週変わりのシュウ

風のやうに むしろ苔のやうに

6月15日(土)

ホンマはこの日から山口ひとり旅が始まり、長門〜萩〜下関〜宇部、と回る予定であった。・・が、初っ端の長門がポシャり、その勢いで計画が暗礁に乗り上げ、結局下関と宇部の二箇所のみ、といふツアーとなった。
後で知ったところによると、山口山陰側にはハゲさんこと富安秀行さんが来てゐたらしい。旅ミュージシャンの日程が重なるのは良くある話だが、ハゲさんはとみにバッティングするなぁ(笑)。

ライヴする宛てがなくても出発して路上で演りながら・・・、といふテが無いでもなかったが、まぁ雨も降ってるし体調もまだイマイチだし、で、出発は諦めて週末の家を過ごす。

車中泊の食料やら用具やらを、まぁ準備して

6月16日(日)ひとり山口旅:下関T-Gumbo

さて天気も良くなったし、出発するか。
一人旅の時は基本的に高速道路は不使用。下道をノンビリ征くを旨とす。カーナヴィを作動させると『所要時間6時間』と出る。そげにかからんだらう、と思ひながら西へ向かって「ぐっち」を駆る。
日曜日の一般道はなかなかに空いてゐて、走りやすい。快調に進む。

結局カーナヴィ予想より大幅に時間短縮でき、4時間とちょっとで下関に着。日曜日の商店街は休みの店が多く、えらく閑散としてゐる。地方都市あるある。昨今、広島の流川も日曜日の夜はだいぶ寂しい。繁華街の灯が消えかけてゐる。

けふは地元ミュージシャンのOAもなし、完全ソロワンマンにて、お客さん、来てくれるんかいな?と思ひつつ準備してゐると、開演時間までにはわらわらと集まって来てくれ、ライヴの形になる程度には集客。ありがとう、みなさん。

ZEKUSwing river 、で共に旅も回ったギターの野田玉青(たまお、と読む)も久しぶりに顔を見せてくれ、再会を喜ぶ。けふは他にも広島時代の古い仲間(下関に単身赴任中)や、前回対バンをしてくれた地元のミュージシャンも駆けつけてくれてをり、いやぁ嬉しいな。

出来はどーだったのだらうね?。
そこそこ良い演奏と歌が演れたとは思ふのだが、あんまり感想が聞けなかったので・・・。最近ライヴ中にリラックスするあまりダラっとしてしまってゐるのではないか?と思ふこともあり、気を付けたいのだが、これがあまりカチっと演ると、逆にお客さんが萎縮してしまふ、といふ事もあり、どっちを立てればどっちが沈み・・・の世界。
特にワシは、例えばエージさんやカワちゃんのやうに、『ステージでは必ずこの形に!』といふスタイルがないので・・・。まァ、だからこそ毅然としてただひたすら曲を演るしかないんですがネ・・・。

お集まりの皆さんに感謝。

6月17日(月)ひとり山口旅:オフ

ゆんべは、前回も使った市営駐車場で車中泊。
トイレも洗面台もあるので使いやすいが、多分ホンマは車中泊なんぞしてはいけないのだらう。『駐車以外の目的に使用不可』と書いてある。まぁ火を焚いたりするわけでもなく、そこは大目に見ろよ、と。なるべく監視カメラに写らぬやうにしながら顔洗ったり、歯ァ磨いたり・・・。

計画してゐたツアープランがポシャり、けふもオフ。
どーすっべかな?と思ひつつ、海辺で風に吹かれて読書。平日の海岸にはご隠居の釣り人が沢山ゐて、その人らと海峡を行き交う貨物船を見てると全然飽きない。このままここで野宿しても良いな、と思ひもしたが、まぁいちをう出発。なんとなく、宇部の先にある道の駅で今夜はビバークの予定にす。

