週変わりのシュウ

永遠の半分くらいで(ツアー記)

11月23日(木):大阪心斎橋パーカホリックーーーーーーーーーーーー

しーシュ結成以来最遠までの車ツアーが始まる。
まづは大阪まで。これは経験済み。いつも行く関目の方面ではなく、いわゆる「大阪の心臓部」へ車を乗り入れるは結構な度胸が要る。しーなさんは会場近くまで車を入れて欲しさうだったが、私は夜の更けたこの辺りから車を出し入れする事は絶対したくないので、中心街より少し外れた辺りに停め、歩いて会場へ。

パーホリはアップライトピヤノが二台ある、といふ全国でも珍しいお店。以前はこの二台をうまく使って、ツインピヤノ、とか演ったりしたが、けふはフツーにしーシュのステージを。

久々に生ピヤノでパフォームするしーなさんが冴えまくっており、けふのライヴはここんところ我らが目指してゐる理想の形、みたいなものが出来た。お客さんも、まぁそこそこに集まってくれて嬉しい。なかでも、私の昔の弟子で、現在東京で活動してゐる川島弘光のファン、といふ方が来場してくれており、特に嬉しかった。

来年初冬、広島にお迎えする先輩ベーシスト 泉尚也さんもご来場。「しーシュ、流石やな」との言葉もいただき、ツアーの初日としては上出来すぎる良きパフォーム。

11月24日(金):移動日ーーーーーーーーーーーー

ゆんべは京都の友人宅に投宿。ゆっくりさせて頂いて感謝。

さァけふは長いぞ。関東・・・横浜までの遠き道のり。京都から、とは云へその道のりが長い事には違いない。幸い いましーシュは長距離遠征にはしーなさんのオートマ車を使ってゐるので、交代で運転できるは嬉しい。

よく晴れ、暖かいぐらいの気候の中、新名神を通り抜け、富士山もしっかり見える新東名、を経て、東の早い日暮れの中、横浜にタッチダウン。まづは無事の到着を祝し、近所の中華料理屋でカンパイ。

しかし私が憶えてゐるのはそこまで。気づけば着の身着のまま布団をかぶってをり、午前4時。はて?横になった記憶すらないのだが・・・。

11月25日(土):横浜 関内サラスヴァティ弁天ーーーーーーーーーーーー

けふは昼夜ダブルヘッダー、といふスケヂュール。てつ100%の杉原徹さんとギタリストかずまのデュオ「てつかず」との魅惑の2マン、といふ触れ込みだったが、なんと昨日の時点でテツさんから「インフルに罹患した」との知らせ。

ライヴの敢行そのものも危ぶまれたが、かずまが1人ででもやる!と言ってくれたおかげで、昼はかずまのソロをしーシュがバックアップする、といふ形で実現。夜の部は夜の部でしーシュのワンマン、とし、結果的には昼夜2ステージ滞りなく成功。主要メンバーの欠場といふ事態を乗り越え、良いパフォーム。

しかし常連のお客さんにもインフルの罹患により来場叶わず、といふ方もゐて、コロナの次はこれかよ、との思ひ。げに我らも気をつけねば・・。

しーなさんは出発前にやや体調を崩し気味だったが、この辺りから逆に元気になり始めた模様。

11月26日(日):町田市 ビア・キッチン・アーミィーーーーーーーーーーーー

横浜から町田へ。
けふは長きコロナの明けを高らかに宣言するこのイベント「Machida music summit:AGAIN」。

夫婦ユニット「しんごとひでこ」が、この地の友人楽師たちと企画し、我らを招いてくれるこのイベントも、「あれ」以来。4年ぶりに会えた「メロカリマタ」・・メロディオン鈴木カルボーン佐藤マタニティ五十貝、みんな元気さう。嬉しい再会だ。みんな相当な気合いと覚悟でこれを企画してくれてをり、狭くない会場は、早くからまさにギッシリ、な状態。

