November


1週目


11月1日(月)---------------------------------------------

さぁ、ベースを弾こう。

早速、野外練習を再開する。ぢつはこの10月から、これまで使ってゐたニッケルラウンド105〜40の弦を、ステンレスのフラットワウンドに変えたのである。昨今、何故かは分からぬが、ラウンドのビビりが耳障りな気がしたので。

実用のベースはすべてフラット弦に張り替えた。しばらくこれで演ってみやうと思う。しかし、馴れぬ弦はやはり弾くのに易しくない。ので、手に馴らさねばならぬ。年末までにこの弦の感触で、同じ技術レベルにまで持って行かねば。

いつもの場所は地面が濡れてゐたので、橋の下の日陰に座る。すると、いつもそこをテリトリーにしてゐるカラスの親子(こいつらがナント、代々に渡って羽根の一部分が白い、といふ極めて珍しい一族なのだ。おまけに恐ろしく性格が悪い)が、『そこはワシの場所だ』と云わんばかりに、後ろからガーガー鳴き立てくさる。無視して居座ってやったが、しまいにはヤツの方が声が嗄れはじめ、気の毒になって来たのでやめた。

昼前になって、けふの専門学校は創立記念日かなんかで休みだった事を思い出し、小躍りして喜ぶ。ここ数日、鼻水くしゃみが物凄いので、耳鼻科に行き、アレルギーの薬をもらう。

2日(火)---------------------------------------------------

専門学校。カズイと会ったので、次のレコーディング日程や、これまでにかかった大まかな費用、などを訊く。食堂に「パンの耳を集めてフレンチトーストのタレで焼き固めた」モノが売られてゐたので、話しのネタに買ってみる。意外とウマかった。

私塾のレッスンにはアクースティックを持って行く。ハウる。ヌー、メインで使うには問題だらけの楽器だな。アンプも何も通さずに弾いた音が一番良い音ってのあ、エレクトリックの敗北ぢゃないか?。マトモにメンテしてくれる楽器屋、ないかなぁ。やっぱりこのテの楽器って使えぬのかねぇ。

夜は再来週に迫った、企画「艶」のリハをコンテンポラリーダンスの関本麻須美ちゃんと演る。今年はじめに「わ」といふ企画で共演済みなので、楽にやれる。曲のイメ−ヂを伝え、半ば即興的に踊ってもらう。前も思ったが、やはりこのレベルのダンスとなると、音楽以上に音楽的インスピレイションを得る事ができる。彼女は彼女で、ワシの音楽は映像的で踊りのイメ−ヂが掴み易い、といふ。となるとやはりもう少し、ダンスに許容的な会場で演りたいな、と思ってしまふね(JIVEが良くない、と云ってる訳ではありませんぜ!)。

と、ゆーわけで、麻須美ちゃんとのデュオは、ひとまづ形が見えて来た。問題はもうひとつの企画、ベースの中野チカラさんとのデュオだ。こちらは一応書き下ろしの曲を演るのだが、今のところ全然形が見えぬ。リハは来週なのだが、どーなることやら。

3日(水)---------------------------------------------

祝日。なんか朝から花火がばんばん云ってゐるのでナニかと思ったら、けふは「ひろしま国際平和マラソン」だった。ワシは92年から毎年出場してゐたが、あの怪我以来、出場は叶わなくなった。もう一度参加できる日は来るのだらうか。

この日はまた、いわゆる『晴れの特異日』といふやつらしく、けふも良く晴れてゐる。スパイスが切れてゐたので、近所(でもないか)の専門食材店に行く。見て廻るだけでも充分楽しめる変わった食材(シーチキン3キロ、とかかつをぶし一斗缶、とか)の中から、コリアンダー、カエンペッパー、クミン、バヂル、パセリ、ナツメグ、ウェイユー(中華スープの元)、ココナツミルク、アンチョビのペースト、ナチュラルチーズ、ペリエ、ルートビール、などを購入。はははー、これでココナツカレーが作れるぞ。

帰って少し仕事。中野チカラさんとのコラボ曲を独りでMTRに録音してみる。

夜はピザを焼く。女房が2日前から「鶏肉のハム」を作ってゐたのも喰う。美味い!。久しぶりの『趣味の日』であった。

4日(木)----------------------------------------------

楽器店講師会議。先日の発表会の収支報告。就職したばかりで右も左も分からぬまま、初めての大仕事を無事終えた、小倉優子に少し似た感じのある、新人の女性担当者(パーカッションが仲々上手い)を、講師みんなでねぎらう。

その帰り、かをり&MIやん(この二人とはここの職場仲間でもある)と、昼メシ。ウチの近所のケーキ屋がランチをやってゐる店。オサレでアンヌイなマッダ〜ムが一杯の店で、仲々美味いランチセットをいただく。かをりは勿論デザート付き。ぼちぼちMIやんを除いた3人で練習を再開するか、といふハナシとなる。今のメンバーになって約1年が経った。恒例の「慰安食事会」をしやう、といふ。

