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24日(月)---------------------------------------広島Lala music
ツアー週間に入ったが、けふは広島。とりあへず朝のうち専門学校の授業をひとコマだけやる。帰りの足で直接、本日の会場府中町はLala musicに入る。9/29に演って以来。会場につくと既に椎名さん、スタッフの皆さん、内弟子イノマルたちが働いてゐる。けふは昼間のコンサートなのだ。
先日入手したばかりの新アンプ『Brife cace』を本番で初めて使うライヴとなる。ホホー仲々・・・と思ってると、すぐに本番の時間。ほとんどサウンドチェックしか出来なんだ。が・・・!!、ぢつはワシ、かういふあんまり時間的な余裕のないライヴの方が上手く行くことが多いのだ。テンションが下がらぬからだらうね。ニ度目の会場でもあるし、けふはイケるぞ、と根拠なく思ふ。
前回同様、まづ椎名さんがソロで数曲、しばし休憩の後、「し〜なとシュウ」で6曲。星に願いを/エリナーリグビー/ノルウェイの森/風の通り道/島唄/枯葉。どうしても客層に妥協しやうとする椎名さんと、どうしても客層を裏切りたいワシの境界線で演ったやうなプログラムだったが、これが仲々に功を奏し、これまでのデュオでは一番良い出来。ワシとしてはこのやうな『ねじれたポップセンス』のやうな路線を追求して行きたいのだがねェ、椎名さん。
昼に演ると、終わって片付けて、とやってるうちに夕方となり、いわゆる普通の勤め人の人達と同じ時間帯で帰途につく事になるのも良い。普通の勤め人の人達と同じ時間帯で打ち上げをして、普通の勤め人の人達と同じ時間帯で帰った。
けふはツアーでなく、地元で演った訳だが、まぁ、初日を『広島で』演った、といふことにする。
25日(火)--------------------------------------東京:下北沢リハ
けふからが江戸出張。体調が思はしくないが、仕方がない。2:00広島発の新幹線に乗り、夕刻6:00に東京着。その足で下北沢のスタヂオに入る。メシを食うヒマもなかった。考えてみれば定宿の吉祥寺に行かぬのだったら、品川で降りた方が早かったのだった!。
半年ぶりに会うゲンタさん、キキオンのメンバー。今回特別ゲストとしてベリーダンスで参加のイシスさん(日本人、美形)を交えて7:00〜12:00までに渡るリハ。正直云ふてしんどい。しかしまぁ皆さん、普通の仕事を終えられて此所へ来てゐる訳だから、条件はみんな同じだ。
では明日、と解散して、定宿吉祥寺へ向かふ。今回本当の宿主たる涼子女史は、ワシと入れ替わりに広島に帰省しており、居候の川島が居るのみ。居候の居候として1週間世話になる。
26日(水)--------------------------------------四ッ谷Out break
江戸ライヴ初日。四ッ谷のアウトブレイク、といふ今年オープンしたばかりのハコである。けふのライヴは、キキオンが参加してゐる「ポセイドンレーベル」といふプログレ系インディレーベルのフェスティバル。キキオンはベつにプログレ系ではないと思ふのだが、何故か此所に所属してゐる。此所の社長が、ワシとゲンタさんが入ったキキオン+リズマ・クノムバスの音を気に入って、「この編成で音源を出したい」と云ふ事から、今年春ツアーでの公開録音ライヴが実現し、あれよあれよと、けふはそのDVD(!)発表記念ライヴなのである。
が・・・・・・!!