ロックでもポップスでもないメロカリマタやしんひでの音楽にも、会場はすでに盛り上がっており、しーシュが出る頃にはもぅ手が付けられんぐらいの・・・。前回はこの熱気をうまく交わしながら、のパフォームが出来たが、今回は熱気にアテられて、初っ端から飛ばしまくってしまった。2曲やった時点で「少し落ち着こう」と(笑)。

しかし最後まで本当に盛り上がり、訳のわからんしーシュの音楽にも、深い感動を伴う反応がもらえ、Danceでは泣いてる人も垣間見え、この、広島を遠く離れた町田の街で、さらに私は「コロナは明けたのだ」との強い感慨が。

この日のこれを企画してくれた、本当に気の良いヤツら。本当に本当に、ありがとう。

11月27日(月):移動日ーーーーーーーーーーーー

しんごとひでこのお宅に投宿。

昨日の感動的な印象を語り合い、一緒に朝飯を食べ、楽器を弾き、昼飯を食べ、洗濯をし、といふ壱日。

しんごこと寺島慎吾とは、名古屋で知り合ってもぅ20年近い付き合いになる。ソロ同士で一緒にツアーした事もある彼。名古屋在住時代は年長者の知り合いが多い割に同世代の友達の影が見えず、どっちかてぇと孤独な青年、といふ印象だった。
ひでこと結婚し、東京に移り、いまや昨日みたいな同世代の仲間と一緒に、あんな素敵な会を企画できるやうになってゐた事に、親戚のやうな嬉しさを感ずる。よかったなぁ、しんご。

夕方前にしんひで宅を辞去。都内を車で走り抜ける、といふ冒険をして、新宿に住まうしーなさんの旧友 Mさんのお宅に。広島の私からすれば「ここが新宿?」と思ふやうな閑静な住宅街の一軒家を、けふあすと自由に使わせていただける幸い。

11月28日(火):門前仲町 Chaabeeーーーーーーーーーーーー

上述の理由で、ひとりで相当な広い部屋を与えられ、日中はホンマに自由にのんびりさせていただく。日当たりも良い中庭には、サンサンと陽が降り注ぎ、洗濯物も乾く乾く。

けふはここに車を停めたまま、電車で都内を移動できる。久しぶりにベースアンプをカートに縛り付けて電車に乗る、と云ふ・・、まさに東京の楽師たちのデフォルトスタイルで門前仲町に移動。

ここんところ東京都内遠征では必ず演らせて頂いてゐる、古民家風フリースペース・チャービィ。狭くないスペースでのワンマンは冒険だが、今回も多くのお客さんが集まってくれた。グっと聴き入り、熱く反応する、といふ、広島のしーシュファンと同じ反応で、まぁ、かういふバンドだから、そうなるんよなぁ、と改めて。「チャービィは音が良いから、ここで聴くしーシュは最高」との声もあり、嬉しい。

日頃はライヴスペースといふより、ワークショップやイベントに使われる事の多いお店だけに、音楽・・・とくにしーシュみたいなバンドの場合、広報が難しいらしく、それでもかうして快く受け入れてくれるチャービィには感謝しかない。

今回も良きライヴだった。

11月29日(水):高円寺 いちよんーーーーーーーーーーーー

けふはしーシュとしてはお初。
味わい深き昭和の香り色濃く残る高円寺で、かつて広島に住んでゐたブルーズマン・イケマーとの2マン。

イケマーの生業はサラリーマン。広島に単身赴任中、しーシュとの縁ができ、よーしもっと一緒に・・と思ってた矢先にまた赴任先が変わり、以後東京の住人であるが、その後も何度か共演はしてゐて、けふは久しぶりの邂逅。

相変わらず達者なギターで、洒脱に語るモダンなブルーズは心地よい。もともと多作な男で、広島時代だけでしーシュとの共演のために5曲ぐらい書き下ろしてくれてゐたが、このコロナの間に作った曲は70曲を超える、といふ。ひぇ〜〜。

