週変わりのシュウ

ドライヴ・マイ・カー:ソロツアー記

6月16日(金)下関 Rakuーーーーーーーーーー

ひさーしぶりのソロツアー。
ひとり車を転がしながらの、孤独で呑気な旅。もちろん高速道路は不使用。家を出て西へ向かいながら、あーホンマにひとりなのだ、としみぢみ感じるのは悪くない。

私の車についてるナビは、古いゆえにまっっっったくアテにならんので、いちをう下調べは入念にしておいた。まぁ今回のツアーはよく知ってる土地を回るだけなので、さほど神経質にならんでも・・・。

広島〜下関は、まぁだいたい5時間強。途中一回だけ休憩しただけであとは走り続け、まぁ予想した時間くらいには下関に着。けふのお店は初めてのハコ、music bar Raku。地図で調べておいた場所に行ってみても、それらしいモノがない。はて・・?。まぁ時間になりゃ対バンのSTRIDERが来るだらう、と踏んで近所を散策。

私が今まで知ってる下関の街よりやや西側で、まぁシャッター街となってはゐるが、気の利いてさうな飲み屋が数軒あるやうだ。チョイ寄りしてみたいが、ライヴ前だし、なんつっても車だからねぇ・・・。

さうしてゐると当たりを付けてゐた場所に、なにやら看板を出してゐる人の姿あり。あ、もしや、と思ひ行ってみるとビンゴ。今夜の会場Rakuであった。マスターのShin-Dさんと挨拶。この、初めてのハコに行き、初めての人に挨拶して、その人に見守られながらリハをやり、といふ感覚もまた久しぶり。

さうかうしてゐるとSTRIDERが登場。けふと明日のブッキングを受けてくれ、宿まで提供してくれる、下関のモヒカン・シンガーソングライター。イカツい風貌に優しい瞳が印象的な好人物だ。初めて出会ったのは北九州の小倉、といふのも、なかなか・・・。

ライヴはSTRIDERの先行。マイク要らんのぢゃないか?といふ咆哮で歌うは、言葉の少ないフォーク・ソング。だが、この歌詞の少なさ、ワン・ワードをリピートする手法はブルーズに通じる。暑苦しく感じないのは、そこに説教臭さが皆無だからだ。私に向けて旅の歌もやってくれた。

今回のツアー、なんとなく ギターとベースを半々ぐらいでパフォームする気でギターも帯同してゐた。・・が、まぁけふは初めての場所だし、と、全曲ベースで弾き語り。STRIDERが「出来たばかりでまだ手直し中」といふ曲を演ってくれたので、私もまだ調整中の「黒鳥(Black birdのカヴァー)」を演った。『あれのどこが調整中なんですか?』と問はれたが、まぁ・・・。

このRaku、もとはジャズを演るお店だったらしく、アップライトピヤノもある。聞けば「全聾のジャズマン」として知られたベーシスト 吉本信行さんがやっておられたお店の居抜きだとか。気に入って頂けたやうなので、今度はしーシュでも来たいな、と思ふ店だった。目の前が市営の駐車場、てのも良い。

さて、ライヴを終え、宿をお世話になるSTRIDERの家へ。友人の旅楽師に泊まってもらうため、自宅の2階をゲストハウスとして開放してくれてゐる。けふの私は車移動だったので、ここで初めて乾杯。酒豪でもあるSTRIDERとごぶごぶ日本酒を酌み交わし、やがて・・・・。

6月17日(土)門司 シャッチョビルーーーーーーーーーー

けっこうな二日酔いで目覚める。
が、STRIDERは仕事に行ってる(本業は理容師)し、私だけ怠惰に過ごすわけには・・・と思ったが、昼飯を喰ひに外出した他は昼寝を貪るだけの半日となった。

