週変わりのシュウ

北の猫に会う旅(しーなとシュウ北海道ツアー)

5月13日(金)ーーーーーーーーーー

壱日に一本だけある広島〜新千歳空港直行便に乗るため、朝6時に出発。いよいよ3年ぶりの北の大地への旅が始まるのだ。まだ車通りもあまりない中、空港まで車を走らせ、いつもの手続き。ゆんべはあんまり寝れなんだ。コドモか?。
ヒコーキは満席で、人々が動き始めてゐる世の中を実感す。飛行中はウトウト。いつも使う羽田空港までより、まぁザっと倍の時間で、北海道は新千歳空港に着。外気温11℃。早速の寒暖差。

けふのところは渡道が目的なので、新千歳から電車で札幌に。札幌からバスで小樽は新光まで。3年ぶりの記憶を辿りながらぼちぼち歩き、これからしばらく投宿させていただく北のブレーン佐藤さつきさんのところへ。

けふのところは時差ボケ解消(?)日といふことで、のんびりさせていただいた上に、晩飯は北海の幸で歓待してくれて感謝!。しばらく一緒に行動するこちらの友人たちも交え、楽しく宴会。

5月14日(土)弁天さまのおぼしめし@小樽アライブーーーーーーーーーー

さぁ、北のライヴ初日。
けふと明日は、横浜の名店サラスヴァティのマスター宮森さんが企画してくれたもの。我らしーシュに九州は福岡から 歌うたい京田つよし。地元小樽から高橋麻衣子、の3組で、小樽〜札幌とサーキットする。

ライヴを前にして、出演者スタッフで顔合わせの昼食会。小樽名物「半身揚げ」定食を食らいながら、京田つよしくんと初対面。共通の友人だけでツリーが出来さうなかんぢ。我らはその後、会場入りまでの間 小樽の超老舗喫茶店「光」などを訪れたり。風が強くて何度もフっ飛ばされさうになった。バイクが倒れるほどの強風世界。

けふの会場アライブは、以前マイコさんと共演させて頂いたお店だが、移転した新しい店舗。ママさんの小山内和子さんもお久しぶりです。壁には前の店から引き継いだ出演者のサイン入りコルクボードが据えられ、そこにはしーシュ2016年、と記してゐる。あれは6年も前なのかぁ・・・。

懐かしさと感謝を胸に挑んだライヴは、残念ながら音場が掴めずやや不完全燃焼。生ピヤノと電気ベースって、本当に難しいな、と思ひつつ・・。いっそ私も生ベースなら良いのだらうか?などと・・。

終演後はお店でそのまま打ち上げ。心づくしの料理をいっぱい用意してくれ、これはのちも思ったけど、北海道の人たちのかういふ「歓待の心意気」みたいなものを感じ続けた旅の初日であった。皆さん、ありがとう。

5月15日(日)弁天さまのおぼしめし@札幌ベガーズハーレムーーーーーーーーーー

一旦札幌へ。

小樽や新光に比ぶると圧倒的な大都会の札幌は初夏の日差し。日なたは暖かいのだがちょいと影に入るとフと寒い、と思ふのはさすが。見れば山々にはまだ雪が残ってをり、まぁさうだよな、と改めて。個人的にはカラっとした気候が、とても過ごしやすい。聞けば蚊もそんなに居らんさうな。いいなぁ・・。

きのうとけふの「弁天さまの〜」は、ミヤさんが横浜サラスヴァティでやってゐる『生配信』をよその地でどれだけ出来るか、の実践も兼ねてのものとなってゐる。ので、出張の生配信ライヴ、てことで、配信を見てくれる人には、日々同じ演目を見せるわけにゃあいくまいて!、と昨日とはラインナップを変えて挑む。

つよし君もそのやうに考へるタイプのやうで、昨日とは違うラインナップ。マイさんも昨日はピヤノ弾き語りSSWだったが、けふはパーカスのジェニー藤田さんとのデュオでバリバリのインスト勝負。みんなライヴ派の楽師なんだなぁ、と爽快に思ふ。

もと新聞社の社屋だった、といふベガーズ〜は、もぅなんてぇのかそこかしこに染み付いた時代の歴史をヒシヒシ感ずる、素晴らしいオーラの場所。マスターのボス近藤さんの穏やかな語り口調と、昼は陽が差し込み、、夜は街明かりが美しく見渡せるカウンターは、近所にあったら常連必至、みたいな場所。ただ、我らの誤算としては、根拠なく『昨日のアライブより広い会場』と思ひ込んでおり、実際はアライブの半分くらいの規模で、そこは勘違い。

きのうとけふですっかり打ち解けた共演陣での打ち上げも楽しく、またここでもバンバン振る舞われる北の大地の美味にメンバー一同感動。『もぅいい、と云ふまで出すよ』と笑うマスター。やはり厳しい土地に活くる人たちのおもてなしの精神は、かういふ所にも根付いてゐるのではないか?と思ふ。