「140dBを超えると警察を呼ばれる」さうで、けふはデリケート・しーシュだったが、さういふのもお手のもの。逆にそれを楽しみながら、高円寺ならではのラインナップで構成。イケマーとのセッションもトリオにデュオにと、懐かしさと切なさを持って・・。ちょーど席数いっぱいのお客さんも集まり、ぢつに良いライヴであった。

帰り道、かつてこの街にあった「ペンギン・ハウス」といふ店(閉店)に出た事のある私に、イケマーがその場所を案内してくれたりしながら、別々の電車に乗ってそれぞれの帰途につく我ら。このデカい街で活くる楽師たちとの束の間のふれあいは、私は一人旅を始めた頃の静かに熱い思いを思い出させてくれた。

けふはイケマーと我らの接点を作ってくれた、BARAKAのドラマー平石正樹さんもフと訪ねてきてくれたり、一層さういふ「プチ切なさ」みたいなもんをいっぱい味わえた日だった。

11月30日(木):移動日ーーーーーーーーーーーー

旅も後半戦。

関東を離れ、中部〜東海地方へ。来た時と逆に引き返せば・・・と思ってゐたが、ま〜〜〜〜〜〜〜ぁなんと東京の道の複雑なことよ!!。覚悟はしてゐたが渋谷から抜け出すのに2回も間違えてしまふ。カーナビがバグりまくるほどの立体交差と一方通行の嵐!。こんな街で車を仕事に使う人の神技を思ふ。

東名に乗ってからは順調。日暮れを追っかけるやうに西へ西へ。
夕方には投宿先の名古屋は610ホールへ着。まぁ前回ツアーで我らのコーディネートと対バンを務めてくれた寺田ご夫妻の自宅なのだが(笑)。前回同様暖かく迎えてくれて感謝。名古屋在住の友人も交えて歓迎会まで。ツイデに皆で、明日我らがライヴする池下のリトルビレッジまで行く。

12月1日(金):名古屋 池下リトルビレッジーーーーーーーーーーーー

後半戦初日。

日中はカズさん宅(610ホール)で、チョイ出しの撮影をさせてもらったり、カズさんに歌唱指導したり。名古屋の友人たちは、みな我らより一回り上の人で、それぞれ社会人として成功を収めた上で引退されてゐるから、みんな裕福で余裕がある。私が歳をとったあとは こんな豊かな人生が送れるハズはない、と思ふと切ないが、せめて良い音楽を届けることで、御恩に報いれたら良いな、と思ふ。

さて、けふのビレッジライヴは、もともと鍵盤レスしーシュで演る予定だった。が、カズさんがミニ鍵盤を提供してくれ、しーなさんはそれを膝に置き、いわゆる「ラップトップ・キーボード」スタイルで演ることに。本格的なピヤノ鍵盤のスタイルは望めぬが、そこはしーなさん。ほどほど遜色のない事を演れるのが流石!。

結果として、あんまり日ごろと変わらんしーシュが提供でき、しかも局面的な状況にて2人が繰り出す「裏技」が冴え、逆にしーシュの芸達者ぶりが遺憾なく発揮されたライヴとなった。ビレッジは満員で、こないだ対バンしてくれたウクレレデュオ「Betty’s」のお二人も見に来てくれており、嬉しい。

1人で名古屋を訪れてからほぼ20年。その最初から見てくれてる人、新しく加わった人、いつも来てくれる人、今はもぅいない人・・・。それぞれの想いとそれぞれの日々。それぞれの20数年に思ひを馳せた、池下の夜であった。

12月2日(土):静岡 焼津 むずりやーーーーーーーーーーーー

けふはチョいと距離ロスとなる、静岡は焼津への「逆行」(笑)。
日程上この日しか選べなんだむずりやへの、久々の出演。

コロナ最盛期に『今回が最後かも』といふ事で、結構無理をして訪れたのだが、幸いなことにその後も存続。私の敬愛する鈴木亜紀ちゃん(焼津出身)も、最近はすっかりここにお世話になってる、といふ。

