週変わりのシュウ
3月14日〜20日
始まりはいつも風邪
3月14日(月)ーーーーーーーーーー
リハはしごの日。
まづはソルティ・ベアーズ。その前にチョいと熊本香織ちゃんにギターのレッスン。レッスン会場から2人で歩いてスタヂヲに向かう。マンボウも解除され、街には人が溢れくさしてゐる。
ソルティのリハは2時間半。今週末のライヴではスティーヴィー・ワンダーを特集す、といふ暴挙に出て色々とアレだが、メンバー全員、なんとなくその翌日の竹下ひかりライヴの方に気が行ってゐて(難曲が多い)、リハもややバラついてゐるのは否めないかんぢ。
2時間リハ後、ちょっと休憩して、今度はその竹下ひかりリハ。上述のやうに難曲が多く、けふまででよぅやく構成を見失わんやうにはできた。こっから壱週間、これを身に入れねばならんので、ランスルーをしてそれをそっくりそのまま録音しておく。
売れっ子楽師のやうで好ましい壱日ではあったが、さすがにくたびれた。が、けふはその後もぅ壱本レッスンがあり、まぁそれも含めて、正しい楽師の生活、かな?。
3月15日(火)ーーーーーーーーーー
今週は上述の二本のライヴに備えてバイトを入れてない。
日中はひたすら録音したものに合わせて弾く練習。メモリーしたいが、無駄に長い曲ばかりで、しかも展開も似たものが多いので、やっぱり譜面見ないと無理だらうなぁ・・。
昔、カラーズといふバンドのヘルプを演ったときは、ツアーまでに全曲憶えたもんだったがなぁ・・。
夜はフツーにレッスン。こないだ入った高校生の生徒が、もぅやめるといふ。理由を尋ねると『大学生になるから』と云ふ。しかし、遠くの大学に行く訳でもなく、むしろ今通ってる高校より近くなる、といふ話だが・・・・、よくわからんね。まぁ私の教室はその程度のものだった、と・・。
3月16日(水)ーーーーーーーーーー
けふも練習。
この練習が曲者で、かうして長時間テープ(?)に合わせて弾きしごいてゐる事が技術の向上になるか?と云へばたいへんビミョ〜であり、やはり技術のブラッシュアップには基礎練が欠かせない。だが基礎練だけをいくら繰り返しても、やはりある種の壁を越えることはできず、その兼ね合いは大変難しい。
だから本来 楽師たるもの、バイトなんぞしてるヒマはないはずなのだ。洋の東西問わず、芸術はヒマから生まれるのだ。一握りの才能を育てるために、あまたの奴隷が日々を紡ぐのだ。そして私は、その奴隷の一人なのであるよ。
3月17日(木)ーーーーーーーーーー
練習&レッスン。
ホントのことを書くとだね・・。ぢつはここ数日、といふか数週間、音楽に対するモティベーションを失ってゐる。ライヴが決まってゐるから練習も頑張ってゐるが、今の私は『ノルマがあるから仕事をこなしてゐる』社会人と変わらん。
なぜかは知らんが、どうにもやる気が出ない。バイトしてた方が良いんぢゃないか?とすら思ふ。
ごく軽い鬱症状、なのかね?。さういや前にもこんな状態になった。あれもたしかこの時期だったな・・・。「木の芽時」といふやつか。あん時はひどい不眠症にも悩まされて、初めて心療内科にまで通ったんだった。
3月18日(金)ーーーーーーーーーー
バイトを全部休んで練習に充ててゐたが、あまりに鬱々した気分が抜けんので、けふはもぅ練習は切り上げて映画を見に行くことにした。話題の「ドライヴ・マイ・カー」である。
上映時間が2時間59分、とあり、これは前後の用事があるうちは難しいな、と思ってゐたが、まぁいろんな理由でけふポコっと時間が取れたので・・・。
広島がロケ地になってゐる、といふ事でも話題だが、当初の上映期間が延長されてゐるところを見ても、悪くない映画なのではないか?とフンで。@広島八丁座。館内は半分以上が老人。まぁ私も初老だが、考てみりゃ平日の日中に一般人はあまり来ぬわな。