レッスンにアクースティックベースを持って行って、空き時間にあれこれいぢってみる。結局、アコギ用のサウンドホールに後付けするタイプのマグネティックピックアップが、一番しっくり来る、といふ、ナントもお粗末なハナシ。しかしまぁ、「これは使えぬ!」といふ判断を下しかけた所だったので、少しでも光明が見えてほっとしてゐる。

5日(金)--------------------------------------------------

専門学校。春から夏にかけてしばらく早寝早起きが続いてゐたが、最近徐々に起床時間が遅い方にシフトしつつある。いつか寝坊で遅刻してしまうのではないか?といふ危惧がある。けふも眠かったが頑張って起きて行った。朝のバイクが寒い季節になって来たな。

授業を終え、1週間ぶりのジムへ。結構ハードに筋トレ。サウナ&冷水シャワー。その後、私塾で独りだけレッスン。いつもはすぐ帰るのだが、けふは残ってソロの練習。アクースティックが、やはり難あり。ヌ〜〜〜〜!!!やはり潔く「ワシは4弦フレットレス1本!」で行くべきか。納得行く楽器を1本仕入れるべきか。最近そんなことで悩んでばっかりだ。

映画「キャスト・アウェイ」を見た。単なる「無人島サバイバルもの」と思ってゐたが、さにあらず。結構重い内容。彼はあのあと幸せになれたのだらうか?。しかし、向こうの映画でよく見かけるが、恋人が死んで(死んだと思って)さっさと別の男と一緒になっちまうって、分からぬな。女性てのは、時に『エ?』といふやうな変わり身の速さを見せるからな。そんなもんなのかね?。意を決して筏で無人島脱出を試みる主人公を、見守るやうにクジラがづっと着いてくるところが泣かせる。

同じく映画「ファザーファッカー」を見る。これはオモロない。内田春菊の書く絵は好きだが、小説、マンガ問わず、物語で最後まで読めたものがない。映画の作りもひどい。後に仲々の演技派女優となる主演の中村麻美も、この頃はひどい大根で、ヘタなんてもんぢゃない。台詞など中学生の劇のやうだ。¥350損した。蒼井そらの「妖女伝説セイレーン」でも借りりゃよかったわい。


2週目


11月6日(土)---------------------------------------------

朝、散歩ついでに河原で30分ほどディジュリドゥの練習。循環呼吸はまだ出来ぬが、これ吹いてると腹の底から空気を送りだす訳だ。これで循環呼吸で20〜30分も吹き続けりゃ、なるほど病気を治す、ってのも分かる気がする。ついでにホーミーの練習もする。

アクターズスクールのレッスンの後、ディジュリドゥのライヴを見に行く。日本人だが本場オーストラリアで修行を積んで来た人らしい。会場が禁煙となってゐて、ワシは助かった。思ったよりづっと若い男が出て来て驚く。インドのラーガにも通じて、ゆっくりと「気」を練り上げて行くやうに演奏が高まって行く。このトランス感は、確かに世界中のヒッピーが愛してやまぬ楽器、といふのもうなづける。30分ぐらいの演奏を、休憩挟んで2回。まぁ音楽的に感動する、といふタイプのライヴではないが、仲々面白かった。・・・・・が!

最後に演者が、ナニカに思い当たったかのやうに「熱く語り」始めたのである。「それぞれに自分の道を」とか「ひとりひとり『上がって』いけるやうに」とか。これはいただけない。しかもそのトークの人称が「オレら」だったのである。これはたまらぬ。最近つくづくイヤなのだが、この「おれたち」とか「みんな」といふ、得体の知れない個称。

そんなに「連帯」したいのか?キミらは。そんなに薄っぺらに、同じ言葉や思想を用いてまで繋がり合わねばならぬほど、キミらは孤独だと云ふのか?。

子供は感動するのかも知れぬが、おぢさんはこれですっかりシラけてしまった。つくづく思ったが、音楽家は要らぬことを喋らぬことだ。

7日(日)--------------------------------------------

休み。来年1月に予定してゐたツアーが、だうも決まらぬ。確定してゐる地下室の会のライヴもキャンセルさせてもらおう、と副会長依知川伸一さんにメールを送る。送った後になって、自分の考えの甘さに思い当たり、また訂正のメール&電話。伸一さん、連絡がつかない(後の連絡で、今ボストンにゐるらしい事が発覚)。なにをやってゐるのだ、ワシは。

8日(月)---------------------------------------------

なにか気分がふさぎ込む。人前ではそんな顔してられぬので、気合いを入れて、怪我以来ほぼ2年ぶりにヂョギングしてみた。まだバランスが取れない。片足で跳ねてゐるやうな走り方になってしまう。それに2年も走ってないので、さすがにすぐ息が上がる。なんとか1キロぐらい走って汗をかく。少しはシャキッとしたか。

専門学校の授業をやった後、今週の「艶」のもうひとつの企画、ベーシスト中野チカラさんとのデュオのリハにゆく。この企画の為に、わりとスムースに2曲を書き下ろした。チカラさんからはジャズのスタンダードを演る提案があったが、結局チカラさんも曲を出し、双方2曲づつ演ることにした。譜面を見ながらセッションしながら曲の大枠を決めて行く。