天気良く風涼しく日差し暖かく、とても良いドライブ日和で、良ささうな景色を見るたびに車を駐めてぼーっとす。さうしてたら防府の音楽仲間、きよ乃のヴォーカル原如乃から電話があり、思ひがけず宇部市内でデートすることに。
ユキノはなんでもここ最近で旅音楽家の仲間入りをしたさうで、その心構えや旅のエピソードなどを聞きたかった様子。異郷の地で異郷の美女とチャ〜する、といふのは良いものだ。夕方までなにやって時間潰そう、と思ってゐたので、助かった。ユキノにThank you。

してたら宇部の弟分小田よぅねんから電話。「今どこスか?」と問ふので宇部にをる、と答えたら、何故ウチに来ぬ?と(笑)。車中泊なんぞせずにウチに泊まれ、と云ってくれ、お言葉に甘えることに。

よぅねん宅に着くと5歳になる双子(♂)がお出迎え。2月に会ったばかりなのであんまり久しぶりではないが、相変わらずのグレムリンぶりでシュウさんシュウさんとモブレつく。これもそのうちミョ〜に色気付いてワシなんぞに愛想も云はぬやうになるんだらうな、と(笑)。

子供らが寝た後は、よぅねんとサシ飲み。
宇部といへばしーなさんの出生地で、もとはそれだけの地であったが、よぅねんとの交流のお陰で、今やしーなさんより宇部に馴染んでゐるワシである。

6月18日(火)ひとり山口旅:宇部Big Hip 華麗シュウないと

よぅねんはカタギの仕事持ち。
奥さんも働きに出てて、子供らも当然保育園に。よって日中は鍵を預かり、留守を守る(笑)。読書したり昼寝したり散歩したり・・・。
車中泊グッズから食材を取り出し、よぅねん家の台所を借りて自炊したり・・・。

夕方、よぅねんが帰って来て、揃ってけふの会場Big Hipに向かう。
毎年6月に参加させてもらってゐる月例企画華麗衆ナイトへ、今年も参加。シュウさんが来るだけで来場者数が上がる、と云ってもらへてゐる。心して演らねば。

けふの出演者は、西広ショータthree fingers友田あつしばななちっぷすハイパーダンク、にワシ。
スリーフィンガーズは小野田の叙情派シンガーさくぞうの率いる新バンド。もとよりサクちゃんの作る曲とその歌声には並々ならぬものを感じてゐたが、バンド編成になってさらに良いかんぢに・・。読書家らしい雅な言葉選びには、いつも感心させられる。
ばななちっぷすは、ハイパーダンクのギターおぅにし君とその嫁さんヒトミちゃんによる夫婦デュオ。ヒトミちゃんはワシと同じくフレットレス専門のベース弾きで、けふは「不在のしーなさんに代わって」と短パン姿で美脚を披露。ナイスバディの長身にフレットレスのベースがよぅ似合う。

けふはホストのハイパーをはじめ、ワシ以外の出演者全部が「3曲まで」といふ括りだったさうで、そら申し訳ないな、と思ったが、みんなたしかに3曲括りなれど、ハイパー以外はMCが長い長い。逆に5曲演らしてもらったワシの方が時間的には短かった。

恒例のスペシァルゲストとして、良いモノがお見せできたのなら嬉しい。昨日デートしたユキノも来てゐて『昨日、話で聞いてゐた事がよくわかりました』と。けふは歌が特に良かったやうで、終演後それを伝える声が多かった。投げ銭もいっぱい頂いたので、出演者全員に一杯づつオゴった。

打ち上げは居酒屋で。
ひとりで旅をしてゐて、いちばん心安らぐのがこの時間だと云ふと、みななるほどね・・と。たれも知らぬ土地に出向き、誰でもない者、として歌い、認められ、初めて会った人と、その地の店で打ち解けて酒を飲む。
この時間はホンマ、何にも代え難い、至宝のとき、と云へるのだ。これを思ひ出すためにも、やはり時折はひとりで旅せねばならぬ、と思ってゐる。

6月19日(水)

