週変わりのシュウ

もぅ 忘れた方がいい

7月18日(木)

旅帰り日常。

この数年、自分がどんな暮らしをしてきたか、をつらつら考るに、ぼや〜とした荒筋しか思ひ出せぬ、といふ・・・。
当然、思ひ出に強く残る出来事も多くあれども、日常の日々をどぅやって暮らしてゐるか、が非常に曖昧模糊としてゐる。絶えず日記はつけてゐても、文間に潜む暮らしまでは垣間見えぬ。

今からは信じれぬが、三ヶ月休みなし、のやうな多忙な日々もあった。だが、それが現在に何かを残してゐるか、を問ふと、なにも・・・。

そんな中、我らがマンスリーで出演してゐるオリエンタルホテルのニューヨーク・カフェが、8月いっぱいでラウンヂ演奏を撤廃す、といふ知らせが入る。いつかは来る知らせとは思ってゐたが、遂に、ここも・・。

7月19日(金)

けふ、昼間に広島市内アーケイド=いわゆる「本通り」を歩いてゐたら、どこからともなくもの悲しげなサックスの音が聴こえて来た。
これが夜ならば、たれかが路上演奏でもしてゐるのだらう、と思ふが、昼間に聴こえるは珍しい。

引き寄せられるやうに音のする方へ歩いてみると、そこには3人のチンドン屋がゐた。ピエロの装束をした男がソプラノサックス(と思ふ、見えなんだ)を吹き、一人の和装の女性がチンドン太鼓を叩き、もう一人の和装女性がビラを配ってゐる。このビラを配ってゐた女性がたいへん美しく、思はず見とれてしまったのだが、まぁ濃い化粧をしてゐるので真偽のほどは・・。

男性が吹いてゐたメロディは、なんだったか思ひ出せぬが、意外な海外のポップスのメロディだったのは確か。
ワシの傍を過ぎて行くカップルの男の方が『昔はよく居たなぁチンドン屋』のやうな事を相方の女性に語ってゐたが、どう見ても彼はワシより若い男で、「その昔っていつよ?」と思ってしまった事は伏せておく。

ビラの1枚くらいもらっておけばよかった。

7月20日(土)

ぱんぱかトリオのリハが昼から。
「縦べぇ」を使うか「ぱんベース」を使うか悩みもしたが、結局「ゔぃを子」で演るのがぱんぱからしい、と結論。

夜は、そのぱんぱかが明日ライヴをするジュゲムに友人のライヴを観に行く。こないだ宇部でデートした原ユキノを擁するデュオきよ乃
したら、呉界隈のワシのライヴによく顔を出してくれる土居田 治くんと園田真希ちゃんのデュオも出演者だって、おぉこれは偶然の喜び。ワシは楽しんだが、まぁ彼らは緊張しただらうなぁ。

きよ乃ではギターのきよふみ氏が弾いてゐた「6〜5弦にベース弦を張れるギター」が興味深かった。岐阜のギター工房ヤイリ製。なるほどこの作りならば、例えば「ベースVIの弦を張れるアコギ」をオーダーする事も可能か、と・・・。いやいやそげな経済余裕はなからう、いやいや後半生に向けて持つなら今しかないやろ?とか色々葛藤。

ユキノは歌旅人の新米としてよぅ頑張ってをった。過剰なほどの色香を振りまいてをり、心配になるほどだった(笑)が、まぁそれが彼女の持ち味であり、それが音楽とうまくマッチすればセールスポイントにもならう。良きオリジナルの誕生を期待したい。

ワシはそのままジュゲムに残り、モンゴル松尾石井聡至の「いきなりステージ」に参加。最近レギュラーとなりつつあるワシ。ノーギャラですが・・・(笑)。
直感で楽曲を構築する、といふ点では、この企画 確かに大したトレーニングになる。この猛者ふたりを相手にして互角に渡り合えるに必要な「球数」だけは、少なくとも蓄えて来られてゐる自分を、たまには褒めてやらう。

けふは割といっぱい人が遊びに来てゐて、数種のセッションを楽しんだ。
「明日は昼ライヴだし、早めに帰ろう」と思ってゐたのに、終わってみるとやっぱり午前3時・・・・・。