なんとけふになって『まだDVDが出来てない』事を知らされる。
なんでも、昨夜ギリギリになって、やっとプレス元の工場(台湾)から送られてきた『キキオン+リズマ・クノムバス』といふDVDには、見たこともないヘヴィメタルバンドの映像が入ってゐた、といふハナシ。
ぢつはキキオン、けふのライヴを最後に、少なくとも1年間の休業に入ってしまふのだ。つまり、けふ発売できぬ、といふことは、しばらくの間、通販以外で売る方法がなくなる、と云ふ事なのである。ショーック!!。
しかし意外にも、メンバーの皆は冷静に、『まぁしょうがないよ』とか云ふてゐる。さすがだ。
まぁホンマに、なんやかんや云ふてもしょうがないので、気を取り直してライヴをするしかない。10本以上の民族楽器をとっ替えひっ替えしながら怪しい変拍子を聴かせるジプシー・ポッド、2ギターにPf、Drで恐ろしいほどのポリリズムを軽々と奏でるFLAT122。に引き続きキキオン+リズマ・クノムバス登場。やっぱり、機材の入れ替えの関係で押しまくり、会場にお客さん残ってへんのと違うか?と思ったが、さにあらず、結構いっぱいのお客さんが最後まで演奏を楽しんでくれた。
キキオンの音楽のクゥオリティの高さは今さら云ふまでもないのだが、今回はやはり、数曲に参加してくれたベリーダンサーのIsisさんによる、視覚的効果も大きかった。単にセクシーさで男性ファンの目を釘付けにした、といふのでもなく(さういふ人もゐるだらうが)、ワシがコンテンポラリーダンスと一緒に演ってゐた時のやうに、やはりレベルの高いダンスは、演奏者にも力を与えるのである。メンバー全員、凄い高揚感が伝わってくる。ワシが参加したキキオンでは、恐らくベストの出来、と言って良い演奏だった。それが証拠に、どうもすぐれなかったワシの体調----なんとなく重くてダルかったワシの身体が、ライヴが終わった後、すっかり軽く癒されてゐたのである。
ライヴの出来が良かっただけに、返す返すもDVDの発売が出来なかった事と、しばらく活動休止に入る事が悔やまれる。が、『次も絶対、頼みますねシュウさん』と云ふてもらえて嬉しい。さう、キキオン復活の暁には、ワシはその時たとえ世界の果てに居ろうが、飛んで帰って来る所存だ。
27日(木)----------------------------------------リハ
けふはリハ以外は何もない。吉祥寺の町をアテもなく歩いて、目についたレコード屋、楽器屋、喫茶店、などに入って女子高生を眺めたりしてゐる。広島では廃れた感あれど、こちらはまだバリバリにミニスカである。
夕方、ゲンタさんと合流して、定食屋『稲(いね)』でチキンカツを喰ひ、チェロの星さん宅で、小林智詠さんを交えたスパニッシュセッションのリハ。前回も手応えのあったセッションだけに、気合いも入る。
28日(金)----------------------------------------リハ&国立地球屋
けふは、できればやりたくない、『リハ&本番』。昼からスタヂオに入り、オランさん(日本人、不思議系)といふアコーディオン弾き語りストとリズマ・クノムバスのトリオでリハ。音楽から想像してゐたのと全く違った、ちょいとエキセントリックな可愛らしい女性で、これがまた気さくで話し易く、始めの音を一発出した瞬間に「これはイケる」と云ふのを感じた。けふはこの後、本番なので力を抜いて唄おうと思ってゐたのだが、つい本気で唄ってしまった。
オランさんと別れ、ワシとゲンタさんは国立へ。前回はさんましらで出演した地球屋といふハコに、今回はリズマ・クノムバスとして、つまりデュオで出演す。対バンは、やはりポセイドンフェスティバルに参加すべく、大阪からやってきた「荘園」といふトリオ。超絶技巧プログレッシヴ・ハードロック、といふかんぢで、とてもかっこいい。これまた気さくで穏やかな人達で、共通の知人があったりして、すぐに打ち解ける事が出来た。
本番は、まづウチらから。といふより、まづワシがソロで2曲。この二人だけのリハ、といふのを1回もやらなんだのだが、即興イケイケどんどんで、といふことで演る。
ソロでキャメル秋ヴァージョン/月の路。ゲンタさんが入ってバホ・アラビアータ/Earth market/タ・ルガシュの空の下で/CT25'13/Tes de tazz;。
まぁ良いのが出来たのではないか?。後発の荘園の熱い演奏の力もあり、盛り上がった良いライヴとなった。双方アウェイの出演者なので、動員が非常に心配だったが、ワシらのファン、荘園のファン、ともに多く足を運んでくれ、そこそこの動員も確保出来た。『関西か、広島か、でまた一緒に演りましょう!』と握手して別れる。
その後、ワシは広島出身組の石橋、小野寺と合流して、居酒屋で2:30まで飲んだ。宿に帰って、今度は川島と朝まで語り合った。
29日(土)------------------------------------------西荻窪奇聞屋
ライヴ千秋楽。今回まだ一度も、御贔屓のインド料理店「サムラ〜ト」に行ってないので、早めに起きて行く。マトンと野菜のカレーにナン。
けふの会場は西荻窪なので、電車で行ける。時間までスターバックスで読書。西荻でぶらぶらしながら、不動産屋をちょっと覗いてみる。6畳1K水洗便所(!)¥55,000。6畳ひと間共同便所¥46,000。ウ〜〜〜〜ム、涼子のとこも6畳1kで¥80,000近くするやうだし、ウ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ム・・・・。