この編成でスタンダードを演ると、いかにも「変わった事演ってまっせ〜」みたいなかんぢで、実はさうでもない事が多いので、オリヂナルを演ることにしてよかった。

9日(火)----------------------------------------------

どうしたのか完全にLow。仕事は普通にこなしたが、帰りは車を運転できた事が奇跡のやうに思える。

10日(水)----------------------------------------------

睡眠薬を服んで寝たおかげで、少しは楽。プールに行き、40分かけて800メートルぐらいゆっくり泳ぐ。少しだけUpする。

レッスンには新入会二人。ウチの姪っこもさうなのだが、中学生くらいの子てのは、みんなこんなに面白くなささうなのかね?。こっちのLowに更に拍車をかけてくれよる。

夜、ダンスの麻須美ちゃんと、金曜日のライヴの最終リハ。とても面白く、精神的に随分救われる気がする。このユニット、継続して行くものとして、ちゃんと名前をつけるべきだらうな。麻須美ちゃん、なんか床をごろごろ転げ回ってゐたが、このスタヂオってものすげぇ汚いんだぞ。

11日(木)-----------------------------------------------

アテローマの治療に行く。名前はなにかロマンティック(日本語では粉瘤(ふんりゅう)と云ふ)だが、要するに『おでき』のタチが悪いやつだ。良性腫瘍の一種には違いないが、化膿するとものすごく痛い。今回はこれが背中に出来やがり、2〜3日仰向けに寝るのがしんどい。ので。

麻酔して切って絞って引きずり出して、といふその手術もとても痛い。これを書いてる今も、麻酔が切れてきて、かなり痛む。てゆーかすげぇ激痛。あまりに痛いので、レッスンのはじめの2コマをキャンセルしてもらひ、鎮痛剤を服んで横になってゐる。

なんとか夕方からレッスンには行く。鎮痛剤の効き目が切れると、ズキズキと痛みやがる。けふはライヴなのだが、大丈夫かいな。

夜、伝説のシンガーソングライター南正人さんのライヴを手伝う。どんな曲を演る人なのかも、全く知らない。譜面も、コード譜もなし。イントロを聴いてキーを聞き分け、ベースを合わせる。結構ややこしい曲もあったが、そこは百戦錬磨の梶山シュウ、1コーラスが終わるまでには曲を把握しまっせ。2ステージやって、まぁ少なくともお客さんには喜んでもらへた。

でもさすがにけふはここまで。打ち上げにも行く気はせず、タクシーで帰る。背中全体がとても痛い。手術したばかりで、けふは風呂には入るな、と云われてゐたが、ライヴで汗はかいてるわ、体中が煙草臭いわで、このまま寝る訳には行かぬ。で、女房に術痕にサランラップを貼ってもらひ、シャワーを浴びる。明日のライヴまでには痛みが引いてくれぬとヤバいのだが。

12日(金)---------------------------------------------------

けふは、企画「艶」の日。

昨夜も痛みが取れず、寝苦しかったが、それでもフと気付くと朝になってゐて、背中全体の痛みは、患部術痕の痒みへと変わりつつあり、我ながら傷の回復の速さには笑いが出る。ワシは一時期、『指がもげても生えてくるのでは?』と囁かれたほど、生傷の治癒が異常に速いのである。

専門学校の授業を終え、医者に寄る。「昨日滅茶苦茶に痛かったのですが」と云ふと、「ア、さうですか?」とセンセイ。術痕の処理、と云ふ事で再び上半身裸でベッドに俯せる。傷周りのガーゼなどを剥がしてゐる感触の後、半身の骨を引きずり出されるやうな激痛ッ!。思わず『ぐわぁぁぁ!!』と声を上げてしまった。腫瘍の内部を完全に綺麗にする為に、なにやら埋め込まれてゐたモノを引っ張り出したらしい。凄まじい痛みだった。しばらく血が流れてゐたが、じきに止まった。すると痛みも痒みも完全に消えてゐた。ハー、良かった。

夕刻前に本日の会場JIVEに入る。ほぼ時を同じくしてチカラさん、麻須美ちゃんもやって来る。さういえば、けふの進行を考えてくる、といふ事だったのだが、昨日のアレですっかり忘れてゐた。セッティングしながら考える。ステージを店の中央に組み、お客さんは演者のぐるりを取り囲む形を提案。スタッフも「面白さうですね」とノってくれ、実現。チカラさん、ワシ、麻須美ちゃんが向き合う形で演る(まぁ麻須美ちゃんはあっちこっち動くが)。

いちをう主催者なのではじめにソロ「キャメル」を1曲。それから「CT25'13」で麻須美ちゃんが参加。カリンバに持ち替えて新曲(タイトル未定)。ギターに持ち替えて「れくいえむ」と「国境を越えて」。これで前半終了、1時間ちょっと。ここまでですごいウケてる。

