週変わりのシュウ

老いは痛みである

9月1日(木)ーーーーーーーーーー

本来ならば鳥取を中心に山陰を巡るツアーに出てゐる筈なのだが、広島にゐてバイトしてゐる。

まァバイトができるだけヨシ、とすべきか・・。
なかなか決定的な出口の見えぬ状況下で、同業の楽師たちがどのやうにこの苦境を乗り切ってゐるのか、気にはなる。最初の頃は『こんな事には負けんぞ!』といふ気概が業界にも満ちてゐたが、最近はどうも皆「倦み疲れてゐる」といふ感が強い気がする。

SNSみると、なんかみんな結構ライヴとかやってゐて、世界の焦燥とかとは無縁のやうにも思へる。だが、友人の旅楽師がフイに『コロナになりました。ツアー中止』とかいふ情報を挙げてゐたりもして、ホンマによぅわからん。

9月2日(金)ーーーーーーーーーー

まぁそんなかんぢでツアーがなくなり、ヒマになった数日間で、料理したり練習したりと・・・。

久しぶりに体重計に乗ってみた。体重はあんまり推移なし。体脂肪率はやや上がり、筋肉量がだいぶ落ちてゐる。実際、姿見などに自分を映してみると「老いたな」と思ってしまうやうになった。どうやってもハラ周りの脂肪は落ちもせぬし減りもせぬ。逆に肩周りや胸囲は減衰の一途だ。筋トレをしても筋肉がつかぬ。まぁトレーナーに就いてちゃんとやればできるんだらうが・・。

まぁ、それでもシャーツを着ても分かってしまふほど飛び出たハラの、それも結構若い男を見ると、「(私は)まだ間に合うかも」とか思ってしまふ。事実、久々に会う友人や後輩にも「なんで体型変わらんのですか?」と云はれたりもするが、さうでもないのだ。老いたのだ。

自分は誤魔化せん。

9月3日(土)ーーーーーーーーーー

ど〜も周辺に罹患者が増え、それにヤキモキするのもナンなので、と 旅に出る前にPCR検査を受けておく事にした。
これでクロ、と出てしまえばまぁ、この先当面の活動は制限されてしまうのだが、まぁその時はその時だ。

受付に友人の奥さんがゐたりしてオモロかった。

ブライアン・ウィルソン(ビーチボーイズ)のドキュメンタリー映画が、いま広島八丁座にかかってゐるらしく、観に行ってみるかな、とも思ったが、よぅ考へんでも私はビーチボーイズとその音楽に興味を持ったこともないし、前にジャニス・ジョプリンの伝記映画を見に行って、寝てしまった事を思ひだしたので、まぁやめた。

興味のない事に興味を持とうとせんでも、もぅ良からう。

9月4日(日)ーーーーーーーーーー

本来ならツアーで行動を共にしてゐたハズのしーなさんと、「気に入りの映画を推薦しあって、それぞれ観て感想を云ふ」といふ遊びをしてゐるこの週末。

しーなさんのオススメは「ウィークエンド・アウェイ」といふクライム・サスペンスもの。先が読めぬ展開に惹き込まれ、登場人物全てが怪しく、終わりはキッチリ〆る、といふ優良映画。面白かった。オススメでなければ絶対見ない種類の映画なので、かういふ掘り出し物感は嬉しい。

私が彼女に勧めたのは「怒り」。吉田修一原作、李相日監督。
妻夫木聡、綾野剛、渡辺謙、宮崎あおい、池脇千鶴、といった「演技巧者」揃い踏み、といふ中でも、後半チョいとだけ出てくる高畑充希のうまさが際立つ。まぁ総じて「演技で見せる」タイプの映画。ゲイのカップルを演じる妻夫木と綾野は、マジでその筋の人か?と見まごう演技。

しーなさんからの感想はビミョー(笑)。

9月5日(月)ーーーーーーーーーー

私は今、楽曲のコピーはCDか、もしくはダウンロードした音源をPCで鳴らしながらやる。

しかしまー、やるたびに思ふのは、この作業への利便性では「カセットテープ」に勝るものはないな、と。
短い区間を何度も繰り返して再現する、といふは、確かにパソコンでも出来んことはないけど、手動でチャッチャやれる利便さは、圧倒的に群を抜いてゐる。これがなくなってから、私は「楽曲のコピー」といふ事への興味を失った、とも云るかもしれん。

昔は、誰に頼まれる訳でもないのに、長大なプログレの曲をコピーして、それを譜面に起こす、みたいな事を楽しんでやってゐた。今はそんな事に集中する気力はない。生徒に頼まれた複雑な曲の解析でも、すぐ飽きてしまう。これもひとえに「カセットの利便性」を捨てたから、なのだ。

カセットプレーヤーを買おう。

9月6日(火)ーーーーーーーーーー

台風接近により、強い風が吹いてゐる中、バイトへ。

チャリで行くと危なさうだったので、しゃーなくバスで行ったのだが、結局その後雨も風も大層な事にはならず、まぁ、仕事もあまり激忙にならず、みたいな・・・。

一旦帰って車でレッスンへ。
夜には台風の影響も完全に外れ、木曜日からの遠征も、ひとまづはフツーに出発出来さうで安堵。

以前にツアー中の岐阜で台風の直撃を喰らい、翌日からのスケヂュールがえらいこっちゃになったのを思ひ出す。まぁあれはあれで楽しかったが・・・。