家は割と郊外にあり、昼飯ついでに車を出して近所を走ってみる。山陰側へ巡る国道190号線が割とすぐ近くを走ってゐる。いつぞやはこれを遡って島根まで行ったな、とか思ひながら・・・。広島と比べても渋滞のやうなものがほとんどないので、走りやすい。田舎には違いないがイイところだな。チョイと立ち寄ったカレー屋のインド人(?)店員が、やたら元気な大声で仕事に従事してゐたのが微笑ましかった。

けふのライヴは門司。STRIDERが車を出して乗せてってくれる、といふので甘える。
下関〜門司は、州をまたぐ、とは言っても車で40分ぐらい。関門トンネルを潜ればスグの土地で、みんな結構気軽にこの距離を行き来してゐるらしい。事実けふも「昨日のライヴに行けなんだから」と山口や北九州の友人が見に来てくれたりしてゐた。

けふの会場シャッチョビルもSTRIDERの紹介。昼間はカフェで夜は「さういふスペース」といふお店。置いてある書籍や場内のかんぢは、広島は上八木のカフェ・アビエルトに似てゐる。ここもピヤノあり。だが、常設のPA設備はないので、STRIDERが持ち込んでくれた簡易アンプで演る。ここも初めてなのでベースの弾き語りで、と思ったが、気が向いた時のために先行のSTRIDERにギターを仕舞わぬやうにしといて、と伝える。のちにこれが幸運となるとは!!。

STRIDERはMCで「今朝は結構な二日酔いだった」と。あ〜やはりな・・(笑)。私は私で昼寝のし過ぎで喉がイガラっぽく、今年からライヴ前の酒を絶ってゐるが、それで正解、といふかんぢ。
それでもいいかんぢにソロをスタートさせ、3曲目まではスムースに進行したのだが、3曲目の途中からフイにベースの音が出なくなった。ありゃ?。さういやリハの時、やや歪み気味だったな、と思ひ、これは電池切れの時にある症状にて、今回もさうか、とベースを諦め、それ以降はSTRIDERのギターを借りて遂行。

突発的な事故だったが、結果としては、狙ってゐたギターベース半々で演ったことになり、まぁいいライヴ。懐かしい友人も来てくれてをり、打ち上げでは昔話にも花が咲き、楽しい。シャッチョビルマスターのカジタにいさんが出してくれる賄いが、一見「ナニか分からん料理」なんだが、これがみなとても美味しい。ふぅむ、ここも興味深い店だ。しーシュも簡易音響さえ持ち込めばここで演れる、といふことか。

ところで酒飲みのSTRIDERはライヴ中も後もけっこうなペースでごぶごぶ酒を飲むが、その帰りの足は全て彼の奥さんが担当してくれてゐて、この夫婦がいつも「二人で一つ」といふくらい仲が良く、何処にでも必ず二人で現れる。社交的で優しい奥さんはしかし、STRIDERが音楽を始める前からの付き合いらしく、云はば「ミュージシャンとして成長してゆくSTRIDERを見守ってきた」ひと。お互いに信頼してゐる二人だからこそ、このやうな場が紡げて行くのだな、と感慨深い。

彼らは明日は北九州八幡まで、お客として来てくれる。ありがとうね。

6月18日(日)八幡 デルソルーーーーーーーーーー

二日間お世話になったSTRIDER宅を昼過ぎ頃に辞し、ひとり北九州は八幡を目指す。

夕方までに着けば良いので、途中日帰り温泉を見つけて立ち寄ったり、一人旅ならではの呑気さを味わう。多分今夜は車中泊にするだらうから、夜中に食べれさうなものとかを少し買っておく。今回の旅はコンロまでは積んでおらず、まぁ僻地を旅するわけでもないので、どっかになにかあるだらう、ぐらいの・・。

昨日も通った関門トンネルをくぐり、門司を抜けて八幡を目指すも、けふは日曜日!!。思ひのほか道路が混んでゐて、ありゃぁ参ったな、と。昨日一昨日先一昨日と「混む」といふ感覚から遠ざかってゐたので・・・。

