週変わりのシュウ

初夏旅の記録3

5月25日(土)関東初夏ツアー五日目:湘南台deショ〜→町田トラファルガー

連日ライヴツアーも佳境に入って来た。
特に酒量を控える事もなく、しかし連日歌い続けてゐるが、特に目立つトラブルも劣化もなし。むしろ連日歌ってる事で、喉は完全に「通ってゐる」状態がキープされてゐる。

けふは昼夜ダブルヘッダーの壱日。よぅ晴れてまた暑い。

まづは湘南台へ移動。
けふこの街は「SHOW なんだいde ショ〜」といふ町を挙げてのイベントをやってをり、こはナニか?と云ふと、湘南台商店街のいくつかの提携店で、日中からライヴが行われてゐる。お客さんは参加料と引き換えにパス代わりのリストバンドを装着し、それがあらば一日中、提携店をハシゴしてライヴと料理&酒を楽しむことができる。今年で7回目のイベントなんださう。
出演者も多く、街には楽器を抱えて歩く人と、それを求めて移動する人が溢れ、それぞれがなんとなく会釈し合って行き交う光景は、なんと素晴らしいことか!。

ワシらは今年最初にこの街の名店「中華三番」を訪れたことで気に入ってもらひ、しかしその時点でもぅ出演枠が残ってなかった、といふ事もあって、けふは「飛び入り」といふ形で、元りぶさんけんぢまんの居酒屋ステージに乱入させてもらふことに。

人気者のけんぢまんのライヴだけに、ワシらが店に着いた昼時点で、舞台の居酒屋「じゅんちゃん」は満員。見知った顔も多くゐて「おぉしーシュが来たぞ」などと云はれ、とりあへずワシらも酒とつまみを注文して、もぅこの時点で楽しくて仕方ない。
ライヴ途中でけんぢまんに呼ばれてステージに上がり、3人で「 Dance 」をハモる。飛び入りにも関わらず大ウケで、本当にありがたい。
終演後もいろんなお客さんから『いつも噂は聞いてゐた』のやうな事を云はれ、嬉しい。けんぢまんと、けふの段取りをつけてくれた三番ママさん、ひ〜ちゃんに感謝。

さてワシらはその後、何人かの知り合いに挨拶して、町田へ向かう。
町田では「弟分」寺島しんご、がイベントMachida Music Summitを企画して待ってくれてゐる。
名古屋からこっちに越して来て以降、嫁さんのひでこと組んだ「しんごとひでこ」で、トラッド〜フォークのフィールドにがっつり食い込み、活動の基盤を広げつつあるしんご。彼から常々「町田は音楽にアツい」と聞いてをり、けふはそのシーンにワシらを引き合わせてくれるもの。

しんごと共にけふのイベントを企画してくれるイサムくんことカルボーン佐藤。彼を含め数名は過去に共演した経験もあり、初めての場所ながらナゴンだ雰囲気の中で準備など進み、お客さんも集まり、イベントがスタート。しんごもイサムも、のっけからしーシュへの煽りをカマしまくり、大丈夫かな?(笑)と思ひつつ、イベントを楽しみながら待つ。

イサムくんと共に共演経験のある、ヤっさんことメロディオン鈴木と、チャカちゃんことマタニティ五十貝(しかしなんちゅうネーミングセンスや?)トリオによる「メロカルマタ」。ロックのフィールドでトラッドを演る、といふ珍しいトリオ。3人とも素晴らしく上手いのだが、「正統派」のプレーヤーではなく「み〜んな似非です」と笑うあたりも良い。

つづいて「しんごとひでこ」。
本人曰く『町田の馬鹿夫婦』のグっとトラッドに寄った、しかしやはりこれも正統派ではない不思議な歌が、これまたイイ。常々彼らの活動には目を向けてゐたが、どんどん良くなって来てゐるなぁ・・。この頃には立ち見も出る満場となった場内もおおウケ。
最後、紹介も兼ねてワシらを加えて、名曲「風とともに唄え」を。若者がほとんどの客席だが、ものすごい盛り上がりとなってゐる。

その後でワシら。
もぅのっけからスゴいウケ方で、下手をするとこっちが飲まれてしまいさうなほど。これに引っ張られたら、よくある「イェーっ!」になっちゃうので、グと堪えて冷静にステージを進める。良いライヴ。