さて西荻窪奇聞屋。今回が3度目のハコ。小さな店だが、ステージにグランドピアノが置いてある。が、ピアノを使わぬワシらには、このピアノはステージを狭くする原因のひとつ。毎回キチキチになりながら演奏するのよ。エノコミー症候群になりさうだ。
けふは前半がオラン&リズマ・クノムバス。後半が小林智詠+星衛&リズマ〜。冒頭にリズマ〜のデュオで1曲「月の路」を演ったのだが、これがなんか上手く噛み合わなんで、結局この日は終始、ゲンタさんとの呼吸が合わなかった(と、ワシは思ふ)。
月の路(デュオ)/たったひとつの月/まっくろ美術館/星の波間に/美唄/光の粒/アタマに赤い傷/彼岸へ(以上前半)。らのえてぃあ/不思議な風/4ツの椅子/タ・ルガシュの空の下で/12月31日通り/青のスペイン/リベル・タンゴ。全15曲。ワシは最後までどーも集中出来ぬままのライヴだった。納得出来なかったので、アンコールに用意したデュオ版「此岸の朱」を、ワシの独断で演らなかったりした。ゲンタさん、ごめん。
それでも、最初に「ビビっと」きたオランさんとのセッションはほぼ完璧で、やはりあの感覚は間違いではなかった、と思ふ。是非是非、次に繋げたい。
今回も良い共演者、良いファンに囲まれ、過酷な連日ライヴも乗り切る事が出来た。お客さんはもう固定客として足を運んで下さる方が増え、感謝感激である。特に、今回ワシの3ツのステージを、3ツとも全部見に来てくれた方が二人も居られた。ほんとうにありがとう。心からの感謝を!。
30日(日)----------------------------------------東京見物:上野
ライヴは終わり、けふのうちに帰るかどーしようか迷ってゐたが、折角なのでもう一日東京でゆっくりしやう、と思ふ。
と云ふ事で、しばらく前にこちらに出て来た、コンテンポラリーダンスの関本麻須美ちゃんと会う。上野の上らへんに住んでゐる、といふ事なので、上野を案内してもらふ。アメ横でサーモンネギトロ丼を喰ひ、上野公園でパァフォーマンスを見て、不忍池でアヒルとたはむれ、下町風俗資料館に入る。歩き疲れたので、かなり早い時間から居酒屋に入って飲みはじめ、なんやかんや喋りながら10:00まで飲み食いする。
麻須美ちゃん、まだこっちに出て来て1ヶ月も経ってないので、全然スレてなくて良い。これがやっぱり何年か経つと、都会人特有のふてぶてしい感じになってくるんだらうか・・・・。
11:00くらいの電車で吉祥寺に帰る。年に数回来るだけだが、電車を乗り継いだり、人ごみを避けたり、路地を抜けたりするのが、上手になってきた。異国に来る訳ではないのだから、何処に行っても人がいる事と、楽器を持ってる人をやたら見かける事と、夜中まで起きてゐる人が異常に多い事、を除けば、広島に居るのと、ほとんど何も変わらぬ、と思ふやうになった。
31日(月)------------------------------------------帰広
朝9:30。川島と涼子に置き手紙をして、そっと家を出た。新幹線では身長が90センチぐらい(?)の可愛らしいおばぁちゃんがお隣で、その横で恒例の「柿の葉寿司」を喰ふた。
補足--------------------------------------------------------
年に何度かの東京遠征(東京だけではないが)-------------その町にしばらく滞在して、その町の人と音楽を演る、といふ「でらしね」活動を始めて4年になる。色々な人と出会い、ある人とはそれきりになり、ある人とはその後も付き合いを続けてゐる。一度一緒に演奏した人が、次からお客さんとして、来てくれる事もある。
そんな出会い、旅は、確実にワシを、強く、深く、変えてゐる。
そして本文にも書いたやうに、ワシはそろそろそれに『慣れ』はじめてゐる、らしい。
しかも、良い方にではなく、悪い方に、惰性のほうに・・・・。
もう一度、新しい出発が必要なときだ。
どきどきする、あの感覚をもう一度思い出す為に、ワシはまた、次の事を始めてみやう、と思ってゐる。
気負わない程度にね・・・・・。
ゲンタさん、小熊さん、十時さん、佐々木さん、イシスさん、今枝さん、智詠さん、星さん、オランさん、荘園の皆さん、Flat122の皆さん、椎名さん、端山さん、高岡さん、山口さん、石橋、小野寺、イノマル、川島、涼子、麻須美ちゃん、Lala music、アウトブレイク、地球屋、奇聞屋、ワシらを見、聴いてくれたお客さん、この旅で関わった全ての人、全ての事柄に、心いっぱいの感謝と、愛を。
帰りを待ってくれた妻とうさぎ、広島の仲間達に。
共に旅した愛器ヴァネッサに。
誰かの名前を忘れてゐたら許してほしい。
どうもありがとう。
註:今回の旅は、一枚の写真も一音の録音もしませんでした。誰かは撮り、録ってくれてゐるとは思いますが、自分からは敢えてそれをしておりません。明確な理由はありませんが、それはやっぱり「怠慢」なのかもしれない。記録よりも記憶を残したかったのかもしれない。結果として、写真と録音のない、つまり自分では「証明のない」ツアーとなりました。だれかが『コイツホンマにツアーとか行ったのかね?』と疑っても、反論の材料はありませんなぁ(笑)。