ホンマは明日ぐらいからがそれぞれの本領発揮、みたいなかんぢになるのだらうが、残念ながらこの企画はけふで千秋楽。マイさんジェニーさんは地元で、つよし君は福岡で、ミヤさんは横浜で、それぞれの日々の戦いに戻り、我らしーシュは、あと壱週間、北の大地での戦いが続く。みんな、元気でまた会おう。

5月16日(月)小世界音楽紀行リハーーーーーーーーーー

けふも札幌にゐて、名物スープカレーなんぞを食してゐるのは、20日に札幌は円山で行われるコラボ企画「小世界音楽紀行」のリハをするため。札幌の重鎮2人=ハモニカの千葉智寿さん、ハンマーダルシマの小松崎健さん、両氏とやはり3年ぶりの再会と共演に向かう。

このお二人としーシュの4人で、まぁどこか異国感のある曲なんかを演り、デュオ二組、と云ふよりかはクァルテットのやうに演る、といふのがこのライヴのコンセプト。3年ぶり3回目のコラボとなる。予めメールで交換してゐた譜面や音源をもとに、あーでもないこーでもある、とアレンジを重ね、ぜんぶで14曲が完成。前2回よりさらにクァルテット感が増したラインナップに、おぉいに満足な我らであった。

さて、千葉さん健さんの酒豪っぷりは巷でも有名で、そこにしーシュが加わって何も起こらぬはずはなからう、と。
リハ後はご近所の焼き鳥屋に繰り出し、初っ端から日本酒がごんごん減って行くリハ打ち上げ。二合徳利が何個空いたのか?。夕方から健さんの終電時間まで繰り広げられた酒宴は、しかし誰が乱れることも、諄くなることもなく、ぢつに気持ちの良い札幌の夜がまた更けていったのであった。

5月17日(火)ーーーーーーーーーー

小樽にてオフ。

さつきさんは自宅でマッサージ院を開業してゐて、ぢつは我らが投宿中も、ひっきりなしにお客さんがやって来るのであった。が、けふはさつきさんもお休み。私が運転する車で小樽を観光して過ごす。

前に我らが訪れた小樽は、某国からの旅行者で溢れかえり、正直 公共マナーの低さに閉口することしきり、であったが、コロナ禍で海外からの旅行者が居なくなった小樽の街は、とても良い風情に満ちてゐた。まぁ、それぢゃあやっていけないのが観光地の辛さ、なんだらうけどね・・。

ニシン御殿を見学したり、ガラス工房を覗いたりした後は、近所のスーパーに寄って地元の食材を買い込み、我らが料理でさつきさん達を接待する「出張居酒屋」。いつも機材運搬やら、スタッフとして動いてくれてゐる小山信行さんも交え、ささやかな酒宴を用意させていただきました。

一時期は、この人たちとも『もぅ二度と会えんのではないか?』と思ったほどであったが・・。

 

5月18日(水)北の猫に逢いにいこう@銭箱アジアンタイムーーーーーーーーーー

けふは「銭函(ぜにばこ)」といふ、なにやらありがたい名の町でのライヴ。聞けばこの地はかつて栄えたニシン漁で、文字通りのマネーラッシュだったさう。今はその名残もあまりなく、むしろ若者が集まる海辺の町、としてそれなりに栄えてはゐるらしい。オサレな喫茶店やイタメシ店もあり、昼食に入ったリストランテにはグランドピヤノが鎮座してゐて、ジャズのライヴなんぞ時折やってるとか。

ライヴ会場のアジアンタイムは、この町で猫の里親探しのボランティア活動してゐる「銭箱キャッツアイ」といふ団体(さつきさんもその団員)の拠点となってゐる喫茶店&ゲストハウス。ライヴは店舗ではなく奥の「居間」を会場にしてやるので、機材はみな持ち込み。鍵盤をはじめ、機材一式とその運搬全て小山さんが担当してくれており、感謝しきり。

銭箱キャッツアイの関係者を含め、近隣のしーシュファンの方々で、時間には満席。けふはさういふ場所だし、と云ふことでカヴァー多め、出し物的な演目も含め、2ステージたっぷりをバラエティに富んだ内容でお送りした。久しぶりにソロで「こきりこ節」とか演ったりもした。大好評。

リハなどの合間に「チョイ出し椎修」の撮影なども行い、ライヴも好評で、充実した壱日。

5月19日(木)ーーーーーーーーーー

まるごとオフ。

さつきさんと小山さんもオフを取ってくれた、と云ふことで、北海道観光でもしませう、どこか行きたいところが?、といふ話になり、なんの気無しに『えりも岬とかどうか?』と提案したところ、行きませう、となった。ただ『遠いよ〜』と・・。

