週変わりのシュウ
7月11日〜17日
2019年初夏の九州ツアー
7月11日(木)博多ダイアリィ
九州ツアー発動。
博多の朋友デュオSound sketchとしーシュによるカップリングツアーも、これで3回目。
去年はナンダカンダで6日間6会場連日ライヴ、といふ強行日程となり、それはハードながらなかなか楽しかったのだが、今年はしーシュ側が提示した日程では3会場しか都合が合わず、その他では独自ルートの開拓といふ局面となった。
その初日はサウスケのお膝元である博多。
しーシュは「乗り打ち」で。
鍵盤&歌の亀山みゆきさんと、ギター&歌 久米博之さんの地元コネクション強固な街でのライヴは、毎回「ライヴパーティー」さながらの様相。会場設営から打ち上げまで含めた まる壱日のお祭りイベントとなる。
去年のツアーでは、初日をリハと決起集会(宴会)に充ててしっかり打ち合わせをしたが、今回は乗り打ちにて、ややその辺ナーヴァスな面もあり。しーシュもこの頃なにやら忙しく、リハの時間も取れておらぬままのツアー出発となったが、まぁ・・・。
結構慌ただしくリハして本番まで。ワシが忘れ物して取りに帰ったりして迷惑かけてしまったが、とりあへずスタート。
けふのしーシュは、なんかそんな気になり、ループの使用をやめたラインナップで構成してみた。しーシュと云へばループの使用を含めたサウンドメイクが主軸、とも云はれるが、ぢつは使わんでも構成できるのだ。といふかんぢで(笑)。
グランドピヤノが使えた自由度からも、この日の演奏はぢつに良いかんぢとなり、我ら自身もこの方向の可能性に、さらなる希望を持てたライヴとなった。
サウスケとのコラボ、久米さんとのデュオも初日にしてはなかなかの完成度。ゲスト唄の田中宏明センセイ(ホンマに医師)をフィーチャーしたほぼアカペラも、及第点。良きライヴが遂行できて嬉しや。
打ち上げは、お客さんが誰一人帰らない状態から(笑)、ほとんどライヴの延長みたいなかんぢで。
良いライヴの後は、特に独りでゐても孤独は感じず、逆にちょいと引いた目線で楽しさうなみんなを眺めてゐるのが好きだ。そんなかんぢでカウンターで独りワインを飲んでゐたら、数人から「シュウさん一緒に飲もうよ〜」と誘ってもらへる。サウスケとの交流のおかげで、博多の人たちにもすっかり知ってもらへたワシ。もとより親交のあったしーなさんも含め、しーシュが博多のコネクションに受け入れてもらへた感ひとしを。
感謝を胸に、粛々と演りませう。
7月12日(金)春日 ギャラリィ蔵
ツアー二日目。
九州滞在中はみゆきさんのお宅に下宿してゐる。博多〜春日は近いので、けふの日中はヒマ。博多に来たらラーメンより餃子よりちゃんぽんより、コレを食べねば!の『今屋のハンバーガー』を食べに中央西公園展望台まで行く。
知る人ぞ知る名店(屋台)だが、店主のおじぃちゃん もぅだいぶお歳なので、年に一度来れるか来れぬか、のワシらがいつまでこの味を楽しむことができるのか??。博多に来る限り通おうと思ってはゐるが・・。
前回は外にゐるのがツラいくらい寒い日だったので、今回は展望台で海を見ながら食べやう、と思ってゐた。が、けふは逆に外にゐるのがツラいほど暑い。んでまぁ木陰の中にある屋台なので、蚊の襲撃もすさまじく、断念。車の中でもそもそと喰ふ。相変わらず美味しい。
おじぃちゃん、元気で長生きしてほしい。
さて、ライヴだ。
夕刻前に春日は「ギャラリィ蔵」へ移動。ここはアンプを持ち込みさえすればライヴの出来る体制なので、準備もスムース。ジャズのライヴを目的に作られた箱なので、音も良い。この広さならば電子ピヤノの音量に合わせた生音生声でも良いんぢゃないか?とワシは思ふ。
げに世間のミュージシャンは、ややリヴァーヴに過剰な期待をしすぎではないか?と常々思ってゐる。そりゃまぁアレは気持ちの良いものだが、猫も杓子もリヴァーヴで飾れば良いといふもんではない。
ワシは逆に、下手なリヴァーヴなら無いほうがマシ、とすら思ふのだ。
まぁ、なかなか理解してはもらへんがね・・・。