よぅねん家から帰る。
けふは昼間にレッスンを入れてをり、それに間に合うやうにせんければ。
朝、またまた よぅねんら家族が出てって幾らもせぬうちに、ワシも出発。
ど平日の幹線道路を東へひた走る。途中 何度か眠くなったが、けふは昼寝してゐる訳にはいかんので、まぁ頑張って昼飯休憩のみで広島まで走った。

で、チャリでレッスンへ。
「先生、疲れてる?」と生徒。おぅよ、疲れてゐるとも!。が、そは心地よき疲れなり。生徒を待ってる時間が一番疲れを自覚するので、その時間にはストレッチしたり、外に出て本屋を巡ったりするのだ。

で、夜21時過ぎまでレッスンして(念のため:この時間帯ビッチリレッスンが詰まってゐる訳ではないですよ。むしろ空き時間も長い)帰宅。4日ぶりに女房の顔を見る。

6月20日(木)モンゴル&さとしの いきなりステージ:広島Jugemu

先週参加したモンゴル松尾(key)&石井聡至(Dr)の不定期セッション企画「いきなりステージ」に味をシメてまたまた参加。
けふはレッスンが昼に終わったので、一旦帰宅し、女房とフツーに晩飯を食ってから「出勤」。日頃なら帰る時間に市内に出てゆく、といふもなかなか一興。

前回よりさらに「腕慣らしのセッション」といふかんぢとなり、けふは参加者も少なかった事もあって、よりトリオの演奏を楽しんだかんぢ。サトシが歌ってみたり、お客さんに歌わせたり、と自由奔放な3時間。

前回のイキオイで決まった熊本香織ちゃん(vo)と、モンゴル、さとし、ワシのクァルテットをどーいふ名前にしやうか、とかさういふ話をしながら・・。けふは流石にツアー帰りすぐで喉もカレてをり、あんまり歌えなんだな。最後らへん松尾さんがべろべろに酔っ払ってゐたのが楽しかった。

前回と同じく、3時頃によぅやく終了。
チャリで帰宅して寝床に入る頃には、空がすこぅし白んでゐる。
ぬむぅ・・・さすがに疲れたな。

6月21日(金)

一時期 世間的には『指で弾かずばベースにあらず』みてぇな風潮があり、テクニック至上主義のベーシストがいかにも触れ回りさうな内容のこと。まぁこのワシですら そのやうに思ってゐた事もある。
一部パンク系の輩のせいで、ピックで弾くベースは莫迦でも出来る、のやうな趣があり、まぁあながち的外れな意見でもなかったので。

が、此処んところピックで弾くベースの面白さ、を再認識してゐる。
しーシュの「わたしはモナカ」なんぞ、その最たるものだ。指で弾くよりも格段の躍動感がありますよ。

ポール・マッカートニィ、ジーン・シモンズ、グレッグ・レイク、トム・ロビンソン、ジャン・ジャック・バーネル、矢沢のエーちゃん、・・・、あの頃、歌うベーシストはみーんなピック弾きであった。それを見て音楽を始めたワシも、さうだったのだ。
当時は、おそらくベースには誰も使ってなかったであらう「リッチー・ブラックモア・モデル」のピックなんぞ使ってゐたな。さういふピックを使ってゐる自分、てぇものに酔ってゐた感はあるな。
高くてねぇ、これ・・・。
フツーのピックが¥100くらいの時代、このリッチーモデルって¥500くらいしたんぢゃなかったっけか?。

今はいろいろ試してみた結果、「スガシカヲ」モデルのピックを使ってゐる。スガシカヲがどんな人か知らんのだが、手に一番しっくりくるのがこれなのだ。

ちなみに、楽器経験の全くないベースの生徒が、ピック弾きか指弾きかで悩んでゐたら、間違いなく指弾きを薦める。ピックは「道具」であり、道具、といふはそれを使う為の技術がひとつ増えるからだ。道具は正しく使わんと役に立たんでの。で、その技術はたいへんめんどくさい、といふか・・・。