15分くらい休憩の後にセカンドセット。がらりと趣を変え、チカラさんとのベースデュオ。お互いの曲を2曲づつ。「タイトル未定のジャズっぽい曲」「C to S」/以上チカラ作。「Qaz ma tas」「下弦」/以上ワシ作。全曲書き下ろしだったが、かなりいい演奏だった、と思う。最後の曲には麻須美ちゃんにも即興で参加してもらい、3人で。ロングディレイの残響がいつまでも響く中で終演する、といふ、クリムゾンのスタイルをパクる。

アンコールが来た。いちをう主催者なので、独りで演る。ここで楽器持つのもどーかな?と思い、ヴォイスだけで即興を1曲。お客さんの中に外人さんがゐる事に気付かず、ものすげぇ適当な英語を唄ってしまい、撃沈。それを除けばこれも良い出来。

麻須美ちゃんとのデュオで具象を、チカラさんとのデュオで抽象を目指し、それぞれがそれぞれに刺激しあって、全てがいい感じに流れる形で大団円。手探りで立ち上げた企画にしては大成功だった、と言えるだらう。今年最初にやった企画「わ」に引き続き、演者、観客双方共に良い印象を残して終える事が出来て、ほっとしてゐる。多数の御来場、ありがとうございました。

3人でしばらく喋った後、解散。麻須美ちゃんをメシに誘ったが「明日が早いので」と断られる。ワシは明日もソロライヴ。会場となるKOBAへアンプと機材を預けに行って、午前2:00頃帰宅。けふは酒を一滴も呑んでない。だから腹は減ってゐるが、辛くはない。


3週目


11月13日(土)---------------------------------------------

朝、種術痕の処理。まだ入浴の許可は下りてないのだが、ぢつはづっと風呂に入ってるワシ。さて、けふは忙しいよ。

まづ、昼から今月23日の祝日に行われる事になった、Bobby'sbandのリハ。まぁあんまり力入れる事もない企画。ゲストのヴォーカルの女の子が、すげぇ低い声である。ワシより低いんぢゃないの?。まぁいわゆるよくある女性ジャズボーカルの典型、みたいなかんぢ。日本のジャズヴォーカルって、ぜーんぜん進歩してないね。

アクターズスクールのレッスン(ダラけてたのでブチ怒ってやった)を終え、KOBAへ。けふはあの、ベースを抱えた渡り鳥今沢カゲロウ氏とのカップリングライヴ。ホンマに世界中をベースのソロパフォーマンスだけで廻ってゐる男である。噂はかねがね聞いてゐたが、会うのは初めて。向こうも色々ワシの噂を聞いてゐたやうで(彼も地下室の会のメンバー)、ライヴが始まるまで色々ハナシをする。

けふはKOBAのロフトとフロアを分けて、上でカゲロウ氏、下でワシが演る。同じく下のフロアでは友人のスティック奏者のラムジィも出演。まぁまぁお客さんも集まりはじめた午後9:30、ライヴがスタート。トップはワシだ。カゲロウ氏が『ヴォイスのソロが聴きたいですね』と云うので、1曲目はそれでスタート。ベースを繋いでゐるえへくたーをそのままマイクに繋ぎ、独りコーラス即興から「メッセラ」へ。その後キャメル/カリンバ曲/此岸の朱/CT25`13/丘にのぼる時・・・こんなもんだったかな?。約1時間強の演奏。昨日も演ってるのでプレイはよくこなれてゐる。

その後ラムジィ、もう一人のゲストトム・マギーヒューマン・ビートボックス)と続き、ラストがカゲロウ氏。CDは何枚かもってゐるし、色々なハナシは聴いてゐたが、実際間近で見てみるとすげぇのなんの!。歓談中に本人が『独演てのは出来る事を全部やる気で丁度いいですよね』と語ってゐたが、さしずめ、彼のそのポテンシャルはビートを刻む事に最大限の労力が注ぎ込まれてゐるやうだ。ベースも確かに滅茶苦茶に上手いヤっちゃな、と思ったが、それよりもシーケンサ−並みのメカニカルなビートの正確さに驚かされた。賛否は別れる所かも知れぬが、ワシは純粋にすげぇオモロイ、と思った。彼の肩書きに書かれてゐる「ベースフューチャリスト(未来派ベーシスト?)」と云ふのは、なるほど云い得て妙だと思ふ。

このビートの緻密さは、現代音楽のレベルに達してゐる、と思う。現代音楽での、ピッチと云ふモノに対する探求と同じレベルで、リズムへの探求をしたもの、と受け止めたい。いや、天晴れである。また会いませう。

帰り、ラムジィを送って行く。これで連チャンライヴ3夜目が終了。さすがに疲れてきた。

14日(日)----------------------------------------------

けふは沼田町ふるさと祭りに参加。しかし、どう云ふ形で、ナニに参加し、ナニを演るのか、全く知らされてない。それどころか企画者のツンちゃんは、ワシにオファーを取った事を忘れてゐたらしい。やれやれ。