7月21日(日)ぱんぱかトリオ「旅する旋律」@ジュゲム

ぱんぱかトリオ「昼ライヴ」。

ツイ7時間前までここにゐたのに、またジュゲムへ(笑)。
ゆんべ帰るときもルーシー・ママは『シュウくん泊まってけばいいのに』と云ってくれてた。ホンマにねぇ。

「旅する旋律」は、カワちゃんが旅で出会った音楽仲間を広島に紹介する企画。けふ迎えしは中田真由美ちゃんといふ女子シンガーソングライターと、そのサポートとして、ワシとはじぶこんHSバンドで同僚の夏秋文彦さん(鍵盤その他)のデュオ。真由美ちゃんとカワちゃん、夏秋さんとワシ、といふ符号となったのはホンマに偶然で、オモロいこともあるもんだな、と。

真由美ちゃんの歌は、清涼感のある女子弾き語りの典型、といふかんぢだが、随所に入る夏秋さんの「異世界」感が絶妙だった。
その後に演ったぱんぱかトリオが、長く聴いてゐるファンからも「もぅロックバンドやね」と云はれるくらいのドライヴ感だったので、良い対比が出せたのではないか?。
夏秋さんからも『3人とは思へないブ厚さ』といふ感想。
名古屋の音楽バァ ストレガ乾マスターが、ぱんぱかトリオを指して『最高峰のトリオ』と賞賛してくれてをり、流石にそれは褒めすぎでしょう!と笑うのだが、さう ぱんぱかトリオはロックバンドなのだ(笑)。

良きライヴであった。
ぱんぱかトリオ、えぇかんぢである。

昼間のライヴ、てぇのも乙なもので、打ち上げを終えてもまだ夕方、といふのは悪くない。

ところで、しーなさんはしーシュのツアー中に現れた「謎の胸の痛み」がまだ続いてゐて、しかし病院では異常は発見されなんだ、といふ話。
ので、改善されてはおらず、ピヤノはまだしもアコーディヲンは痛くて持てぬ、といふ事から、けふは珍しく「シンセを使うしーなさん」が観れた。これはこれで全然悪くないので、今後ぱんぱかでもシンセが登場する局面も増えるか?。

7月22日(月)

吉本興業の乱、が続いてゐるやうで、TVを持たぬワシにすらそのニュウスが流れ込んでくる。

社長の語った「身内のシャレのつもりで言った」といふ言葉の重みを考へる。

「身内」だからこそ、守らねばならぬ掟はある。
確かに、極めて仲の良い友人同士で、お互いに莫迦だの阿呆だの無能だの貧乏だの云ひ合うことはあっても、そは本当にイーヴンな関係においてこそ通用する「シャレ」だ。
そもそも同じ仕事をする仲間の間で、相手を貶めたり脅したりする発言などありえないはずだ。ましてやそこに「力関係」が存在するならば、そは完全に権威の暴力であり、前時代の唾棄すべき因習といふ他はない。

親愛も信頼も、努力なしには得られないのだ。
自らにも問うて、これを守る。

7月23日(火)

昨日の考察の続き。

昔のバンドマンには体育会系気質の人が多く、下は上に絶対服従といふ掟があった。ギャランティの格差は当たり前。ワシにはその経験はないが、『自分がミュージシャンなのか荷物持ちなのか分からなくなる』といふ若手の愚痴も聞いた事がある。
まぁその分、色々な局面で可愛がってもらってはゐたし、「下手くそ!」と罵倒されながらも仕事はキッチリ回してもらえたので、地力を磨く事はできたし、あの時代のあの世界の先輩方には感謝してゐる。

ワシにはZAVZAといふ元弟子がをり、各地で活躍してゐる。誇らしい教え子であるが、こやつは端から見たワシの友人が眉をひそめるほど、ワシに対する態度が不遜である。同じく活躍中の元弟子 木本パイグ沢也が『お前 シュウさんに敬語使え!』と云ふほどに(笑)。

ワシ自身は、元教え子ではあっても、現在同じ稼業であらば「同僚」と思ってをり、このふたりそれぞれのワシに対する態度を微笑ましく思ってゐる。どれだけ態度が不遜でもZAVZAがワシに対するリスペクトをあちこちで口にしてゐる事は、風の噂で耳に入ってくる。
パイグにもZAVZAにも、等しく敬意を持って接したいと思ふし、彼らを貶めたり脅したり、のやうな態度をワシがとることなど、信じられぬ。