映画は面白かった。全編に村上春樹へのリスペクトと作品への「愛」が感じられ、すごく丁寧に作られてゐる、といふ印象。3時間といふ時間は気にならなんだが、ラストは「ちょっとまとめすぎちゃったかな」といふ気もする。まぁエンタメとすればあれが妥当なのだらう。芸術映画ぢゃないんだから・・。
霧島れいか が凄まじくエロい。終始、儚げで危険な存在感を放ってゐて、そは他の出演者を引き離してゐた、とすら・・・。
この人どっかで見た?と思ってたら、やっぱり村上春樹原作の「ノルウェイの森」にも出てた(当時は吉原 歩名義)人だった。
あの時も印象に残って日誌に書いてゐる。
ぬ〜。ちょっとフォローしてみやうかな・・?。
まぁ、何より良かったのは『つまらんタイアップ・ソング』がなかったことだ。これでエンドロールにおかしげなJ-Popでも流れてきた日にゃ、映画の良さも台無し、のところだが、これは終始控えめでクールなBGMに支配され、音楽監督は石橋英子。やはりねぇ・・。さすがです。
その後 歯医者にも行き、歯も治った。
3月19日(土)ソルティ・ベアーズーーーーーーーーーー
スティーヴィー・ワンダーを演るソルティ・ベアーズのライヴ@JIVE。その前にしーシュのリハも2時間ほど。来週末からツアーなのである。
マンボウ明け、久しぶりの超満員JIVEでのソルティ。かをりチャンの人気を物語る。が、おとなしいしーシュのファンよりさらにおとなしいファンの人たちで、立見も出るほどなのにあんまり盛り上がらない。まぁリキんでも仕方ないので気にせずに演る。
けふは喉の調子が割と最悪だった。裏声はまだしも、地声の中〜高音域がまったく伸びない。長い不調が明け、この頃よぅやくいいかんぢに・・と思ってゐた矢先にこれだ。もぅ前のやうには歌えんのかな?とすら思ってしまう。かをりちゃんは『花粉やらなんかのせいですよ』と慰めてくれるが・・・。ん〜〜〜。コーラスでお役に立てねばなんにもならんのにね・・。申し訳ない。
明日もライヴなので、機材を置いて帰れるのは良い。だが、明日の方が難局なので、けふは打ち上げもなしに解散。
3月20日(日)竹下ひかり壮行会ライヴーーーーーーーーーー
その難局。
難曲だらけの竹下ひかりユニットのたった1回のライヴだ。
前にも書いたがひかりちゃんはタレントのタマゴ。こたび上京してサクセスを目指す、といふことでその壮行会を石井サトシがプロデュースすることになり、そのバックにソルティを選んだ、と。
ギターに林カルロス隆治といふ若いのがおり、これがたいへん素晴らしい、と前にも書いた。相当なテクがある上にステージ華といふものを持っており、私の弟子の川村ZAVZAにも通ずるかんぢ。聞けば同期ださうで、シュウさんの噂はかねがね、と・・。
まぁけふはさういふコらに混じって、モンゴル松尾と私が「年長組」としてゐる、みたいなかんぢに。カルロスは完全暗譜だが、我ら年長組は当然、譜面ガン見である。
ひかりちゃんはその世界での人気者らしく、客席は昼夜二回公演がほぼ満員。配信への参加も相当だったやうで、まぁ良い門出を添えてあげられたならよかったかな、と。サトシが『シュウさん遠慮せんで演ってください』といふので、私も手を抜かず、ここ数年で一番デカい音を歪ませて演ったりもした。こないだ横浜でKenken の音のデカさに驚いたが、まぁ流石にあれほどにはせなんだが・・・。
対バンの連中には、その昔から私をよく見知ってゐた者もゐて、みんなン十年ぶりかの再会。私が30代の頃の「若者」たちで、今やみな家庭を持ってえぇかんぢのおっさんだが、かうしてバンドを継続させてゐる素晴らしさよ。打ち上げでは、カルロスを含め彼らとの会話の方に花が咲き、ひかりちゃんに餞の言葉もかけてやらんかったのは、反省。
竹下ひかりに良き未来が在らんことを。
そして、ヘコたれる事なく 音を紡ぎ続けてゐる、かつての若者たちにも!。
そして、老いゆく我らにも!!