まぁなんとか予定より10分遅れ程度で、けふの共演者と合流。名物「資さんうどん」でライヴ前メシを食べ、いざデルソルへ。

けふのライヴは朋友テ〜さんこと 村岡達也がブッキングしてくれたもの。イトウケイジ竹内紀山近誠、といふ北九の名だたる楽師を寄り合わせた、一部マニアにはだいぶ垂涎のライヴと前評判。57歳の私が最年少、といふのもそれを物語る。昨日音の出なくなったベースも電池を入れ替え復活。けふこそ当初の予定通り「ギターベース半々での弾き語り」をせんと準備。

私はソロとしてもだが、ほかの全員のサポートも務め、サイドメンとしてもSSWとしても満足できるライヴとなった。中でもデルソルマスター大庭謙仁さんのギターとセッションできたのは嬉しかった。「店主と演者」としてもぅ長い付き合いになるが、共演は初めて。意外に強めのピッキングでガット弦を流麗に弾きまくる、アグレッシヴ系のギタリストで、これもまた新鮮!。

終わってみれば、、出演者全員わりと渾身のパフォームだったやうで、とても熱い、良いライヴだった。この3倍集客できてもおかしくないライヴだったと云へる。出演者全員「なにが売れてなぜ売れないのか」が割と人生のテーマのニンゲンであり、まぁそれは本当に私も常に深く考へてゐる。

特に、久しぶりに一人で旅をしてみて、「しーシュのシュウ」といふ立場から離れた自分の存在感の微妙さ、を改めて感じるし、だからといって何をすれば改善できるのか?そもそも改善できるものなのか?、を強く考へる時間があった。まぁ何があらうと挫けずにやり続けるしかないのだが、自分に人望と人気がない、といふ事実と、それを克服する手立てがないのを確認するのは、切ない。

決めてゐたやうに車中泊を。
法的にもセキュリティ的にも利便的にも良い場所を探してウロウロしてゐるうちに、フっと良い場所を見つけた。トイレもあり、静かで、なによりすでに車中泊してゐるらしい他の車も見かける。ここにしやう。

6月19日(月)オフーーーーーーーーーー

タマタマ車を止めた場所が木陰にだったやうで、快晴となった朝にも怯むことなく、とても快適に眠れた。
明るくなってから知ったが、関門橋の真下の公園だったやうで、早くから釣り人やマラソンびとが快活に利用するスポットの様子。目の前が関門海峡で、向こう岸は本州だ。

けふはオフにて、前々から久々の萩を訪ねてみやうと思ってゐた。ので、まづは門司のファミレスで朝定食。んでまた関門トンネルをくぐり、こないだ確認した国道190号線を東に向かって進む。途中やはり温泉に立ち寄ったり・・。快晴にて海辺を進む車道は素晴らしい眺め。ぬぅ〜良い。

昼過ぎに萩に着。カーナビが嘘ばっかりつくので、途中から無視して走ってゐたが、目的地に着くとちゃっかり『目的地に着きました、案内を終了します』などと云ひやがる(笑)。

3年前、コロナ直前のライヴツアーが中止になったきりの、萩市はカフェ「藍場川の家」を訪ねる。オーナー室田佳子さん、相変わらず美魔女でご健在。アポなしで行った私に驚きつつ歓迎してくれ、色々話す。徐々にライヴも復活させてゐるらしく、またしーシュでここに来たい旨など伝える。

ここで久しぶりにワイハイをゲット。3日ぶりにネット社会に繋がり、あんまり変化してない様子など見る。即上げが当たり前のSNS世界にあって、今書いてるやうなツアー後記なんぞがたれのニッチに叶うものか、といふところだが、私としても人のツアー記やさういふ物語を読むのが好きだし、まぁさういふことだよな、と・・。