と云ふ訳で、会場入りしてみると、ワシの他にあと2人もベーシストがゐる。『まぁお前ならどーなっても出来るぢゃろ?はっはっは』と豪快に笑うツンちゃん。まぁ出来ますけどね・・・・・(笑)。

障害者の人達で構成されたパーカッショングループに参加。サックスのユアサコ−ジ君と二人でリズムにメロディを付ける。ツンちゃん率いるパーカス精鋭部隊のステージでは、最近頭角を現して来た若手のササキ君(本名知らん)にベースは任せて、エレクトリックカリンバを弾きまくった。荒れ狂うアフロリズムにカリンバ!!、く〜〜〜〜〜!!盛り上がらぬ訳がない。血豆が出来るほど弾き狂った。

それからツンちゃん宅で打ち上げ。明日のジャズの営業がポしゃったので、心置きなく打ち上げ、近所のスーパー銭湯のサウナに入り、酒を抜いて帰る(抜けんって)。

しかし、けふのイベントへ参加したメンバーのほとんどが、まだ20代前半。ササキ君など19歳である。相当に鼻っ柱の強い連中だが、それぞれに相当の技術は身につけてゐる。こりゃうかうかしてられへんね!。『まだまだ若造よ』と切り捨てるのは簡単だが、先輩ミュージシャンとして、ただ単に歳を重ねてゐる、といふだけの存在にはなってはいかぬ。心地よい焦燥感を久々に味わった夜である。

15日(月)---------------------------------------------

カリンバのせいか、手首の筋がものすごく痛い。ジャズの営業が流れたので、比較的普通の月曜日。専門学校を終え、ビデヲを借りて帰る。蒼井そら主演「新妖女伝説セイレーン」。これがまたぜんっぜんオモロない。そらチャンはエロくて良いが、ストーリィがお粗末もエエところ。レンタルビデヲ、またも負けである。

昨日、雪虫(正式名知らず)がいっぱい飛んでゐたので、寒くなるかな?と思ってゐたが、やはりけふは気温が低いな。

16日(火)----------------------------------------------

専門学校。その後、レッスン。先週火曜日はだうしたことかえらい鬱がひどかったが、けふはとりあへず大丈夫のやうす。が、手首が痛いのはイカン。カリンバを弾くと、同じ部分が痛むところを見ると、やはり原因はコレか?。やれやれ。

レッスンの後、椎名まさ子トリオのリハ。このユニットが始動すると、年末が近付いて来たな、といふ気がする。昨年同様、いくつかの営業と2デイズのディナーショーの予定。いつも楽しく仕事させてもらってゐるが、今回のラインナップはどれも、ワシが思ってゐる「椎名まさ子イメェヂ」とかけ離れたもので、心配になる。だいたいワシのソロが入っとる事自体、かなり冒険なのでは?。まぁワシは楽しいから別にイイのだが。

リハ後、3人で飯を喰ったが、やはりくたびれてゐたので、あんまり元気に会話できなんだ。

17日(水)-------------------------------------------------

女房に指摘され、最近「太った気がする」のではなく、「太った」のだ、といふ事実が明らかになる。ので、本格的にダイエットを始める。食事制限も大事だが、やはり有酸素運動。早速早めに起きてヲ−キングを開始。1時間歩き、腹筋50回。午前中は生徒の録音をMDにまとめたり、といふ作業。

昼、アクターズスクールの会議。Tssテレビ新広島会議室。わざわざイレギュラーの曜日に会議が入ったので、いつもと違うハナシか?と思いきや、相変わらずワシにはあんまり関係のない議題ばかり。例によって一言も発言ナシ。窓の外を、ローカルニュースで見かけるアナウンサーが行ったり来たりしてゐるのを、ボーと見てゐる。

桃のマークで有名な某デヂタル中華レストランで遅い昼メシ。チャーハンを喰ってみる。ヌー、60点。古本屋で小松左京「くだんのはは」、中島らも「エキゾティカ」購入。レッスンはいつも通り。ベースを弾くにもまだ手首が痛む。しばらくカリンバを封印するしかないか?。

18日(木)---------------------------------------------------

世界的な野外フェスティバルのステージにオルカ団で出場し、ミスって演奏がストップする、といふ夢を見た。大して気にしてない風のメンバーを尻目に、『ワシの音楽人生も終わった』と死のうとしてゐる自分がゐた。ナニカの暗示だらうか?。

レッスン後、久々にオルカのリハ。とは云へMIやんは産休なので3人で。古い曲を引っぱり出してまちゃあきに教える、といふ作業。あと、カヴァーを1曲。終電近い電車はサラリーマンでいっぱい。酔っ払いかと思いきやさうでもなく、やはりこの時間まで仕事をしてゐた人も多いやうだ。先日TVで、新潟県民の平均労働時間が7時間で、これは日本一勤勉な県民である、と云ふやうな事を云ってゐたが、7時間で日本一だと?。ワシが知る限り、ほとんどの人が7時間どころか10時間以上働いてゐるやうに見受けられるがネ。

