週変わりのシュウ

タケテタケテデレダゲ

4月13日(土)

昨日、華々しいソロ・ライヴを成し遂げたしーなさんと、早速次のリハ。

合間にゆんべの感想など。ぢつは昨日のライヴ冒頭、全部の曲でえれぇテンポが早いな、と思ひ、一部終了後に楽屋を訪ね、その旨伝えたのであった。直後に『いらぬお世話だったかな?』と反省もしたのだが、しーなさん的には 「サクサク演ろう、と思ひすぎてゐて」知らずテンポまで速くなってゐたのだ、とのこと。

伝えてもらって良かった、との事なので、ひと安心。

ミュージシャン同士のかういふやり取りって、往往にして『ハァ?』みたいな事もあるので、注意せねばならんと思ってゐる。

スタヂヲからの帰り道にあるスーパーで、格安のパクチーが売られてゐる、としーなさんからの情報。寄ってみると確かに。束で買って帰り、ビニル袋に入れ、ごま油、しを、酢、味の素を投入せしのち、ビニルごと攪拌す。とてもおいしぃパクチーサラダが完成。

4月14日(日)

夕刻前にスタヂヲに行くと、下の階(クラブ)でなにやらイベントが入ってゐるらしく、多くの人がゐる気配がす。なんせ老朽化著しいビルなので、下の階の音やら会話やらも、結構丸聞こえだったりするのだ。

して、なんかアイドル系かなんか知らんが、金切り声で「イェーィ!」と叫ぶ声に呼応する野太い男どもの声があり、んーなんぞ盛り上がっておるな、と思ふ。なんのイベントなのだらうか?と好奇心はあれど、探りはせぬ。

思へば、ひと頃はよくこのテのクラブイベントに呼んでもらってゐた。主催者と年齢が近い、て事もあったのだらう。出演時間が零時回ってから、なんてことはザラにあり、どっちか てぇと夜が弱い方なのに、よくそんなイベントに出てたもんだと思ふ。

まぁ夜が遅いのはさておき、そんな無理して出ても、あんまりギャラにならんのが難点だったな。楽しいんは楽しかったんだが・・・。

4月15日(月)

情報筋から回って来たフランスの Les Ogres de Barback といふバンドの音源が素晴らしい。

どう読むのかも分からんレ・ゾグル・ド・バルバック、ださう)し、詳しいことは知らぬのだが、パっと聴き正真正銘のシャンソンのやうだが、彼らはこれをバンド形態で演ってゐるらしいのだ。古典的なバックの演奏に混じって、なんや電気処理したやうなノイズが入ってたり、と斬新。

そもそもシャンソンといふのは「ジャンル」を云ふのではなく、フランス語で歌われるポップス全般を称して、の事ださうなので、斯様な形態のシャンソンの「バンド」が存在してもおかしくはない訳だ。

最近、新しい音源にあまり触手が動かなんだのだが、久々にこれは即買いだった(i-Tuneでですけど)。車で聴くとイイ。

あと、タルちゃんこと タル・ウィルケンフェルドが此度出した歌ものアルバム。国内盤が出るものかどうか待ってゐたのだが、どぅやら輸入盤しかNASAさうである。

まぁ、ぢゃあ輸入盤でも買おうかな、といま思ってゐるところ。歌詞が読んでみたいんで、できれば国内盤で訳詞付きのライナーがあらば良いのだが・・・。

デヴー当時その美貌と技術にあれだけ群がったオタクベース美少女マニアたちも、歌うタルちゃんには触手が動かぬのか?。特に表紙まで飾ってもらった低音専門誌。今はスルーかい?。

失礼な話である。

4月16日(火)谷本仰&梶山シュウ@ ふらんす座:広島

北九州の朋友。即興コネクションのひとりにして、世界的タンゴユニット トリオ・ロス・ファンタンゴスのリーダーでもある、ヴィヲロンの谷本仰さんが広島に来てをり、久しぶりのコラボ。