そして本日のトリは、しんごが「前々からしーシュと引き合わせたかった」と語ってやまなかった Ann。ベースレスで、鍵盤とドラムスが向かい合う形でステージに配し、真ん中で迫力のある女性Voが歌う、といふトリオなのだが、これが、まぁしんごがフツーのポップスバンドをワシらに押すわけがない、とは思ってゐたものの、予想をはるかに上回る「プログレッシヴ・インプロヴィゼーション・ポップスタイル・ロック・トリオ」だった。すべてが「さぅ来るか?!」の展開を見せる楽曲群と、完璧な演奏。しんごの思惑、ここに極まれりの納得のトリ演奏。ホンマに素晴らしいイベントに参加させてくれたものよ、しんご!。ありがとう。

しーなさんは、かういふイベントで男性の鍵盤奏者に巡り合うこと自体が珍しい上に、そのアグレッシヴなスタイルに感銘きわまり、だいぶ長い間鍵盤談義に花を咲かせてゐた。

4バンドすべてが、腕利きの女性メンバーを擁するフォトジェニックなイベントでもあった。終演後も話の輪が尽きない。聞いてゐた以上に「アツい」町田の、素晴らしい夜であった。

5月26日(日)関東初夏ツアー千秋楽:関内サラスヴァティ・弁天

さて、連日公演旅もけふで最後。
旅のシメはやはり横浜。アースリー・パラダイスが元町から関内に移転し、サラスヴァティとなった!。そこに初めて訪れるしーシュ。
アスパラが建物自体の改装のため閉店、といふ話を聞いた時、横浜との縁も切れてしまふかもしれぬ事に、心底慄いたワシら。まぁ中華街とは離れてしまった、とは云へ、かうして横浜にまた来れて嬉しい。

新しい店舗は、前よりやや狭いが、もとカラオケスナックださうで、その雰囲気そのまま引き継いだやうな、不思議な居心地の良さを感じるファミリアなイメージ。店長ミヤさん『みんなライヴが長くなるんよ』とのことで、まぁけふはワシらもさうしやうか、と・・。

定刻にはいつもの常連客でほぼ満場。
いつものナンバーに、初期の曲、カヴァー、特典(笑)、んで曲ができた経緯とか、しーシュ結成に至るまでの物語、とか色々と喋りながらゆったりと進めた。耳馴染みのお客さんばかりだったが、さういふエピソードのあれこれを興味深く聞いてくれ、楽曲に対する納得も深まったのではないか、と・・。

ホンマに家庭的な雰囲気で演れるかんぢで、千秋楽 気持ちよく歌わせていただいた。やっぱり良いなぁ。

サラスヴァティはインド神話における芸術の女神。海を渡って弁財天となり、商売の神様となったが、その双方の御利益をもらひ、今後とも横浜にとって、お客さんにとって、そして我ら旅の音楽家にとって、よき存在であり続けて欲しい。また、帰って来ます。
みんな、ありがとう。

5月27日(月)帰還

6日間7ライヴ終え、けふは帰るのみ。
この数日、昼は真夏日、夜は冷え込む、といふ日が続いてゐたが、特に大きく体調を崩すこともなく、駆け抜けることができたやうだ。

まァ最後なので、と、横浜中華街で昼飯でも喰はむ、と。
ぢつは前回アスパラ最後のライヴとなった時のツアー。宿へ向けて歩いて帰る途中、中華街を抜けたのだが、その時、閉店して電気も消えたれも居ない店の軒先にぶら下がった北京ダックの、一羽だけがぶらんぶらん揺れてゐる!といふホラー場面を目撃したのだ!。けふはその謎を確かめるべく、その店に行ってみる事に。

おそるおそる入った店内では、相変わらず裸のダックたちがぶら下がってをり、盛大に扇風機の風を浴びて揺れてゐた・・・・。
まぁ、さういふ事でしたね。夜通し乾かすんですねぇ・・・。

敷居が高さうに見せた店だったが、入ってみると良いかんぢの大衆食堂で、昼間っから紹興酒の炭酸割り飲みながら、まぁ二人してよぅ食べた。

夕方に羽田を飛び立ってから広島に着くまではほとんど寝てゐたのだが、なにやらえらい気流が乱れてゐるやうで、広島空港に着いてみれば、雨が降ってゐる。
往路は広島ピーカン→東京嵐、で復路は横浜真夏日→広島雨、と、まぁ日本もこれでなかなか広いもんだな、と思ひながら、一週間ぶりの我が家へ帰るワシであった。

今回も良き旅であった。