7時間で働いた気になってゐるのは、ワシらみたいなヤクザ稼業か、公務員ぐらいのもんだ。

ボヂョレ・ヌーヴォ解禁。ダイエット中にて、ワイングラスにホンの少し。

19日(金)-------------------------------------------------

けふは専門学校があるので、朝のヲ−キングが出来ぬ。ので、とりあへず学校に行き、授業の後ジムに寄り、エアロバイクを1時間漕ぐ。

久々に早めに家へ帰り、根菜とキノコのカレーを作るが、大根をじゃがいもと一緒に入れてしまい、いつまでも柔らかくならぬので「?」と思ってゐる、といふ失敗。なにをぼけっとしてゐたのだらうか?。大根は先に水から煮上げなくては。

通販で注文してゐた、マーク・ドゥイッチの「Bazantar」と、シュブ・マミのライヴビデヲが『入手できない』事が明らかになった、とアマゾンから連絡。3ケ月待った結果がコレである。ショーック!。さういや、この秋に発表される、と云われてゐたザヴィヌル・シンジケートの来日公演のDVDも出る様子がない。聴きたい音は自分で造れ、といふ事か?。


4週目


11月20日(土)---------------------------------------------

朝、ヲーキング&腹筋運動。手首の痛み、未だ取れず。ベース弾くのも辛い。少し弾けば、暖まるからか治まってくるが、弾きはじめはえれぇこと痛い。ヌ〜〜〜、アテローマの次はこれかよ。五体満足に行かぬものかよ。

アクターズスクールまでチャリを漕いで行く。50分くらい。90分レッスンをやり、また50分かけて帰る。

21日(日)-----------------------------------------------

今月初めての、予定のない日曜日。アマゾンから注文したCDがまとめて届く。ひとまづASA-chang&巡礼の「花」を聴いてみる。ヌ〜〜〜〜、なんぢゃこれは?。いや、オモロない事はないのだが・・・・。後にかをりに訊いてみると、このASA-changといふ人、打楽器の世界では相当に有名な人らしい。確かにタブラはすげぇ。

夜、女房とピザを喰いに行く。この所ダイエット中のワシは、胃が縮んだか、あんまり入らぬ。逆に女房の喰いっぷりが凄い。元々ワシの女房は、見た目と裏腹に大変よく食べる女性である。かうでなくてはいかぬ。大して喰ってないのに、ハラがパンパンになって帰宅。挙げ句、夜半にものすごいゲリに見舞われてしまふ。あれ?。

22日(月)----------------------------------------------

トーソスのギタリスト、デヴィッド・フュージンスキーと、ルファス・カッパドキアといふチェロ弾き(名前からするとやっぱりトルコ系か?)の「Kif」といふアルバムを聴く。ハードロックとアラブ音楽の融合。ジャズやヒップホップとアラブ音楽のコラボは、昨今あまり珍しくないが、ここまでロック寄りは初めて耳にする。これは素晴らしい。チェロがベースみたいにぶんぶん唸り、フレットレスギターがウードみたいにうねうね唄う!。久々の大当たり!。とてもオモロイ。これにシュブ・マミみてぇなヴォーカルが入ったら最高だらうな。

けふはしばらく中断してゐたオルカのレコーディング。仕事の関係で遅れて来るかをりを待つ間、カズイとあれこれ卓をいぢってミックス。間を置いて聴くと全部録り直したくなってくるよなぁ。さうかうしてると、かをり来る。けふは机やら椅子やらを二人で叩いたやつを録音する。演ってる最中、フと思いつき、この二人だけでの即興を録る。5分程度の完全な即興を4テイクほど録ってもらひ、一番出来のイイやつを選ぶ。これを既に録音してある曲にペーストする形で使う。

上手く即興出来ぬかをりにあれこれアドヴァイス(説教?)してゐるワシを、カズイが不思議さうに見てゐる。カズイは完全にポップスサイドの人間で、プログレすらあまり知らないのである。ワシらの会話は半分くらいしか理解できぬ、と云ふ。3人で話し込んでゐるうちに、いつの間にか11:00を回ってゐた。

23日(火)--------------------------------------------

祝日。けふはBobby's の単独ライヴ。いわゆる『ナイトクラブ』といふ店を借り切っての、まぁパーティーだ。

スタンダード、オールディーズ、ポップス、その辺。ジャズでのアドリヴは全く得意でないワシ。何の曲だったかキーを見失ってしまい、ものすごいアウトサイドでソロを取ってしまった。「黒いオルフェ」でソロが回って来た時は、アラブ風に演ってみた。ギターの岩本さんが鋭く反応。

お客さんはいっぱい入ってゐて、とりあへず企画としては成功だったやうだ。しかしかういふライヴは、金銭的には満足できる事が多いが、演奏の達成感はあんまりない。仕事がひとつ終わった、といふだけだ。

