週変わりのシュウ

魚の住む窓辺が

4月9日(火)

昨日までのお江戸遠征は、行った日にリハがあり、バンドで二日間動いた後、ソロで壱本、といふなかなか理想的な行程だった。

長い唄旅の行程の中に、ひとつふたつ毛色の違うものが入るのは、精神的リフレッシュにもなって良いのだ。

ソロがもぅ1〜2本組めたら なを良かったのだが、そはまたいづれ・・。

宿主のりょーこと話をした時もその話題になったが、東京に足繁く通い始めた頃は、10本ライヴ組んで全部違う演目、てのが結構あった。

絡んでくれるパーソンに事欠かなかった幸運は否めぬところだが、なんせその分のリハが大変だった。本番の直前に翌日の演目のリハをす、といふのは当たり前で、くたびれるし、何よりスタヂヲ代が莫迦にならぬ。割りの良いギャラをもらっても赤字、みてぇなツアーが続き、ある日『もぅ かういふのは良くないのではないか?』と思ふに至ったのだ。

あの頃は、広島でレッスンの仕事をたくさん抱えてゐたので、それでもまだどぅにかなったのだが、今あんなツアーをしたら、アっといふ間に破産だ。

4月10日(水)

こないだの北小金でのライヴがいくつか、リアリタイムで発信されてゐたやうで、ネット上に残ってゐるのを見る。

まぁ、なかなかである。

客観的に見ると、まぁベースといふ不器用な楽器を使ってよぅフツーに唄ってゐるよな、と思ふ。ワシは両方やるのでイヤと云ふほど知ってゐるが、ギターの弾き語りの方が100倍楽なのだ。

なんでそれをせぬか?と云へばまぁ、単にへそまがりなのであって、別に「ベースの可能性が」云々を語るつもりもない。いま自分が最も得意に操れる楽器がベースである、といふだけの話だ。

ときをり、6弦や もっと弦の多いベースやギターに気を惹かれもするが、よしんばそれを入手したとして、それを流暢に扱えるやうになるまでにかかる時間は、多分ワシには残されてない。

さういふときはブラッシィ・ワン・ストリングの自信に満ちたパフォーマンスを見て、「うむ」と力強く4弦のベースに戻るのだ。

4月11日(木)

今月はあんまり広島に居れぬので、レッスンを詰め込み詰め込み・・・してたら、ポっと「何も入らぬ日」が出来た。休み、である。

まぁ続く旅の疲れも取れてないし、ここらで休憩を、と実際メシを作る以外は何もせずに過ごした。

昼過ぎに長い散歩をして、まだ残ってゐる桜を少しだけ「花見」す。

4月12日(金)

相方 椎名まさ子の2年ぶりのソロ・ライヴをJUKEに見に行く。

一昨年まで『月間椎名』と銘打った文字通りのマンスリーを立ち上げ、1年間満員御礼を続ける快挙を成し遂げてゐた彼女である。2年ぶりのソロにも期待の声高く、やや遅く会場に着いたのだが、JUKEはすでに満員。

客席は過半数女性で占められ、年齢層もバラバラ。ここ数年の知人友人と数名遭遇したが、みな『しーシュの客層と全然違うねぇ』と云ふ。さうだなぁ・・、しーなさんは もともとこの方面の客筋で、100人くらいあっといふ間に集める人だったんよなぁ。

その2年ぶりのソロを見届ける。

今回もバラエティに富んだ選曲で楽しませてくれた。これまでは、ライヴによっては他の楽器にチャレンヂしたり、とかさういふ事もしてゐたが、けふは潔くグランド・ピヤノのみのパフォーマンス。

久しぶりのソロのせいか、ちょいと肩に力が入ってた感は(ワシだけ?)あったが、堂々たる演奏で、最後まで駆け抜けた。良いライヴだった。

ざっと見渡すだけでも60人は軽く超えた集客で、相変わらずの人気の高さが伺える。フと「この人にしーシュを演らせて、本当に良かったのだらうか?」との思ひが過ぎらぬでもない(苦笑)。

今のワシにそこそこ評価があるのも、半分以上はこの人との活動に負うものだ。同価値に近いものでも、ワシはこの人に与えられてゐるのだらうか?とかいろいろ思ひながら、久しぶりに夜の街にゐるので2〜3軒ハシゴして飲んで帰った。

 

*写真はイメェヂです