生きてゐるといふこと それは

7月14日(月)ーーーーーー

休み。雨天時々雷。

所用がてら車で実家に寄り、その足で久しぶりに映画館へ。
映画音楽の巨匠、ハンス・ジマーのコンサート・ドキュメンタリィ映画『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』をバ。

メヂャーな映画を何本も手がけてゐる著名な作曲家とは云へ、それが「コンサート」を演る、となった時にどのやうな?との思ひから鑑賞。ちなみに特にハンス・ジマーを意識したことはない。
はたしてそのコンサートは、まぁ「豪華絢爛」と云ふ言葉がぴったりな、凄まじいライヴ・パフォーマンスであった。

まぁいちをう「映画」としてこれ撮られてるので、どこまでが実際のモノなのか分からん(巧みなCG演出多数)のだが、まぁこのポストを下手なミュージシャンが務まる訳はないので、実際のパフォーマンス映像なのだらう。ツインドラムにツインベース、ツインギター、フロントでコーラスやリード歌も担当する女性の弦楽四重奏、パーカッションが3〜4人?、管楽器隊と弦楽オーケストラが5〜6人づつ?、鍵盤奏者とコーラスが・・・・・、まぁ総勢30名近い楽師面子が揃う中で、私が知ってる人は一人だけだったが、まぁその演奏レベルは疑いようもない。

んで、御大ハンス・ジマー本人が、ぢつに楽しさうに「ライヴ」を演ってる、てのが意外にも意外(リッケンバッカーのベース持って客席まで出て、クリス・スクワイアばりにゴリゴリ弾く場面もあり)で、それは例えば同じ映画音楽の巨匠でも、ほとんど表舞台には姿を見せなんだエンニオ・モリコーネとは、真逆の人物像。
挟まれるインタヴーシーンでは、映画関係者はもちろん、楽師仲間や俳優にも慕われる人柄も偲ばれ、色々な意味で「へ〜」と思わせる映画・・・ドキュメンタリィだった。

ただまぁ、「ライヴ・コンサートのドキュメンタリィ映画」なのだから当然、その場でライヴを演ってるやうなもんで、しかも上述の編成のフルバンドが全力でパフォームしてるわけだから、音がデカいデカい。あんまり大きくない会場だったのもあって、耳がヤラれさうだった。

7月15日(火)ーーーーーー

最近、バイトには「ふんどし」を締めて臨んでゐる。
と云ふのも、綿のパンツではどうにもならんほど、汗でびしゃびしゃになるからである。同僚の中には「あまりの汗に昨日はノーパンで帰った」と云ふものも居り、まぁそれぐらい過酷な職場なのだ。

ふんどしも綿には違いないんだが、使用せぬ限りあれはただの「布」に過ぎず、就労を終えたあとはピっと脱いでフツーのパンツに履き替え、何食わぬ顔でレッスンしたりするのだ。フツーのパンツを二着用意するより、なぜかココロが平穏である。

7月16日(水)ーーーーーー

去年だったか、ひょんな縁から私が「審査員」を務めた、全国高校生文化祭?といふ催しの「バンド部門?」の審査結果の?何某かが?YouTubeに上がってゐた。いつのものなのか分からんので、私が「審査」したコらがここで鎬を削ったかどーか?、は定かではないが、あの時に感じた「違和感」も同じくある内容ではあった。

ナニかのコンテストといふ訳ではないので、「素晴らしく上手い!」といふ印象の生徒が少なく、しかしそれらのほとんどが「オリジナル曲」を演ってゐる、といふ違和感。そしてその演奏技術が楽曲のクゥオリティよりかなりキャパオーバーしてゐると云ふ疑問。

私自身、かなり早い時期からオリジナルを作り演って来たので、こんなことを思ふのもホンマは筋違いなんだが、いろんな曲をもっといっぱい聴いてからさらに頑張れよな〜、としか・・・。
むしろ顧問にそれを伝えたいな。

それにしても横浜界隈の女子高生のスカートが短かすぎるのがけしからん。

7月17日(木)ーーーーーー

上述のやうな感想を持った翌日、もぅ何年も私のところに通ってきてゐるギター弾き語りの生徒(♀)が、「初めてのオリジナル」を持ってきた。

イベントや自主ライヴも積極的にやり、私とのデュオでライヴも演った事があるほどベテランの(?)生徒だが、曲を作ったのは初めてだと云ふ。シムプルだがぢつに面白い曲で、今までレッスンで演った曲の要素が色々詰まってゐて、素直にイイね!と褒める。そはまさに、インプットがアウトプットに結びついた瞬間。