岩本さんから、フレットレスギターをもらった。これがまたオモロイ。使えさうである。更に、いつも適当な服を着てゐるワシを見かねて、Bobbyさんがフォーマル服一式をくれた。ありがとうございます。しかし、いかにも昔のバンドマンか演歌歌手みたいなスーツで、できれば着る機会がない事を祈りたい。

24日(水)--------------------------------------------

いつも車かバイクで行くジムにチャリで行ってみる。40分。ジムでは30分泳ぎ、10分サウナに入る。再び40分チャリ漕いで帰り、また汗だく。これで再起不能なまでに疲れた。大失敗。夕方、レッスンしてたら調子が出て来たので、とりあへずオッケー。

新しい野球チームを作るかなんかで話題になった若い社長二人のうちのどっちか(興味ないんでよぅ知らん)が雑誌インタヴーで『カネで買えぬものなどない』と分かりやすい事を云ってゐるのを読む。彼曰く、カネに換算できぬものはすべて『無価値』であり、カネにならぬ行為はすべて『無意味』なのださうだ。当然の事ながら腹立たしい声明だが、『国民の為』と平気で大嘘をつきながら、自分の事しか考えず無駄金遣いまくる政治家よりはマシだ。シムプルで明解なだけに。

しかし、ワシなどはやはり、かういふ人間の事を「貧しいよなぁ」と思ってしまう。ある種の憐憫さえ感じるのだ。まぁ彼に言わせると、ワシこそが「貧しい」のであって、実質的には、それはほんたうなのだから「その通り!」と強く同意するしかない。

25日(木)-------------------------------------------

先日アマゾンでまとめ買いしたCDの最後の1枚、Non cords を聴く。日本人でSax, Bass & Perの変則トリオに期待する。はぢめは重心の低いクラブジャズのやうで「ホー仲々・・・」と思ったが、後半に進むにつれてトーンダウン。ハジけ切れずに終わった、てかんぢ。やはりメヂャーな位置にゐる日本人の、セッションでは、コレが限界なのかね?。なんで此所からもう一歩が踏み込めぬのか?。ヌー。今どき珍しい9曲で40分強、といふサイズは良い。最近のアルバムは長過ぎる、と思ふ。

夜、レッスンの後、ダンスの関本麻須美嬢とKOBAにメシを喰いに行く。こないだの「艶」の打ち上げ、といふ名目・・・。店が若者であふれ返しており、ものすごく五月蝿い。お互いの声があんまり聞こえぬ。全然知らなんだが、偶然にも麻須美ちゃん、明日が誕生日で、日付が変わるのを見届けてから祝杯。フットワーク軽く、日本全国のダンスワークショップに単身乗り込んでゆく彼女の(さういふ活動をここ数年、彼女はやってゐる)ハナシを聞くと、ワシなんか仕事に縛られ過ぎてゐるな、と思ふ。ワシがこの人を気に入ってるのは、単に美人なだけでなく、さういう『自分を切り開いていくチカラ』を強く感じるからだ。

「艶」のベースとダンスのデュオは、各方面にかなり好評だったらしく、是非もっと色んな場所で演ろう!と話す。ワシも-----まぁ世界的に見ればさういふユニットも多く存在するだらうが、この辺では知る限りワシらだけで、これは演奏だけ、踊りだけ、と云ふのとは全然違ってゐて、この可能性は追求して行きたい。

26日(金)--------------------------------------------

久々に曇天。午後から雨ださうな。けふはサンサ〜ラのライヴ。バイクはやめて車で行く事にする。

今回のサンサ〜ラ、結局1回もリハが出来なんだ。いつもは始まりと終わりぐらいは決めてゐるのだが、今回はそれもなし。さぁどーなることやら。もうこのユニットのテーマとも云える「ノルウェイの森」からスタート。1stステージは結局3曲で1時間。2ndは4曲で1時間半。選曲を岩本さんに一任したので、今回はジャズが多かった。し〜なサンが見に来てくれてゐて『ユルくてとても面白い』と感想。

腱鞘炎の痛みもだいぶ引いてゐて、けふはまた結構な割合でカリンバを弾く。終演後、日本語がペラペラの外人女性が「手を見せて下さい」と云うてきた。見せると「うわ〜〜!!私のより柔らかい!」と感激してゐる。彼女曰く、アフリカ人以外であんなにカリンバを弾く人間を見たことがなく、きっとものすごくゴツい、ガサガサの手をした人なのだらう、と思ってゐたさうだ。

東京で何度かワシを見たことがある人も、わざわざ帰省中に見に来てくれてゐて、感謝である。

けふのサンサ〜ラで、いちをう今年の、ワシ個人名義でのライヴはすべて終了。12月に入るとワシは椎名トリオでフル活動する事になる。


11月27日(土)---------------------------------------------

朝、色々あって早いうちから何度も目が覚め、結局眠気が残ったまま、ヲーキング&腹筋運動。シャワーを浴びると少しはシャっとした。

午後から椎名トリオのリハ。12月の何本かの仕事の大筋を決めながら、曲を煮詰めてゆく。ワシはギター弾いたりベース弾いたり。やはりここでもカリンバが活躍。このトリオでのかういふ作業も、結構楽しい。単なる営業とは違うのだ。