けふもしーシュはたいへん良く出来ました、の演奏。ぢつにリラックスしてステージに臨めてをり、しーなさんとのイキもぴったりだ。まぁ願わくばけふのこの音場で、ピヤノがせめてアップライトであったら(ここは電子ピヤノ)ば、とは思ふ。まぁそれを差し引いても良いライヴ。
コラボの出来も良く、けふもお客さんによく楽しんでもらへたやうだ。
ワシから見えるところに、かういふ場に不慣れななんぢのスーツ姿の紳士が二人座って居られ、けふは なかなか表情を顔に表さぬこの二人をニコつかせる事を主軸に進めてみた。まぁ帰る時に『楽しかったです』とワシに告げてくれたので成功したのだらう。
打ち上げでは隣に座った初対面の初老の紳士と喋りまくるワシ。その方曰く『ドリカムかしーシュか、てかんぢだった』との事で、そは流石に褒めすぎでしょう!(笑)と思ったが、素直に嬉しい。ありがとうざいます。
さらに精進を重ねませう。
7月13日(土)長崎
明日 日曜日に佐賀でのライヴが決まったので、九州の西に向けてのアプローチが出来ぬものか、と探ってゐたところ、さういへば これだけ旅してまだ長崎に一度も行ってない事に気付いたのだ。
広島と同じく「被爆地」といふ重い軛を持つ土地を、できるだけ静かに訪ねてみたい、との思ひがあり、ライヴを入れられぬこともなかったのだが、けふのところは訪ね行くのみにした。
小雨の降る中、平和公園や出島資料館を見て歩く。
被爆地としてのスローガンとして、一般に「怒りの広島 祈りの長崎」と云はれる。他の土地で神社仏閣を見かける頻度と同じくらい、長崎にはキリスト教の教会があり、そこがそのキャッチの所以だと思ふ。実際のところは広島にも祈りはあり、長崎にも怒りはある。
あらいでか。
ここに、やはり広島と同じやうな地獄絵図が繰り広げられたのだ。
広島のそれ比ぶれば、やや規模の小さい長崎平和公園。雨の中、ひっそりと佇む、当然 初めて見る平和祈念像にも心打たれた。
祈りと、怒りと、そして許容を等しく胸に、我らはこの業深き世界を生き抜かねばならない。
改めて。
7月14日(日)佐賀 雷神
歌旅仲間であるマエケンことマエダケンタロウの紹介により、彼の出生地である佐賀で一本演れぬか?と相談を持ちかけたところ実現した、けふのライヴ。
本当はマエケンと、ベーシスト山地功太によるMykeys、と一緒に出来たら良かったのだが、彼らは一ヶ月前にここで演ってをり、今回は独自ルート開拓となった。
対バンは地元のバンド勢が引き受けてくれ、逆に云へば新しい輪を繋ぐにはそれで良かったのかな?との思ひはある。日頃は農業をされてゐる、といふソロ引き語りストのOCOZEさん、広島から来る、といふ事を考慮に入れて、矢沢永吉のカヴァーナンバーでまとめてくれたHITの皆さん。
みんな完璧なるジェントルマンで、旅のバンドをきっちり迎えやう、といふ気概がひしひしと感じられ、佐賀に対する好感度が、けふ壱日で一気に高まった(笑)。
みなさん、本当にありがとうございました。
けふは初めての土地なので、難しいことは考へず「王道」のラインナップで構成。雷神マスター牛島剛さん操る音場も完璧なハコで、とても気持ちよく演奏できた。一曲ごとにお客さんの興味を引き込んで行く様子が分かり、嬉しかったな。
終演後、HITのベースの方が機材を覗きに来られた。よくある事なのだが、大したえへくたを使ってない(このツアーはループとワウだけ)事に驚いておられた。そのえへくたを写真に撮っておられる姿はカワイかった。
良きご縁が出来たのなら嬉しい。
帰りに乗ったタクシーの運転手さんがまた最高で、「それは楽器ですか?」から始まるやり取りは珍しくもないが、「ぢつは私の友達がバンド演ってまして云々レコーディングが近々あって・・・」のやうな話で、えらいこと盛り上がった。
う〜む、なんだか佐賀が好きになったぞ(笑)。
7月15日(月/祝)北九州 八幡デルソル
サウスケとのカップリングとしては千秋楽。
昨年同様、ワシの「古巣」と云っても過言ではない八幡はデルソルだ。