舞踏の大槻オサムくんを介して知り合って、早幾星霜。何度かデュオを演らせてもらってゐるが、年に何度も会わぬのに、「音楽的即興」と云へば、この二人のことだらう、と言っても過言ではない、くらい相性の良い即興パートナーである。

打ち合わせも何もせず「せーの」で てんでに弾き出したメロディがしばらく同じ、といふ事が何度もあった。その谷本さんと2年ぶりの邂逅となる。

なんせ即興なので、リハも別に・・・てかんぢ。てんでにセッティングして音出して、なんとなく開場となり、時間となって、なんとなく始まる。

始まってみれば、やはりこの二人!といふかんぢだった。

アンビエント〜プログレ〜ノイズ〜室内楽〜歌もの〜コミカル〜、と次々とアイディアが溢れ、次々と音楽になって行く。途中オサムくんも「朗読」で飛び入り。そのまま録音しても「ポップス」のコーナーに入れるほどの見事な展開となった。

ワシは常々、思ひ思ひに音を出し感性をぶつけ合って生まれるものが ただの『混沌』であるならば、そは音楽家が即興を演る意味はない、と思ってゐて、谷本さんと演るとそれを証明できる。

例えばしーシュのワシ、歌うたいのワシしか見た事がない、といふ人がけふのライヴを観に来ても、充分楽しめるものになったと思ふ。「面白かったでしょ?」と云へる。さういふことなのだ。

お客さんの中には『ペンギンカフェ・オーケストラみたいだった』と云ってくれる人もゐて、そはまさにそこだ。

ホンマに楽しかった。良い即興だった。

谷本さん、ありがとうございました。また演りませう。

4月17日(水)

昨日の良い余韻残る朝。

お客さんに云はれたこともあって、久しぶりにペンギンカフェ・オーケストラを聴く。SNSに幾つか上がってゐる昨日のライヴの模様と照らし合わせながら、なるほどなぁ、と思ふことしきり。

ワシが他のベース弾きと比べ、やや違ったループマシンの使い方をするのは、ひとえにこのテのミニマル音楽を聴きこんだ事があるからだ、と思ったのだ。てぇ事はワシの演ってることは、洗練の反対の進化=粗野に向かったミニマル音楽、と云へる・・・のか?(笑)。

オモロイねぇ

昔は謎に包まれてゐたペンカフェオケの全容も、今や検索で調べ、youtubeで見れる便利な時代。ライヴ映像だってあるよ。発起人サイモン・ジェフスが意外にもリズムに乗って大きく身体を動かす人で、そこがまたロックの範疇にあるやうで良い。

昼飯に焼うどんを食わんとしたのだが、野菜を切った時点で、ぢつはそれほど腹が減ってない事に気づき、ラップして冷蔵庫にしまう。ここで「まぁえぇわ」と食ってしまわぬ自分を褒めてやろう。

4月18日(木)

こないだの谷本さんとのインプロ・ライヴで、色々な局面に触発された末、即興で唄を作るまでに至った。

ワシら音楽家は、演奏やスキャットのみであらば、どのやうにでも無から有を生み出す事ができるのだが、これがこと「唄」になるとなかなか難しい。

思ひ付きで「歌詞」を作るには、同じ即興でも使う回路が違うやうだ。少なくともワシはさうだ。君が好きだとかみんな仲良く歌おう、みたいな唄ならばあるいは出来るのかもしれぬが、ワシの歌いたいのはさういふものではない。

それが、こないだのライヴでは演奏に触発されたその回路が、うまく開いた感はある。のちに映像から聞き取ってみたところ、このやうな歌詞が出来上がってゐた。

西から東へ 風が流れ

潮が流れ 海が流れ 川も流れ 時も流れ

緯度から緯度へ 経度から経度へ

日が巡り 時が巡り 虹が流れ 海は歌い 

月に誘われて 風が吹き 花が舞い 夜がまた落ちてゆく

ハレルヤ

なかなか悪くない、と思ふが、「風」といふキィワードが二回出てしまってゐるのが、まだ未熟だ。

いつか完全に即興で唄が歌えるやうになれたら、と思ふ。