ラブカは静かにピックを握る

7月1日(火)ーーーーーー

火曜日の音楽教室が入ってゐるのは、廿日市市の大型商業施設である。
まぁ今流行りの、胃・食・住ぜんぶ揃ったアミューズメント的な、大のオトナでも丸一日をここで潰せるといふタイプの大型モ〜ルだ。レッスンの合間にちょこちょこウィンド・ショッピングなんぞするのも、まぁ一興(買わない)。

音楽教室のすぐ横に書店があり、これは大変重宝してゐる。まぁ今は生徒さんもそこそこ数がゐるのであんまりさういふ時間はないが、レッスンの合間にチョイと寄って立ち読みとかできる。

よほど琴線に触れでもせぬ限り、実際に購入するケースはないのだが、けふは安檀美緒といふ著者の「ラブカは静かに弓を持つ」といふ文庫本を買った。「スパイ×音楽」といふ売り文句に絆された訳ではないが、内容的には「今まさに自分がこの書店の隣で繰り広げてゐる仕事」をあからさまにモデルとしたストーリィだったから、である。

なかなか面白く一気に引き込まれ、夢中で読んでると生徒が来る時間を過ぎてゐた。ダメ講師である。

7月2日(水)ーーーーーー

今月の「自習室」佐藤弘之を歌う、にて初めてゲストを迎える、といふ事で、その共演者ーーーー故・佐藤弘之さんの晩年を支えた鍵盤弾き、五十嵐 進とリハをやる。

イガラシとはそれ以前に、同じインストラクター仲間としても古い交流があり、共演は久しぶり。今は鍵盤弾きよりも作曲家としての仕事が増えてゐるらしく、夜昼逆転のライフスタイルださう。タマに夜中の3時頃にメールを入れてきたりしやがる(笑)ので、仕返しに朝6時にメールを入れてやったりする。

リハは仲々楽しかった。喉の調子がまだ完全に復調しておらんのが残念だが、あと半月あるし大丈夫だらう。久しぶりに自分のスタヂヲでないスタヂヲを「借りて」演ったら、レンタル料の高さにやや驚いた。さうかぁ・・カタギの人は毎回これを払ってリハを演ってるんだな、と改めて思った。

7月3日(木)ーーーーーー

暑さが尋常ではなくなって来てゐる中でバイトへ。
けふの厨房内温度は42℃にまで達してゐた。もぅトシもトシなので、夏の間はあんまり頻繁にバイト入れんでもいいかな?といふ気はしてきてゐる。できるだけレッスンとカブらぬやうにはしてゐるが・・。

それはさうと、咳がまだ止まらぬ。今回、呼吸器科でもらってきた薬があんまり効いてゐる気がしない。昼の間はまだしも、夜になればゲンゲン咳いてゐるし、逆に薬の副作用の異常なダルさと眠気ばかり気になる日々。

7月4日(金)ーーーーーー

けふは広島に唯一残るプログレッシヴ・轟音バンド「ちきちき」のギタリストでもあり、「テキーラ同好会」の仲間である川本伸也さんの退職をお祝いする会、を執り行う。

このシンヤさん、楽器店に勤めた後に市役所の職員となり、こたび無事定年を迎えられた。そもそもは県立可部高校に「軽音楽部」を立ち上げた人物であり、そのOBコネクションに、なぜか私らも加えてもらってゐるといふことに重ね、市役所職員の芸術振興課として、広島のアマチュア音楽業界に多大なる貢献をしてきたお人でもある。しーシュも公私にわたり長らくお世話になってきた友人として、その引退をいつもの仲間と共にことほいだ。

開店から閉店まで居続ける、といふ迷惑な客だったがまぁその分飲みも飲み食いも食ったり、でレシートの長さがその凄まじい酒宴を物語る。私もすっかり酔っ払ってしまい、もぅとっくに終電は出てゐたので、30分ぐらいの距離を歩いて帰った。その間にペットボトルの茶と水を3本飲み干してゐた模様。

7月5日(土)ーーーーーー

ゆんべはかなり飲み倒したが、少々の頭の重さだけで二日酔いはさほどなし。良い酒だったのだらう。

けふは所用にて早くからカミサンが家を空け、独居老人の週末。ちゃんと掃除と洗濯もし、日頃のルーティンをこなす独居老人のスキルを活かす。なんせ暑いので洗濯物も一瞬で乾く。夜も独居老人らしく、一人晩酌。

一説によればけふ「大災害」が起こると囁かれてゐたが、予想通りなにも起こらなかった。何故かさういふ「わかりやすいカタストロフィ」を索る風潮は今に始まった事ではないが、この熱波といい、収まらぬ紛争といい、もぅ「大災害」はとっくに始まってゐるのだ。

7月6日(日)安芸高田  Make a Wish ーーーーー

毎年恒例、高宮町のイベント。
かつては「湖畔のコンサート」と称した野外フェスだったが、天候に悩まされる事多数回。ここ数年はそれを避けるためにも旧 来原小学校体育館で開催される「Make a wish」となった。

室内開催になった事で、雨や台風を気にせず開催できることにはなった(実際、去年は大雨、一昨年は台風)が、空調設備のない体育館。『酷暑』と云はれるこの時期、さういふ建物がどんなことになるか・・、まぁ想像できますね。
私が経験した過去イチ暑い現場は、8月なかば熊本の商店街アーケイド特設ステージに出たやつだったが、けふはあれに並ぶかんぢだった。

ただ、ここんところ私は日々35℃を超える厨房で働いてゐる上、そもそも暑いのには強いので、皆が云ふほどには思はんのだが、しーなさんは大変さうだった。当初からけふは帰るつもりでゐたのでビールを飲む事はなかったが、よしんば泊まる計画だったとて、あの中でビールを飲んでは危険だったと思ふ。

そんな暑い中を、しかしお客さんはしっかりと集まり、それぞれに対策を講じながら楽しんでおられた。もぅ顔なじみの人たちも増え、しーシュを楽しみにしてくれる人も多い。我らだけが暑いとは言うておれん。そもそもステージにおる人間が「暑い」だの「寒い」だの言うてお客さんが何を思ふといふのか?。「けふは『暑い』といふのをNGワードにしやう」と誓い合ってステージに上がった。

その言葉通り、40分の間一度も「暑い」と云はず、水も飲まずに演り通したが、残念ながらけふは過去イチ音が掴みづらく、演りにくかった。まぁかういふラフなフェスだからしょーがないけどね。あとで謝罪も受けたし、お客さんが聴き辛くなかったことだけを祈りたい。

年に一度、ここだけで会うお客さんや共演者もおり、もはやしーシュにとって欠かせない年中行事の一つになったMake a wish 。これからもよきお付き合いをさせていただきたい、と切に願いながら、車をはし〜ら〜せたぁ〜♫。