週変わりのシュウ

わかった、執事が犯人だ

6月1日(木)ーーーーーーーーーーーーーーー

6月になった。
また無益なまま、壱年を折り返した。
スグ夏が来て、あっと云ふ間に秋になり、またひとつ歳をとり、気づけば年末だ!とほざいてゐるのだらう。
容易に想像できるが、まぁそれも仕方ない。

近年、ひとまわり以上若い世代の、若くして幾つか店を経営してゐたり、これからさらに起業したりしやうとしてゐる、いわゆる「攻め系」の人と接することが多く、彼らは溌剌と未来に燃えており、そは素晴らしいことと思ふが、正直彼らのギラギラ感は、私にはしんどい。

「投資」と割り切って、結構な大枚をパン、と叩き、『失敗すればまた売れるし』と思ふ発想は、私にはないし、持てない。しかしまぁ、経済と云ふはさういふ人が回してゐるのだし、全国民が私のやうだったら、この国はとっくに経済破綻してゐるだらうし・・・。

6月2日(金)ーーーーーーーーーーーーーーー

けふから3日間、広島では「とうかさん」と云ふ夏越の祭りが催され、中心街が異常に華やぐことになる。ましてやコロナで3年間中止になってゐただけに、それが解除された今年は、3年間のウサを晴らすかのやうに、早くから露天が立ち並び、それに群がる餓鬼どもがウザい(この祭り自体が、だいぶ『子供向け』である)。

我がバイト先はその中心街の極めて近くにあり、繁盛が期待され、通常より二人増しのシフトが組まれたのだが、意に反し、雨が降ってゐた、といふ事もあらうが、私が勤め始めた中でも記録更新、なほどヒマな日となってしまった。まぁ夕方には雨も上がり、人出も増えてきたので、夜の営業で巻き返せたとは思ふが、あそこまでヒマだと、激忙な日と同じくらい疲れるね。

東京の「血の繋がらぬ親戚」と云って憚らぬ友人、久保田涼子が広島に帰ってきてゐる、といふので、晩飯を喰ひに行く。彼女は「第三世代が考えるヒロシマ〜継ぐ展」といふイベントを毎年8月に企画してゐて、東京は東中野で開催された初回には、しーシュがゲストで出演したりもした。ここ数年は規模も広がり、現地広島での開催も定例化し、今回の帰省はその打ち合わせも兼ねて、とのこと。

気の弱い女子高生、の典型だった彼女の素晴らしい成長ぶりを、ホンマに親戚のやうな目で眩しく見る、57歳の初夏、なのであった。

6月3日(土)ーーーーーーーーーーーーーーー

しーなさんが長年「熱烈なファン」と公言して憚らぬピヤノ弾き語りSSW リクオさんのライヴを広島Otisに見に行く。客席はほぼ満席で、うち1/3がしーなさんのお客、といふかんぢ。

女子自由形ピヤノ弾き語り 鈴木亜紀

熱烈ファン公言が実を結び(?)、こたびしーなさんは「共演」といふ誉に預かる事になり、そはやはりピヤノ弾き語りSSWの鈴木亜紀ちゃんの近辺に、半ばストーカーのやうに出没し、ついに共演を成し遂げた私と似てゐるかもしれない。

ピヤノ弾き語り楽師の共演がピヤノ弾き語り楽師、といふは、ハタで見るより仲々色々とハードなことだと思ふが、さすが我が相棒、女性らしい繊細なパフォーマンスできっちりお客さんを惹きつけてゐた。リクオさんのファンからも納得の熱い拍手。

続くリクオさん、配信などでそのパフォーマンスを目にしたことはあるが、実際目の前で見るとやはり流石の一言。当然ながらピヤノのパワフル感はしーなさんとの男女比を如実に語る。なんつってもリズムが強い。かういふ演奏を聴くと『ピヤノは打楽器』といふ概念もわかる。
焼酎をぐびぐび飲みながら、次々と演奏し歌う。そのテンポ感もまた良い。時折「休憩」と称して挟む長めのMCも楽しく、わりとたくさんの曲を演ってくれたが、あっといふ間だった。

