週変わりのシュウ

あんじょぅやりや:ツアー記

4月28日(金)  出発ーーーーーーーーーーーー

しーシュはづっと私の軽バン「ぐっち」で旅をしてきた。ピヤノを始めしーシュに必要な機材の一式が余裕で載せれる上に、イザとなれば車中泊もできる便利な愛車だが、残念ながらこれはミッション車であり、限定免許のしーなさんは運転できぬ。おのづと運転は全部私がする事になり、それはまぁ別にいいのだが、そこは果てしなくフェアであらんとするしーシュの精神に反する。

てことで、この頃はしーなさんが新調したハイブリッド・カーでツアーに出る事が増えた。普通のセダンに乗ったことのない私には、取り回しに苦労する車なのは確かなのだが、やはり交代交代で寝たり運転したりできるメリットは大きい。

公共機関での移動も良いのだが、まぁ慣れると車旅んが気楽でいいねぇ、と何度も云ふ道中。

4月29日(金)  京都:長岡京Wood stockーーーーーーーーーーーー

京都の先輩ヴィヲロン奏者よっしーこと末松よしみつ氏の娘さん、左京めぐみが組むデュオ「絶妙なアンバランズ」の3周年イベントに参加させてもらう初日。去年の8月以来の長岡京はウッドストック。

この「絶妙〜(『みょんず』といふらしい)」。鍵盤と電気ベースに二人が歌う、といふしーシュとよく似た編成。むしろしーシュよりさらにがっつり二人が歌い合うユニットで、そのサイケでプログレッシヴな曲調と云ひ、たいへんシンパシィを感ずる。

ベースのキムラ亮くんは、やはり私と同じくベース弾き語りも演るらしく、その先達としての私も知ってゐたさうで、けふは悪いもんでも食ったかのやうに緊張しておられた(笑)。確かに技術に裏付けされたぢつに面白い楽師であり、もっと深く知り合いになりたいな、と思ふシャイ・ガイであった。

新太郎(アンビエントでブルージィな夫婦デュオ)、たぎり屋(ロカビリー・スタイルのギター弾き語り)といふ他の出演者もたいへん面白く、この日のしーシュは触発されて初日とは思へぬ熱演となった。長き不調と花粉症シーズンを脱した私の喉は、積年の恨みを晴らすかのやうな開き具合で、グレン・ヒューズのやうにきゃぁきゃあ歌ってしまった。良きライヴ。誘ってくれたみょんずのめぐみちゃん、ありがとう。

渋滞を懸念した黄金週間前の京都だったが、けふのところはさほどのものはなく、観に来てくれた友人を乗せて帰り、そのまま宿泊をお世話に・・・。

4月30日(金)  京都:伏見 レ・ミューズ・カフェーーーーーーーーーーーー

けふはお昼ライヴ。
お馴染み京都の友人オイワさんこと岩井雅美さんが主催する、オープンマイクのゲストとしてのしーシュ。
オイワさん周辺のアマチュア楽師の皆さんが、かわるがわる出演するのをオイワさんがギターでサポートす、といふライヴ。もちろん我らもサポートのお手伝い。伏見市内のオサレなカフェで、お昼いっぱいの光の中、いろんな方々が参加されて、そりゃあ楽しい会である。

足繁く京都に通ううちに顔見知りになった人も多く、『しーシュに伴奏してもらえる!』と皆さん喜んでおられ、まぁそれに見合う働きもさせていただいた。

しーシュの出番はその全部が終わってから・・。もぅその時点で1時間押しており、当初40分内容を予定してゐたが、30分内容に切り替え、ババっと演って終演。イベントの予報通り、きっちり18時に終会として大団円。

くたびれたが楽しいライヴだった。なかでもオイワさんのバンド仲間、フリュートのなおっちこと森部直枝も歌いに来ており、彼女のザンネンズの曲を相方としてベース弾く、といふのはけふの個人的トピックであらう。

けふの最後に演った『この素晴らしき世界(What a wonderful world)』の意訳詩をしてオイワさんは、『この歌はどんな兵器にも勝てると思ふ』と言ってくれた。ありがとう。

5月1日(金)  オフーーーーーーーーーーーー

二日間お世話になった友人宅を辞し、けふからはやはり友人の中村コーイチ&あらいなおこ宅に居候。

一緒に買い物に行き、晩飯の食材を買い、準備して料理して、例によって私は途中から寝てゐたやうだ。

5月2日(金)  京都:宇治 waoyaーーーーーーーーーーーー

けふは初めての地 宇治。
噂には聞いてゐた沖縄居酒屋 waoyaに我らを招いてくれたのは、やはりオイワさん。けふは彼の率いるオイワカモリとの対バン。フリュートのなおっちとはこないだ伏見で、ベースのわかぽんとも3月に岡山で会ってるが、パーカッションの藤井茂樹さんはホンマにお久しぶり。