云うてしまふと実現せぬやうな気がするのであまり云いたくないのだが云うてしまふと、最近チェロを弾きたい気がしてゐる。特にこの椎名トリオなんかで弾けたらとても良からふ、と思ふが、今から始めておそらくちゃんと弾けるやうになるのは、50歳ぐらいだらうか?。老後の趣味としては良いのかも知れぬが・・・・。しかし、弾く前から『ベース弦を張って、チューニングを変えて』とか考えてゐるのだから、自分でもあまり期待は出来ぬ。

4時間演り、アクターズスクールへ行ってお仕事。夜は近所の居酒屋「ちゃぶ屋」へ女房と。店は若者で一杯。ヒップハングのジーンズから、ベーヂュのガードルを盛大に露出させたおばはんの軍団がゐた。履くなら細かい所までビっとしろぃ!。ああいふ人に、あのテのGパンを履く資格はない!。かういふ人達が「ヨン様」を追っかけたりするのだらうか?。

28日(日)----------------------------------------------

海辺の、なにかとてもエエかんぢの古い家に住む夢を見た。察するにワシは家の敷地内に、屋根と柱だけあって壁のない空間-----外でも中でもない部分がある家が好きなやうだ。ぬれ縁とか土間とか。

休みなので比較的ぢっとしてウチにゐる。根菜をたっぷり使って肉を使わぬチャンコを作る。昨日マー坊に貰った沖縄土産の泡盛を呑りながら、椀に1杯だけ喰う。腹八分、といふ微妙な所を、ようやく理解できるやうになった。

29日(月)---------------------------------------------

専門学校の授業を1コマだけやり、夕方から最終レコーディングに行く。録るべきものはみな録り終わってゐるので、あとはペーストやらの作業。が、さうやって何度か聴いてゐるうちに、だうも唄の部分に迫力が欠けるやうな気がして来た。試しに録り直してみたら、わりといい感じだったので、結局、4曲分、ヴォーカルを録り直した。

これでようやくレコーディング自体は終了。あとはミックスダウン→マスタリング→プレスである。ヨーロッパでは主流となりつつある、紙素材のCDケースと、過剰包装しないジャケットで製作したい、と考えてゐる。つまり、レコード時代を思わせる「紙ジャケ」でのリリースだ。これだと地球環境にやさしいばかりでなく、持ち運びも容易になる。

30日(火)---------------------------------------------

寒い。今年初、ユニクロのエアテックジャケットを出す。専門学校の授業を終え、トレーニング&サウナ。

けふは夜のレッスンを休み、アラブのウード奏者&作曲家ナスィール・シャンマのコンサートを見に行く。古典アラブ音楽とオリジナル双方で認められるウード奏者。ラビ・アブハリル、アヌアル・ブラヒム(何故アラブ人の名前はかうも憶えにくいのか)と並ぶ、いわゆる「ウード三大巨匠」のひとりだ。社会問題意識を強く持つアーティストらしく、来日が決定した際に、自ら強く広島、長崎での公演を希望したと云ふ。よって今回、東京での何ケ所かを除けば、広島と長崎だけの巡業らしい。ラッキーである。

来日メンバーはヴァイオリン×2、チェロ、ナイ(笛)、カヌーン(琴)、レク(パーカス)、コントラバス、にウードの8人編成。こんな大所帯のアラブ音楽を聴くのは初めてだが、当国では結構ポピュラーな編成らしい。空いてるだらう、と高を括って行ったが、ワシが会場に着いた時は既に満員。ニ階席の隅っこの方で見る事になったが、やはり生で聴くアラブ音楽は素晴らしい。

ナスィール本人のウードとナイ、カヌーンの3人は超絶技巧だったが、あとのメンバーは「?」といふ場面も多く見られた。高速のユニゾンなどを楽勝でこなす割に、アドリヴがショボい(笑)。特にコントラバスの兄ちゃんはチューニングは怪しいわ、途中で弾くのを辞めたりするわ、オカシかった。でもこの人、終始ニコニコして弾いてゐた。

会場にはもとハラシャ*のメンバーが全員来てゐた。このメンツ、かういふコンサートには必ず集まる。久しぶりに会ったのでみんなでメシを喰いに行く。バイクだったので酒が飲めぬのが残念。ハラシャが活動しなくなって3年になる。個性もバラバラで、最高にオモロイ集団だったのだがねぇ。またこのユニット演りたいなぁ。メンバー全員さう思ってゐるのだが。出来ぬ理由はプロテクトします。

*ハラシャ2001年に結成された、東欧やアジアの古典音楽と現代音楽、即興を融合させた画期的な実験音楽集団。サックス宮田麻美、ピアノ渋谷次、ギター岩本貢、ベースとヴォイスにワシ、の4人編成。活動期間は1年に充たなかったが、ライヴはかなり頻繁に行ってゐた。このユニットが縮小された形で、現在のサンサ〜ラに繋がってゐる。


翌月