けふは萩の街でテキトーに飲み食いして、また適当に車中泊、と考へてゐたが、宇部の「弟分」よーねんから電話があり「宇部に来て一緒に飲もう」と言ってくれたので、さうする。夕方までぶらぶら車で流し、宇部の街でよーねんと合流。彼の生活圏を数件ハシゴして、けっこうしこたま飲んだな。よーねん宅にお邪魔して数分で電気をつけたまま昏睡してしまったやうだ。

6月20日(火)宇部Big Hipーーーーーーーーーー

しこたま飲んだが、良い酒だったやうで、懸念するほどの二日酔いはなし。

まーぁ、STRIDERもさうだったが、あんだけ飲んで明らかに私より酔ってゐたよーねんも今朝は早くから仕事(伐採師)に出かけて行った。社会人しつつそれなりのライヴ活動をつづけてゐる彼らを見ると、なんかホンマに自分のニッチといふをつくづく考へる。ライヴ翌日はバイトを入れん、とか考へてる私は怠惰な老人だ。

共働き&コドモは学校で、早くから無人になるよーねん宅の留守を守りつつ、また昼寝したり飯食いに行ったり。

夕方、もぅ馴染みとなった宇部の街に車で入り、ラーメン屋でチャーハンなんぞ食ってライヴに備える。けふの対バンはよーねんのトリオ Hyper Dunkと、山陽小野田からさくぞう、そしてけふも下関からまたSTRIDER。彼とは4日間一緒に行動する、といふことになったな・・。

けふこそギターベース半々の弾き語りでツアーをビっとシめて・・・と思ってゐたリハ中、ギターの音が出なくなる。新調したサイレントギター(ガット弦)で、デルソルではいいかんぢに鳴ってゐたが、ここに来てまた電池切れ?。電池のストックは使い切ってゐたので、近所のコンビニを回るがどこにも売っておらず、やむなくさくぞうのギター(マーティン)を借りることにして、リハ終了。

ライヴは火曜日といふのにそこそこな集客。ありがたいね。さくぞう〜STRIDER〜Hyper Dunkと進み、さぁトリで私が、とセッティングするが、どうしたことかベースの音が出ない。リハではなんの問題もなかった。なんせ二日前に入れ換えたばかりなので、もぅ電池切れの可能性は低い。なんてこった!ここに来て本体トラブルか?。持ってる楽器全部がいっきに役立たずとなってしまった。

しかし なんつっても、もぅ出番が来てステージに上がってるし、いまさら何もできない。もぅ全編ギターで演るしかない。さくぞうのマーティンで演れる限りのことはやったが、なんせ完全な予想外事件にて、内心はテンパってゐたし、ラインナップも練れてないわけだし、うぅぅ・・、だいぶ散漫なライヴになってしまったのでは?。

「レアなシュウさんが見れて良かった」とか「突発的にあれがやれるのはやはりすごい」とか言ってもらえるのは嬉しいのだが、例えば私を全然知らん人が、初めて見るSSWのステージとしてけふの私を見た時、なにかを印象に残せただらうか?とは考へざるを得ない。そもそも機材のトラブルは機材ではなく、それを扱う人間のトラブルなのだ。けふはスキルだけで乗り切ったのだ。職業楽師として、さらなる深みを目指さねばならない。

ほろ苦い千秋楽となってしまった。

けふは夜走りして、眠くなったら適当な場所で寝よう、と思ってゐた。そのテイで終演後、宇部を出発したのだが、なんかえらいこと強風が吹いており、なんかそんな気になったので、宇部の隣町 阿知須の道の駅でビバークすることに。停めてゐる車が揺れるほどの強風で、まぁおかげで蚊が出んのは嬉しいが・・・。

夜半から雨が降り出し、これの音が凄まじく、蒸し暑いのもあって、あんまり眠れぬ阿知須の道の駅。ほろ苦い千秋楽をシメる、ほろニガい夜であった。