初めてお会いした頃から見てゐるこのバンドの最新系、めちゃくちゃ「仕上がって」ゐるオイワカモリを見て、なんか本当に感慨深く、このコロナやなんやらを超えて俺たちよく頑張ったなぁ、としみぢみ思ふ。うん、よく頑張ってきたよみんな。

その思ひは満場となったお客さんも同じやうで、おぉ盛り上がり。こっちまで持ってかれさうになりながら。まーぁしーシュの曲でも踊る踊る(笑)。Danceでは踊りながら泣いてる人もゐて、それはけふまた私に「この素晴らしき世界」を歌わせる。超スタンダード曲の替え歌にすぎぬ歌だが、この歌詞が付合する世界観になった、との思ひはやや複雑ではある。

またいつかあなたに会えるだらうか? この素晴らしい世界で。

5月3日(金)  大阪:関目 我等の家ーーーーーーーーーーーー

京都を去り大阪へ。

お馴染みの関目。どうやら我らは初めてこの町でライヴを演ってから、ちょーど10年になるやうだ。過去帳を見るまでもなくよーく憶えてゐる。松阪はMAXAを皮切りに名古屋で二本、刈谷で壱本、を終えてのツアー最終日だった。癌で闘病中だった親父が最後の昏睡に入り『いよいよかも』といふ夜がこの関目だった。

あの日からすると、店も移転し、お客さんの顔ぶれも変わった。もぅいなくなった人もゐれば、出禁になった人もゐる。新しい常連、数少ないながらも若い世代の常連、コロナの時もみな支えあって今があるのだ。

昨日の宇治のおぉ盛り上がりから一転(お客さんの年齢層も大幅に違う)、けふはぢっくりと演り歌い、お客さんもぢっくり聴き、吟味し、拍手す、といふ、これはこれでしーシュらしい焔(ほむら)燃ゆ、といふ良いライヴだった。みなさん、ありがとう。

ライヴの始まりが16時から、といふこともあり、終演後もまだ陽があり、素敵な時間。歳をとるにつれてかういふ時間帯のライヴが本当に好きになってきた。

5月4日(金)  大阪:関目 バーベQ・フリーライヴーーーーーーーーーーーー

『明日はバーべQやから』とだけ聞いてゐて、はァ、と思ってゐたが、どーやら我等の家が定期的にやってるオープンマイクを、バーベQの会場で演り、そのゲストに我々、といふ事らしい。

奇しくもさはやかに晴れ渡り、確かに野外行楽日和。いちをうPA機材一式やピヤノも運び込んで、本格的なライヴ会場のやうにはなってゐる。住宅街のど真ん中にある公園を借りてるにしては、思ひのほかデカい音で演ってたので、慌てて主催のとこに行き、その旨伝える。「ぢゃあシュウがPAやって」と云はれて、なぜか音響係となる私(笑)。

こないだの伏見のオープンマイクの参加者が、9割女性だったのに比べ、ここは参加者9・8割がおぢさんで(笑)、あと若者が二人。しーシュも気張らず、カヴァーをつらつらと。私はギターの弾き語りでえりも岬。持って行ってたが自分のベースは出さず、若者のを借りて演った。

夕方には終わり、地元の人と地元の居酒屋に流れ、ツアーの締めの打ち上げとす。今月いっぱいで閉店する、といふ我等お気に入りの銭湯、関目パレス温泉に最後の湯治にも行き、やや飲み過ぎて・・。

5月5日(金)  ーーーーーーーーーーーーー

広島へ帰る日。
だが、目覚めとともに、二日酔いもさることながら激しい腰痛に見舞われる。過去最大級のギックリ腰に匹敵する痛みで、立つことはおろか寝ることもできぬ苦しみッ。座っても痛いし、こりゃあどうしたことか、と・・。ちょいと尋常ではない痛みだったのだが、特にヒネった覚えもないし・・・。

病院に行くにも当てもなく、しかしこのままでは車にも乗れず、しかし明日は広島でぱんぱかだし・・・。

だが、しーなさんが買ってきてくれたおカユをひと匙ふた匙すすって横になってゐると、すぅと痛みが引いてきた。そのまましばし横になってゐると、眠れるぐらいの事態にはなってきたやうだ。残りのおカユを食べる頃には痛みも治り、あれは腰椎とかではなく肝臓が痛かったのでは?との結論。

とまれ痛みは治り、その後は車の運転も快調に。とは云へ旅の疲れは溜まってる中年デュオ。交代で寝ながら西へ西へ。懸念した渋滞に阻まれることもなく、夕方には広島に着。

コロナは明けたのだ。さう思ひ、みんなさう思ってゐるだらう、初夏のツアーが終わった。