ概念は無視できぬ。例えば予備知識のないお客さんに、「けふはジャズのバンドが来る」とか「ロックバンドだよ」とかで誘えない、と云ふのは、呼び手としては辛いらしひ。ナルホド。

協議の結果、『ワールド・ミュージックでえぇんと違うか?』となる(笑)。

そもそもこの言葉は、80年代初頭、既存の西洋音楽西洋ポップスの範疇に納め切れぬもの(この当時だと、アフリカ系、アラブ系、カリビアン系がさうだった)をひっくるめて表現したのが始まりと聞く。その概念で行けば、まさにワシらは「ワールド・ミュージック」そのもの、ぢゃないか?(笑)。


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