先輩から後輩に対してこそ、敬意を払うべきなのだ。
上から下へのリスペクトこそ、社会を回すのである。

まぁZAVZAがワシ以外の人に不遜な態度をとってゐたら一発ぐらい殴るかも知れんが(笑)、ヤツはワシ以外の人にはちゃんと良識ある態度で接してゐる。それで良いと思ふ。

が、まぁ、もぅ少しは敬語使え(笑)。

7月24日(水)

生徒の一人がU2を聴いてをり、さういやワシも以前にはよく聴いてゐたな、と思ふ。「ジョシュア・ツリー」が出た頃・・・まぁU2が世界的に「流行った」頃だ。

まぁかう云ってはナンだが、ことベースに関して云へば、まっっったく聴きどころのないバンド、と云へる。正直、「中級よりちょい上」くらいの実力があらば、ワシの生徒でも代役が務めれるんではないか、と思ふ。

なんでもU2って、メンバー全員ほぼ幼馴染みらしい。それが結成以来一度のメンバーチェンジもなく、40年近い活動を維持し続けてゐるんだって。地元の友達同士で組んだバンドが、そのまま世界的に成功したレア中のレアなケースだらう。
ゆえにベースは 彼、アダム・クレイトン氏しかあり得ぬわけだ。んで、U2の音楽性が特にテクニカルなベースを必要としてゐる訳でもなく、逆にとみにコードの低音部を支える役割に徹底すべき音作りな訳で・・・

以前、生徒に「ベーシストに必要な才能ってなんですか?」と問はれた事があり、ワシは『成功するバンドに入る事だ』と答えた。
U2や、ストーンズや、ガンズやら聴くと、ホンマにさう思ふ。

7月25日(木)しーなとシュウ薬研堀夜市vol 14 @広島JIVE

隔月企画「薬研堀夜市」。毎年7月会恒例の「浴衣祭り」である。

浴衣(和装)で来てくれたお客様に、最初の一杯をサービスす、といふこの企画も3回目。「一年に一度浴衣を着れる日」と楽しみにしてくれてゐる人もゐると聞く。ありがたい。

今回、先述した「謎の胸の痛み」が帯状疱疹(ヘルペス・ウィルス)によるものだった、と解明したしーなさん。彼女が、まづ「浴衣を着れるか」どーか、といふ懸念があったが、娘さんに手伝ってもらってなんとか・・・。
箸を持つのも痛いらしく、なるべくワシの歌う比率を上げたラインナップを構成したりした。出がけに娘さんにも「おかぁさんの介護をよろしく」と云はれ「応、任せておけ」と。

デュオの強み、はお互いの不調をカヴァーし合えることで、ワシも何度か(何度も)フィジカルの不調を助けてもらってゐる。それぞれ完全イーブンだからこその互助関係は、バンドのそれとは少し違う。

だがまぁ、さすがは我が相方。
いざ始まればそんな不調などおくびにも出さず演りきるは天晴。無論ワシには分かってしまふ「荒れ」はあったが、それを上回る熱演に、相棒としても拍手を送りたい。よぅ頑張った!。

客席も艶やかな浴衣姿の女性であふれ、とてもいいかんぢ。新曲4ツ一挙公開、といふ荒技に踏み切った今回。相変わらずレスポンスは穏やかなお客さんだが、届いてゐる感をヒシヒシと感じ、けふも良いライヴだった、と。

しーシュ、この夏で結成17年目を迎える。

けふの演目:月の裏の約束/亀の庭/梅雨の仙人掌/いらっさい/月の流砂(新曲)/お茶とシーシャとウェハース(新曲)/ごっとりさん/苔の記憶/ハイギョ/傘がない(カヴァー)/遠い街/まほろば(カヴァー)/恐竜の街(新曲)/日々是如何に(新曲)/Dance /ぎやまん 計16曲。

7月26日(金)

明日からのツアーの準備。

気づけばもぅ7月も終盤であり、8月に入ればスグに盆だ何だのあり、ハと気付いた時にはもぅ「秋」になってたりして、また誕生日が来て・・・、となるのだらうな、と何回目かに思ふ。

ここ数年で一番ライヴが少ない、と感じる上半期であった。
ライヴで活くる、と云ふならばやはり月に15本以上は現場に立ってゐるべき、と思ふが、2019年に入ってから、月に15本を超えた月はまだない。久しぶりに年間ライヴ数が100本を切るかもしれない。

まだ喰ふに困っては居らぬが、まぁ時間が勿体無いんで、バイトでもするかねぇ・・・。