アマチュアである以上、沢山のオリジナルを作る必要はない。一生に壱曲、だって充分なのだ。身につけたスキルと知識、それら全部を使ってたった壱曲のオリジナルが完成する、こは素晴らしいことだと思ふし、その壱曲こそがその人の人生なのだ。さういふ手伝いができれば良い。

7月18日(金)夜の自習室 vol 7 「佐藤弘之を歌う」ーーーーー

さて、割と真面目に準備をしてきた「自習室・佐藤弘之を歌う」、の本番。

リハで音像が掴めぬまま歌い過ぎて喉が涸れてしまい、本番の声の伸びがイマサンぐらいだったのが無念であった。あーしてみるとやっぱりしーシュのライヴって、しーなさんと歌い分けてる、といふ事だけでだいぶ助けられてるんだな、と云ふ印象。ひとりで歌い切る、と云ふことにもっと特化せねば・・・。

最近の自習室の中では集客が成功した方ではあったが、佐藤さんを知ってる人が思った以上に少なかったのは、オノレの力不足を感じさせる結果であった。

聞けばけふのライヴは、各地で「話題にはなってゐた」やうで、それぞれ思ひはありながら、の事だったやうだが、もっと生前の佐藤さんを知ってる人に聴いてもらいたいので、この編成のこの企画、またどっかでやろうと思ふ。

ピヤノのイガラシにも感謝。佐藤さんの死後は前線から身を引いてゐた感のある彼を引っぱり出し、あれこれダメ出しして演ってもらった。慣れぬ環境でよく演ってくれたと思ふ。店主ゴトウイズミは『やっぱりシュウさんの歌はイイ』とおだててくれるので、懲りずに8月も「自習室」、やります。

けふは ベースとギター二つ抱えて電車移動。初めてだったが、意外にイケるな。

7月19日(土)ーーーーーー

本気の夏だな。
そろそろ学校が夏休みになり、餓鬼どもが街に溢れ出す。溢れ出せ溢れ出せ〜。

我らはしーシュのリハ。20th anniversary に向けての練習。これまで2フィンガーで弾いてゐた曲をピックで弾く、といふのが後半生の課題かねぇ。スティーヴ・スワロゥ爺みてぇにシブ可愛いかんぢになれたらいいが。

さういや80年代キング・クリムゾンの曲をカヴァーするバンド、てのが現れたらしい。しかも御大ロバート・フリップのお墨付きで!。その名も「BEAT」。
メンバーがスゴい。エイドリアン・ブリュートニー・レヴィン。ドラムスにダニー・ケアリー(この人は知らんな)。これになんと変態ギターの頂点スティーヴ・ヴァイが加わると云ふのだ!。

80年クリムゾン、と云へば、暗黒系の重いプログレから、ポリリズムや民族音階、ダンスビートまでを取り入れた斬新なビートロックへと変革した、旧来のファンからは総スカンを喰らい、新しモノ好きのファンからは絶賛された、「あの」時代のクリムゾンである。

ニヤニヤしながら飛び跳ねてギターを弾くブリューに、なぜか批判が殺到した不遇なクリムゾン。私はこの時代のクリムゾンも好きだったので、その謂れない迫害には逆にFuckin だった。「フレーム・バイ・フレーム」の、2本のギターがズレていって、やがてまた交わるリフなんか最高だと思うけどねぇ。

このメンバーなら、あの時期を上回るパフォームが可能だらうと思ふ。来日するらしいけど、ちょっと行けそうにない日程。せめてアルバムを予約しやう。

7月20日(日)ーーーーーー

休み。

注文してゐた書籍が届く。鈴木智子著「I still love you」。クゥイーンの楽曲とフレディ・マーキュリーの存在感を中心に進むストーリィ、らしい。主人公が現代の「少年」なのにクゥイーン、てのがややご都合主義的な気もするが、まぁ読み進めてみやう。

冒頭イキナリ、主人公に対するひどい虐待の描写が出てきて「ぬ〜」と思ふ。最近このテの設定のものが多い気がする。タマタマ私が手に取るのがさうなのか、よく分からんが、キツい。物語だけでなく、実際に配偶者や実子、養子に対する理不尽な暴力、といふは意外にも蔓延ってゐる、と聞く。幸い、私の周りに直接は聞かぬ話だが、それをも「聞かぬ」だけで、本当はあるのかもしれない。

私個人的には、他者・・・自分より弱いものへの暴力、など考えもつかぬ愚行と思へるが、いざアタマに血が昇った瞬間、それを絶対にしない、と云ふ約束はできないやうな気もする。そして、さういふ事って、おそらく『1回目』のあとはなし崩し的に続いてしまうのだ。だから、その『1回目』をやらない、といふ強さこそ、必要なのだ。