この赤い扉を何度くぐったことか・・・。
何度 ここのステージに立ったことか・・・。
やはりこの店に来るたびに、特別な感慨が胸を満たす。ん〜〜〜〜、今回もまた、ここに帰って来たのだ。
二日ほど別々に活動してゐたしーシュとサウスケ。このブランクが吉と出るか凶と出るか・・であったが、終わってみると「吉」だったかな、と思ふ。この日は音もうまく作れたこともあって、皆がちゃんと演れること全てを演れた、といふ気がした。
しーシュの出来もベストに近く。
客席には、そもそもワシとデルソルを繋いでくれた張本人である村岡達也氏が久しぶりに顔を出してくれており、数年ぶりの邂逅を喜び合った。ひと頃はしーシュ二人を含む Swing riverといふバンドとして、共にステージに立った、しーなさんにとっても「恩人」とも云へる男。
いまのしーシュを見てもらへる事が、ワシの願いだったと言っても過言ではない。それがこの日に実現したのだった。
良いライヴだった。
サウスケの二人とは けふでお別れ。またこの4人で一緒に演れる日を楽しみにしながら、彼らは博多へ。ワシらは次の街へ。
7月16日(火)宇部市 studio DUO
けふだけ九州ではないので「九州ツアー千秋楽」とはいかず(笑)、まぁツアーの最終日。・・は、しーなさんの出生地、山口県は宇部市でのライヴ。
ワシは先月、この地でのイベントに出演してをり、ちょうど一ヶ月後の再来となる。昨今、出身のしーなさんよりこの地に馴染んでゐる自分を感ずるが、そはひとえに「弟分」Hyper Dunkのベース小田よぅねんに負うところがほとんどだ。
けふのライヴも彼の導きによる。
会場のDUOは、以前は別の場所にあり、頭首のタッパチさんこと山本立哉さんとは、ひと頃は何度か一緒に仕事をさせていただいた。けふは久しぶりの再会と、新拠点での初お目見えとなる。相方の頼田悠李さんもお元気さうでなにより。急な相談を受けていただいて感謝。
対バンを引き受けてくれた室崎和之さん、さくぞう君、ともに昨今のナヨ系男子唄とは一線を画すぢつにいい「男の歌」を聴かせてくれ、素晴らしかった。
さくぞうのステージには、しーなさんのリクエストにより「押し売りバック演奏」でも参加。さくぞうもたいへん喜んでくれてゐて良かった。
ぢつはこの日、しーなさんが朝から原因不明の「胸の痛み」に苛まれてをり、ステージ上ではそのそぶりすら見せなんだのは流石だが、永き相方のワシには呼吸の浅さや声の出し方で、相当な痛みを堪えてゐる事が伺え、急遽予定にない曲(ワシが歌う曲)を演ったりもした。
このブログがアップされる頃には快癒か、せめて原因が解明してゐる事を願ってやまない。
このツアーでは、ほぼ日替わりでラインナップを入れ替えてみた。持ち曲の多さをアッピールする意図はなかったが、結果そのやうになり、またその全てが、あまり練習してないのにたいへんうまく出来たのは、こっから先のしーシュの指針となるだらう。
来週の地元定例会「薬研堀夜市」では、新曲の一挙公開も目論んでゐる我ら。結成17年目の夏に向けて、しーシュさらに力強く進んで参らう。
7月17日(水)帰広
今回のツアー、途中で一度「食生活の乱れ」を感じ、それをリセットする意味(気持ち)も込めて、ほぼまる壱日「野菜だけ」食した日があった。
壱回で一人2人前のサラダを食し、酒のつまみも野菜で済ませ、気分的にだいぶ罪悪感を減らせたのだが、ツアー後半えらいことバテてしまい、そは帰広のこの日にも及んでしまった。
今にして思へば、あの「野菜の日」に、例えばステーキとか、さういふ分かりやすい「肉」も一緒に摂取すべきだったのかな、と・・。
長いツアーを最後まで健康に駆け抜けるには、やはり道中の栄養補給をちゃんと考へねばならんな、と改めて思った。
特に、この季節から夏場にかけては・・。
「ラーメンライス」で壱日じゅう肉体労働に従事できた若さは、もぅワシの中にはないのだな、と思ひながら、広島までの道を往く。
今回もまた、実り多き 良き旅であった。