けふは東京から福田コウも来ており、むずりやの影マスター渡瀬テツさんとのデュオ「コウてつ」で対バンをやってくれる。コウちゃんとしーシュはセッション経験もあり。その時から比べてもコウちゃんの力強さが増しており、良い対バン。テツさんのベースも「ロックだねぇ」と強く思はしむるデュオ。爽やかに男臭いステージに「いいねぇ」と声も上がる。

対するしーシュはいつものやうに。ある種の「パリピ」である(笑)ここの人たちに、しーシュの歌が本当はどう受け入れられてるか、は正直ビミョ〜なのだが、かういふ場ではもっとダルなジャズぽいのが演れるやうになればいいな、とは常々思ふ。けふも最後は「ぎやまん」の合唱でシメ。みんなありがとう。

けふは出演者、お客さんの大半がお店に宿泊。明日の朝飯はその全員で、港湾食堂に集合!!と(笑)。

12月3日(日):愛知 豊橋 アコーディアナーーーーーーーーーーーー

さぁ、ロングツアーも最終日。
静岡からまた東海へ。千秋楽は豊橋アコーディアナ。

その前に、焼津の仲間たちと朝飯&焼津観光。よく晴れた日で、駿河湾を隔てた向こうにくっきりと富士山が見える絶景!。今回、行きも帰りも富士山が見えて喜んでゐたが、ここに来てさらに!!。『これが見せたかったんよ!』といふ焼津の仲間たちに感謝。ありがたいなぁホンマに。

友と別れ、豊橋へ。
けふの会場アコーディアナは2019年の11月以来。コロナ前の最後の長期ツアーだったんだな・・。日中はケーキやカレーのおいしぃカフェとして営業してゐる人気店をお借りする以上、心して演らねばならんね。

けふはコーディネーターの原田ミツコさんの提案、といふか やり方で、「ひとりひとつづつ自分のヴォーカルアンプを使う」といふ初めての試みをやってみる。考てみればその昔はヴォーカリストも自分のアンプを持って活動してた訳だし(若い人は知らんだらうな)、自分の聴きたい音を自分が作る、といふのはアリだ。

まぁ生ピヤノがある場所だからできる事、ではあるが、けふは演ってみてなるほどなぁ、と思はせる充足度だった。ケースの一つとして、今後もやってみる価値はある。

集客がなかなか・・といふ事だったが、開けてみれば満席で、しかも皆さんとても良いかんぢに聴いてくれ、千秋楽にふさわしい、しーシュらしいライヴとなった。設計上しーなさんがお客さんに背中を向け、客席を向いた私と背中合わせに演る、といふ形になったが、これもまた新鮮。最近のしーシュには、こんな事がデメリットにはならない、といふ心強さが持てるのはイイ。

アコーディアナ店主でアコーディオン弾きのタカミさんとのセッションも、ノン・リハとは思えない完成度で、常連様も大満足、であった事だらう。企画してくれたミっちゃんに、大感謝。
千秋楽がこのかんぢで演れて本当に良かった。

打ち上げは「豊橋お好み焼き」。
関西風のともちょっと違う、小麦粉でしっかり焼き固めたお好み焼き。ビールが進む。喰ひすぎた。

12月4日(月):広島へ!ーーーーーーーーーーーー

さァ、帰るぞ。

けふはもぅ丸一日高速道路の上。道に迷うことはなく、ただひたすら西へ向けて走る。途中、通行止め区間があり、一般道に降りて進まねばならん面倒くささもあったが、これはこれでまた知らない街を走る楽しみもあり。

日暮れを追うやうに走りに走って、それでもとっぷりと日が暮れた広島に帰還。コロナの始まった年、波をかいくぐるやうにして、ちょーどこの時期に敢行したツアーの帰り(あれは豊川からの帰りだったかな?)、やっぱり広島に着く頃には夜遅くになってゐたのを思ひ出す。

我らは切ない3年間を過ごしたのだらうか?。
否。

旅はまだまだ続くのだ。続けるのだ。友よ。