ま〜〜〜〜〜〜〜ぁ、ホンマに遠かったね。
朝の9時に小樽を出発して、えりも岬に着いたのは13時半。2時間チョいそこにゐて、また小樽まで帰り着いたのは21時!。まる壱日仕事であった。その距離 約260Km。広島からだと福岡、神戸くらいの距離を日帰りしたことになる。しかもこの移動、渋滞とかは皆無で、ひたすら走り続けた260Kmなのだ。

いや〜しかし、壮大なえりも岬の景観は、苦労して来る甲斐ある素晴らしいものであった。個人的にはわりと 日本の中で行って良かった場所、の筆頭に挙げたいかんぢ。「襟裳の春はなにもない春です〜」の歌詞どおり、ホンマに何もない場所ではあったが、行ってよかった。車を出してくれた小山さん、ありがとう。

5月20日(金)小世界音楽紀行@札幌 円山夜想ーーーーーーーーーー

さぁ、長き北海道ツアーも後半戦。いよいよ、3年間待ち侘びたこの4人でのコラボ・ライヴだ。

会場の円山夜想は2016年に、東京のSSW角辻順子ちゃんとのカップリングで出演したことがある。ぢつに8年ぶりの夜想。今回のツアーでは一番「ライヴハウス」然とした箱で、こないだのリハで感触を掴んでゐる4人は、リハもサクサク進み、考慮すべきは音量差だけ、と云ふ熟練ぶり。

はたしてそのライヴ本番も、4人それぞれの技量、興奮、緊張が絶妙に絡み合い、ぢつに良い仕上がりに。満席の会場も、演奏中は息を潜めたやうに聴き入り、曲が終わるごとに大きな拍手が沸き起こる、と云ふ、まるでクラシックのコンサートのやうな好ましいかんぢに終始満ちてゐた。素晴らしいコンサート。いや〜〜〜、なかなかできませんよかういふのは。

千葉さん、健さんご両人に、改めて感謝。それぞれ札幌だけでなく全国的に名の通った名手であるにも関わらず、威張ったところの全くない気さくなお人柄で、いつも気軽に共演をお受けくださり、かういふベテランになりたいな、といつも強く思ふのである。健さんは、もぅ20年もFMにラヂヲ番組を持っておられ、ここ数日は我らのも流してくれたらしい(聴けなんだが)。本当にありがとうございました。

5月21日(土)北の猫に逢いにいこう千秋楽@岩見沢BODDYMANーーーーーーーーーー

3年ぶりの北海道ツアーも千秋楽。一説では北海道中しーシュのファンが一番多い町、とされてゐる岩見沢へ。

なにせ全てが3年ぶり。街も人も変わるところは変わってゐて、会場のボディマンが入ってゐるビルも、前回はカラオケ屋やスナックなどそれなりに賑わってゐたが、いまはボディマン以外のテナントは全部空き家。まぁそのぶんビル一個がボディマンの営業に使えるので、けふは玄関から階段、廊下に至るまで我らのフライヤが貼られまくってゐた。ありがたいなぁ。

共演はこれも3年ぶり、美唄のSSW山田稔さん。相変わらずセクシ〜でシブい歌声で聴かせてくれる。けふはベースの小松雄司くんとカホンの播磨貴博さんを配し、ソウルフルなステージで会場を暖めてくれた。

しーシュも最終日と云ふことで、けっこうアゲアゲの演目で構成。割とくたびれるくらいの勢いでガーッと1時間演り切った。ダブル・アンコールも来ておぉいに盛り上がったが、あとでVを見ると、どの曲もえれぇテンポが早くて、あぁ盛り上がってたんだな、と・・。銭函から3会場を連続で見てくれた人もゐて、全部違う演目だったことに改めて感心してゐた。まぁ、さういふライヴをNGとする向きもあらうが、ウチはこれで行くんだ、と。「また来てね」と言ってくれる岩見沢の皆さんに感謝。

以上で、北海道ツアー全行程が終了。長かったやうな、あっと云ふ間だったやうな・・・。

5月22日(日)ーーーーーーーーーー

広島へ帰る。

涙雨、と云ふのか今回初めて本格的な雨。づっと一緒に過ごして来た さつきさん、小山さんとも、もぅ家族のやうな絆が生まれてゐて、別れにひときわ辛さが募る。3年間この人たちに会えなかった事は、本当に長い不在だった。いつでも会える、と云ふ楽天的な感覚が失せた昨今、ましてや我ら初老デュオには、残された時間もさほど多くはない。どんな友にも、逢いにゆく積極的なアクションを起こさねば、本当に永遠の別れになってしまうかもしれんのだ。

逢いに来ますよ、また必ず。それが今度は3年後、とかにならな事を、ただ祈るのみだ。

空港まで送ってくれた2人と涙ながらに抱擁を交わし、我らは我らの、彼らは彼らの、日々の戦場に、また戻ろう。

また会う日のために。みんな本当にありがとう。