打ち上げにも参加させていただく。ピヤノや楽曲制作の話が聞ければ、と思ってゐたが、常連ファンの皆さんとのトークに花が咲いてゐるのを邪魔するは野暮といふもの。多分この後も二次会三次会と流れて行くんだらうな、と思ひつつ、明日は我らも本番にて、お先に辞去。

6月4日(日)とうかさん大祭 野外投げ銭ライヴーーーーーーーーーーーーーー

昨日リクオさんライヴの打ち上げで市内中心街に足を踏み入れ、上述の「とうかさん」の喧騒を目の当たりにしたのだが、まーぁ文字通り予想以上の「混沌」ぶりで、『うぇ〜〜、明日はこんな中で演るのかぁ・・』と正直思った、その「こんな」ライヴ(笑)。

私は元来 人混みが苦手で、「とうかさん」なんぞ正直 近付きたくもない催しであったが、不思議な巡り合わせでその中心中の中心でライヴをやることになるとは・・!!。

こんな中で演るからには、やはりパワフルな助っ人が欲しい、といふ事で久々の共演となったパーカッションのツンちゃんこと水木恒夫。本番前にチャチャっとリハをして、ぞろぞろ歩いて会場へ(ツンちゃんの家から近い)。

けふの我らは「新天地公園」といふ、まぁいわゆる都心の空きスペース(公園といふよりは整備された空き地)に設営された盆踊りのヤグラの下、での演奏となる。祭りの中枢、とも云へる場所にて、もぅセッティングの段階からノロノロとしか歩けないやうな混雑ぶり。いろんな場所でライヴを演ってきたが、これは久々に性根の要る現場になりさうだ、と奮起してゐたら、しーなさんから『そんな脅すやうな目をしない!』と注意された(笑)。

そして始まってみれば予想通りの混沌!。音響の不備もあって、「これはもぅ行くしかない!」と判断し、どんどん予定のラインナップを変え、ツンちゃんには聴いた事もない曲にまで無理やり入ってもらい(笑)、激しめの曲をダーっと演り、最後の最後でバラードでシメる、といふ作戦が功を奏し、まぁまぁ良き仕事ができたのではないか?。しーシュとツンちゃんの「地力」で勝った、といふ現場だった。面白かった。

発起人は朋友 姫石ミミ。彼女は我らの仕切りをはじめ、この「場」でのエンタメを全部担い、自身のスタヂヲの生徒たちをスタッフに統率し、盆踊りのファシリテーターまで務め、また生徒たちの後援者なども助力し、ぢつに素晴らしい「現場」を作り上げてゐた。このライヴの最後に、予定に入れてなかった「この素晴らしき世界」を歌ったのは、ミミへのアンサーでもあった、と書いておこう(笑)。

盆踊りにも参加し(笑)、混沌としてゐるが平和な祭りの一端を垣間見て、ぢつに良い日だった、と思ふ。
これまで忌避してゐた「とうかさん」を改めて見て、まぁ色々と手放しでは称賛できない部分も多かれど、コロナは明けたのだ、といふ感慨を強く思った日でもあった。

6月5日(月)ーーーーーーーーーーーーーーー

昨日はツンちゃんところで程よく打ち上げ。
久しぶりに会った人も多く、楽しく飲み食いさせてもらったが、やや二日酔い。
預けておいた機材を引き取りにゆき、また一緒に演ろうや、と話し合った。9月には久しぶりにFar East Loungeが復活するみたいだし、楽しみだ。

けふはしーなさんが出演する朗読劇(?)のライヴを見に。しーなさんは三日連チャンのライヴだな。
「即興的なライヴ」と聞いてゐたが、しーなさんの演奏はさておき、朗読する人の方にあまり即興性を感じなんだな。表現方法があまりにデフォルト化されてゐる、といふか、ただフツーに朗読だった、といふか・・・。
どーせなら、ピヤノに合わせた即興劇か、せめてアドリブかなんか見せてほしかった。

さういふのがあったからか、なぜか最後は私がステージに呼ばれ、「なにか即興を見せて欲しい」と云はれ、無理やり「ナニカ」を演った(笑)。大したことは出来なんだが、まぁ何かの役に立ったのであらば・・・。

6月6日(火)ーーーーーーーーーーーーーーー

雨の中 バイトへ。
レッスン会場が遠くなった火曜日にバイトを入れたらどんなかんぢか、をシミュレーションするための・・。

けふは雨なのと、ちょいと事情があって、全部公共機関を使っての移動だったが、全然イケるな。今後火曜日にバイトが入っても、これまでと変わらず従事できさうである。

久しぶりに乗った「広島電鉄宮島線」は、もぅ少年時代のノスタルジィを刺激しまくりで(変わり果ててはゐたが)、旅に出てゐるやうなかんぢすらあった。

6月7日(水)ーーーーーーーーーーーーーーー

バイト連勤。
からの17:30から21:00までのレッスン。

正直、週末からの多々の動きによる疲労が溜まってをり、「ぬぅ〜」といふかんぢだが、今のところうまくDanceできてゐる、といふ気はす。そのかわり、夜はもぅ何をしてゐても眠く、布団に入ると5秒で撃沈。23時にはもぅ寝てゐる。そのせいで朝は早く(5時ぐらいに目が覚める)、そはまさに「老人」そのもので

6月8日(木)ーーーーーーーーーーーーーーー

真空地帯のやうにレッスンもバイトも入らぬ「休み」となった。

しっかりした雨も降ってをり、ありがたく休むが、まぁせねばならん事はいっぱいあって、それをやってると「休み」といふほどではなく、結局せねばならんことをやるには時間が足りぬ、といふ流れと相成った。

んで、なんや手指が浮腫んでゐるやうで、ベースもギターもピヤノもちゃんと操れぬかんぢが気持ち悪い。歳が歳だけに、かういふ事例が起こると自分の身体に「深刻なナニカ」が起こってゐるのではないか?との懸念が生まれる。久々のソロツアーの準備にも入っておかねばならんのに、気もノらず「ぬ〜」といふかんぢ。

6月9日(金)ーーーーーーーーーーーーーーー

バイト5時間勤務のあと、旅楽師仲間あっきゃんこと秋本節さんのライヴを見に「大松」へ。

純粋に「大松」へ客として行くのはたいへん珍しく、店主吉田ヨシコちゃんが驚いてゐる。自分がOAやるのに『しーシュで出れば?』と云ふ(笑)。激しいバイトの後だし、けふはもぅ「飲む気」で伺ってゐるので、早くから遠慮なしのペースでぐびぐび行く。

程よくえぇかんぢになったところでライヴ。

もぅね、「良い歌」てのぁこれよ!。と。
もぅそんな一言に尽きるライヴ。
失礼ながらだいぶ地味な見た目の初老男がぼそぼそした関西弁で喋り、訥々と奏で歌うその音楽の、なんたる質の高さ!。
無駄なコール&レスポンスも、派手な煽りもなく、ぼそぼそ喋っては歌う、といふその時間の愛おしさ。

見ながら何度も「いい!」と声が出る。
あぁ、これこれ!かういふのを私は聴きたいし、演りたいのだよ、と思はせる、そんなライヴだった。

アカデミックに分析すれば、あっきゃんの音楽はフォークではあっても限りなくジャズに近く(即興性がある、といふ意味ではなく)、また本来はMorga’s Barといふバンドの「ギタリスト」を担うだけあるその演奏技術も、単純な生ギターの弾き語りの域を超えてゐる。そこが多分 一番強く私の心を捉えるのだ。

これはもっとギター弾き語り系のSSWが見るべきライヴだよ。
観客の心に強い印象を残すのは「楽しさ」や「激しさ」だけではないのだ。

あっぱれ、秋本節。